この内容は動画でも解説しています。
これからは免許だけの薬剤師が淘汰される時代がやってくるので、生き残るためにしっかりと必要とされる薬剤師を目指しましょうということを私はこのブログの中で幾度も説明してきました。
ただ、『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)、『武器としての決断思考』(星海社新書)などの著作で有名な、エンジェル投資家の瀧本哲史氏が、これからの時代、エキスパートは生き残れないという記述があります。
るるーしゅ
エキスパートでも生き残れないとなると、もう薬剤師無理じゃん
実際に、 瀧本哲史氏がどのような理屈でエキスパートは生き残れないと言っているの確認して、自分なりの考察をまとめたいと思います。
目次
エキスパートは生き残れないという理屈
それでは、エキスパートはこれから生き残れないとしている理屈を見ていこうと思います。
エキスパートとは、専門家のことを指す。…しかしこれからは、生き残るのが難しい人種となる。エキスパートが食えなくなる理由は、ここ10年間の産業のスピードの変化がこれまでとは比較にならないほど速まっていることだ。産業構造の変化があまりにも激しいために、せっかく積み重ねてきたスキルや知識自体が、あっという間に過去のものとなり、必要性がなくなってしまうのである。(p117-118)
僕は君たちに武器を配りたい より
確かに薬剤師の仕事内容も、テクノロジーの進化とともに変わってきていますよね。
- 錠剤のピッキング作業も、医療事務や機械化
- 軟膏のMIXも練太郎やマゼリータなどの機械化
- 散薬の分包、水剤の調製も自動化(DimeRoやミニアクア)
また医薬品の相互作用等も電子薬歴システムでチェック出来たり、電子処方箋が本格的に運用されれば医薬品の一元管理も今より簡便になってきます。
ただ瀧本哲史氏の言うエキスパートとは、私が言う免許だけの薬剤師と同じような気もしますよね。
るるーしゅ
代替可能なエキスパートは、今後生き残れないという理屈なら、わたしも同意です。
瀧本哲史氏が生き残ることができると評価しているタイプ
瀧本哲史氏が生き残れないと評価しているエキスパートは、私が考えている免許だけの薬剤師ではないかと思っていますが、今後は 瀧本哲史氏が生き残ることができると評価している人をみていきます。
最近の会計士の業界で、いちばん儲けているのは、企業向けにそれぞれカスタマイズした「節税商品」を作っている人々だ。…税制と会計に専門知識を持ち、企業に合わせて節税商品を作れる会計士は、コモディティにならないのである。(p160)
僕は君たちに武器を配りたい より
おそらく、これが瀧本氏がプロフェッショナルと評価する人たちなのだと思います。
ここで言うプロフェッショナルとは、
①専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
②それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる(P.32)
瀧本氏がプロフェッショナルと評価する人と、わたしがエキスパートと認識している人は同じだと思います。
つまり、わたしが今まで他の記事で熱く語ってきたことが否定されたわけではないようです。
るるーしゅ
安心しました。ただ別の視点での反論も聞いてみたかったという思いもあります。
最後に
薬局を取り巻く環境は大きく変化してきています。
さくら薬局(クラフト)のADRやファーマシィ、フタツカ薬局などの100店舗程度のグループでもM&Aされていています。
また栃木県薬剤師会の会長をやっていたパワーファーマシーもM&Aされたりして、組織に依存しすぎるのは危険だと強く感じます。
年月 | 会社1 | 会社2 | 特徴 |
---|---|---|---|
2016年 | 日本調剤 | 水野薬局 | 日本で最初の調剤薬局として知られる。 |
2016年 | アイン | 葵調剤 | 仙台市を拠点に全国で 115店舗を展開。 |
2018年 | MSNW | アポテック | 青森県を中心に調剤薬局 14店舗を展開。 |
2018年 | アイン | コム・メディカル、 ABCファーマシー | 新潟県を中心に56店舗を展開。 |
2019年 | クオール | ニチホス | 関西地方を中心に調剤薬局を25店舗。 |
2019年 | MSNW | 永冨 | 大分県内に調剤薬局23店舗を展開 |
2019年 | 日本調剤 | 薬栄、新栄メディカル、 センチュリーオブジャスティス | 東京都を中心に千葉県、埼玉県、 神奈川県の1都3県に調剤薬局 19店舗を展開。 |
2021年 | アイン | ファーマシィ | 中国地方を中心に、調剤薬局を 約100店舗展開。 |
2021年 | マツモトキヨシ | ココカラファイン | 経営統合。マツキヨHDが1681店、 ココカラファインが1333店。 |
2023年 | クオール | パワーファーマシー | 栃木県を中心に調剤薬局を38店舗 |
2023年 | スギ薬局 | クラフト | 業務提携。スギ薬局グループは1,500店舗以上を 展開。さくら薬局グループは 全国に850店舗以上を展開 |
2023年 | 住友商事 (トモズ) | 薬樹 | 神奈川県、東京都、埼玉県を 中心に約150店舗 |
2024年 | スギ薬局 | I&H | 全国に562店舗 |
るるーしゅ
経営母体が変化すると、評価基準も異なり、今までどおりの評価(給与等)を受けられなくなる可能性があります
これから先も、薬剤師として働き続けたいのであれば、市場価値を高める努力は怠らないようにしましょう
自分は対人業務が出来ているから淘汰されないと思っている方もいるかもしれませんが、減薬提案はできていますか?
ポリファーマシーが社会的な問題にもなっていて、なおかつ薬を減らしたいという患者ニーズもあります。
でも、おそらく服用薬剤調整支援料を算定したことがない薬局のほうが多いのではないでしょうか…
るるーしゅ
ポリファーマシー対策のための支援ツールも現在でています。
- 薬剤師が気になる患者の処方、併用薬の組み合わせなどを入力する。
- 不適切処方をピックアップ
- 不適切処方の根拠となるエビデンスをAIが探して、回答する。
- 提案例文とエビデンスが表示される。
- フォローアップレポートの原案が表示される。
このサービスを使ったことがないため、どこまで現場で使えるのか分かりませんがテクノロジーの進化により、今まではエキスパートとして価値があったものが、だんだんと一般化していき価値がなくなってきてしまう可能性はあります。
最近、世間を騒がせているテクノロジーの進化ではChatGPTがあります。
るるーしゅ
必要とされない薬剤師にならないように自分なりの強みを見つける、もしくはつくりあげていってほしいです。
るるーしゅ
自分は取柄もないから…と諦めず、まずは出来る範囲での行動をしてみましょう。
キャリア相談してみるとかいいと思いますよ