令和4年度調剤報酬改定で大手薬局チェーンとドラッグストアの影響を考えてみた

令和4年度調剤報酬改定について

2022年2月9日に令和4年度診療報酬改定の答申が発表されました。内容としては300店舗以上の大手薬局チェーンや大手ドラッグストアでなければ、大きな影響はなかったのではないかなという印象を持っています。

300店舗以上の薬局・ドラッグストアは、調剤基本料３のハというものが新設されたため300店舗以上の薬局・ドラッグストアは調剤基本料１を算定できなくなってしまいました。

そして今までは調剤基本料１なら簡単に算定できていた地域支援体制加算も、基本料３のハになるため算定不可になります。（経過措置期間で2023年3月31日までは算定可）

上記のように、令和4年度調剤報酬改定以降は調剤基本料１を算定していた店舗は、どうしても評価がマイナスになってしまいます。ただ基本料１以外を算定していた薬局でも地域支援体制加算３および４のハードルが下がったので、大手チェーン薬局、ドラッグストアは、地域支援体制加算３もしくは４を算定するために、４月より組織から圧力を受けるのではないかなと思います。

るるーしゅ

ここまででついてこれない人はぜひこの記事を読んで下さい

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300店舗以上のチェーンの令和4年度調剤報酬改定の影響はどれくらい？

それでは少し前置きが長くなってしまいましたが、令和4年度調剤報酬改定の影響が各社どの程度あるのか試算していきます。尚、元なるデータは、各地域の厚生局の施設基準の届け出状況からです。（2022年2月10日時点で抽出したデータで、関東は2021年12月1日時点、その他は2022年1月か2月時点だと思います）

データから、各チェーンの代表的な薬局名称（例：総合メディカルからそうごう薬局と）で抽出し、令和4年度調剤報酬改定の影響（基本料１の割合など）を考えたいと思います。

M&Aにより、大手チェーン所属だけど、名称で判断できない薬局は今回のデータに反映されないため、あくまでもおおよその影響です。

今回の影響を試算する大手薬局チェーンは、日本調剤、アイン、クオール、総合メディカル、アイセイの５つです。（クラフトのさくら薬局は、似たような名称の個人も多い気がしたため除外、I&Hは阪神調剤で検索しても数が少なったため除外しています。）

つづいて大手ドラッグストアは、ウエルシア、スギ薬局、イオン、マツキヨ(ココカラ)の４つです。

①日本調剤の令和4年度調剤報酬改定の影響

それではまず日本調剤からです。とりまとめたデータからは、薬局数634店舗です。（基本料の届け出がない店舗はよくわからないので除外しています）

・・・ちょっとこのデータ見たとき、気持ち悪くなりました。基本料１以外で地域支援体制加算算定している所64.4％もあるとか…

そして後発加算の85％以上のところが85.5％とか…あれ？後発医薬品の供給困難どこ行った？って感じですよね。

調剤基本料１が42点→32点に下がるのが痛いと思います。ただ基本料１以外の薬局でも地域支援を６割以上算定していて、さらに地域支援体制加算４のハードルも下がったので日本調剤としては７割くらいの店舗で地域支援体制加算4を取得するのではないでしょうかね。

日本調剤の処方箋枚数から影響を考えてみる

日本調剤の年間の処方箋枚数は、だいたい1500万枚です。

店舗の枚数による偏りがないとして、基本料への影響は、1500万枚×0.56（基本料１）×100円（基本料１→３のハ）＝8.4億円です。とはいえ、日本調剤ですので、基本料１以外の薬局は100％地域支援体制加算３（17点）はとってくるのではないでしょうか。

そうすると、1500万枚×0.44（基本料１以外）×0.35（地域支援なし）×170（地支体３）＝約4億円

るるーしゅ

数字で書くのは簡単だけど、中の人は大変だよね…

②アインの令和4年度調剤報酬改定の影響

つづいてアインですが、薬局名にアインとつくのは659店舗でした。 （基本料の届け出がない店舗はよくわからないので除外しています）

るるーしゅ

アインは処方箋枚数見つけられませんでした

③クオールの令和4年度調剤報酬改定の影響

つづいてクオールも同様に基本料の届け出がない薬局は除外して、423店舗で調査していきます。

④総合メディカルの令和4年度調剤報酬改定の影響

総合メディカルも同様に基本料の届け出がない薬局は除外して、427店舗で調査していきます。

⑤アイセイの令和4年度調剤報酬改定の影響

大手チェーン調剤としては最期にアイセイも同様に基本料の届け出がない薬局は除外して、323店舗で調査していきます。

⑥ウエルシアの令和4年度調剤報酬改定の影響

今度は調剤チェーンではなく、大手のドラッグストアです。まずはウエルシアからで、1481店舗です。

ウエルシアの年間の処方箋枚数は1800万枚です(おおいですね）

さて、2022年調剤報酬改定の影響を考えると、1800万枚×100円（基本料１→３のハ）＝18億円
さらに、ジェネリックの影響で、1800万枚×150円（GE加算１）×10％＝2.7億円

さらに2023年で地域支援体制加算の経過措置が切れてしまうと、1800万枚×20％（地域支援あり）×220円（地域支援1→3の差額）＝約８億円

るるーしゅ

ウエルシアでは、日本調剤のように地域支援体制加算4を算定するのは難しいでしょう…

⑦スギ薬局の令和4年度調剤報酬改定の影響

つづいてスギ薬局で1148店舗からのデータです。

スギ薬局の年間の処方箋枚数は1000万枚ですので、基本料1→3のハの影響は、約10億円ですね。またGE加算１の店舗が0点になることで、1.5億円マイナス。

2023年の地域支援体制加算の経過措置切れで、39点→17点に変わった場合、1000万枚×0.27（地域支援1）×220円（地域支援1→3）は、約6億円です。

令和4年度調剤報酬改定でどうなるか予想

とりあえず（途中ですが）現状の大手各社の算定状況を記載しました。今回の調剤基本料３のハは、大手が儲かっているから下げるというドストレートの理由で発生したものです。（マジでやめて・・・）

るるーしゅ

集中率頑張って下げたのに～みたいな叫びが聞こえてきそうです。

とりあえず各基本料と地域支援の有無の４パターンでどうなるか考えてみようと思います。

基本料１×地域支援算定していた薬局だったところ

調剤基本料１（42点）と地域支援体制加算（38点）を算定していた大手調剤チェーン、ドラッグストアですがここは2022年4月から大変だと思います。1年間は経過措置期間として地域支援体制加算１（39点）を算定できますが、2023年4月以降は、相当の実績を示して地域支援体制加算４（39点）を算定するか、十分な実績を示して地域支援体制加算３（17点）を取得するか、それとも算定ナシになるのかが決まるからです。

るるーしゅ

かかりつけ薬剤師のノルマとか無理～って声が聞こえてきそうですね…（地域支援体制加算３を取得するにしてもかかりつけ薬剤師の実績が必要です）

点数が下がるところって、組織からの扱いもきつくなりますよね。下がった分の金額はおまえの給与から減らすぞ的なこと言われる管理薬剤師が多くなるのではないかと（汗）

基本料１×地域支援算定ナシの薬局だったところ

調剤基本料１（42点）だが、地域支援体制加算を算定していないところですが、多分こういう薬局は規模がちっちゃいんだと思います。ひとり薬剤師で、受付回数も少なく個人在宅の実績が難しいので、地域支援体制加算を算定できていないんだと思います。

とはいえ、調剤基本料１（42点）→調剤基本料３のハ（32点）にダウンするため、その分のマイナス分を何かで元通りにしないと、所属組織からの評価はいまひとつでしょうね…

るるーしゅ

調剤基本料が減額した分は、OTCなどに力を入れます！、応需枚数増やしますとか言っとけばいいんじゃないかな。

基本料１以外×地域支援算定していた薬局だったところ

基本料１以外で地域支援体制加算を算定していた薬局はひきつづきその調子でやっていればOKです。今回の改定で地域支援体制加算４を算定するハードルが下がりますので、「俺は前の要件が厳しい時に算定できてたんだからな。要件ゆるくなったんだから余裕だろ？」的なマウントをとって優越感に浸るのがいいのではないかと思います。

るるーしゅ

絶対こういうマウントとってくる人いるでしょうね…

ちなみに2022年２月に調べた限りでは563店舗が調剤基本料１以外で地域支援体制加算を算定していました。

基本料１以外×地域支援算定していない薬局だったところ

最後に基本料１以外で地域支援体制加算も算定していなかった薬局ですが、ここはマイナスになるわけじゃないですが、上から「地域支援体制加算とれ」という圧力が来るのではないでしょうかね…

るるーしゅ

「個人在宅の契約とってこい、お前の母親とかどうなんだ？」とか言い始める奴がでてくるかも…

未来を踏まえてどう動くかはあなた次第

今回は令和4年度調剤報酬改定による大手薬局チェーンや大手ドラッグストアおよびそこで働く薬剤師の影響を考えてみました。

正直、今回の改定はマジで大手調剤チェーン、ドラッグストア狙い撃ちで、かなりひどいなと思っています。ドラッグストアでは給料高いですが、今回の改定を踏まえてもどうなりますかね・・・

年間1万枚処方箋を受け付けていたら、マイナス100万円です。

るるーしゅ

ボーナスで調整ですかね…

大手調剤薬局は、やはり地域支援体制加算４を目指すところが多いと思います。また地域支援体制加算３という目指しやすい加算も出来たため、かかりつけ薬剤師制度からは避けて通れないのではないかなと思います。

るるーしゅ

どうしてもかかりつけ薬剤師をやりたくない人は、やらなくてもいい店舗への異動などを早めに上司と相談してみてください。

そして個人在宅患者の取り合いが起こる（すでに起きている？）と思います。自店舗では１人薬剤師で、とてもじゃないけど、在宅患者の対応なんてできない場合でも声掛けするように言われると思います。大手なら、近隣の系列店舗が代わりに対応できて、実績をつくるようになると思います。

在宅ケアが必要そうな患者の洗い出しをしっかりやりましょう。（ex:認知症の患者や本人来局せず、ヘルパーさんが受け取りにきている患者さんなど）

今回の調剤報酬改定で、減算される大手チェーン薬局やドラッグストア勤務の方で、「もう疲れたよ…」と思う方もいるのではないでしょうか。

残念ながら、今後の医療の流れを見ても、厳しくなる一方だと思います。赤の女王の「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」というセリフが当てはまると思います。

るるーしゅ

ずっとこの先も全力で走り続けるのか・・・と思うと気が滅入りますよね。

これから先の薬剤師人生に希望が持てない方は、視野を広げてみましょう。とりあえず周りの影響もあって大手に入って、算定のノルマなどもゲーム感覚でこなしてきたけど、いよいよきつくなってきた。こういう薬剤師のかたって結構いると思います（多分30代に多いのではないでしょうか）

これが大体、中堅薬剤師でぶつかるキャリアの壁だと思います。

今の職場の評価基準だと、これ以上の評価は見込めず、業務だけが増えてきて仕事が嫌になってくることが分かっているなら、別の職場を検討してみていることをオススメします。

客観的に見れば、大手チェーン所属のほうが対人業務の実績はとれているが、給与は中小のほうが高いというデータがあります。

つまり地域支援体制加算４までの実績をつくるのは難しいけど、個人在宅の契約方法やかかりつけ薬剤師の声掛け、服薬情報等提供料、服用薬剤調整支援料など算定するノウハウを持っている人は、個人や中小では、今より評価される可能性があるのではないかと思います。

2022年の調剤報酬改定でいえば、中小は、地域支援体制加算２（47点）というのが出来てて、要件もゆるいです。ただ中小では算定するノウハウがなくて全然できていないところとかあるので必要とされるのではないかと思います。

るるーしゅ

これから薬局淘汰の時代に突入するため、転職先の中小は生き残れるか？という点で不安な面があります。そのあたりは転職エージェントさんに相談してみてください。

オススメの転職サイト

いや、そんなこと言われても私には特に取柄もないから…と思う方こそ、自分の薬剤師としての働き方を考えてみるのがいいと思います。

「自分にはなにもない」、そう思い込んで、劣悪な環境を受け入れてしまうのは本当にもったいないです。是非とも下の記事を読んで、自分なりの薬剤師のキャリアを考えてみてください。
（上記で紹介した転職エージェントさんでキャリアの相談するのも◎だと思います）

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