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クラフトがまさかの倒産?
2022年3月23日は、朝からビックリするようなニュースが飛び込んできました。それは大手調剤薬局チェーンのクラフト株式会社が私的整理の「事業再生ADR」を申請したという内容です。
事業再生ADRとはなんぞや?と思った人も多いと思います。
るるーしゅ
薬剤師はADRと聞いてもAdverse Drug Reaction(副作用)としかでてきませんよね
事業再生ADRは、経営破綻した、あるいは経営破綻の危機に瀕した企業を救済する“債務整理”手続きのひとつです。
わたしも詳しいことは分かりませんが、クラフトが経営破綻、あるいは経営破綻の危機に瀕していることは間違いないのかなと思います。
るるーしゅ
クラフトって大手の中でも超大手なのに…
クラフトって日本調剤やクオール、総合メディカルなんかよりグループ店舗数多いチェーン薬局なんですよ。ただ上場企業ではないため、ブラックボックスになっている部分が多く、わたしもあまり情報が入ってこなかったんですよね~
クラフトは、さくら薬局グループの中核企業で、2020年3月期には売上高約1937億円をあげている。調剤薬局「さくら薬局」は、全国1002店舗(直営店618店舗)の規模を誇る。
クラフトが店舗数1000超えていることは知りませんでした…ということは調剤薬局のチェーンとしてはアインに次いで2位ですかね。
グループ名 | 店舗数(2022年3月調べ) |
---|---|
アイングループ | 1,171 |
日本調剤 | 699 |
クオール | 834 |
I&H | 610 |
クラフト | 1,002 |
ウエルシア | 2,467 |
スギ薬局 | 1,483 |
クラフトの令和4年度調剤報酬改定の影響について
以前、大手チェーン薬局の施設基準の取得状況を調べたんですがクラフトはやらなかったので、今回しらべてみようと思います。
開設者がクラフト株式会社もしくは新井 勝 さんになっている薬局675店舗ありました。以下の図がクラフトの調剤基本料および加算の状況です。
クラフトだけのデータを見ても分かりづらいと思いますので他の大手調剤チェーンの加算の取得状況と比較した表が以下です。
グループ | 基本1 | 基1+地支体 | 1以外+ 地支体 | GE加算3 | GE加算2 | GE加算1 |
---|---|---|---|---|---|---|
クラフト (n=675) | 56.1% | 59.4% | 3.4% | 45.9% | 28.3% | 10.1% |
日本調剤 (n=634) | 56.8% | 80.2% | 64.6% | 82.7% | 11.8% | 2.5% |
アイン (n=659) | 45.2% | 83.9% | 20.8% | 61.6% | 22.3% | 7.9% |
クオール (n=423) | 55.1% | 73.4% | 7.4% | 67.9% | 18.2% | 5.9% |
総合メディカル (n=427) | 37.5% | 74.7% | 11.0% | 72.2% | 17.3% | 4.9% |
データを見てみると、クラフトは日本調剤やアイン、クオール、総合メディカルと比較して地域支援体制加算の取得状況やジェネリックの算定状況も低いですよね
尚、上記のデータは各地域の厚生局の届け出からのデータの一部で全データではないため、割り引いて考える必要がありますが、それでも気になるデータです。
るるーしゅ
プラスに捉えれば、まだまだ伸びしろがあるといえますよね。
クラフトのADR申請から、考える今後の薬局業界
今回のクラフトの事業再生ADRの申請は、かなり衝撃的でしたね。なんだろう、今回の令和4年度の調剤報酬改定では、300店舗以上の薬局が儲けているから基本料を減算するなんてやってましたが、もう少し丁寧な分析が必要だったんじゃないですかね…
クラフトで働いている人に、「どうなの?」とニュースが出た後、すぐ聞いたのですが寝耳に水だったようです。今後、社員やその他の方にむけた情報も出てくるかと思いますが、怖いですよね…
2022/3/29更新
業界紙(PNBやRISFAX)からの取材にも応じませんでしたが、本日IR発表がでていましたので内容を共有します。
当社グループに関する報道について
当社グループに関する一部報道において、2021年3月期の売上高が1239億円(前年比△36%)と報道されましたが、当社グループの2021年度3月期の売上高は1907億円(前年比△1.5%)であり事実と大きく異なります。
また、当社が経営不振に陥っているかのような記事となっておりますが、そのような事はございませんので、引き続きご安心してさくら薬局をご利用して頂きたく存じます。
尚、当社は事実と違う報道をした報道機関に対し、速やかに訂正する様申し入れを行ってまいります。
2022.03.28 クラフト株式会社の企業情報より引用
あっ大丈夫なんですかね?
メガネ
るるーしゅ
報道の売上高の数字が異なっていたのは事実なんじゃないかな。ただ売上高が前年比より微増なのはこれはこれで大丈夫とは言えないような…
個人的には2021年度の売上高を2020年度の新型コロナによる自粛の影響をモロに受けたときと比較すれば、もう少し上がるんじゃないかなと思っています。たださらに2021年度にM&Aで店舗数も増えているなら、売上高ももう少し上がるのでは?と思ったりします。
あと経営不振に陥っていないとのことですが、「じゃあなんで事業再生ADRに?」というところが謎なんですよね。なんで借りているお金を返せなくなったのか・・・
あと、このような会社情報で「実はダメなんです」なんていう情報は流れませんよね…
2023/4/16追記
さくら薬局グループとスギ薬局グループとの業務提携?!
2023年3月30日にスギ薬局とクラフトが業務提携したという情報がでました。業務提携なのでM&Aとは違いますが、マツキヨとココカラのようにスギとクラフトがくっついたらすごいですよね。
大手チェーンだからといって安心できない?
昨年もチェーン薬局のフタツカ薬局がココカラファインにM&Aされてますし、この薬局業界も大手だからといって安心できないなと気が引き締まりますよね。
薬局業界では将来の不安から新人は大手志向になっていると耳にしますが、まさか1000店舗ある薬局チェーンが今回のような事態になるなんて思いもしませんでしたよね。
今回の件を踏まえて、大手だから安泰ではなく、この先どうなるか分からないので、会社にしがみつくのではなく、どこでも必要とされる力(エンプロイアビリティー)を身につけることが重要ではないかと再認識しましたよね。
るるーしゅ
自分は普通の薬剤師だからと市場価値はないからと諦めたりしないで、ちゃんとキャリアを考えることが本当に大切です。
会社はあなたのキャリアを保証してくれるわけではないので、自分で自分の幸せやどんな働き方をしたいのかを考えて早めに行動することをオススメします。
人生にはどうしても自分の「これからの生き方を問い直すべきタイミング」が存在している
北野唯我, . これからの生き方。 自分はこのままでいいのか? 問い直すときに読む本より引用
さくら薬局の薬剤師は転職すべき?
クラフトに勤務していた薬剤師は、今、自分のキャリアについて考えるタイミングだと思います。
昇進や異動、結婚や、自分が大きな病気になったときなどが自分のキャリアを考えるタイミングとして多いですが、今回のような場面でもぜひとも転職活動をしてみてください。
るるーしゅ
クラフトやばいから転職しなよ。
という意味ではなく、転職活動するうえで行うキャリアの棚卸しが重要だからやってもらいたいです。
- 自分はどんな仕事をしてきたのか?
- 自分は何ができるのか?
- 自分は何が得意で、何を好むのか?
るるーしゅ
ここをしっかりと言語化できるようにしておきましょう。
どうやるのか分からない人は、転職エージェントに登録して無料で相談しましょう。
\ 悪質な転職サイトは利用しないで /
薬剤師が転職する際に利用する人材紹介会社(転職エージェント)、どこも同じだと思っていませんか?
現在、国は医療の分野において紹介料目当てで頻繁な転職を促す悪質な人材紹介会社への対策を強化しています。
るるーしゅ
悪質な人材紹介会社の利用は、ミスマッチする可能性が高いです。
このような悪質な人材紹介会社には絶対に相談してはダメです!!(悪質とは言っても国の許可を得ているという矛盾もありますが…)
薬剤師が、キャリア相談や転職時に、転職エージェントを利用する場合は、適正な有料職業紹介事業者の認定を受けている転職エージェントを利用しましょう。
薬剤師の分野で優良認定を受けているところは、ファルマスタッフ、その他数社とまだ少ないです。
悪質な人材紹介会社がどこか分かれば対策しやすいのですが、そのような情報はなかなか表に出てきません。なので我々としては、優良認定を受けているところを優先するのが望ましいでしょう。
るるーしゅ
どこを選ぶかも重要ですが、転職エージェントをどのように付き合うかも重要です。
予想:クラフト勤務者の今後について
最後にクラフトに勤務している薬剤師の方の今後について予想したいと思います。
とりあえず現状のままだと、経営的に問題があるので、現在の経営陣が変更すると思います。
追記令和4年4月8日付にて、代表取締役社長 森 要が辞任し、取締役会長に就任するとともに、
新井 勝が代表取締役社長に就任しました。
追記クラフト勤務者より、本年度の給与が下がったりとかはしないという会社から案内があったそうです。
クラフトの就業規則の記載が不明瞭ですが、以下のような記載内容のところが多い気がするので、経営状況がいまひとつなら、支給額が下がったりとかは十分あり得ますからね。
賞与は,会社の業績に応じ,第〇条に定める事項等を考慮して支給する。ただし,会社業績の厳しい低下その他やむを得ない事由がある場合には,支給日を変更し,または支給しないことがある。
賞与の支給額は,会社の業績に応じ,能力,勤務成績等を人事考課により評価し,その結果を考慮して都度決定する。
また調剤報酬の視点で見れば、他の大手調剤チェーンと比較して地域支援体制やジェネリック加算の算定状況が低いです。
また4月からの調剤報酬改定で、300以上の薬局は基本料1(41点)がなくなって基本料3のハ(31点)に下がりますので、基本料1以外の薬局が地域支援体制3を取得していく必要があります。
るるーしゅ
稼ぐ力がない人は、評価を下げるしかないのではないかと…
また調剤報酬以外の部分ですと、薬価差益ですよね。M&Aに積極的になりすぎたのが経営破綻の危機になったようですよね(プラスでコロナの影響もでしょうが)
調剤医療費の8割は薬剤料ですので、そこでスケールメリットをいかして薬価差益をだすことも重要だと思います。ちゃんと会社が推奨しているジェネリックや卸を使用することも大切なことなので、ちゃんと使用しましょう。
会社の推奨以外の卸や商品を使用しないという行為を続ける場合は評価を下げられたりしても仕方ないですからね…
るるーしゅ
クラフトに限らず、他の大手でも同様です。価格交渉の際に、使用実績に応じて値引き額が決まったりしますのでね。
ただ、こういうことをやるつもりはない、もう疲れたよパトラッシュという方、いると思います。(クラフトに限らずですが)
薬剤師免許にこだわりすぎていませんかね…この薬局業界の先を見ても、楽だし給料も高いということはないかと思いますよ。薬剤師免許を持っていても、使用しないで働いている方も沢山います。
自分自身を振り返ってみるのもいいのではないかと思います。
オススメの転職サイト
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