≫【2024年度版】薬剤師向け転職サイトの賢い使い方

モルヌピラビル(ラゲブリオ)について薬局薬剤師として知っておいてほしいこと

1/30更新
令和4年1月21日最終改正版の資料を反映

  • ハイリスク因子のない方で重症度が高い方への投与の記載削除(MSDのサイトより)
  • 無症状の方への使用について言及
  • オンライン診療の際の同意書のやり取りについて追加

今回は2021年12月24日に特例承認された新型コロナウイルス感染症の内服治療薬のモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について薬局薬剤師として最低限知っておいてほしいことをまとめたいと思います。

添付文書上の基本情報

まずはラゲブリオカプセル200㎎の添付文書上の情報からです。

まず添付文書は一番上に重要なことが書いてあり、大体は禁止事項なのですがモルヌピラビルについては以下の内容は一番上に記載されています。

本剤は、本邦で特例承認されたものであり、承認時において有効性、安全性、品質に係る情報は限られており、引き続き情報を収集中である。
そのため、本剤の使用に当たっては、あらかじめ患者又は代諾者に、その旨並びに有効性及び安全性に関する情報を十分に説明し、文書による同意を得てから投与すること

禁忌本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能効果SARS-CoV-2による感染症
用法用量通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして
1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
効能効果に関する注意

臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。

重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は確立していない。

用法及び用量に関連する注意

SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。臨床試験において、症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。

るるーしゅ

るるーしゅ

ここまでの情報からザックリとまとめると以下の感じ

  • 医療機関が処方するにあたって同意書が必要
  • 妊婦、妊娠の可能性のある人には禁忌(催奇形性のリスク?)
  • 処方されるのは重症化リスクの高い人
  • 1回800㎎→1回4Cap飲む必要あり
  • 抗ウイルス薬なので早期投与が重要(6日目以降は不明)

調剤するにあたっての注意事項は?

今回のモルヌピラビルは薬局で調剤が可能となっています。ただ流通に関しては、卸に発注してという形ではないため注意が必要です。

薬局でモルヌピラビルの処方箋を応需した際の流れは以下のような感じです。

  1. あらかじめ、薬局がラゲブリオ登録センターへの対応機関登録を行う。
  2. 対応薬局は、患者の発生に備えてあらかじめ一定数の在庫を発注しておく。
  3. 配送に協力する配送業者から対応薬局に本剤が納品される(原則、発注後1~2日程度(日曜祝日を除く))。
  4. 投与対象となりうる患者が発生した際、医療機関において、処方箋とともに適格性情報や同意書取得等についてのチェックリスト(様式参照)を患者が希望する対応薬局(※)にファクシミリ等で送付する。このとき、処方箋送付先の対応薬局には事前に電話等で一報することが望ましい。(開局時間外の場合は確実に電話等で一報すること)。処方箋原本とチェックリスト原本は、ファクシミリ等で送付した薬局に送付する。

    ※医療機関は、地域の在庫を保持する対応薬局のリストを患者に示すことにより、患者が希望する対応薬局を確認する。投与対象となりうる患者が受診した医療機関が、患者に対し本剤を投与する対応薬局を迅速に紹介できるよう、在庫を保持する対応薬局のリストは MSD 株式会社のホームページ「MSD Connect(医療関係者向けサイト)」(https://www.msdconnect.jp/)に掲載することとしている。
  5. 処方箋及びチェックリストを受け取った対応薬局は、必要な調剤、服薬指導等を実施し、チェックリストの内容に基づき、ラゲブリオ登録センターの指示に従って当該患者の投与実績を入力し、在庫から本剤の提供を行う。その際、自宅療養や宿泊療養の患者が来所しなくても済むよう、患者の居所に本剤を配送又は持参することを原則とする。
るるーしゅ

るるーしゅ

処方箋と一緒にFAXで送られてくるチェックリストはこんなやつね

保険薬局における対応

  1. 医療機関から処方箋情報の送付を受けた薬局は、本書類情報が添付されていることを確認すること。その際、<医療機関情報>と<適格性情報>の入力内容に不備(チェック漏れ等)がないことを併せて確認すること。
  2. 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和35年法律第146号)第23条から第27条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第49条における処方箋とみなして調剤等を行うこと。
  3. 調剤等を行った後速やかに(当日中を原則とする)、MSD株式会社 ラゲブリオ®登録センターの依頼に従って、当該患者の適格性情報を同登録センターに登録すること。
  4. 可能な時期に医療機関から本書類原本と処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された本書類情報、処方箋情報とともに保管すること。

以下、Q&Aも出ていたので転記します。

Q

新型コロナウイルス感染症と診断された場合、医療機関から処方箋を受け取って薬局に直接訪問してもよいのか

A

感染対策の観点から、患者が薬局を直接訪問することは避けるようにしてください。医療機関において本剤を処方せず、薬局から患者に提供する場合は、医療機関は患者に帰宅を指示したうえで、患者が希望する対応薬局に処方箋と適格性情報等のチェックリストを送付し、処方箋を受け取った対応薬局は患者の自宅に本剤を配送することが望ましいです。

Q

医療機関から処方箋を受け取った薬局が、ラゲブリオ登録センターに使用実績報告を入力する際に、適格性情報の確認はどのように行うのか。

A

医療機関が処方を行う際は、対応薬局に、処方箋とともに適格性情報等のチェックリストがファクシミリ等で送られます。受け取った対応薬局は、チェックリストに記載された適格性情報等の内容を、ラゲブリオ登録センターの指示に従って使用実績報告に入力してください。適格性情報等のチェックリストの内容に疑義がある場合には、処方元の医療機関に確認を行うようにしてください。

Q

配布を受ける医療機関及び薬局側に、費用負担は発生するのか。

A

当面の間は、本剤を厚生労働省が購入し、投与対象者へ使用される時点で対象機関に無償譲渡されるため、薬剤費を支払う必要はありません。取り扱いに変更がある場合には、あらためて御連絡します。
なお、本剤は、保険外併用療養費制度において、保険診療との併用が認められています(本剤以外の医療費(薬局にあっては調剤基本料、調剤料、薬剤服用歴管理指導料等)については、通常どおり保険請求してください)。

Q

抗原定量検査陽性例でも、PCR 検査を実施せずに、本剤を処方することができるのか。抗原定性検査についても同様か。

A

抗原定量検査で SARS-CoV-2 感染が確認された場合は、再度 PCR 検査を行わずとも本剤を処方することが可能です。抗原定性検査についても同様に、確定診断が行われた場合には、処方することが可能です

Q

電話や情報通信機器による服薬指導を行い、患者宅等に薬局から本剤を配送するにあたっての支援はあるのか。

A

この場合、「薬局における薬剤交付支援事業」(令和2年4月 23 日薬生発 0423 第2号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知の別紙)による補助対象となります。薬局から患者宅等に本剤を配送する場合の配送料等(配送業者を利用した場合の配送費等)の補助を受けることが可能です。

Q

本剤の配分に関して、11 月 9 日事務連絡においてリストアップした「供給の役割を担う薬局」は特別な対応を行う必要があるのか。

A

現時点では、「供給の役割を担う薬局」と他の対応薬局において、発注可能な量や確保できる在庫量には違いはありませんが、今後、感染状況や経口薬の活用状況等を踏まえて、「供給の役割を担う薬局」を活用する必要性が生じた場合には、改めて御連絡します。

Q

新型コロナウイルス感染症と診断された場合、本剤の投与にあたって保健所の指示を待つ必要はあるのか。

A

本剤については、入院や外来など様々な場面での投与が想定されますが、通常の薬剤と同様、投与に当たって保健所の指示を待つ必要はなく、添付文書等を確認の上、医師が必要性を認めた場合には、速やかに投与していただいて差し支えありません。

Q

無症状の患者には使用できるのか。

A

無症状の患者は臨床試験に組み入れられておらず、有効性及び安全性が確認されていないため、対象としておりません。

Q

添付文書に「本剤の使用に当たっては、あらかじめ患者又は代諾者に、その旨並びに有効性及び安全性に関する情報を十分に説明し、文書による同意を得てから投与すること。」とあるが、オンライン・電話診療等で結果・病状説明を実施しており、その場で同意書を取得できない場合はどのように対応すればよいか。

A

SARS-CoV2 検査が陽性であったが、結果説明及び治療方針説明をオンライン・電話診療等で実施している等、同意書の取得が困難な場合には、病状説明を実施した医師が患者から口頭にて同意を取得した上で、その日付とともに診療録に明記してください。
その際には、処方箋とともに対応薬局に送付する適格性情報等のチェックリストに「患者からの同意を取得した」旨のチェックを入れるようにしてください。なお、同意書の原本(患者がサインしたもの。電子署名も含む。)は後日、必ず患者から医療機関に郵送、FAX、もしくは電子媒体等で送付させるようにしてください。また、送付された同意書は処方した医療機関において保管してください。

Q

A

有効性・安全性について

最後に有効性・安全性についてです。新型コロナウイルス感染症には、有効なワクチンが存在しますが次いで有効な経口内服薬が誕生すれば、インフルエンザと同じような感染症になると思います。

ただこのモルヌピラビルなんですが中間解析の結果と本結果に差があり、ちょいと微妙な感じかなという印象をもっています。

中間解析の結果

モルヌピラビル
800mg群
(385例)
例数(%)
プラセボ群
(377例)
例数(%)
入院or死亡28
(7.3%)
53
(14.1%)
入院28
(7.3%)
52
(13.8%)
死亡 0
(0%)
8
(2.1%)

すべての解析データ

モルヌピラビル
800mg群
(709例)
例数(%)
プラセボ群
(699例)
例数(%)
入院or死亡48
(6.8%)
68
(9.7%)
死亡 1
(0.1%)
9
(1.3%)

Jayk Bernal, A. et al. Molnupiravir for oral treatment of Covid-19 in nonhospitalized patients. N. Engl. J. Med. (2021) doi:10.1056/NEJMoa2116044

患者特性の比較では、中間解析と全無作為化解析の間の差の明確な単一の原因を示唆するものではなく、複数の要因の影響の少なさが蓄積された結果である可能性がある。例えば、プラセボ群では、女性患者(男性患者よりも重症のCovid-19のリスクが低い)がやや多く、SARS-CoV-2ヌクレオキャプシド抗体を持つ参加者が多く(これもリスクの低さを示唆)、ベースラインで低ウイルス量の参加者が多く(この参加者はウイルス学的効果が低い)、中間解析時よりも多くなっていた。これらすべての要因が、中間解析時よりもオールランダム化サンプルにおけるプラセボ群の全体的なイベント発生率を低下させたと思われます。さらに、オールランダム化サンプルには、入院習慣や病院のキャパシティが異なる新規登録国が含まれており、これも主要評価項目の一部である入院率に影響を及ぼした可能性があります。中間解析後の有効性の公表が、オールランダム化した有効性の結果に及ぼす影響は不明である。オールランダム化解析における主要評価項目に対する治療効果推定値が中間解析と比較して減少したにもかかわらず、モルヌピラビルによる治療は、この広範かつ急速に変化するデータセット全体において有効であり、死亡率に大きな効果をもたらすと思われました。

るるーしゅ

るるーしゅ

重症化リスクを50%減から30%減になったんだよね。とりあえずこのモルヌピラビルを飲めば重症化を防げる魔法の薬という位置づけではなさそうですね

また本研究では、ワクチン接種者を対象としていないため、日本のようにワクチン接種者への有効性は不明です。

安全性について

安全性については、禁忌で妊娠中のかたにしていることから催奇形性のリスクの懸念があります。ただあくまで動物実験でのデータなので人にたいしてどうなのかは不明です。

また治験のデータからは特別プラセボと比較して目立った副作用は報告されていません。

下痢(1.7%対2.1%)悪心(1.4%対0.7%)、およびめまい(1.0%対0.7%)

ただ治験の5Toosや3の法則があるので注意が必要です。

また治験時には日本人でラゲブリオを投与された方は5名しかいません。そのため日本人には未知な副作用ががでることも十分考えられます。

薬剤師が服薬指導する上で知っておきたいこと

調剤時に注意したいこととして日本薬剤師会より案内がありましたので共有します。

  • あらかじめ患者又は代諾者に文書による同意があるかを確認すること。
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと
  • 妊娠可能な女性の場合、本剤投与中及び投与後一定期間の適切な避妊を行わせること。
  • SARS-CoV-2 感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。
  • 5日間服用すること(勝手に中断・中止しないこと)
  • メーカーに確認したところ、本剤はサイズが大きい(21.7×7.64mm)が、脱カプセルや粉砕時の安定性等データが存在しないため、カプセルのまま投与する前提とされている。

またCOVID-19に対する薬物治療の考え方 第11版にはモルヌピラビルを投与時の注意事項が以下の通りです。

①臨床試験における主な投与知見を踏まえ、SARS-CoV-2 による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。

②本剤の有効性・安全性に係る情報は限られていること等を踏まえ、1)の「重症度リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者」としては、臨床試験における選択基準等に基づき、次に掲げる重症化リスク因子を有する者が、本剤を投与する意義が大きいと考えられる。

  • 61 歳以上
  • 活動性の癌(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない癌は除く)
  • 慢性腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 肥満(BMI 30kg/m2 以上)
  • 重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
  • 糖尿病
  • ダウン症
  • 脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
  • コントロール不良の HIV 感染症及び AIDS#
  • 肝硬変等の重度の肝臓疾患
  • 臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後

③重症度の高い SARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性は確立していない。なお、重症度が高いとは、概ね中等症Ⅱ以上が該当すると考えられる。


④SARS-CoV-2 による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。臨床試験において、症状発現から 6 日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。

⑤新型コロナウイルスワクチンの被接種者は臨床試験で除外されているため、ブレイクスルー感染での重症化予防等の有効性を裏付けるデータは得られていない。

⑥動物での非臨床毒性試験において、胎児の体重減少、流産、奇形等の影響が報告されている。妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、授乳婦については、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。尚、臨床試験では参加者に対して、服用中及び服用後 4 日間の避妊を行い授乳を避けることが指示されていた。

処方監査する上で知っておくこと

ラゲブリオを調剤するにあたって、薬剤師ならば気になる部分についてまとめます。

ハイリスク因子のない若い方にラゲブリオ処方されたけど、OKなの?

高熱や呼吸器症状等の相当の症状を呈し重症化のおそれがある場合等もラゲブリオの投与が必要と考えられてOKです。ワクチン未接種者の若者で強い急性期症状が出ていれば処方対象になると思います。
1/30更新上記内容は、以前のMSDのメーカーサイトのQ&Aに記載がありましたが現在は削除されており、適切ではないとの記載に変更されています。

相互作用を起こしたり、飲み合わせの悪い薬はありますか?

ラゲブリオは現状、他剤との相互作用などは報告されていません。

高齢者や腎機能低下患者への減量の必要はありますか?

高齢者、腎機能障害、透析、肝機能障害の患者に対して投与する際も減量する必要はありません。

COVID-19のワクチンを受けた人に本剤は投与可能ですか?有効性は?

添付文書上、ワクチン接種済み患者に対する制限はありません。COVID-19のワクチンを接種した患者は、第Ⅱ/Ⅲ相(002)試験から除外されていたためデータはありません。

脱カプセル・懸濁・簡易懸濁投与の可否、使用経験は?

本剤を脱カプセルや懸濁、簡易懸濁して投与することは、十分に検討したデータがないため、やむを得ない場合を除き、おすすめしていません。これまでの臨床試験における使用経験は以下のとおりです。

<使用経験:懸濁液の経口投与
第Ⅰ相臨床薬理試験において外国人健康成人にボトル入りの粉末モルヌピラビル(有効成分)(1) 50~800 mgを水に用時溶解し単回経口投与しました。 その結果、懸濁液を単回投与した被験者の血漿中NHCの曝露量(AUC)は、カプセルで同じ用量のモルヌピラビルを単回投与した他の被験者の血漿中NHCの曝露量と類似していました。
なお、評価したすべての用量のモルヌピラビルの忍容性は概して良好で、重篤な有害事象は認められませんでした。

<使用経験:脱カプセル後に懸濁し、経鼻胃管/経口胃管で投与※>
外国人入院患者を対象とした臨床試験(001試験)では、カプセルを嚥下できなくなった患者には、本剤の懸濁液(4)を経鼻胃管又は経口胃管にて投与することが許容されていました。
懸濁液を経管投与された5症例のNHCの血中濃度は、カプセル製剤を経口投与された患者の血中濃度の範囲内であり投与方法による差は示唆されませんでした。

なお、脱カプセルした粉末を直接経口投与した経験はありません。
簡易懸濁法(カプセル剤そのままを微温湯に入れる)での投与経験もありません。
また、懸濁後の安定性データはなく、「何度まで安定か」など安定な温度に関する情報もありません。

るるーしゅ

るるーしゅ

大丈夫そうですね

分包・一包化はできますか?

基本的には、ボトル包装単位での処方が推奨されます。
ただし、無包装安定性試験により、90日まで安定である結果が得られています。
実際のご使用にあたっては、各ご施設でご判断ください。

るるーしゅ

るるーしゅ

大丈夫そうですね

MSDのラゲブリオQ&Aから抜粋して紹介しています。

服薬指導で確認すること

上記を踏まえて、服薬指導時に確認したいことをまとめたいと思います。

  • 新型コロナの発症日
    →モルヌピラビルは5日以内(72時間以内がより◎)なのでその確認
  • 新型コロナワクチンの接種状況
    →ワクチン接種者のモルヌピラビルの有効性は不明のため確認してもいいかも
  • 新型コロナの重症化リスク因子について
    →モルヌピラビルの適応を確認、ただ重症化リスクを有する人は入院勧告のはずでは?
    (入院の手続きが必要になるまでタイムラグがあるようです)
  • 新型コロナの病状について(咳、筋肉痛、頭痛、発熱等)
    →無症状のかたへの有効性は不明のため、無症状の方への投与は適切ではありません。
  • パルスオキシメーターの有無や数値について
    →ハイリスク因子があるので持っているとは思います。また数値の確認および説明ですね。
    (持っている人少ないみたいですね、保健所に連絡して送ってもらう??)
  • シックデイ時の対応について
    →糖尿病薬やCKDシックデイの薬剤が処方されているようなら確認

もし無症状の方へ投与されていた場合、不適切使用に該当するので疑義照会が望ましいです。

フォローアップで確認すること

ラゲブリオについては処方側の医療機関がフォローアップが求められています。

本剤を処方する医療機関においては、投与後に定期的なフォローアップをするようお願いすることとしております。

ただ実際にクリニックがフォローアップするのか不明ですし、薬剤師は薬機法でフォローアップが義務付けられていますので、このラゲブリオについては調剤後のフォローアップが原則必要と思っていいと思います。

そこで、調剤後に連絡する際にどのようなことを確認すればいいかをまとめたいと思います。フォローアップするのは、3日後などの健常人なら軽快傾向に向かうタイミング、もしくは飲み切るタイミングの5日後でもいいのではないかと思います。

ただ症状が改善傾向にない場合は、急に重症化する発症後7日後あたりにフォローアップも必要だと思います。

  • 病状について
    ハイリスク因子をもつ方なので症状の程度やSPO2の値などを確認しましょうね。
  • 薬の服薬状況について
    テレフォンフォローアップするタイミングにもよりますが、きちんと飲み切るように指示しましょう。
  • 薬による副作用について
    ラゲブリオそこまで注意する副作用やRMPでも記載ないため、一応開いた質問で確認ですかね。
  • 隔離について
    これは現状、10日間だと思います。くすり飲んでいるとはいえ7日くらいまでは他者への感染力がありそうなの熱もないし薬も飲み終わったからと油断しないように注意喚起ですね

くすりをお渡しする際に、「〇日後にこの内容をチェックしますからね」とチェックシートのようなものをお渡しできるとお互い、フォローアップがスムーズになると思います。

有害事象かもという情報がありましたら、きちんとMSDにFAXできるフォームがありますので送るようにしましょう。薬局薬剤師もちゃんと副作用報告しているということを、ちゃんと示しましょう。記載するのが面倒くさいじゃダメですよ。

有害事象を報告する(FAX報告)(MSD connect)

【保険請求】レセコンでの入力方法について

問1 ラゲブリオカプセル 200 mg(成分名:モルヌピラビル)(以下「本剤」という。)については、「疑義解釈資料の送付について(その 87)」(令和3年 12 月 24 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、「時限的・特例的な対応として、承認後、保険適用前の医薬品の投与と類似するものとして評価療養に該当するものとする」こととされたが、評価療養として本剤の投与を行う薬局について、どのように考えればよいか。

(答)「薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について」(令和3年 11 月9日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部・医薬・生活衛生局総務課事務連絡)に定める対応薬局として、各都道府県において取りまとめられたリストに掲載されている薬局において行われる本剤の投与については、評価療養に該当する。

評価療養・・・先進医療や医薬品・医療機器の治験など、現在は保険の利かない療養だが、将来、保険の利く療養になることが見込まれているもの

上記、疑義解釈読んでもよく分かりませんが、とりあえず上記のQ&Aの費用負担のところに通常通りの保険請求ができるようです。なので調剤基本料+調剤料+薬剤服用歴管理指導料などですね。

ただ令和3年9月29日に発出された新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)によると、薬剤服用歴管理指導料ではなく、、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定していいと思います。

問 16 自宅・宿泊療養を行っている者に対して発行された処方箋を受け付けた保険薬局の薬剤師が、保険医の求めにより、緊急に薬剤を配送し、当該患者に対して必要な薬学的管理指導を実施した場合、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定について、どのように考えればよいか。

(答)保険薬局において、自宅・宿泊療養を行っている者に対して発行された処方箋(備考欄に「CoV 自宅」又は「CoV 宿泊」と記載されているものに限る。)に基づき、調剤を実施する場合において、処方箋を発行した医師の指示により、当該保険薬局の薬剤師が当該患者に緊急に薬剤を配送した上で、当該患者の療養している場所において、当該患者に対して対面による服薬指導その他の必要な薬学的管理指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500 点)を算定できる。
また、上記の患者に緊急に薬剤を配送した場合であって、対面による服薬指導を実施する代わりに、当該患者に対して、緊急に電話や情報通信機器(以下「電話等」という。)を用いた服薬指導を実施した場合又は当該患者の家族等に対して、緊急に対面若しくは電話等による服薬指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200 点)を算定できる。
なお、この場合、薬剤服用歴管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料等は併算定できない。
この取扱いは、本事務連絡の発出日以降適用される。

コロナ患者に対面による服薬指導は難しいので、おそらく電話等での服薬指導になるかと思います。そのため、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200 点)を算定できるかと思います。ただ緊急に配送という条件なので郵送はダメなんじゃないかなと思います。

ちなみにラゲブリオ以外にカロナールなどの対症療法の薬剤が出てても、新型コロナの治療費は公費負担なので患者の費用負担はなしですね。

また調剤後はMSDに調剤実績を報告することを忘れないようにしましょう!!

調剤実績の報告資料のリンクはこちら

さいごに

今回は、経口の新型コロナウイルス感染症治療薬のモルヌピラビル(ラゲブリオ🄬)について薬局薬剤師に知っておいてもらいたいことを紹介しました。

オミクロン株による感染拡大がものすごい勢いで増えているため、調剤するケースが増えてきていると思います。今回の記事を読んで、しっかりとフォローアップも実施していただければと思います。

るるーしゅ

るるーしゅ

あとカプセル大きいようなので注意です。

るるーしゅ

るるーしゅ

使用期限が24カ月から30カ月に延長されています。

使用期限が令和6年(2024年)1月31日まで又はそれ以前となっている製剤が対象です。

参考資料
  • ラゲブリオ®カプセル200mg添付文書
  • ラゲブリオ®カプセル200mg審査報告書
  • Jayk Bernal, A. et al. Molnupiravir for oral treatment of Covid-19 in nonhospitalized patients. N. Engl. J. Med. (2021) doi:10.1056/NEJMoa2116044
  • 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について
  • 「ラゲブリオ カプセル200mg」の調剤に関する注意喚起について(日薬情発第181号 令和3年12月27日)
  • 一般社団法人 日本感染症学会  COVID-19に対する薬物治療の考え方 第11版(2021年12月24日)
  • 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)
  • MSD ConnectラゲブリオTop

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薬局薬剤師です。
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m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
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今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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