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アレジオンDS、エピナスチン塩酸塩DSの自主回収の概要及び対応について考えてみた

2021年3月15日、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤(先発品:アレジオンDS)の自主回収のお知らせがありました。

今回は自主回収の概要および対応について考えてきたいと思います。

エピナスチン塩酸塩DS製剤の自主回収の概要

2021年3月15日に、先発品であるアレジオンDSの販売元のベーリンガーおよび後発品3社(沢井、東和、日医工)の連名で以下の自主回収の案内がありました。

回収の理由は、自主的な調査の結果、ICH-M7ガイドラインでクラス2に分類される可能性のある分解物が認められ、許容限度値を超えていることが判明しました。

クラス定義
既知の変異原性発がん物質
発がん性が不明の既知の変異原性物質(細菌を用いる変異原性試験で陽性であり、
げっ歯類の発がん性データがない物質)
3警告構造を有し、原薬の構造とは関連しない警告構造であり、変異原性試験の
データが存在しない
4警告構造を有するが、試験によって変異原性がないことが示されている原薬又は
原薬に関連する化合物(工程中間体など)と同じ警告構造である
5警告構造を有しないか、警告構造を有するが変異原性もしくは発がん性の
ないこと示す十分なデータが存在する

発がん性物質と聞くと、バルサルタンやラニチジン、メトホルミンでのNDMAが浮かぶと思いますが、NDMAはICHーM7でクラス1でしたね。

NDMA(クラス1)が規定量超え→クラスⅠで自主回収でした。
(患者さんにも回収などで大変でしたね・・・)

今回は、クラス2に該当するため、クラスⅡで自主回収になっています。現状では患者さんへの回収までは行っていません。

回収のクラス分類について
クラスⅠクラスIとは、その製品の使用等が、重篤な健康被害又は
死亡の原因となり得る状況をいう。
クラスⅡクラスIIとは、その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に
治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又は
その製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。
クラスⅢクラスIIIとは、その製品の使用等が、健康被害の原因となるとは
まず考えられない状況をいう。

ここまでが自主回収の概要です。

エピナスチン塩酸塩DS製剤の自主回収の対応

代替薬への変更について

エピナスチン塩酸塩ドライシロップは当面、市場からなくなることが予想されます。そのためエピナスチン塩酸塩ドライシロップが必要な患者さんには別の薬剤で対応する必要があります。

エピナスチンDSについて

【 効能・効果 】
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

エピナスチン塩酸塩ドライシロップは1歳以上から使用可能です。

エピナスチンDSは3歳以上の方にしか使えないと思っている薬剤師の方も多いかもしれませんが1歳以上から使用可能です。

この誤解は添付文書上に3歳以上からの標準投与量がのっているからだと思います。(卸のサイトも3歳以上でしたし)
ただ添付文書上の小児等への投与の欄を見てみると…

低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない。低出生体重児、新生児には使用経験がない。乳児には使用経験は少ない。

このように記載されているため、乳児(1歳未満)はダメ=1歳以上から処方可能と判断できます。

また3歳以上から使用可能なロラタジンDSの添付文書はというと…

低出生体重児、新生児、乳児又は3歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

小児に適応があっても3歳未満はダメだと読み取れますよね

日本は幸いにもMe Too Drugがいっぱいありますので対応は可能です。

一般名商品名1日の服用回数年齢
フェキソフェナジンアレグラ2回6カ月以上
レボセチリジンザイザル2回(1回)6カ月以上
オロパタジンアレロック2回2歳以上
セチリジンジルテック2回2歳以上
ロラタジンクラリチン1回3歳以上

上記が代替薬候補になると思います。赤字で記載した薬剤は鎮静性が気になるため、小児では大人より鎮静性の影響は少ないと言われていてもフォローが必要かと思います。

うちの子、喘息のケもあって…

アレジオンじゃなきゃダメというケースは少ないと思うのですが、この喘息のケもあって…みたいな事例でアレジオン処方されていると少し困ってしまいますよね・・・

小児では気管支喘息の適応をもっていませんが、成人用の錠剤では唯一、気管支喘息への適応も有しているからです。

るるーしゅ

るるーしゅ

審査報告書を読むと、第Ⅱ相で有効性が認められず、相当数の症例数が必要だから、申請しないと言ってるんだけどね

アレルギー性鼻炎+喘息のケもしくは皮膚のかゆみ+喘息のケがあってみたいな事例でアレジオン使われている場合は、フェキソフェナジンもしくはセチリジンを選択するってのはいいかもしれません。

理由は下記の文献に有効かも?と紹介されているからです。ただガイドライン等では出てきませんので、あくまでの患者の不安医師のこだわりへの配慮といった意味合いです。

Wilson AM. The role of antihistamines in asthma management. Treat Respir Med. 2006;5(3):149-58. doi: 10.2165/00151829-200605030-00001. PMID: 16696585.

アレジオンDS、喘息の管理もすこし狙って出してたんだけどな~

医師

医師

るるーしゅ

るるーしゅ

そうなんですね。ただ海外の文献、ちらっと見たらセチリジンやフェキソフェナジンでも有益な結果の報告があったというのを目にしたので、どうですかね?

ない袖は振れないから、仕方ないね。それでいこう

医師

医師

患者から交換してほしいという場合の対応

今回は患者への回収は行いません。ただこの時期、エピナスチン塩酸塩ドライシロップを長期で処方されている方って多いと思います。

そして自分の子どもにがんを誘発するリスクがあるかもしれない物質が許容量以上入っていたと知ったら、飲み続けたいとは思いませんよね…

今までのクラスⅠで回収になった薬剤の場合だと、10年服用して10万人に1人ががんを発症するというとても低いリスクでした。

今回はクラスⅡでの回収のため、クラスⅠよりリスクは少ないだろうと頭でわかっていても、自分の子どもとなると難しいかもしれないなと思います。

るるーしゅ

るるーしゅ

子どもって特別なんですよね。
肉焼いてて焦げたくらいじゃそのままあげたりしますけど

このあたりは感情ですので、どうこうするのは正直難しいですが、対応としてはどの程度のリスクなのか伝える必要がありますよね。

リスクはどの程度?

Twitter上でエピナスチン塩酸塩ドライシロップの患者向け説明文書がありましたので内容を共有いたします。

この度、アレルギー性疾患治療剤 エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤におきまして、自主的な調査の結果、特定の分解物が許容限度値を超えていることが判明しました。そのため予防的措置として自主回収を行うことを決定しました。

患者様の健康への影響については、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤を一生涯(最長70年間)毎日服用するという状況を仮定して検討しました。そのような家庭においても、健康への影響が極めて低いと考えられることから、患者様からの回収は行いませんが、医療機関にある製品については念のため回収することに致しました。

【よく寄せられるご質問】

Q

A

許容限度値とは、一生涯(最長70年間)毎日服用したとしても、健康への影響がないとされている値です。

Q

A

一生涯(最長70年間)毎日服用するという状況の仮定においても、健康への影響が極めて低いと考えられています。

Q

A

特定の分解物とは、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤の主成分であるエピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤が酸化した物質です。通常、エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤にわずかに含まれています。一生涯(最長70年間)毎日服用するという状況の仮定においても、健康への影響が極めて低いと考えられています。

Q

A

そのままお薬を飲み続けていただいても構いません。一生涯(最長70年間)毎日服用するという状況の仮定においても、健康への影響が極めて低いと考えられています。

るるーしゅ

るるーしゅ

70年間飲んでも問題ない許容限度値を決めている。
今回、これを一時的に上回っているが累積量で考えた際には、たかが知れているため、まず健康リスクを気にするほどではないってことだね

つまりこれと同様ということですね。(そもそも今回のはリスクがあるかも不明なところですが…)

説明しても難しい場合は…

患者さん(保護者)に説明しても、どうしても理屈ではなく感情になってしまうケースもあるかと思います。その場合は、製薬会社側に対応をお願いしてもいいかもしれません。

アレジオンDSの場合(ベーリンガー)

TEL:0800-222-6678
受付時間 9:00~17:00(土日祝×)

エピナスチン塩酸塩ドライシロップ「サワイ」の場合(沢井製薬)

TEL:0120-373-381
受付時間 9:00~17:00(土日祝×)

エピナスチン塩酸塩ドライシロップ「日医工」の場合(日医工)

TEL:0120-039-215
受付時間 9:00~17:00(土日祝×)

エピナスチン塩酸塩ドライシロップ「トーワ」の場合(東和薬品)

TEL:0120-757-108
受付時間 9:00~17:30(土日祝×)

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るるーしゅ

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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3 件のコメント

  1. ラニチジン、バルサルタンなどが回収されたのは、原薬にNDMA混入が原因でしたね。
    エピナスチンは、ドライシロップのみが対象なので、原薬由来でない(本当か?)とするなら、販売会社は錠剤に「発がん性が不明の既知の変異原性物質」に分類される可能性のある分解物(回りくどい…)の混入がないことを公報して欲しいですね。
    絶対聞かれるよね「錠剤は大丈夫?」って!
    ・・・・・でも添加物由来だとしたら他の薬剤にも波及してくるだろうし、詳細なデータを見たいですね。

  2. 追伸
    原薬由来のWAL1725CLの混入が一部ロットで認められたそうです。
    原薬由来なので、錠剤の回収の可能性もあるのではないでしょうか…

    • >茨城のおやっさん

      コメントありがとうございます。
      WAL1725CL?
      勉強不足でわかりません。

      少し内容を追記したのですが、DSだけに出たのは熱を使うことで酸化して
      増えたのかな~と思ったりします。(分かりませんが)

      ただ有無でいったら有寄り
      程度問題でいったら、ほぼゼロリスクみたいですから
      あまり気にしなくてよさそうですね。

      もう少し詳細の情報を出してもらえると助かりますよね。
      よくわからないものが規定量以上入っていまして…とか間違っていないんですけど
      色々と心配しちゃいますよね。

      分からないものが恐怖心を増大してしまう

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