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求められている対人業務はポリファーマシーの解決
「対物から対人へ」、これは2015年の「患者のための薬局ビジョン」で示されて以来、言われていることです。
実際、この「対物から対人」というのも、2015年当時、くすりの福太郎が薬歴未記載で問題になり調剤バッシングが多かったので、それを落ち着かせる目的でこんなことを厚生労働省が出したともいわれています。
では、対人業務とは一体なにをすればいいのでしょうか?
患者さんと丁寧な会話だったり、吸入薬の指導や投薬後のフォローアップなどあるかと思いますが、いま一番求められているのはポリファーマシーの解決だと思っています。
ポリファーマシー対策は、2018年の調剤報酬改定で服用薬剤調整支援料(125点)が新設されたのですが、算定件数が伸びないことから2020年の調剤報酬改定では服用薬剤調整支援料2(100点)が追加されました。
るるーしゅ
次回の2022年の調剤報酬改定でもここの部分は整理される予定です。国としてすごく力を入れている部分です。
実際にどれくらいこの服用薬剤調整支援料1、2がどれくらい算定されているかご存じでしょうか?
統計データを見てみると、2020年6月の1カ月間の受付回数53,158,342回に対して
- 服用薬剤調整支援料1・・・402回
- 服用薬剤調整支援料2・・・703回
でした。
ちなみにトレーシングレポートの評価指標の目安として服薬情報等提供料は
- 服薬情報等提供料1・・・10,648回
- 服薬情報等提供料2・・・29,716回
るるーしゅ
トレーシングレポートを書いたことがないっていう薬剤師いたら、少しやばいかもしれませんね…
余談はさておき、国が薬剤師に求めているポリファーマシー是正の評価指標として服用薬剤調整支援料の算定件数というのは使用できると思います。(代用の指標ですが)
この件数は大手チェーン等や個人薬局で差があるのか気になりますので、調べていこうと思います。
調剤基本料1の薬局:34,747,340件中、294件算定
調剤基本料3 ロの薬局:3,589,652件中、69件算定
調剤基本料3 ロの薬局のほうが算定している割合は約2倍高い
調剤基本料1の薬局:34,747,340件中、377件算定
調剤基本料3 ロの薬局:3,589,652件中、269件算定
調剤基本料3 ロの薬局のほうが算定している割合は約7倍高い
2020年の6月の調剤行為の状況より作成
2020年6月のデータなので、調剤報酬改定後すぐのデータなのでもっと増えていると思いますが大手チェーン薬局のほうが国が求めている薬局の役割を果たしている可能性ありますよね?
るるーしゅ
数字を使って説明すると、こういう言い方もできるってことです。
また私がSNSで聞いたところ過去に服用薬剤調整支援料を算定したことある薬剤師は半数以上いました。n数が少ないのと、私のことをフォローしている薬剤師ということで選択バイアスの影響はあるかと思いますが…
るるーしゅ
というわけで服用薬剤調整支援料を算定したことない薬剤師の方々、すこし危機感をもったほうがいいですよ
このポリファーマシーの解決がすすまない理由として、「医師と議論したことがない」「臨床現場を知らない」という薬剤師が多く、減薬提案が不適切なことが薬局学会で指摘されていました。
最後に
ポリファーマシーの解決、それは国に求められているのは分かっているけどなかなか出来ないという薬剤師の方多いと思います。
わたし自身、以前の勤務先では社長が「時代が変わってきているので新しいことに挑戦していかなければ生き残れない。失敗を恐れず挑戦していこう」といった矢先にわたしが医師の処方について話し合いの場を持ちたいと言ったら「医師の処方に文句があるなら、お前が医者になれ」とか言われましたからね…
薬剤師を取り巻く環境が変化していますので、先を見据えて行動することが大切なのかなと思います。
個人的には薬局の点数が対人業務中心になってきた場合、高い臨床能力をもつ病院薬剤師の方々が薬局・ドラッグストアに転職してきたとき、自分が組織に必要とされる能力を有しているか心配です。
るるーしゅ
薬剤師は買い手市場にシフトとか言っても、資格持ちの病院薬剤師は高く評価されていますからね
先日の第15回薬局学会のシンポジウムで、ポリファーマシーの解決に力を入れている薬局チェーンが多くて、今後は出来ない理由を見つけて言い訳だけしてる薬剤師は必要とされなくなるだろうなと思います。
るるーしゅ
このままじゃやばいな~と思ったら上記の記事など読んでこれからの働き方について考えてみてください。