目次
薬局薬剤師はかかりつけ薬剤師制度に賛成?反対?
先日、かかりつけ薬剤師制度について触れさせてもらいましたが似たような研究がありましたので今回、紹介しようと思います。
なお、前回の記事を読んでいないな方はぜひ、こちらもお読みいただければ幸いです。
茂呂 佳孝ら,”薬剤師から見たかかりつけ薬剤師制度普及上の課題の解明”,日本薬学会年会要旨集 (0918-9823)140年会 Page27Q-pm081S(2020.03)
こちらは2020年3月の日本薬学会の年会でのポスター発表です。薬局薬剤師281名に、かかりつけ薬剤師制度についてどう思うかなどをWebアンケートを実施した内容です。
全体としては、このような数値で肯定、否定ともに半々といった内容になっています。
すこし内容を掘り下げていきます。
かかりつけ薬剤師制度のメリット
- 制度導入によって患者に接する意識が変わる
- 残薬解消・多剤重複投与の防止に繋がる
るるーしゅ
かかりつけ薬剤師になることで意識が変わるっていうのは、よく聞く言葉だよね。
経験者が語るかかりつけ制度の嫌なところ
- 24時間対応による負担と自身の生活のバランス
- 患者の負担金額増加分に対するかかりつけ薬剤師の業務内容
24時間対応ってけっこうつらいもんですか?
メガネ
るるーしゅ
うん、いつ電話かかってくるか分からない状態はけっこう心理的負担あるよ。複数薬剤師がいる店舗なら分担で対応できるけど…
知っての通り一人薬剤師だったり、女性のほうが多く育児への負担も大きいからね
鈴木 友紀乃ら,”プライベートに仕事が入り込むことによる影響-薬局薬剤師の 24 時間対応における負担感と育児状況”,第51回日本薬剤師会学術大会P-11-19)によると、
携帯電話を持ち帰っての 24 時間対応において、最も負担感が高かったのは「過ごし方」で、「内容」、「相手」に比べ有意に高かったことから、電話の内容や相手に対してよりも電話がかかってくる事自体に負担を感じると考えられる。
その他、気になった傾向について
さて、今までの内容は前置きでこの発表内容で気になった点は、現在かかりつけ薬剤師としてやっている人とやっていない人のかかりつけ薬剤師制度への意向ですね。
現在、かかりつけ薬剤師として仕事している人(137人)は、かかりつけ薬剤師制度について70%が肯定、逆に算定要件を満たしていない人(65人)は70%が否定といった結果がでています。
これ見て、思ったのが案外やってみたら、その価値を見出せてきたんじゃないの?というところなんですよね。
もちろん否定派の「欠陥がある制度だから反対」という意見もわかりますが、そんなことを言ってられる現状かな?っていうのはぜひ考えてほしいなと思います。
るるーしゅ
医師のほうでは、かかりつけ医をもつことで患者アウトカムが改善するといったエビデンスはあったりする。
そもそもうちら薬局薬剤師自身が、自分たちが毎回対応して関係を築いていくことで患者アウトカムが改善すると思っているのか?
さいごに
今回の研究も、対象となった薬剤師の集団がどのように選択されたのかは不明ですので一般化できる内容なのかはあやしいとことです。Webアンケートにわざわざ答えるような人というバイアスがかかりますからね。
というわけで今回は、今年の日本薬学会の発表についてあーだこーだまとまりのない内容をだらだらと書かせてもらいました。
わたし個人の見解としてはかかりつけ薬剤師制度に問題があるのも重々承知ですが、薬剤師を取り巻く現状や将来の薬局像などを考えると、「現状のかかりつけ薬剤師制度に不満があるから自分はやらない」というのは悪手ではないかなと思ってます。
上記はエウレカセブンというアニメ(私もみていない)の名言らしく、気に入っています。
どのような薬剤師が生き残るのかはわかりませんが、淘汰される薬剤師はおそらく何も考えない薬剤師でしょう。今後、自分たちの業界が発展するためには、どのようなことを行っていけばいいのだろうか?本記事がすこしでも考えるきっかけになれば幸いです。