第108回の薬剤師国家試験合格発表がされました。第108回薬剤師国家試験は、簡単だったようで合格のボーダーは235点でした。
るるーしゅ
例年なら230点取っていれば合格なのに…
なお、本記事をご覧いただいている方は、第108回薬剤師国家試験の合格した方だと思います。
薬学生なのか、国試浪人かは不明ですが、まずはひとこと言わせてください。
それでは本題に入りますが、薬剤師国家試験後に就職活動を始めるのは、情報が少なく不安が多いのではないでしょうか?
周りの人はすでに就職先が決まっているのに、自分はこれから探さなきゃいけない。せっかく同じスタートラインに立てたのに、ここで置いていかれたくない!!
国試後に就活をはじめる方の多くは、このような不安を抱いています。でも焦って就職先を決めてしまうと、職場のミスマッチで早期退職につながるケースが多いです。
今回は、新人薬剤師にキャリア教育や専門教育を指導する立場の薬剤師として、薬剤師国家試験後の就職活動や薬剤師のキャリアについて解説していきます。
就職活動を成功させるため、少し注意点があるので、ぜひ参考にしてみてください。すでに就活中なら、「いまいち働きたい所が見つからない」場合は、人材紹介会社を利用するのもオススメです。
学生の国試後の就活や、国試浪人後の就活でも、新入社員の需要が最も大きいことを覚えておきましょう。
こんな長文読んでいられないという方へ
記事を読むのが苦手で、とりあえず行動したい方は、薬学生向けの就職活動に力を入れている薬キャリAGENTさんに登録してみて、担当者に相談にのってもらうといいと思います。(登録は無料ですし…)
- 4月入社を焦らないこと
- 自分が将来どう働いていきたいのかを考えること
- ②を達成するためには、どのような職場がいいのかを逆算すること
- 情報収集のために人材紹介会社の有効活用すること
目次
薬剤師国家試験後の就職活動について
まず薬剤師国家試験が終了すると、内定が決まっていた薬局や会社に自己採点の結果を伝えるため、薬局や会社は、自分のところが新人薬剤師がどの程度入社してくるか把握します。
例年の国家試験の合格率から70%程度の見込みで計算していますが、どうしても偏りが出てしまうため、思うように新人薬剤師が入ってこなかった薬局や会社は求人を出します。
るるーしゅ
国試後でも求人は多く出てきますので、焦らないようにしましょう。
これは薬剤師の転職の際にも伝えているのですが、余裕がないときに就職先を決めると、どうしても就職先を客観的に評価できず、失敗してしまうことが多いです。
薬剤師国家試験後の求人情報の探し方
国試後に求人を探す方法は、大きくに二つに分けられます。「自分で探す」か「人材紹介会社に依頼する」かです。それぞれを簡単に説明します。
自分で求人を探す
これはそのままの意味です。自分で求人情報を探します。
大学のキャリア支援の部門(就職課等)にある求人票をチェックしたり、インターネットで気になる薬局を検索して、求人募集しているかチェックしてみるのもいいと思います。
尚、求人情報の見方は、とっつきにくい部分がありますので、下記の記事で基本的なことを確認しておくことをオススメします。
るるーしゅ
自分には求人情報の見方を理解するのが無理そうと思ったら、次の人材紹介会社を利用しましょう。
人材紹介会社に依頼する
自分で探す以外の方法としては、人材紹介会社を利用して、求人を紹介してもらうというパターンもあります。
人材紹介会社の仕組みは上記の図の通りで、あなたという人材を薬局や会社に紹介し、無事に採用されることで成功報酬を得るといったビジネスモデルで成り立っています。
新卒薬剤師にわざわざ高額な報酬を支払ってまで得ようとする薬局や会社は、訳アリなのでは?と思うかもしれませんがそんなことはありません。
新卒紹介を受ける側のメリット
手間を減らせる
従来の採用活動には、書類選考や複数回の面接スケジュール管理など、多くの手間がかかります。
しかし、新卒薬剤師紹介のサービスを利用することで、人材紹介会社が一部の手続きを代行してくれるため、採用に関する人件費を削減することができます。これにより、採用担当者はより多くの時間を学生との面談に費やすことができます。
急な人員増加に対応可能
内定者の国試不合格や内定辞退などで急遽求人を再募集しなければならない場合、自社のウェブサイトを通じて再募集を行うことは、時間と労力がかかります。
しかしながら、新卒薬剤師紹介のサービスを利用すれば、登録済みの学生の中から、採用要件に合致する人材のみをピックアップして紹介してもらうことができます。このため、短期間で効率的かつ効果的に学生を採用することができます。
知名度の低い会社でも新卒を採用できるチャンスがある
就活サイトを使用した募集は、「学生が自社に興味を持っていること」を前提条件としています。しかし、新卒薬剤師紹介サービスでは、学生が自社に対する関心がなくても、学生と企業の相性が良さそうだと判断されれば、人材紹介会社から紹介してもらえる場合もあります。
中小規模の薬局では、そもそも知ってもらえていないため、このような人材紹介会社からの紹介で興味を持ってもらうというのは選択肢のひとつとしてありなのです。
るるーしゅ
国試後の就活者向けに力を入れている人材紹介会社は薬キャリAGENTです。
学生向けの薬キャリエントリーBOOK持っている人は多いのではないでしょうか?
人材紹介会社は、就職活動の際に必要な業界情報、自己分析などを支援してもらえます。求人情報は自分で探すという方法でもいいと思いますが、表には出てこない求人情報もあったりしますので、個人的には利用できるものは何でも利用したほうがいいと思っています。
どのような就職先を選ぶといいか?
国家試験後の求人情報の探し方は説明しましたが、大切なのはどのような就職先を選ぶかですよね。
働ける場所を探すのではなく、自分にとっての条件が良い場所を選びましょう。自分にとっての好条件とは何でしょうか?
これは私が「あなたにとってのオススメの就職先は〇〇です」なんて軽々しく言えるものではなく、皆さんひとりひとり異なります。
だからこそ、あなたがこれから薬剤師として働くうえで、是非とも考えてほしい内容は以下のことです。
仕事は人生の全てではありません。自分の人生を豊かにするための手段であることを忘れてはいけません。
自分にとっての「幸せ」とは何かを考え、その上で、
- 自分の興味や専門分野に関する仕事であること
- 自分がやりがいや成長を感じられる環境であること
- 休暇やワークライフバランスが取りやすい職場であること
- チームワークが良く、職場の雰囲気が良いこと
など、自分自身の価値観や嗜好に合った職場を探すことが大切です。そして可能であれば目的を決めた上で、それを達成できるような職場を選ぶことも重要です。
以下に薬剤師を例にして、新卒で選ぶ考え方を記載しています。
目的 | 方法 |
---|---|
がん領域の専門性を身につけたい | がん専門や外来がん専門薬剤師の 資格が取得出来そうな職場を選ぶ |
将来は独立して薬局を開きたい | 給料の高い職場で独立資金をためる |
やりたいこともないけど 使えない薬剤師にはなりたくない | とりあえず忙しい職場で 経験を積む |
…ものすごく浅い内容になってしまいましたが、こんな感じで将来どうなっていたいか、もしくはこうはなりたくないなどの目的を決めた上で、その目的を達成できそうな職場を選ぶのがいいと思います。
るるーしゅ
ちなみに3番目は私です。
この将来どうなっていたいかやこうはなりたくないなどが、キャリアアンカーと呼ばれるあなたの働き方の軸となる部分だと思います。ちなみにキャリアアンカーは内的キャリアという場合もあります。
柔軟性も大事
もうひとつキャリアアンカーの内容とはすこしブレるように感じるかもしれませんが、割り切って考えることも重要です。
「わたしの幸せは〇〇だから、絶対にこういう職場じゃないとダメ」みたいになってしまうと逆にチャンスを逃してしまいます。
るるーしゅ
薬剤師って真面目な方が多いので、こういう風に頑固一徹になってしまっているかたもいます
「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」、これは計画的偶発性理論とよばれるキャリアの考え方です。
またグロウスパッションといって、仕事への情熱は最初から持っているのではなく、「なんとなくやってたら面白くなってきた」という感覚から始まるケースもあることを知っておくといいかもしれません。
将来どんな薬剤師が必要とされるのか?
就職先を選び方のポイントとして、最後にこれから先、どのような薬剤師が必要とされるのか知っておく必要があります。
幸せに生きるために仕事をするといっても、この幸せな生活水準は人によって異なりますよね?
ブランドのバッグや服にお金をかけたいって人もいますし、服なんてどうでもいいと思う人もいます。また毎年、海外旅行に行きたい(薬剤師のかたで旅行好き多い印象)という人もいますし、いい車に乗りたいという人もいます。
上記の図は皆さんも目にしたことのある薬剤師の需給予測です。今より職能が拡大しても薬剤師は過剰になることが予測されています。
10年先にどのような薬剤師が求められているかは正直分かりません。ただ現状の薬局薬剤師の課題としては以下の内容が「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」のとりまとめで紹介されていました。
- 調剤後のフォローアップの強化
- 医療計画における5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)
- 薬剤レビュー
- リフィル指示された処方箋(リフィル処方箋)への対応
モノからヒトへ、対物業務から対人業務へというのは2013年頃から言われていますが、いまだに達成できていません。ただこれから薬剤師業界を背負っていく皆さんは、上記にあげた対人業務はできて当たり前になってほしいと思っています。
こういう部分もチェックしてみてはいかが?
SNSで就活する際に重視するポイントを羅列してくれていますので、こういう部分も参考および私なりに追加しましたので参考にしてみてはいかがでしょうか。
- 初任給(なんがかんだ周りと比較しちゃう、だって人間だもの)
- 10〜20年後の年収(モデル年収みたいなのがあるとイメージわきますよね)
- 時間外業務の少なさ(毎日、夜遅くまで残業しているとプライベートなくなる)
- サービス残業が無い(これは無いところのほうが絶対いい)
- 仕事をたくさん任せてもらえる
- 丁寧に教えてもらえる(教える環境が整っているほうがいいと思う)
- 相談しやすい人間関係
- 多くの分野を学べる
- 認定/専門を目指せる(病院研修などを会社でサポートしてくれるところもある)
- 休暇を取りやすい
- 目標にできる先輩がいる
- プライベートへの干渉が少ない
- 嫌味や陰口が少ない
- 転勤、異動が無い
- 自宅から近い、駅から近い
- 他職種と話しやすい
- 返済免除型奨学金がある
- 学会や研修に行かせてもらえる
- 職場の建物がきれい
- 性別への偏見や差別が少ない
- 体調不良の際に休みがとりやすい
- 業務の機械化や電子化が進んでいる(紙薬歴の薬局とか…)
- 新しいことに挑戦できる
- お昼休憩時にしっかり休める場所がある(わたしはお昼寝したいタイプ)
おわりに
今回は、薬剤師国家試験後からの就職活動について解説しました。
記事中でも再三お伝えしているように、国試後からの就活は、(すでに内定が決まっている)周りの人達に置いて行かれないようにという焦りから、職場選びを失敗してしまうケースをよく目にします。
就職先を探す方法は、大きく「自分で探す」か「人材紹介会社に依頼する」かの2つですが、個人的には両方活用するのがいいと思います。
自分でも探しつつ、人材紹介会社を利用し、表には出てこないような求人情報(急な内定辞退等)にもアンテナを立てておくといったことですね。
数ある就職先を選ぶうえで、“何”のために働くのかについてもこの機会に考える必要があります。
正直、新薬剤師の時点で、薬剤師になってこれやりたいという思いが強い人はそう多くないと思います。現時点で、どの就職先を選ぶことが、自分の将来を考えるとベターなのかな?と考えましょう。
本ブログでは、若手薬剤師に必要な専門知識などの情報発信もしているため、また機会がありましたら遊びにきていただければ幸いです。
るるーしゅ
PISCSや医学論文の読み方などは是非とも知っておいてほしいです