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柴胡加竜骨牡蛎湯イケていない!
さてわたしのブログの人気連載、漢方薬のここがイケていないシリーズのパート7です。
今回は、柴胡加竜骨牡蛎湯イケていない!という内容です。
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もうね、音声ファイル作ってしまうくらい、柴胡加竜骨牡蛎湯イケてないです(笑)
とりあえず、まず4コマからです。
どうですかね?患者の漢方薬の服薬困難な部分を薬剤師が別の薬剤に変更することで改善させた薬剤師の職能発揮かと思いきや…って内容ですね。
これは孔明の罠、いや漢方薬の罠です。
柴胡加竜骨牡蛎湯イケていない理由
それでは、内容を解説していきます。といっても薬剤師の方なら、下記の内容を見れば一目瞭然かと思います。
ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯の組成
- サイコ 5.0g
- ハンゲ 4.0g
- ケイヒ 3.0g
- ブクリョウ 3.0g
- オウゴン 2.5g
- タイソウ 2.5g
- ニンジン 2.5g
- ボレイ 2.5g
- リュウコツ 2.5g
- ショウキョウ 1.0g
クラシエ柴胡加竜骨牡蛎湯の組成
- サイコ 5.0g
- ハンゲ 4.0g
- ブクリョウ 3.0g
- ケイヒ 3.0g
- タイソウ 2.5g
- ニンジン 2.5g
- ボレイ 2.5g
- ショウキョウ 0.8g
- オウゴン 2.5g
- ダイオウ 1.0g
- リュウコツ 2.5g
クラシエ柴胡加竜骨牡蛎湯には、ダイオウが含有されています。ダイオウの主成分であるセンノシドは下剤として利用されますから、この4コマの事例ではクラシエに変更したことによる下痢の可能性は高そうです。
るるーしゅ
切り替え時に患者へ説明および調剤後のフォローアップしていれば次回、来局時までつらい思いをしなくて済んだかもしれませんね
変更による下痢はどれくらいありうるか?
さて、クラシエ柴胡加竜骨牡蛎湯はダイオウが含有されているから変更の際は下痢や腹痛などのフォローが必要なのですが、1日あたりダイオウ1g程度ではどの程度、下痢の影響が起こるのか気になりますよね。
頻度が不明だと、どの程度、注意したほうがいいのか温度感がわかりづらいですよね。ただ添付文書にも記載がないのでドウシタモノカ…
そうだ、ダイオウが1.5g入っている防風通聖散(よく出ている)の文献から探そうということで医中誌より以下の文献から情報を入手しました。
肥満女性19例に防風通聖散24週処方、2例が下痢でドロップアウト
小田隆晴. “肥満女性への防風通聖散の使用経験.” 山形県病医誌 41 (2006): 1-5.より
肥満患者127例に防風通聖散を投与、9例は腹痛下痢などで長期服用できなかった
伊藤隆, et al. “防風通聖散の減量効果の検討.” 日本東洋醫學雜誌 56.6 (2005): 933-939.より
上記の内容から、ダイオウ1.0gでの下痢の頻度は多くても5%(20人に1人)くらいかなと推測しました。
(漢方薬は組み合わせによって~とか言われるかもしれませんが)
るるーしゅ
漢方薬は定量的なデータが乏しい上に、今回のように名称は同じだけど組成が違うとかあるから…嫌いだ
というわけで今回は、柴胡加竜骨牡蛎湯がイケていないというネタでした。
良かったら過去の漢方薬がイケていないもご確認ください。