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ディレグラ(プソフェキ)の長期使用ってありなの?薬剤師として考えてみた

本日はディレグラ(プソフェキ)配合錠の長期処方についてありなのか?それとも避けたほうがいいのか?
薬剤師として考えてみたいと思います。

まずは基本的な情報からです。

商品名ディレグラ配合錠
(GE:プソフェキ配合錠)
一般名フェキソフェナジン塩酸塩/
塩酸プソイドエフェドリン
発売2013年2月28日
効能効果アレルギー性鼻炎
用法用量12歳以上
1回2錠、朝夕、空腹時

海外ではアレグラDとして発売

日本で発売されているディレグラですが、日本で発売されるより前から、海外ではアレグラDとして発売されています。そして、含有量は1錠あたりにフェキソフェナジン60㎎、プソイドエフェドリン120㎎です。

そうです、日本の倍の量が1錠あたりに含まれています。

これは日本では覚せい剤原料にならないように、プソイドエフェドリンの配合割合を10%以下したからです。(海外の法律は知りません)

ディレグラ触ったことある人は分かると思いますが、結構大きい錠剤なんですよね、わたしなんて患者さんに「これ鼻の中に詰めるんですか?」って真顔で質問されましたからね。

そう覚せい剤原料に当たらないように大きくしたため、食前じゃないと溶け切れないから食前投与なんです。ディレグラは!!

ゴーストタブレットに注意

ディレグラ配合錠は、ウンコのなかに錠剤の抜け殻が登場するゴーストタブレットがでることがあります。

患者さんもビックリするみたいなので、簡単に説明しておきましょう。

発売当時からのメーカーの販売戦略の変更

ディレグラ発売当時、サノフィはアレグラ錠も販売していました。そのため、MRからのセールス方法は、花粉症の基本はアレグラ錠、鼻詰まりがひどい時だけディレグラ錠に切り替えて使ってください。といった内容でした。

しかしアレグラ錠のジェネリック医薬品(AG)が発売されると、急にスタンスが変わって、ディレグラ長期投与オッケーですよとなってきたことに苦笑いしてました
(今はディレグラもGE出たので、ないかもしれませんが)

ディレグラ(プソフェキ)の長期処方はアリ?ナシ?

ディレグラの長期処方(2~3ヵ月)はどうなのか考えていきたいと思います。

とはいえ、添付文書には以下の記載があります。

2.重要な基本的注意
⑴ 本剤の使用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめ、鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること。
[本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は臨床試験では検討されていない。2週を超えて投与する場合には患者の症状を確認しながら投与すること。]

新薬って、長期投与試験するのですが、ディレグラ錠に関しては実施していません。審査報告書読むと分かるのですが、「なんでやってないんだよ」と突っ込まれています…

とはいえ、アレルギー性鼻炎の治療全体で見たときに、ディレグラを長期使用することが安全性の懸念より有効性が勝ると判断できれば、ありだと思いますし、いや安全性の懸念が気になるし、あえてディレグラ長期使用する必要ないでしょ…となればなしだと思います。

ディレグラの有効性

ディレグラはアレグラ(フェキソフェナジン)にプソイドエフェドリンを混合したことにより鼻閉の効果を高めた薬剤です。

アレグラ(フェキソフェナジン)の鼻づまりへ効果について

第二世代抗ヒスタミン薬って、ケミカルメディエーター遊離抑制作用により鼻づまりにも効果あるって習った気がしませんか?

ただこのアレグラについては、鼻づまりへの効果はほとんどないと思います。アレグラの申請資料みると分かるのですが、鼻づまりへの効果が全然出なくて、申請側が「抗ヒスタミン薬には鼻づまりへの効果がないことは一般的に分かっているので評価項目からはずす」といって評価項目から外してますからね(汗)

文献調べてみると、メタ分析で鼻づまりにも効果があるという結果を出したものもあるのですが、そもそもメタ分析しなきゃ有意差でないようなものが臨床的に有用なの?って思っちゃいますよね。

もちろんアレグラ単体より、効果がよかったので医薬品として認められています。

ただアレルギー性鼻炎の中で考えた際に、以下のケースで重要になってくるのではないかと思います。

  • 第二世代抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬と比較
  • 点鼻ステロイド薬単体と比較
  • 第二世代抗ヒスタミン薬+点鼻ステロイドと比較

ディレグラVSロラタジン+モンテルカスト

まずは抗ヒス+抗LT薬との比較です。

Moinuddin, Rizwan, et al. “Comparison of the combinations of fexofenadine-pseudoephedrine and loratadine-montelukast in the treatment of seasonal allergic rhinitis.” Annals of Allergy, Asthma & Immunology 92.1 (2004): 73-79.

さてこの研究ですが、アブストラクトしか読めない上にn数が記載されていません。とりあえず結論を読んでみると・・・

Fexofenadine-pseudoephedrine and loratadine-montelukast have comparable efficacy in improving symptoms, RQLQ scores, and nasal obstruction in seasonal allergic rhinitis. 
フェキソフェナジン-プソイドエフェドリンとロラタジン-モンテルカストは、季節性アレルギー性鼻炎の症状、RQLQスコア、および鼻閉の改善において同等の効果を示した。

n数分かりませんが同等と判断しますね。

プソイドエフェドリンVSモンテルカスト

ディレグラと第二世代抗ヒスタミン薬+抗ロイコトリエン薬と比較を考える際には、プソイドエフェドリンVS抗ロイコトリエン薬でもいいと思うので、以下の文研です。

Mucha, Samantha M., et al. “Comparison of montelukast and pseudoephedrine in the treatment of allergic rhinitis.” Archives of Otolaryngology–Head & Neck Surgery 132.2 (2006): 164-172.

ブタクサによるアレルギー性鼻炎の患者58人プソイドエフェドリン240㎎もしくはモンテルカスト10㎎を投与。結論は…

Pseudoephedrine and montelukast are equivalent in improving symptoms and QOL and increasing nasal airflow in patients with seasonal allergic rhinitis. 
季節性アレルギー性鼻炎患者の症状およびQOLの改善、鼻腔通気量の増加において、PseudoephedrineとMontelukastは同等である。

ディレグラVS点鼻ステロイド

つづいて点鼻ステロイドとの比較なのですが、残念ながら見つかりませんでした。

なので上記の結果より、ディレグラと抗ヒス+抗LT薬が同等であることから、点鼻ステロイドVS抗ヒス+抗LT薬で考えてみます。

Rodrigo, Gustavo J., and Anahi Yañez. “The role of antileukotriene therapy in seasonal allergic rhinitis: a systematic review of randomized trials.” Annals of Allergy, Asthma & Immunology 96.6 (2006): 779-786.

上記の論文からだと、

Leukotriene receptor antagonists were better than placebo, equivalent to oral histamine H1 antagonists, and inferior to intranasal corticosteroids for treating seasonal allergic rhinitis. Alternatively, leukotriene receptor antagonists plus histamine H1 antagonists were more effective than histamine H1 antagonists alone but inferior to intranasal corticosteroids.
ロイコトリエン受容体拮抗薬は,季節性アレルギー性鼻炎の治療において,プラセボより優れ,ヒスタミンH1拮抗薬の経口投与と同等であり,コルチコステロイドの経鼻投与より劣っていた。あるいは、ロイコトリエン受容体拮抗薬とヒスタミンH1拮抗薬の併用は、ヒスタミンH1拮抗薬単独よりも有効であったが、コルチコステロイドの経鼻投与よりも劣っていた。

このことから、点鼻ステロイド>ディレグラの可能性があると思います。

ディレグラの安全性

つづいてディレグラの安全性についてです。ディレグラのというよりは、プソイドエフェドリンの安全性についてですね。

・・・長期使用の安全性データがほとんど見つかりません(汗)

ディレグラの審査報告書のなかでも触れられていましたが、海外のガイドライン(ARIA)でもα交感神経刺激薬の副作用を避けることから長期投与はすすめられていないとのことです。

NHSのプソイドエフェドリンについて

イギリスのNHSがプソイドエフェドリンについて説明しています。

Q

長期服用してもいいですか?

A

充血除去剤は短時間、通常は10日未満しか使用しないでください。

長く服用すると、副作用が出る可能性が高くなります。

医師が大丈夫だと言った場合にのみ、プソイドエフェドリンを10日以上服用してください。

Pseudoephedrine: decongestant that relieves a stuffy or blocked nose – NHS

たいして危険はないと主張する方が引用する論文

ディレグラの長期投与に関して、あまり大きな危険はないと主張する方が引用する文献を紹介します。

ちなみにこの文献をもとにMRさんからもプロモーションを受けたことがあります。

Salerno, Stephen M., Jeffrey L. Jackson, and Elizabeth P. Berbano. “Effect of oral pseudoephedrine on blood pressure and heart rate: a meta-analysis.” Archives of internal medicine 165.15 (2005): 1686-1694.

プソイドエフェドリンの血圧や心拍数への影響のメタ分析です。メタ分析といわれると、すげえってなりますよね。

アブストラクトでの結論は以下の通りです。

プソイドエフェドリンは、収縮期血圧(0.99mm Hg; 95%CI、0.08〜1.90)およびHR(2.83拍/分、95%CI、2.0~3.6)をわずかながら有意に増加させ、拡張期血圧への影響なし(0.63 mm Hg、95%CI、–0.10〜1.35)

大したことないじゃんと思うかもしれませんが、この研究の対象となった用量15~240㎎と幅がある上、年齢も平均35歳、治療期間の平均も6日となっています。

ちゃんと読み込んでいませんが、この研究のみでディレグラの長期も問題なしとは判断しにくいかなと思います。

プソイドエフェドリンのレビュー文献

最後に2015年のプソイドエフェドリンのレビュー文献紹介しようと思います。

Laccourreye, O., et al. “Benefits, limits and danger of ephedrine and pseudoephedrine as nasal decongestants.” European annals of otorhinolaryngology, head and neck diseases 132.1 (2015): 31-34.

上記のレビュー文献の中でプソイドエフェドリンの有害事象とした報告している文献が紹介されています。

AuthorsnSide-effects
Cantu et al. 4Stroke(脳卒中)
Browning et al. 1Angina pectoris
(狭心症)
Manini et al. 1Myocardial infarction
(心筋梗塞)
Pederson et al. 1Myocardial infarction
Lopez Lois et al. 1Myoclonia and trembling
Roberge et al. 1Psychosis and ataxia
Sotullo C.A. et al. 1Psychosis
(精神病)
Gunn et al. 1Unexplained death
(原因不明の死亡)
CDC 3Unexplained death
Rimsza & Newberry 3Unexplained death
Weingert et al. 13Unexplained death
上記論文より

以上を踏まえた私の考え

以上のデータからのわたしの見解としては、あえてディレグラ(プソフェキ)を長期投与する必要性は乏しいかなと思います。

有害事象報告も内服薬だと大目にみられると思いますが、これがワクチンだったら絶対、みんな許さないですよね?(ワクチンのほうが有効性が高いのに…)

とはいえ、長期処方の処方箋を応需した場合、疑義照会でどうこう出来るようなケースは少ないのではないかなと思います。

そのため事前に医師と情報を共有し、お互いの落としどころを決めてもらうのがいいと思います。
(ちゃんと出せるカードは沢山もっておくといいですよ)

医師と連携が全くできない薬局では、高齢者などリスクの高い人への長期投与はブロック(心臓+尿閉のリスクもあるし)する方向、リスクの低い患者には動悸やめまい、不眠等の継続的なフォローを実施というところが現実的ですかね。

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
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