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ヒヤリハット報告事例から学ぶ!その腎機能で投与量設計しても大丈夫ですか?

今回はSNSで話題になった薬局ヒヤリハット事例について紹介致します。

話題になって事例は、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 第24回報告書の内容です。

事例の詳細

80歳代の患者に、整形外科から初めてタリージェ錠5mg 2錠分2が処方された。処方箋に記載された検査値を確認したところ、eGFRが41.6mL/min/1.73m2 であり、中等度の腎機能の低下がみられた。初期用量としては多いと判断し、疑義照会を行った結果、タリージェ錠2.5mg 2錠 分2へ変更になった。

上記の内容ですが、この報告内容だけでは適切だったのか不適切だったのかがよく分かりません。

よく見る腎機能パラメータについて

すこしお勉強をしていこうと思います。よく見る腎機能パラメータの特徴についてです。

血清 Cr 値(mg/dL)

正確性

軽度~中等度腎障害ではほとんど変動が小さく、判断しにくいため血清 Cr 値を基にした推算式で用いられることが多い

特徴

慢性腎臓病ステージ 4~5(重度腎障害~末期腎不全)では明らかに上昇するため有用で、血清 Cr 値 2mg/dL 以上で高齢者は重度腎障害と判断してよい。

血清Cr 値によるeGFR(mL/min/1.73m2)

この数値は、標準化eGFRと呼ぶことも多いです。

正確性

体格を考慮していないため平均的な体格の患者以外では不正確

特徴

慢性腎臓病の診断指標に用いる値であり、薬物投与設計では用いない。

血清Cr 値による体表面積未補正eGFR(mL/min)

上記の標準化eGFRに対して、こちらは個別化eGFRと呼んだりします。違いは単位です。

正確性

一般的な患者では正確性が高い

特徴

痩せた高齢者では過大評価しやすいのが欠点で、臨床現場ではこのような症例に対して血清 Cr 値 0.6 未満の場合には 0.6 を代入することがある。

CG式による体表面積未補正推算 CCr(mL/min)

正確性

血清 Cr 値 0.6 未満の患者では過大評価し や す い が、 一 般 的 に eGFR(mL/min/1.73m2)より正確であり、未補正eGFR(mL/min)に比し、血清 Cr 低値による腎機能過大評価は少ない。

特徴

肥満患者では過大評価するため理想体重を用いる。加齢による低下が顕著なため長期臥床高齢者が罹患
しやすい院内感染時の薬物投与設計では eGFR に比し正確性が高くなることがある。それでも過大評価が
懸念される場合には臨床現場では血清 Cr 値 0.6 未満の症例には 0.6 を代入することがある。

平田純生, et al. “患者腎機能の正確な評価の理論と実践.” 日本腎臓病薬物療法学会誌 5.1 (2016): 3-18.より

薬局のヒヤリハット報告事例の事例では?

ヒヤリハット報告事例では、eGFRが41.6mL/min/1.73m2と記載されていることから、投与量を考える上で評価した腎機能パラメータは、標準化eGFR(mL/min/1.73m2)であることがわかります。

標準化GFRの特徴として、慢性腎臓病の診断指標に用いる値であり、薬物投与設計では用いない。といわれているにも関わらず、共有事例として紹介していたことが、誤解を招いてしまうのではないかということがSNSで注目されていました。

標準化eGFRの注意点

標準化eGFRでは体格が考慮されていません。そのため標準化eGFRは同じ値でも、体格を考慮した個別化eGFRが異なってくるケースがあります。

上のイラストのように体格によって、個別化eGFRの値はかわってくるため、標準化eGFRで薬剤の投与設計をするには注意が必要です。

今回の事例ですと、極端な体格じゃなければ、投与量については同じになってたとは思いますが…

腎機能を評価するのはなんのため?

以前もブログ記事にしたと思いますが、腎機能を評価して腎機能に応じて投与量にすることが目的になってしまうことをたまに目にします。

腎機能に応じた投与量にするのは、あくまで患者さんに適切な薬物治療を実施するための手段ですよね。

ベネフィットとリスクを見なければいけませんよね。そのためにはタリージェのベネフィットとして、どの程度有効なのかリスクとしてはどういった副作用が出やすいのか?などを知っておく必要がありますよね。

そして推算式で評価した腎機能パラメータも、あくまでも推算値ですので、絶対に正しい数値ではありません。

そのため患者の状態年齢体格活動度薬剤のリスク許容度等を総合的に考慮し、投与量を設計するというのが理想だと思います。

今回の事例だと…

今回のヒヤリハット事例ですと、情報量がすくないので、勝手にアレンジしますが

患者の状態:痛みはそこまでつらくない、独居、併用薬でBZ系やらなんやら
年齢:80歳
体格:小柄(156㎝、46㎏)
活動度:よろよろ
薬剤のリスク:傾眠、ふらつき

こんな場合、個別化eGFRは34ml/minなので、添付文書上では2.5㎎×2錠なのですが、痛みがそこまでつらくないことから、薬剤による転倒リスクのほうを重視して2.5㎎×1錠からスタートというのもアリなんじゃないかなと思ったりします。

また薬剤師はくすりを渡しておしまいではなく、服薬期間のフォローアップもできます。今回の事例だと、数日後なりに電話等で眠気やふらつきがでてないかのフォローアップも必要だろうなと感じました。

るるーしゅ

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るるーしゅ

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るるーしゅ

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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