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【薬剤師が調べてみた】新型コロナにイベルメクチンって有効なのか調べてみた

デルタ株による新型コロナウイルス陽性者の増大により、「イベルメクチンを使え」といった声が大きくなっているように感じます。
ただこれは日本だけではなく、海外でも流行の拡大とともに有効性が認められていない治療法やデマなどのうわさが広がりやすいそうです。

というわけで今回は薬の専門家である薬剤師として、新型コロナウイルス感染症にイベルメクチンは有効なのか調べてみようと思います。

何をもって有効と判断するか?

まずどのような情報をもって有効と判断するかの共有です。ここがずれてしまうと、話がかみ合わなくなってしまうからです。

2020年3月11日にWHOが新型コロナのパンデミック宣言をしてから、すでに1年以上経過しています。その間、有望視され使用していた薬剤が、実際には効果がなかったことなども判明しています。

上記の事例で代表的な薬剤はいくつかありますが、ひとつ例をあげますとクロロキンとヒドロキシクロロキンです。クロロキンの改良型であるヒドロキシクロロキンが基礎研究でウイルスの増殖抑制効果が認められたことから、アメリカの前大統領のトランプさんが「ゲームチェンジャーだ」発表しました。

ゲームチェンジャーと期待されていたヒドロキシクロロキンは、その後、有効性を検討するための臨床試験で効果がないことが判明しました※1またトランプさんが「ゲームチェンジャーだ」と発表したことで60代の男性がクロロキンの成分を含んだ水槽の洗浄剤を服用し、死亡してしまった事例もあります。※2

ここで何が言いたいかというと、薬が有効かどうかは、誰が言っているかで判断するのではなく、どういったデータがあるかで判断したほうが間違えるリスクは低いです。

じゃあ薬を有効か判断するためのデータってなんだ?という話になるかと思います。薬の有効性を検証するために一番信頼性が高いのは、十分な数の被験者を集めてきて、ランダムに2つのグループに分けます。そして片方には治療薬、もう片方にはプラセボを投与します。この際、被験者たち自身は自分たちが使用しているのはどっちか分からないようにします。その後、一定期間のあとに2つのグループを比較して有効性を評価します。

この方法が新型コロナウイルス感染症に限らず、くすりの有効性を評価する一般的な方法です。
(プラセボではなく、既存の治療薬と比較することもあります)

何をもって有効かどうか判断するか?

大分、前置きが長くなりましたが、有効性を検証するためにしっかりとデザインされた臨床研究の結果をもって有効かどうかを判断します。

Together Trialの結果

2021年の8月6日に新型コロナの治療薬候補を検証していたTogether trial※3の結果が出ていました。この治療薬候補の中にイベルメクチンがありましたので、この臨床研究を評価しようと思います。

P:新型コロナウイルスに罹患したハイリスク因子を1つ以上もつ患者

I:イベルメクチン400mcg/kgを24時間おきに3日間 677人

C:プラセボ 678人

O:新型コロナの重症化

二重盲検ランダム化比較試験

イベルメクチンの投与量は日本で疥癬で使う量の倍です

入院などの重症化した割合は、イベルメクチン群で86/677、プラセボ群で95/678で相対リスクは0.91(0.69-1.19)で統計学的な有意差はつきませんでした。また死亡の相対リスクは0.82 (0.44-1.52)も同様に有意差はつきませんでした。

るるーしゅ

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これだけの被験者数で検証したのに、有意差がつかなかったのでまず効果がないと思っていいかと思います。

今後、このイベルメクチン推奨派の人がこの研究をどのように評価するのかは注目する必要があるかと思います。このネガティブな結果を無視して、「イベルメクチンは有効だ」と言っている場合は注意が必要です。

専門家であっても自分の見たい景色しか見ようとしない方も多いです。ネガティブな結果も受け入れた上で建設的な議論ができるといいのではないかと思います。

以前のざっくりとした記事も残しておきます

尚、今回の記事の前の内容も載せておきます。イベルメクチンについての流れなどが分かるかと思います。

NEJM Journal Watchですね。引用している資料はNIH(アメリカ国立衛生研究所)の新型コロナの治療ガイドラインの提言みたいです。

このNIHの資料の中での提言は以下の通りです。

現在のところ、COVID-19治療のためのイベルメクチンの使用を推奨するか否かを推奨するにはデータが不十分であると決定している。
COVID-19の治療におけるイベルメクチンの役割について、より具体的でエビデンスに基づいたガイダンスを提供するためには、十分な検出力を持ち、適切にデザインされ、適切に実施された臨床試験の結果が必要である。

まずイベルメクチンについてですが(このブログ来る人は全員、薬剤師なので大丈夫だと思いますが)

るるーしゅ

るるーしゅ

イベルメクチンは抗寄生虫薬であって、抗ウイルス薬ではないです。

ただ、イベルメクチンは新型コロナの治療薬として可能性も持っているそうです。
それは抗ウイルス作用と抗炎症作用です。内容を機械翻訳します。

in vitro試験からの報告は、イベルメクチンが宿主のインポーチンα/β-1核内輸送蛋白質を阻害することによって作用することを示唆している。この蛋白質は、宿主の抗ウイルス反応を抑制することによって感染を増強するためにウイルスが乗っ取る重要な細胞内輸送過程の一部である。

さらに、in vitroでのイベルメクチンドッキングは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質のヒト細胞膜への付着を妨げる可能性があります。

るるーしゅ

るるーしゅ

分からないけど、基礎的理論はありそう。
あとインポーチンは下ネタっぽく聞こえるから人前では言えない

このように新型コロナウイルスに有効性を示唆する理論的根拠があるのですが、次に重要なことが書いてあります。

しかし、in vitroでの抗ウイルス効果を再現するのに必要な血漿中濃度を達成するには、ヒトで承認されている用量の100倍までのイベルメクチンが必要であることが、薬物動態学的および薬力学的研究から示唆されている。
イベルメクチンは肺組織に蓄積するようであるが、ほとんどの臨床試験で使用された用量では、予測された全身血漿中および肺組織中濃度は、in vitroでSARS-CoV-2に対する最大阻害濃度の半分(IC50)である2μMよりはるかに低い
イベルメクチンは、いくつかのin vitro研究で潜在的な抗炎症特性を示し、COVID-19の治療に有益であると仮定されている特性を示しています。

るるーしゅ

るるーしゅ

漢方薬やサプリメントでも、この量の概念を無視して語られてしまうこと多いですよね…

とはいえ、ここまではあくまで理論的根拠です。
我々が現在の科学では評価できない基準で有効性を示しているかもしれませんので、理論的根拠が欠如していても臨床的根拠がしっかりしていればオッケーなのです。

それでは臨床データはというと…

イベルメクチン使用後の疾患の有益性または悪化を示さなかった臨床試験もあれば、COVID-19炎症マーカーの低下が大きく、ウイルスクリアランスまでの時間が短かったこと、イベルメクチンを投与された患者の死亡率が対照薬またはプラセボを投与された患者よりも低かったことが報告されている。

しかしながら、現在までに報告された研究のほとんどは、情報が不完全であり、方法論に重大な限界があるため、バイアスの一般的な原因を除外することは困難である。
欠落している情報および限界には、以下が含まれる

  • ほとんどの試験のサンプルサイズは小さかった。
  • イベルメクチンのさまざまな用量とスケジュールが使用されました
  • 一部のランダム化比較試験は非盲検試験であり、参加者も治験責任医師も治療群を盲検化されなかった。
  • イベルメクチンまたは対照薬に加えて、患者は様々な併用薬(例えば、ドキシサイクリン、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、亜鉛、コルチコステロイド)も投与され、イベルメクチンの真の有効性または安全性の評価を混乱させました。
  • 試験参加者におけるCOVID-19の重症度は、必ずしも十分に記述されていなかった。
  • 試験のアウトカム指標は必ずしも明確に定義されていなかった。
るるーしゅ

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るるーしゅ

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るるーしゅ

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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