なんか最近、急に新型コロナにイベルメクチンが有効だから使え!というのを目にするようになりました。
大分前に、コホート研究?で目にした気がしますが、その後ぱったりだったので多分有効性のデータ出なかったんだろうなと勝手に思っていました。
というわけで新型コロナにイベルメクチンが有効なのか調べてみました。
・・・嘘です、日々のルーチンでの情報収集の際に特集していたので、ちょうど日本でも話題に挙がっているようなので、その記事を紹介するだけです(笑)
NEJM Journal Watchですね。引用している資料はNIH(アメリカ国立衛生研究所)の新型コロナの治療ガイドラインの提言みたいです。
このNIHの資料の中での提言は以下の通りです。
現在のところ、COVID-19治療のためのイベルメクチンの使用を推奨するか否かを推奨するにはデータが不十分であると決定している。
COVID-19の治療におけるイベルメクチンの役割について、より具体的でエビデンスに基づいたガイダンスを提供するためには、十分な検出力を持ち、適切にデザインされ、適切に実施された臨床試験の結果が必要である。
まずイベルメクチンについてですが(このブログ来る人は全員、薬剤師なので大丈夫だと思いますが)


るるーしゅ
イベルメクチンは抗寄生虫薬であって、抗ウイルス薬ではないです。
ただ、イベルメクチンは新型コロナの治療薬として可能性も持っているそうです。
それは抗ウイルス作用と抗炎症作用です。内容を機械翻訳します。
in vitro試験からの報告は、イベルメクチンが宿主のインポーチンα/β-1核内輸送蛋白質を阻害することによって作用することを示唆している。この蛋白質は、宿主の抗ウイルス反応を抑制することによって感染を増強するためにウイルスが乗っ取る重要な細胞内輸送過程の一部である。
さらに、in vitroでのイベルメクチンドッキングは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質のヒト細胞膜への付着を妨げる可能性があります。

るるーしゅ
分からないけど、基礎的理論はありそう。
あとインポーチンは下ネタっぽく聞こえるから人前では言えない
このように新型コロナウイルスに有効性を示唆する理論的根拠があるのですが、次に重要なことが書いてあります。
しかし、in vitroでの抗ウイルス効果を再現するのに必要な血漿中濃度を達成するには、ヒトで承認されている用量の100倍までのイベルメクチンが必要であることが、薬物動態学的および薬力学的研究から示唆されている。
イベルメクチンは肺組織に蓄積するようであるが、ほとんどの臨床試験で使用された用量では、予測された全身血漿中および肺組織中濃度は、in vitroでSARS-CoV-2に対する最大阻害濃度の半分(IC50)である2μMよりはるかに低い。
イベルメクチンは、いくつかのin vitro研究で潜在的な抗炎症特性を示し、COVID-19の治療に有益であると仮定されている特性を示しています。

るるーしゅ
漢方薬やサプリメントでも、この量の概念を無視して語られてしまうこと多いですよね…
とはいえ、ここまではあくまで理論的根拠です。
我々が現在の科学では評価できない基準で有効性を示しているかもしれませんので、理論的根拠が欠如していても臨床的根拠がしっかりしていればオッケーなのです。
それでは臨床データはというと…
イベルメクチン使用後の疾患の有益性または悪化を示さなかった臨床試験もあれば、COVID-19炎症マーカーの低下が大きく、ウイルスクリアランスまでの時間が短かったこと、イベルメクチンを投与された患者の死亡率が対照薬またはプラセボを投与された患者よりも低かったことが報告されている。
しかしながら、現在までに報告された研究のほとんどは、情報が不完全であり、方法論に重大な限界があるため、バイアスの一般的な原因を除外することは困難である。
欠落している情報および限界には、以下が含まれる
- ほとんどの試験のサンプルサイズは小さかった。
- イベルメクチンのさまざまな用量とスケジュールが使用されました
- 一部のランダム化比較試験は非盲検試験であり、参加者も治験責任医師も治療群を盲検化されなかった。
- イベルメクチンまたは対照薬に加えて、患者は様々な併用薬(例えば、ドキシサイクリン、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、亜鉛、コルチコステロイド)も投与され、イベルメクチンの真の有効性または安全性の評価を混乱させました。
- 試験参加者におけるCOVID-19の重症度は、必ずしも十分に記述されていなかった。
- 試験のアウトカム指標は必ずしも明確に定義されていなかった。

るるーしゅ
新型コロナに有効かも?と期待されていた薬剤も、今となっては案外こけていますからね…ヒドロキシクロロキン(プラケニル)とか
先日、発表されたCOVID-19薬物療法に関するRapid/Living recommendations 第3.0版改訂によると、ファビピラビルって軽症者に弱い推奨なんですね。
CQ-1 COVID-19 患者にファビピラビルを投与するか?
- 酸素投与を必要としない軽症患者にファビピラビルの投与を弱く推奨する(弱い推奨/低の確実性のエビデンス:GRADE 2C)
- 酸素投与/入院加療を必要とする中等症患者、ならびに人工呼吸器管理/集中治療を必要とする重症患者に対するファビピラビルの投与については、現時点では推奨を提示しない(no recommendation)