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薬剤師のキャリアは「早すぎる」くらいで考えるのがちょうどいい――業界変化を前に、今からできること

「キャリアについて考えなきゃ」と頭の片隅では思いつつも、日々の業務に追われていませんか。

私自身、調剤薬局で働きながら、ふとした瞬間に「このままでいいのかな」と感じることがあります。でも、次の処方箋が来れば、その不安はいったん棚上げ。そんな繰り返しを経験したことのある方も多いのではないでしょうか。

ここ、迷いやすいところです。

実は、2025年の調剤薬局の倒産件数は過去最多の38件を記録し、前年比35.7%増という大幅な増加となりました。大手による再編が加速する一方で、中小の調剤薬局を取り巻く事業環境は大きな転換点を迎えつつあります。

この記事では、薬剤師がキャリアについて「いつ」「何を」考えればいいのか、業界の変化を踏まえながら整理していきます。焦る必要はありませんが、「早すぎる」くらいで考え始めるのがちょうどいい理由を、一緒に確認していきましょう。


なぜ「今」キャリアを考える必要があるのか?

薬剤師を取り巻く環境の変化

私ならまず、数字から確認します。

厚生労働省の需給推計によると、2020年から2045年の間に、2万4千人〜12万6千人の薬剤師が過剰になるとの見通しが示されています。幅があるのは、在宅医療や対人業務の充実度合いによって需要が変動するから。逆に言うと、「何もしなければ最大12万人余る」という厳しいシナリオも想定されているわけです。

2025年11月時点の派遣薬剤師市場

  • 需要は昨年度比で約10%減少
  • 時給も一部エリアで500〜1,000円の下落
  • 大手の合併により、派遣→正社員への置き換えが進行

でも、それって都市部の話じゃないですか?地方はまだ人手不足って聞きますけど…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

確かに地域差はあります。ただ、長期的には全国的に供給が需要を上回る見込みですね。「今は大丈夫」が5年後も続く保証はないので、地方勤務の方も状況を注視したいところです。

「売り手市場」の前提が崩れつつある

誤解されやすいので先に言うと、「薬剤師免許があれば食いっぱぐれない」という時代は、少しずつ終わりに向かっています。

薬局数は約6万軒ありますが、大手が再編で攻勢を強めるなか、独立系の小規模調剤薬局はマーケットが狭まり、淘汰の波が押し寄せてきました。地理的・歴史的な好条件に依存していた薬局ほど、ビジネスモデルの変化は避けて通れなくなっています。

いまの状況だと、「とりあえず就職して、流れに任せてキャリアを積む」という従来のパターンが通用しにくくなりやすいです。


キャリアを考える「適切なタイミング」はいつか

専門家の見解:早ければ早いほどいい

日本病院薬剤師会関東ブロックの学術大会で、薬剤師のキャリアパス形成について議論されたことがあります。そこでのパネラーの意見を要約すると、以下のような共通点がありました。

観点推奨タイミング理由
思考の癖づけ新人を卒業した頃後輩が入ってきたら、自分の立ち位置を考える習慣をつける
スキル形成できるだけ早く能力の追加は一朝一夕では身につかないため
キャリアビジョン学生〜若手のうち「どんな大人になりたいか」を考えたうえで就職活動をする

正直、新人のうちは目の前の業務で精一杯で、キャリアなんて考える余裕ないですよね…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

そこは共感します。だからこそ、中堅以上の方がサポートする体制が必要なんですね。若手が考え始められるように、少し先を歩く人が道しるべを示してあげられると理想的です。

「考える」だけでも行動が変わる

キャリアについて考えることで、日々の視点が変わります。同じ体験をしていても、「これは将来どう役立つか」という視点があるかないかで、得られるものには違いが出てくるものです。

私ならまず、「5年後にどんな働き方をしていたいか」をぼんやりでも言語化するところから始めます。完璧な答えは出なくて大丈夫。考えること自体が、すでに行動の第一歩です。


キャリアを考えるうえで押さえておきたい「3つの視点」

視点1:自分を知る

「自分の幸せが何かを考え抜くこと」。これがキャリアを考えるうえでの出発点になります。

⚠️ 注意点

今の環境をベースにして考えるのではなく、5年後・10年後の理想の状態で考えることが大切です。「いまの職場が好きだから」「人間関係がいいから」という理由だけで判断すると、環境が変わったときに軸がブレやすくなります。

こんな状態に心当たりはありませんか?

  • 頑張っているのに、なぜかモヤモヤする
  • 将来が漠然と不安
  • 自分の強みが分からない
  • 家庭も仕事も両立したいけど、自分に合った選択が見えない

どうですか?一つでも当てはまるなら、「自分を知る」作業が足りていないのかもしれません。

視点2:業界を知る

2026年度の診療報酬改定では、「DXへの対応」「対人業務へのシフト」「多職種との連携強化」といったテーマが中心になると予測されています。改定の方向性を理解しておくことで、「どんなスキルが評価されるか」が見えてきます。

具体的には、以下のような変化が進んでいます。

🔄 対物業務から対人業務へ

調剤や在庫管理といった対物業務の一部は、今後AIが行うことになると言われています。一方で、服薬フォローや処方提案、在宅訪問といった対人業務の重要性が高まっています

🏠 かかりつけ機能の強化

地域支援体制加算を算定するためには、在宅対応・24時間対応が必須条件になっています。

💻 医療DXの推進

電子処方箋やマイナ保険証への対応など、デジタル化への適応が求められています。

業界の動きって、追いかけるだけで大変そう…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

全部を把握する必要はありません。まずは自分の薬局に関係しそうな報酬改定の項目だけでも押さえておくと、見える景色が変わりますよ。

視点3:選択肢を知る

薬剤師のキャリアは、調剤薬局だけではありません。病院、ドラッグストア、企業(MR、DI、学術)、行政など、選択肢は広がっています。

ただし、選択肢を広げるには「準備期間」が必要です。認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得、在宅医療の経験、マネジメント経験など、「いつか」と思っていると、いざ動きたいときに動けないことがあります。

現場だとここで詰まりがちです。忙しい日々の中で、どうやって準備の時間を確保するか。次のセクションで、現実的なアプローチを整理します。


「時間がない」中でもできる小さな一歩

完璧を目指さない

「キャリアを考える」と聞くと、壮大な計画を立てなければいけない気がするかもしれません。でも、そうではありません。

私ならまず、以下のような「小さな確認」から始めます。

📝 今日からできること(所要時間5〜10分)

  1. 厚労省の資料を1つ読む:「患者のための薬局ビジョン」で検索すると、国が描く薬局の将来像が分かります
  2. 自分の薬局の認定状況を確認する:地域連携薬局や健康サポート薬局の要件を満たしているか
  3. 「5年後にできるようになりたいこと」を1つだけ書き出す:完璧な答えでなくていい

でも、それって”キャリアを考える”って言えるんですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

十分です。大きな判断は、小さな情報収集の積み重ねから生まれます。いきなり転職を決めたり、資格を取ったりしなくていい。まずは”知る”ことから始めましょう。

相談先を持っておく

キャリアについて一人で考え続けると、視野が狭くなりやすいです。信頼できる相談先を持っておくことをおすすめします。

相談先メリット注意点
職場の先輩・上司社内事情に詳しい転職の相談はしにくい
薬剤師会の研修・勉強会他薬局の情報が得られる参加のハードルがある
人材紹介会社業界動向に詳しい、客観的な視点悪質な業者に注意

⚠️ 人材紹介会社を利用する際の注意

現在、国は医療の分野において紹介料目当てで頻繁な転職を促す悪質な人材紹介会社への対策を強化しています。転職エージェントを利用する場合は、適正な有料職業紹介事業者の認定を受けているかどうかを確認しましょう。

おすすめ薬剤師転職エージェント 2選

用途が違う2社を並べておくと、読者が「自分に合う方」を選びやすくなります。

ファルマスタッフ

待遇・年収を優先して、薬局/ドラッグストア中心に「選択肢を広く比較したい」人向け。 地域密着で“求人票にない情報”まで確認しながら提案してもらえます。

地域密着 薬局・Dgsに強い 条件交渉サポート 安心材料:外部認定

こんな人におすすめ

  • 薬局・Dgsの求人を多数比較して、待遇アップの可能性を最大化したい
  • 職場の雰囲気や方針など、求人票に出ない情報も踏まえて選びたい

強み(要点)

  • 全国対応・地域密着で求人情報の解像度が高い
  • 書類作成・面接調整・給与や休日の条件交渉まで手厚い
  • 日本調剤グループの教育ノウハウを活かした支援の訴求あり

注意点(デメリット)

  • 企業求人は相対的に弱め(企業志望が強い場合は併用が無難)

連絡頻度や希望条件は、最初に「ここまで」と決めて伝えるとストレスが減ります。

薬キャリAGENT

忙しくても効率よく進めたい/まず候補を短時間で作りたい人向け。 非公開求人や条件交渉、裏側情報の確認まで“スピード×実務代行”で進めやすいのが特徴です。

最短即日 非公開求人 交渉・調整代行 裏側情報の調査

こんな人におすすめ

  • 仕事が忙しく、転職活動の手間(調整・交渉)を減らして進めたい
  • 求人票だけでは判断できない点(働きやすさ等)も確認してミスマッチを減らしたい

強み(公式が掲示している特徴)

  • 最短即日で求人提案(最大10件/派遣は最大5件)
  • 非公開求人多数+市場に出ていない募集の有無も個別確認
  • 面接日程の調整や条件交渉を代行
  • 求人票に出ない“裏側”情報まで調査

※上記は薬キャリAGENT公式の特徴説明に基づく表現です。

注意点(デメリット)

  • 提案テンポが速いと感じる場合あり(連絡ペースは最初に指定がおすすめ)
  • 企業一本志望なら、企業特化サービスの併用も検討

中堅以上の方へ:若手のキャリア形成をサポートするという視点

なぜ「支援する側」の視点が必要か

この記事を読んでいる方の中には、すでに自分のキャリアがある程度固まっている方もいるかもしれません。そんな方にお伝えしたいのは、「若手のキャリア形成を支援する」という役割の重要性です。

薬剤師は国家資格を有する専門家ゆえに、専門職能の向上には関心が高いものの、キャリアデザインの考え方や手法への関心は低く、大学教育の中でそれらが扱われることはほとんどありません。

だからこそ、現場で働く中堅以上の薬剤師が、若手にキャリアについて考えるきっかけを与える必要があるのです。

でも、自分のキャリアもよく分からないのに、人に教えるなんて…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

“教える”というより、“一緒に考える”スタンスでいいと思います。自分の経験や迷いを共有するだけでも、若手にとっては大きなヒントになりますから。

具体的にできること

  • 1on1の時間を作る:業務の話だけでなく、「将来どうなりたい?」と聞いてみる
  • 自分の失敗談を話す:「あのときもっと早く考えておけばよかった」という話は、若手の心に響きやすい
  • 情報を共有する:報酬改定の動向や業界ニュースを、噛み砕いて伝える

まとめ|キャリアを考えることは「自分の生き方」を考えること

キャリアとは、単なる「職歴」や「経歴」ではありません。ドナルド・E・スーパーの定義を借りれば、「人生のある年齢や場面のさまざまな役割の組み合わせ」であり、仕事を含む自分の生き方そのものです。

薬剤師業界は、売り手市場から買い手市場への移行、対物業務から対人業務へのシフト、薬局の再編など、大きな変化の渦中にあります。2026年度の調剤報酬改定では、いわゆる「門前薬局」のあり方や地域偏在の解消が大きなテーマとなり、今後は小規模の調剤薬局の乱立が抑制される可能性もあります。

だからこそ、「早すぎる」くらいでキャリアについて考え始めるのがちょうどいい。

🚀 次の一歩として提案したいこと

  • まずは「5年後にどんな働き方をしていたいか」を1行でいいから書き出してみてください
  • 厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」を一度読んでみてください
  • 信頼できる相談相手(先輩、薬剤師会、適正な人材紹介会社など)を1人見つけてください

完璧な計画は必要ありません。考え始めること自体が、すでに行動です。


そして、キャリアについて考える必要があるのはわかったけど、キャリアについて考えるってもう少し具体的に知りたいってかたは以下の記事を参考にしていただければ幸いです。

📚 確認先(一次情報)

  • 厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」(2015年10月公表)
  • 厚生労働省「薬剤師の需給推計(案)」
  • 中央社会保険医療協議会(中医協)の資料(診療報酬改定の議論)
  • 東京商工リサーチ「調剤薬局の倒産動向」

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2 件のコメント

  1. 薬学生時代からブログを拝見しております。現在4年目で結婚を機に大手薬局がほぼ皆無の地方に引っ越し、零細薬局に勤めています。
    現在の薬局は「後発加算や在宅は患者や医療機関とのトラブルの元になるから算定・実施せず代わりに薬価差益を出すように」「検査値関連は医師の仕事であり薬剤師が口を出すことではない、検査値付き処方箋でも検査値関連で疑義照会しないように(アルサルミンが透析患者に処方され疑義照会を行おうとしたところ疑義の必要なしと注意された経験があります)」と薬剤師免許持ちの経営者から指導されており現在求められている薬局および薬剤師の在り方とは真逆で近い将来淘汰されるのでないかと危機感を覚えています。
    近隣の病院は往診も行っており在宅業務を行える人員の余裕もありますが経営者が在宅業務に関して後ろ向きで他グループの薬局に患者をごっそり取られています。
    処方箋通り薬を揃えテンプレ通りの服薬指導を行うだけで残薬調節や併用禁忌以外で疑義照会をすることはほとんどなく完全にぬるま湯状態です。服薬指導でうっかり下手なことを言うと処方医及び経営者から怒られるため患者様から何か聞かれても処方医に確認してくださいとしかお伝えできないのが本当に歯痒いです。
    このままでは今後生き残れる薬剤師になれないと感じており文献や処方解析等で自己学習をしていますがDo処方ばかりで限界があります。
    店舗異動をお願いしましたが玉突き異動で他のスタッフに迷惑がかかるため無理だと断られました。
    リクルーターに相談した所全国有数の薬剤師が多い地域でコロナも相まって求人もほとんどなく転職も容易ではありません、現在募集がかかっているところは今以上にレベルが低い所とハッキリ言われました。家族がいるため大手のナショナル社員になるのも不可能です。
    このままでは自己学習で知識を付けてもうまく活かせない単なる頭でっかちになりそうです。何かアドバイスを頂けたら幸いです。

    • >匿名さん

      コメントありがとうございます。
      久々のコメントで嬉しい上に、学生時代から見ていてくれているということで
      めちゃくちゃ嬉しいです。

      今いる環境についてですが、確かに4年目の薬剤師がこのまま居ていい職場とはいいづらいですね(汗)

      まず職場探しについてですが、面倒かもしれませんが複数の人材紹介会社に登録して担当者といい関係を築いておくことが有用です。
      これは、担当者が求人情報を手に入れたときに「〇〇さん、こういう職場探していたな」とすぐに思い浮かべてもらうためにですね。
      (失敗しない転職系の本で読みました)

      あとは薬剤師の交友関係を広げておくってのもいいと思います。
      SNS等のゆるいつながりで、職場がみつかるってこともありますし、私も自分の会社に某独身の薬剤師を入れようと思ったことあります。
      (失敗に終わりましたが…)

      知識面に関しては、アウトプットしなきゃなかなか蓄積しないものですので、ブログ等でもアウトプットする習慣はあってもいいかもしれません。
      わたしも昔は、匿名さんと同じような職場でしたがブログ始めてアウトプットしてたら、イイカンジに運がまわってきましたからね。
      その他でもブログ等でアウトプットしてたら、イイカンジになったって人、何人かいますし。
      知識面に関しては、リアルで活用できないと頭でっかちになるのは仕方ないですが、そこはもう頭でっかちで何が悪いの?という逆ギレでいいんじゃないですかね

      まとめです。

      ①転職活動は継続的に行うべし
      ②交友関係を深めるために勉強会や学会など積極的に参加
      ③仕事でアウトプットできないのであれば別の場所でアウトプットする習慣を

      う~ん、あまり参考にならないアドバイスかもしれませんが、ご了承ください。

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