また発がん性物質のニトロソアミン化合物での自主回収情報がでています。おそらくニトロソアミン化合物が基準値以上に検出されているので、クラスⅠでの自主回収になるのではないかと思いますが、自主回収が始まるのが2023年2月なんですよね。
発がん性物質が含まれている薬飲んで大丈夫なの?
患者
と一般の方なら思うのが普通だと思います。
ただ今までのニトロソアミン化合物との自主回収の歴史を振り返ってみると・・・おそらくアモキサンを服用していたからといって、がんになる人はほとんどいないと思います。
目次
アモキサンの発がん性リスクについて
アモキサピン製剤は長期間の投与も想定されることから、複数の製剤ロットが使用されることを考慮し、定量試験においてサンプリングされたロット毎の N-ニトロソアモキサピンの検出量の平均値を算出し、前項で設定した推定 ADI から N-ニトロソアモキサピンが発がん性を有すると仮定した場合のアモキサピン製剤の発がん性リスクを算出しました。サンプリングされた 10 ロットの検出量の平均値は 1.01ppm であり、アモキサピン製剤の国内における承認用量(本邦におけるアモキサピン製剤の用法及び用量は「アモキサピンとして、1 日 25~75 mg を 1~数回に分割経口投与する。効果不十分と判断される場合には 1 日量 150 mg、症状が特に重篤な場合には 1 日 300mg まで増量することもある。」である)を一生涯 70 年間毎日服用したときの理論上の発がんリスクは、75 mg 投与では 0.50×10-5、300 mg投与では 1.98×10-5 と推定されます。これは、75 mg 投与ではおよそ 20 万人に 1 人が、300 mg 投与ではおよそ 5 万人に 1 人が一生涯(70 年間)の曝露により過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。
るるーしゅ
ファイザーの推計では
- 75㎎/日なら、20万人に1人
- 300㎎/日なら、5万人に1人
これが上記の用量を70年間服用した際のリスクです
今回のアモキサンは、抗うつ薬という特性上、すぐに他薬へ切り替えてというのも容易ではない事例もあり、自主回収まで時間が猶予があるのではないかと思います。(ちなみにジェネリック医薬品もありません)
重要な基本的注意
投与量の急激な減少ないし投与の中止により、情動不安、悪寒、錯乱、頭痛、睡眠障害、倦怠感、嘔気、発汗等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
るるーしゅ
どれくらいの量が含有されていたかは不明ですが、今すぐやめないとがんを発症するというほどのものではないと思います。
(推測なので誤っていたら申し訳ございません)
ファイザー社のお知らせ内容について
ちなみにファイザー社の医師、薬剤師へのお願い内容は以下の通りです。
<処方元の先生方へのお願い>
- 本製品をご処方いただいております先生におかれましては、上記の状況をご理解の上、今後、新規の患者様への本製品のご処方をお控えいただくとともに、本製品を使用中の患者様につきましては、患者様の症状等を踏まえ、他の抗うつ薬等への切り替えをお願い申し上げます。
- また、本製品の処方に際して薬剤師の先生よりご照会があった場合は、先生のご判断を薬剤師の先生へお伝えくださいますよう、お願い申し上げます。
<薬剤師の先生方へのお願い>
- 本製品を調剤いただいております薬剤師の先生におかれましては、上記の状況をご理解いただきますとともに、本製品の処方箋を受け付けられた場合には、以下のとおり処方元の先生にご照会いただきますよう、お願い申し上げます。
(処方元の先生へのご照会事項)
- 本製品においてニトロソアミン化合物が検出され、新規患者様への処方を控えること、治療中の患者様への他の抗うつ薬への切り替えのお願いについて案内が発出されている。
- 本製品の急激な投与中止による「離脱症状」の発生を考慮して、他の抗うつ薬等への切り替えをご検討いただく必要がある。
- 2023 年 2 月頃から本製品の自主回収が予定されている。
- 処方された先生が本件をご存じの場合には、処方元の先生のご判断を踏まえ、患者様への調剤をご検討いただきますよう、お願い申し上げます。
- 処方された先生が本件をご存じない場合には、処方元の先生のご判断を踏まえ、患者様への調剤をご検討くださいますようお願い申し上げます。また、処方元の先生にご了承をいただいたうえで、弊社医薬情報担当者または上記「アモキサン問い合わせ専用窓口」へ、処方元の先生の連絡先等お知らせくださいますようお願い申し上げます。弊社より処方元の先生へご連絡いたします。
抗うつ薬としての代替薬について
アモキサンの三環系抗うつ薬に分類されますので、同じ三環系の抗うつ薬に変えればいいかというと、どうもそう単純な話でもなさそうで・・・(この領域、詳しくなくて申し訳ないです)
ファイザー社が日本精神神経学会にも連絡済みとのことなので、学会からの声明に期待したいところです。(2022年9月1日時点では、代替薬の詳細などの声明はなし)
いつもお世話になっている精神科薬剤師の桑原先生が、代替薬についてツイートしていましたので参考にのせておきます。もし、その他でこういう方法がいいのでは?等ありましたら、情報いただきたいです。
逆行性射精の代替薬について
添付文書上の効能効果は、うつ状態・うつ病しかのっていませんが、アモキサンは逆行性射精症にも保険が通ります。これは薬理作用からの判断のようです。
ア モ キ サ ピ ン と し て 1 日 量 25~50mg を 1 日 1 回 夕 食 後 、あ る い は眠 前 に 連 日 服 用 す る 。 効 果 不 十 分 の 場 合 は 、 1 日量 75mg ま で 増 量 する 。
ま た 、用 時 服 用 で は 、1 回 量 25~50mg を 1 時 間 前 に 1 回 服 用 す る 。
平成 30 年9月 28 日 保医発 0928 第3号 医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについてより
るるーしゅ
医中誌で検索すると、男性不妊で使用していて、挙児を得た症例報告が複数ヒットします
この事例で使用されていた場合、保険適用される代替薬はないと思います。自費で他の三環系抗うつ薬に変えるかどうかってところかなと。(こちらも詳しい方いれば情報お願いします)
最後に
今回はアモキサンの自主回収の対応について、現時点でのわたしの頭の中を文字に起こしてみました。
まだ情報が出たばかりで、これからアップデートしていかなきゃいけないところが多いと思いますが、参考になれば幸いです。
アモキサン、わたしもほとんど触ったことのない薬剤のため、名前だけ聞くと「アモキシシリン製剤では?」と思ってしまいます。(不勉強で申し訳ございません)
るるーしゅ
参考となる情報があれば共有してほしいです