今回は、薬剤師のなかで槍玉に挙げられる敷地内薬局について解説します。敷地内薬局は薬剤師たちに叩かれているが、何故叩かれているのか?
そういったことを丁寧に考えて、議論の本質について考えるようになっていただければ幸いです。
くれぐれも、「有名な〇〇さんが敷地内薬局を叩いているから」とか「みんな言ってるから」みたいな思考停止にならないようにお願いいたします。
目次
そもそも敷地内薬局ってなんだっけ?
大きい病院の敷地内にある薬局のことです。ちなみに上の図は千葉大学にある敷地内薬局をイメージして作成しました。
敷地内薬局がOKになった経緯は?
敷地内薬局が容認されるまでは、医療機関と薬局はフェンスなどで仕切られていました。
なぜかというと法令で薬局は「医療機関と一体的な構造とし、一体的な経営を行うこと」が禁じられており、これを担保するために厚労省が求めてきたのが、両者を隔てるフェンスだったからです。
厚生労働省
フェンスで仕切られていれば、一体的な構造とはみなさない
このようなスタンスだったのですが、規制緩和の波がきます、それが2014年10月です。
フェンスなどで仕切られていると、身体が不自由な人、車いすを利用する人、子供連れ、高齢者にとっては不便なので、いったん公道に出て入り直すという杓子定規な考え方は見直してほしい
老人
厚生労働省
ぐぬぬ…致し方なし
医療機関と薬局が直接行き来できる構造でなければ、一体的な構造とはみなさない
こうして2016年3月に10月からは、医療機関と薬局が直接行き来できるような構造でなかれば敷地内薬局認めるよ!という方針に変わりました。
敷地内薬局に対する意見
まず敷地内薬局についてですが、日本薬剤師会は反対しています。理由は、薬局のあるべき形ではなく、病院の調剤部門に過ぎないという理由からだと思います。
厚生労働省も賛成はしていないが、やむを得ないといった感じにみえます。
(なんか薬剤師6年生にするときに戦った文科省の人が敷地内薬局推進派らしく、大学病院にはすべて敷地内薬局を作ろうとしているとか…因縁あり)
保険薬局協会や日本チェーンドラッグ協会は、傘下の薬局、ドラッグストアが敷地内薬局にはいっているのでまぁ仕方ないって感じじゃないでしょうかね。
じゃあ敷地内薬局のなにが問題なの?
そろそろ本題にうつりますが、じゃあ敷地内薬局の何が問題なのか?という話になります。
敷地内薬局は、医療機関の敷地を借りて営業するため、バカ高い家賃を支払う、それがダメだ!
という意見も目にしますが、別に家賃が高いからけしからんって意味わからないですよね。もうすこし、バカ高い家賃を支払っていると何が問題なのですかね~
バカ高い家賃を支払うことで、「大家と店子」の関係になり、大家に物言いができなくなり、安全な薬物療法の実践が難しいのではないか?
これどうなんですかね、なんか病院薬剤師に失礼な感じもして、モヤモヤするんですよね。
まぁ薬局薬剤師は病院薬剤師と違って、医療人マインドが少ないから、物言いが出来なくなるという自虐的な部分があるなら、また別なのですが…(それはそれで嫌だけど)
敷地内薬局は叩きやすいのはわかりますが、どこまでが許せないんですか?
大病院の前に並ぶ薬局はどうなんだ?
・・・これもアウトです。
じゃあ診療所敷地内薬局はどうなんだ?
・・・これもアウトです。
じゃあ診療所の隣にある薬局はどうなんだ?
・・・えっとそれは…
一人薬剤師だから在宅はできない、多職種連携会議も参加できない、という薬局はどうなんだ?
・・・
るるーしゅ
撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ
どういった薬局はありで、どういった薬局はなしなのか、本質的な部分について考えてほしい
この記事(89314)にも書いているけど、薬局薬剤師の現状、崖っぷちだと思ってます。
そして現状の敷地内薬局を薬剤師が叩いている構図が、中医協が医師会が牌を取るために薬剤師を叩いている構図と似ているような気がします。
るるーしゅ
やるべきことをしっかりやろうよ