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2022年調剤報酬改定のポイントについて

今回は2022年4月の調剤報酬改定にむけての議論点が中医協で示されましたので、薬局に関連しそうな部分についてまとめたいと思います。

今後、1月14日にまた議論の部分での攻防があるかと思いますが、ここを重視しているというのが分かるかと思います。

令和4年度診療報酬改定の方針について

まず令和4年度(2022年)診療報酬改定の4つの基本方針について示します。この4つの方針にそって議論していきますよというところです。

上記の基本方針の中で薬局薬剤師が関係してくる部分は

  • Ⅰー5 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価
  • Ⅰー6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
  • Ⅱー5 業務の効率化に資する ICT の利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価
  • Ⅲー2 医療における ICT の利活用・デジタル化への対応
  • Ⅲー4ー6 小児医療、周産期医療、救急医療の充実
  • Ⅲー6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価
  • Ⅳー1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
  • Ⅳ-7 医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進
  • Ⅳ-8 効率性等に応じた薬局の評価の推進

になります、強調している部分は注目部分です。それでは各項目、どんな方向性になるのか予想も踏まえて紹介していきます。

Ⅰー5 かかりつけ薬剤師の機能の評価

かかりつけ薬剤師指導料等を算定する患者に対して、かかりつけ薬剤師以外がやむを得ず対応する場合に、あらかじめ患者が選定した薬剤師がかかりつけ薬剤師と連携して実施する服薬指導等について新たな評価を行う。

るるーしゅ

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かかりつけ薬剤師が100%対応できていないこともあるけど、その場合も色々とやっているので評価してほしいということ

尚、本内容について当時委員だった幸野さんも「かかりつけ薬剤師以外の対応については、かかりつけ薬剤師責任の下、他の薬剤師がフォローすることはあってよい。」と肯定的な意見でしたので、おそらく薬歴管理料よりは高い金額になるのではないかと思います。

  • 通常かかりつけ薬剤師指導料等を算定している患者に、かかりつけ薬剤師以外が対応する場合があると回答した薬局は、全体の約61.8%であった。
  • かかりつけ薬剤師以外が対応する場合、「担当が勤務外の時」や「担当が他業務中」との回答が多かった。
  • かかりつけ薬剤師以外が対応する場合、「その時対応できる者」が対応するとの回答が約9割であった。
  • かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の体制としては、「薬歴で申し送り事項が共有されている」や「服薬指導結果をかかりつけ薬剤師に報告する」という回答が多かった。
  • かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の課題としては、「薬剤師によって指導内容や相談への返答が変わらないように注意する必要がある」や「患者の状況等が十分に把握できていない」という回答が多かった。

Ⅰー6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

在宅患者に対する薬学的管理指導を推進する観点から、以下の見直しを行う。

  1. 在宅患者への訪問薬剤管理指導について、主治医と連携する他の医師の指示により訪問薬剤管理指導を実施した場合を対象に加える。
  2. 在宅で医療用麻薬持続注射療法が行われている患者に対して、注入ポンプによる麻薬の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。
  3. 在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。

入院患者に対する退院時共同指導における関係機関間の連携を推進する観点から、薬局に係る退院時共同指導料について、共同指導への参加者の要件を見直すとともに、関係医療機関・医療従事者間の効率的な情報共有・連携を促進する観点から、情報通信機器の利用に係る要件を見直す。

上のほうは特に反対意見もないでしょうから大丈夫かと思います。下のほうは現状もオンライン化ですが、もっと緩和していく方向になるのではないかと思います。(緩和されても件数が少ないと困ったことになりますので緩和されたらしっかり参加しましょう)

Ⅱー5 業務の効率化に資する ICT の利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価

医療機関等における業務の効率化及び医療従事者の事務負担軽減を推進する観点から、施設基準の届出及びレセプト請求に係る事務等を見直す。

今これってどうなっているんですかね?後発品加算も当月中に反映させたいなら、1日に厚生局に持っていく、翌月以降でよければ2日以降に出すみたいなのありましたよね?(なのであがった場合は1日に、下がった場合は2日以降に出す)

ただわざわざ厚生局にいくのは大変なのでもっと簡便にしてほしいと思います。

Ⅲー2 医療における ICT の利活用・デジタル化への対応

オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、外来患者及び在宅患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導等について、要件及び評価を見直す。

新型コロナの特例(0410)もあわさって、このあたりややこしいんですよね(汗)

同じオンライン服薬指導でも0410対応のほうが要件が緩やかなうえに点数も高いので、なんでわざわざ現行のルールを使うんだ?ってなりますよね…要件整理されて、もっと簡便化されることを期待します。

Ⅲー4ー6 小児医療、周産期医療、救急医療の充実

小児慢性特定疾病の児童等又は医療的ケア児に対する専門的な薬学管理の必要性を踏まえ、医療機関と薬局の連携を更に推進する観点から、小児入院医療管理料を算定する病棟における退院時の当該患者等に対する服薬指導及び薬局に対する情報提供について、新たな評価を行う。

医療的ケア児に対する支援の充実を図る観点から、医療的ケア児に対して薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。

Ⅲー6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価

ここの項目は薬局薬剤師メインなので内容が多いです。

地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を適切に評価する観点から、地域支援体制加算について要件及び評価を見直す。

薬機法の地域連携薬局と、健康保険法の地域支援体制加算は求められいる対象が異なるので、要件は異なってもいいのですが少し合わせておきましょうという流れになると思います。

基本料1のところが地域支援取得するの楽すぎるので、もう少し要件をプラスしてもいいですよね。基本料1以外のところも地域連携薬局とっているなら地域支援体制加算が算定できるとかだと、もっと基本料1以外のところも算定できるようになるし、地域連携薬局が増えるのでいいような気がしますが…どうでしょうね

対物業務及び対人業務を適切に評価する観点から、薬局・薬剤師業務の評価体系について、以下の見直しを行う。

  1. これまで調剤料として評価されていた薬剤調製や取り揃え監査業務の評価を新設する。
  2. これまで調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析、調剤設計等と、これまで薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴の管理等に係る業務の評価を新設する。
  3. 薬剤服用歴管理指導料として評価されていた服薬指導等に係る業務の評価を新設する。
  4. 薬剤服用歴管理指導料に係る加算について、評価の在り方を見直す。
  5. 複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者が、薬局を初めて利用する場合又は2回目以降の利用であって処方内容が変更された場合における当該患者に対する薬学的管理について、新たな評価を行う。

調剤料=対物業務みたいに言われているけど、対人の部分もありますのでこの調剤料を分解して、各項目で評価していくことになるのではないかと思います。今までのように日数によって調剤料が高くなるようなシステムはなくなり、一律の方向に向かうのではないかと思います。

⑤の6剤以上では、幸野議員やその他の委員に色々と言われていましたが、どうなりますかね…ここは幸野さんが現場の薬剤師はこんなところを評価してくれって本当に思っているんですか?といってたこともあり、コメントしづらいですね(汗)

薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換を推進する観点から、対人業務に係る薬学管理料の評価について、以下の見直しを行う。

  1. かかりつけ薬剤師指導料等を算定する患者に対して、かかりつけ薬剤師以外がやむを得ず対応する場合に、あらかじめ患者が選定した薬剤師がかかりつけ薬剤師と連携して実施する服薬指導等について新たな評価を行う。(Ⅰ-5(8)再掲)
  2. 地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、調剤後薬剤管理指導加算について、評価を見直す。
  3. 入院予定の患者に対して、医療機関からの求めに応じて、薬局において持参薬の整理を行うとともに、当該患者の服用薬等に関する情報を一元的に把握し、その結果を医療機関に文書により提供した場合について、新たな評価を行う。
  4. 多種類の薬剤が投与されている患者又は直接被包から取り出して服用することが困難な患者に対して、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で、内服薬の一包化を行い、必要な服薬指導を行った場合について、新たな評価を行う。
  5. 服用薬剤調整支援料2について、減薬等の提案により、処方された内服薬が2種類以上減少した実績を踏まえて、評価を見直す。

小児入院医療管理において、病棟薬剤師による介入が医療の質の向上につながっている実態を踏まえ、小児入院医療管理料を算定する病棟における病棟薬剤業務実施加算の評価の在り方を見直す。(Ⅱ-4(3)再掲)

Ⅳ-1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進

後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、以下の見直しを行う。

  1. 後発医薬品の調剤割合が高い薬局に重点を置いた評価とするため、後発医薬品調剤体制加算について要件及び評価を見直すとともに、後発医薬品の調剤割合が低い薬局に対する減算について要件及び評価を見直す。

後発品体制加算も75%→80%、足切りも40%→60%になるというのが予測されていますが、昨今の供給困難なこともあり、もうすこしなんとかならないかな~と有澤さんに期待ですかね。

Ⅳ-7 医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進

薬剤給付の適正化の観点から、湿布薬を処方する場合に、処方箋等に理由を記載することなく処方ができる枚数の上限を見直す。

なんか上限35枚というのが中医協で話し合われていましたがどうなりますかね…

症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける。(Ⅰ-7(12)再掲)

リフィルきましたね、90日分の処方箋などを30日×3回でフォローするとかですかね。海外ではすでに導入済みですのでどういったことに注意して、受診勧奨するかとか調べておかなきゃいけないな~と思ってます。

Ⅳ-8 効率性等に応じた薬局の評価の推進

調剤基本料について、損益率の状況等を踏まえ、同一グループ全体の処方箋受付回数が多い薬局及び同一グループの店舗数が多い薬局に係る評価を見直す。

大手チェーンは儲かっているから下げるべきだっていうのも、ちょっとな~と思うんですよね。(仕方ないのかもしれませんが)あと医療モール内の薬局の利益率も高いことからメスが入るかもしれないですね。

特別調剤基本料について、医薬品の備蓄の効率性等を考慮し、評価を見直す。

これは敷地内薬局について厳しい評価という話ですね。ただ敷地内薬局というと大きい病院のなかの敷地内薬局を想定していると思いますが、診療所の敷地内薬局も同様に厳しい評価にされるそうです。

そして診療所敷地内では、なかなか賃貸関係の見分けがつかないこともあり、大鉈がふるわれるかもしれないですね(汗)

(大病院)の敷地内薬局けしからんと声をあげていた薬局の人が、診療所敷地内薬局に該当して、基本料大幅減とかもありうるかもしれないです。

最後に

今回は2022年1月12日の中医協のなかで紹介された令和4年度の調剤報酬改定の変更ポイントを紹介しました。

この内容を今後の中医協のなかで議論されていきますが、やっぱり今後の薬剤師は専門性を生かしていかなきゃ評価されない方向ですよね。

最近、読んだ本で医療従事者のなかで薬剤師という職種がここ10年で大きく変化したと紹介されていました(病院薬剤師かもしれないですが)

日本は世界と比較して薬剤師の数が多いのは事実です。それは海外では薬剤師以外がやる業務(テクニシャン)をやっているという指摘もありますが、そのへんは今後、医療事務の方が担ってくる部分になると思います。(電子処方箋により、処方箋入力業務が減ると思いますし)

あと、この需給予測見て、勝手に△かと思っているかもしれませんが、現状は▲ですよね?とりあえず△にしつつ、もっと上の推移まで職能を拡大させようとするのもありなんじゃないかなと思ってます。

だって世界トップの薬剤師大国なんですからね。薬剤師過剰時代だからこそ、様々な働き方ができるというプラスな面もあると思います。

るるーしゅ

るるーしゅ

調剤報酬はこんな風に変わっていきますよと。生殺与奪の権を調剤報酬改定に握らせるな!ということも大切ですので頑張っていきましょう。

今後に不安がある方は上記の記事を是非とも読んでみてくださいね。調剤が楽で儲けられる時代ではないので今後もますます大変になってきて、給料もあまり変わらないというのが現実だと思います。

これは以前の中医協での内容を記載したものです。今回の議論のポイントになったものも数多くあり、その際にどうような意見がでたのか気になると思いますのでよかったら是非

参考資料

中央社会保険医療協議会 総会(第509回) 議事次第
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00132.html

るるーしゅ

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るるーしゅ

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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