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薬剤師が普段どんなことを考えているか知っていますか?
薬剤師の仕事なんて、誰でもできる簡単な仕事でしょ?という厳しいご意見を受ける場面もここ最近は時代が変わってきたのか減ってきている印象ですが、もっと薬剤師のことを知っていただきたいので今回はありふれた解熱鎮痛剤のカロナール®が処方されたケース際の薬剤師の思考回路をご紹介いたします。
仮想症例
2019年7月26日 3歳0カ月 男児
小児科より下記の処方箋を持参し、母親のみ来局
カロナール細粒20% 1回量 0.5g
6回分 発熱時
(処方箋交付日 2019年7月25日)
あーこれ、なかなか頭の中でいろいろなことを想定しなきゃいけないですね
メガネ
薬剤師がお薬を渡すときに考えていることは?
- その処方内容のまま、患者に渡していいか?(処方内容の妥当性)
- そのくすりを使用する際の注意点は?
- 使用後はどういったことに注意する必要があるか?
るるーしゅ
大体、こんな感じじゃないかな
その処方内容のまま、患者に渡していいか?(処方内容の妥当性)
るるーしゅ
医師が処方を間違えるわけがないと思う人もいるかもしれませんが、医師も人間なので間違えることもあります。 また間違えではないけど、もっといい薬剤の選択に気づくこともあります。
そして我々、薬剤師は医師のカルテの内容が見れるわけではないので、患者さんに話を聞かなければ処方内容が妥当なのかどうかわからないんですよね
メガネ
3歳でカロナール細粒0.5gの処方量は少ない
カロナール細粒0.5gの量で適切な体重は6.5kg~10kgくらいです。
3歳0カ月の男の平均体重は13.7kgなので、この量は少ないなと感じます。
今回のケースだとお母さんだけなので、体重を確認します。体重によっては医師へ確認します。
また体重が10kgくらいなら平均より少ないため低身長などの可能性がないかなども考えます。
処方意図の確認
- 今回の小児科の受診理由はなんだったのか?
- 熱はどれくらいあるのか?いつごろから出ているのか?
- 昨日発行された処方箋で今日取りに来ているのは何か理由があるのか?
- 残薬があったのか?
- それとも子どもの具合が悪すぎて薬局でもらう余裕がなかったのか?
基礎疾患などの確認
今回の幼児へのカロナールですと、副作用歴や併用薬との相互作用などが問題になることは少ないですが確認事項です。
熱性けいれんの既往があったりすると、解熱剤の使用に対してのスタンスが医師により様々なのでそれについても確認します。
そのくすりを使用する際の注意点
るるーしゅ
くすりは持っているだけでは効きません。きちんと使用できて効果がでます。
一方、誤って使用してしまうと健康被害がでてしまうこともあります。 そのため、きちんと使用するために注意しなければいけません。
こどもは散薬を飲んでくれるのか?
くすりが苦手で、お母さんが無理矢理飲ませて、さらにくすり嫌いに…という悪循環を起こしてしまっていることあります。
もし苦手なら、何故飲めないのか一緒に考えて、その子にあった服薬支援を提供できるかもしれません。
粉薬が苦手というと、粉薬の味に注視してしまいますが、そう単純なことではありません。
解熱鎮痛剤に対する理解度は?
くすりに対する認識はどの程度かですね、これが患者側と薬剤師側でずれたままだと話がかみ合いません。
- 保育園に預かってもらうために、少しだけ熱を下げたいから半分くらい飲ませる。
- 熱をさげたほうが早く良くなる。
- くすりで熱を下げると、症状が長引く。などなど…
使用後はどういったことに注意する必要があるか?
くすり以外の発熱への対応について
冷えピタや熱さまシートは効果があるのかや、お風呂にいれるのはどうなんだ?
厚着させておくのがいいのか?などなど
自然経過を再受診の目安について
今回の病状について医師から説明があったならそれの確認、そして悪化したりよくならない場合、再度受診したほうがいい場合の確認
またくすりが合わなかった場合などなど
他者へうつす可能性について
帰宅後と食事の前に手洗いするようにとか、タオルの共用はNG、食事のタイミングも可能ならほかの兄弟とずらすなど
まとめ:単純な処方でも薬剤師は色々考えている
るるーしゅ
まぁこんな感じで色々薬剤師は考えています。そしてそれをいかに限られた時間の中でやるんでコミュニケーション能力がとても重要なんです。
医師に話したことを薬剤師にもう一度話すのが面倒というご意見があるのも重々承知ですが、我々薬剤師も患者さんの健康を考えてのことですのでどうかご協力いただければ幸いでございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。