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DPP4阻害薬による類天疱瘡について薬剤師として知っておいてほしいこと

2023年7月28日にPMDAより「DPP-4阻害薬による類天疱瘡への適切な処置について」というタイトルで適正使用のお願いがでています。

類天疱瘡とは、免疫が白分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つであり、自己抗体により皮膚や粘膜に水ぶくれやただれ、紅斑を生じる疾患です。

DPP4阻害薬による副作用で類天疱瘡があるのは、ご存じの薬剤師が多いかと思いますが、PMDAから適正使用のお願いが出ているため、適切に対応できるように今回、最低限知っておいたほうがいい内容についてまとめたいと思います。

最後まで読むのがめんどくさい薬剤師の方へ
  • どれくらいの頻度で起こるのか?
    →明確なデータはないが、1000人に1人くらいの頻度で出る可能性(日本での研究より)
  • 服用後どれくらいの時期に起こりやすいのか?
    →服用後20カ月をピークに5年後を過ぎるまで高いという報告あり
  • どのDPP4阻害薬で多いのか?
    →日本だけではなく海外でもビルダグリプチン(エクア®)での報告が多い(=起きやすいのかどうかまでは断言できない)
  • 初期症状はどんなのか?
    皮膚にかゆみを伴う水疱、ただれなどの症状(DPP4阻害薬によるものは紅斑は乏しいことが多いとのこと)
  • 性差や年齢について
    一般的な類天疱瘡には性差はないが、DPP4阻害薬による類天疱瘡は男性に報告が多い。また年齢は高齢者に多いとされる(フランスの研究では80歳以上がリスク因子)
  • 診断や治療について(一応)
    診断は血中自己抗体価の測定や皮膚生検をするようなので、皮膚科等の専門医が必要なのかもしれない。また治療については、基本はDPP4阻害薬は中止し、必要に応じステロイドとのこと。

PMDAからの「DPP-4阻害薬による類天疱瘡への適切な処置について」

それでは、まずPMDAからの適正使用のお願いについてみてみましょう。

糖尿病治療薬であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬及びその配合剤(以下、「DPP-4阻害薬」)の副作用として「類天疱瘡」が知られており、添付文書等において注意喚起がなされています。

しかしながら、DPP-4阻害薬の投与後※に類天疱瘡が発現した患者さんにおいて、初期症状である皮膚の異常がみられた後も本剤の投与が継続された結果、類天疱瘡の悪化をきたし、入院に至っている事例が報告されています。
※発現までの投与期間は、開始後早期から数年の事例まで、幅広く報告されています。

今回の適正使用のお願いのポイントは、黄色い線を引いた部分だと思います。図解するとこんな感じですね。

では、具体的にどのようなことをしてもらいたいのかが以下の内容です。

DPP-4阻害薬の使用中に、そう痒を伴う浮腫性紅斑、水疱、びらん等があらわれ、類天疱瘡の発現が疑われる場合には、速やかに皮膚科医と相談し、DPP-4阻害薬の投与を中止するなどの適切な処置を行うよう、注意をお願いいたします。

るるーしゅ

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我々、薬剤師は副作用のモニタリングは特に注意すべきポイントなのでしっかりとやらなきゃね

以下に、DPP4阻害薬と類天疱瘡について副作用モニタリングを実施する上で、気になる内容についてまとめています。

DPP4阻害薬による類天疱瘡はどれくらいの頻度で起こるのか?

まずはDPP4阻害薬による類天疱瘡の頻度についてです。

岐阜県の大垣市民病院の研究1)によると、DPP4阻害薬を投与した9304人中、8人(0.086%)が類天疱瘡を発症したと報告しています。

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これ以外のデータは探していませんがだいたい1000人に1人くらいの割合で起きるかもしれないと思っておくといいと思います。

DPP4阻害薬による類天疱瘡は1000人に1人くらいの頻度と想定される。

服用後どれくらいの時期に起こりやすいのか?

つづいて、DPP4阻害薬による類天疱瘡は、服用後どれくらいの時期に起こりやすいのかについてです。

一般的な薬疹ですと服用してから5日から14日程度と言われていますが、DPP4阻害薬による類天疱瘡は服用してから数年後にも発生することが報告されています。

症例報告を見ても1カ月から48カ月とかなり幅が広いです。2)

2019年の研究によると、DPP4阻害薬による類天疱瘡の発症リスクは DPP4 阻害薬の服用開始後から徐々に上昇し、約20カ月後にピークを迎え、その後5年を過ぎるまで高いと報告されています。3)

DPP4阻害薬による類天疱瘡は服用後、約20カ月後にピークを迎え、その後5年を過ぎるまで高い

どのDPP4阻害薬で類天疱瘡の報告が多いのか?

DPP4阻害薬のなかでも発生頻度に差があるのではないかと言われています。

以下は類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドライン補遺版での内容です。

CQ3.‌DPP-4 阻害薬の種類によって類天疱瘡の発症頻度は異なるか?

推奨文 DPP-4 阻害薬の種類によって類天疱瘡の発症頻度が異なる可能性が高い

各国よりレジストリを用いた疫学研究やコホート研究,メタ解析が行われ,DPP4 阻害薬の種類と類天疱瘡の関連が報告されている.DPP4 阻害薬と類天疱瘡の関連を疫学的に示した最初の報告であるヨーロッパ薬剤安全性情報監視データベースによる研究においても薬剤の種類との関連について検討が行われ,ビルダグリプチン,リナグリプチン,サキサグリプチン,シタグリプチンが類天疱瘡と関連していることが示された.研究デザインの限界により,各薬剤を比較した真のリスクを述べることができないことに留意する必要があるが,ビルダグリプチンにおいて最も高いオッ
ズ比を示した.
類似した検討が日本でもなされ,ビルダグリプチン,リナグリプチン,テネリグリプチンにおいて統計的に類天疱瘡と有意な関連が示された.2016 年以後各国よりビルダグリプチンやリナグリプチンといった DPP4 阻害薬の種類と関連したリスクの増大が示されている.しかし,類天疱瘡発症と DPP4 阻害薬の種類に関連付けられる病態は現時点で明らかではないこと,選択バイアスや報告バイアスの影響を排除できないことから,今後も検討を重ねる必要がある

類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドライン補遺版より

日本での副作用データベース(JADER)を用いた研究4)によると、報告オッズ比は以下のとおりです。

一般名ROR95%CI先発品名
アログリプチン8.024.87-13.22ネシーナ
アナグリプチン10.843.46-33.96スイニー
シタグリプチン12.599.86-16.06ジャヌビア
トレラグリプチン13.773.40-55.85ザファテック
サキサグリプチン15.855.87-42.79オングリザ
リナグリプチン28.9621.38-39.23トラゼンタ
オマリグリプチン43.795.85-327.70マリゼブ
テネリグリプチン58.5242.75-80.10テネリア
ビルダグリプチン105.3388.54-125.30エクア
るるーしゅ

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ビルダグリプチン(エクア)で報告が多いことが分かります。

ただ報告オッズ比(ROR)には取り扱いには注意が必要です。

JADER を用いた研究発表の際に留意すべきチェックリストの提案5)には単純にRORだけを比較しないようにという記載があります。

不均衡値を比較しない
複数の医薬品の不均衡計算値(Reporting Odds Ratio;ROR など)について,計算値の大きさのみによって単純な比較を行っていないこと.

例を出してみると、JADERを用いてNSAIDsと消化器障害の報告オッズ比(ROR)を計算した結果、COX2
選択性の高いNSAIDsで特に高い値を示しました。6)

一般名ROR95%CI
アスピリン15.7614.45-17.19
インドメタシン3.401.24-9.32
エトドラク10.157.96-12.94
ジクロフェナク8.877.52-10.46
セレコキシブ3.943.22-4.82
ナプロキセン11.616.55-20.59
メロキシカム15.0111.74-19.21

報告オッズ比だけでビルダグリプチン(エクア)が多いというのは不適切かもしれませんが、ただ別のところで紹介した岐阜県の大垣市民病院の研究1)でもビルダグリプチン(エクア)の頻度が高い可能性が示唆されています。

以下にDPP4阻害薬を投与した9304人中、8人(0.086%)が類天疱瘡を発症した際、どのDPP4阻害薬を服用していたかを示した表です。

一般名先発品名類天疱瘡
シタグリプチンジャヌビア3/50710.059%
アログリプチンネシーナ1/18990.053%
リナグリプチントラゼンタ1/13070.077%
ビルダグリプチンエクア3/10270.292%
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発症した人数が少ないため、確定的なことは言えませんが、ビルダグリプチンには他のDPP4阻害薬によりリスクが高い可能性があります。

ビルダグリプチン(エクア)は類天疱瘡のリスクが高い可能性がある

性差や年齢でリスクに差はあるのか?

つづいて男性、女性で性差があるのか、また若年層や高齢者など年齢によってDPP4阻害薬による類天疱瘡のリスクが変わるのかについてです。

男女でDPP4阻害薬による類天疱瘡のリスクに差はあるか?

まず性別に関してですが、一般的な類天疱瘡は性別に差がないそうです。しかしDPP4阻害薬による類天疱瘡については男性での報告が多いようです。

日本での30例の症例報告7)では、23人が男性でした。またフランス、スイス8)、韓国9)でも男性で多かったことが報告されています。

年齢でDPP4阻害薬による類天疱瘡のリスクに差はあるか?

さきほどの日本での30例の症例報告でも平均年齢は75.8歳、フランス、スイスの研究ではDPP4阻害薬による類天疱瘡のリスク因子として80歳以上と言及されているため、高齢者のほうがリスクが高いと考えてよさそうです。

尚、これはDPP4阻害薬による類天疱瘡だけではなく、通常の類天疱瘡でも高齢者のほうがリスクが高いようです。

DPP4阻害薬による類天疱瘡は男性、高齢者で多い

類天疱瘡の診断や治療について

診断や治療については、薬剤師はそこまで知らなくてもいいのではないかな(医師へつなぐまで重要)と思いますが、一応どんな感じなのか調べてみました。

水疱性類天疱瘡の診断には,臨床症状,病理組織学的所見,蛍光抗体法,ELISA(CLEIA)法,免疫ブロット法などが用いられる。

類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドラインより

あまりよく分かりませんが、冒頭に述べた通り類天疱瘡は自己免疫疾患のひとつなので抗体検査や病理検査をする必要があるようなので専門医(皮膚科医)への受診が必要になってくると思います。

治療について類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療もガイドラインで示されています。

我々、薬剤師が出会うであろう軽症例なら、DPP4阻害薬を中止し、外用ステロイドにテトラサイクリン系を追加してみたいな治療法でした。

類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドラインより

るるーしゅ

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中等度以上の場合は、ガイドラインみてください。

まとめ

今回は、DPP-4阻害薬による類天疱瘡について薬剤師が知っておいてもらいたい内容をまとめてみました。

内容のまとめ
  • どれくらいの頻度で起こるのか?
    →明確なデータはないが、1000人に1人くらいの頻度で出る可能性(日本での研究より)
  • 服用後どれくらいの時期に起こりやすいのか?
    →服用後20カ月をピークに5年後を過ぎるまで高いという報告あり
  • どのDPP4阻害薬で多いのか?
    →日本だけではなく海外でもビルダグリプチン(エクア®)での報告が多い(=起きやすいのかどうかまでは断言できない)
  • 初期症状はどんなのか?
    皮膚にかゆみを伴う水疱、ただれなどの症状(DPP4阻害薬によるものは紅斑は乏しいことが多いとのこと)
  • 性差や年齢について
    一般的な類天疱瘡には性差はないが、DPP4阻害薬による類天疱瘡は男性に報告が多い。また年齢は高齢者に多いとされる(フランスの研究では80歳以上がリスク因子)
  • 診断や治療について
    診断は血中自己抗体価の測定や皮膚生検をするようなので、皮膚科等の専門医が必要なのかもしれない。また治療については、基本はDPP4阻害薬は中止し、必要に応じステロイドとのこと。

以上を踏まえて、薬剤師がすることは、数カ月以上DPP4阻害薬を服用している患者さんには、かゆみを伴う水疱やただれがでていないかを定期的に確認しましょう。

薬剤師が実施すること

  • かゆみを伴う水疱やただれがでていないかを定期的に確認
るるーしゅ

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頻度:1000人に1人くらい
時期:服用後20カ月~5年後くらいまで高い
薬剤:ビルダグリプチン(エクア)で多いかも
年齢・性差:高齢者、男性がリスク因子かも

参考文献
  1. Kawaguchi Y, Shimauchi R, Nishibori N, Kawashima K, Oshitani S, Fujiya A, Shibata T, Ohashi N, Izumi K, Nishie W, Shimizu H, Arima H, Sobajima H. Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors-associated bullous pemphigoid: A retrospective study of 168 pemphigoid and 9,304 diabetes mellitus patients. J Diabetes Investig. 2019 Mar;10(2):392-398. doi: 10.1111/jdi.12877. Epub 2018 Jul 25. PMID: 29920976; PMCID: PMC6400158.
  2. Droesch C, Do MH, DeSancho M, Lee EJ, Magro C, Harp J. Livedoid and Purpuric Skin Eruptions Associated With Coagulopathy in Severe COVID-19. JAMA Dermatol. 2020 Sep 1;156(9):1-3. doi: 10.1001/jamadermatol.2020.2800. Erratum in: JAMA Dermatol. 2020 Nov 1;156(11):1272. PMID: 32756881; PMCID: PMC7376463.
  3. Douros A, Rouette J, Yin H, Yu OHY, Filion KB, Azoulay L. Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors and the Risk of Bullous Pemphigoid Among Patients With Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2019 Aug;42(8):1496-1503. doi: 10.2337/dc19-0409. Epub 2019 Jun 10. PMID: 31182489.
  4. Arai M, Shirakawa J, Konishi H, Sagawa N, Terauchi Y. Bullous Pemphigoid and Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors: A Disproportionality Analysis Based on the Japanese Adverse Drug Event Report Database. Diabetes Care. 2018 Sep;41(9):e130-e132. doi: 10.2337/dc18-0210. Epub 2018 Jul 12. PMID: 30002201.
  5. 酒井隆全. “2. JADER を用いた研究発表の際に留意すべきチェックリストの提案.” 薬剤疫学 25.2 (2020): 64-73.
  6. 野口義紘, et al. “安全性シグナル指標を用いた経口非ステロイド抗炎症薬の 既知の有害事象である消化器障害のリスク評価とその注意点.” 医薬品情報学 19.3 (2017): 127-132.
  7. Ujiie H, Muramatsu K, Mushiroda T, Ozeki T, Miyoshi H, Iwata H, Nakamura A, Nomoto H, Cho KY, Sato N, Nishimura M, Ito T, Izumi K, Nishie W, Shimizu H. HLA-DQB1*03:01 as a Biomarker for Genetic Susceptibility to Bullous Pemphigoid Induced by DPP-4 Inhibitors. J Invest Dermatol. 2018 May;138(5):1201-1204. doi: 10.1016/j.jid.2017.11.023. Epub 2017 Dec 2. PMID: 29203362.
  8. Benzaquen M, Borradori L, Berbis P, Cazzaniga S, Valero R, Richard MA, Feldmeyer L. Dipeptidyl peptidase IV inhibitors, a risk factor for bullous pemphigoid: Retrospective multicenter case-control study from France and Switzerland. J Am Acad Dermatol. 2018 Jun;78(6):1090-1096. doi: 10.1016/j.jaad.2017.12.038. Epub 2017 Dec 21. PMID: 29274348.
  9. Lee SG, Lee HJ, Yoon MS, Kim DH. Association of Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitor Use With Risk of Bullous Pemphigoid in Patients With Diabetes. JAMA Dermatol. 2019 Feb 1;155(2):172-177. doi: 10.1001/jamadermatol.2018.4556. PMID: 30624566; PMCID: PMC6439542.

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