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つらい職場で働いたほうがメンタル強くなる?
ドイツの哲学者であるニーチェの言葉にこのようなものがあります。
What does not kill me makes me stronger.
直訳すると、私を殺さないものが私を強くする。つまり死なない程度のつらい経験が人を強くするんだよというような意味合いの言葉です。
漫画やアニメの世界では、死線を超えることで強くなることは常識ですし、過去のトラウマを乗り越えて強くなる設定もよく描写されていますが、実際にはどうなんでしょうかね?
2020年6月にThe British Journal of Psychiatryにて発表された文献を踏まえ、少し若手薬剤師にアドバイスをしたいと思います。
このあと、今回の漫画で紹介した文献について説明しますが、論理の飛躍があります(笑)
漫画の中で紹介した文献
Fernandez CA, Choi KW, Marshall BDL, et al. Assessing the relationship between psychosocial stressors and psychiatric resilience among Chilean disaster survivors [published online ahead of print, 2020 Jun 11]. Br J Psychiatry. 2020;1-8. doi:10.1192/bjp.2020.88 PMID: 32522300
ストレス接種仮説によると、生活上のストレス要因をうまくナビゲートすることで、その後のストレス要因に対処する能力が向上し、精神的な回復力が高まる可能性があるとされています。
ストレス接種仮説ってなんですか?
メガネ
るるーしゅ
過去にストレスをうまく乗り越えると、次に出会うストレスにもうまく対処できるようになるよ!みたいな感じだと思う
チリで2003年と2011年に世界保健機関複合国際診断面接法 (CIDI)とストレスの多い主要なライフイベントを測定する12項目のアンケートを実施。(n = 1160)
チリでは2010年に東日本大震災クラスの大地震というストレスを多く感じる震災があった。
ストレス接種仮説が正しければ、大地震前にストレスを乗り越えていた人は、大震災でのストレスにもうまく対応できるはずである。
というわけで震災後にうつ病やPTSDを発症した人が過去にストレスの多い主要なイベントをもっていたのか要因分析をした。
災害前のストレッサーの数が1ユニット増加するごとに、災害後のPTSDまたはMDDが発生する確率が増加することを示しました(OR = 1.21、95%CI 1.08-1.37、およびOR = 1.16 、95%CI 1.06-1.27)。災害前ストレッサーを分類する場合、4つ以上のストレッサーを持つ人(ストレッサーなしと比較して)は、災害後PTSD(OR = 2.77、95%CI 1.52-5.04)を発症する確率が高く、災害ストレッサーと災害MDDが見つかりました。
わたしの見解および薬局に当てはめる
What does not kill me makes me stronger.(死なない程度のつらい経験が人を強くする)
ニーチェが言ったようだが、どうやらそういうわけではなさそう。
るるーしゅ
仕事をする上で、強いストレスを感じているのは、将来のメンタルヘルスに影響出るかもしれないので、無理しないように
特に今は、コロナ禍により薬局業界、業績がかなりヤバく、経営者や上司から無理難題を言われていることも多いかもしれないのでね…
確かに…でも今は転職市場は寒い状態って聞きますけど、どうなんですか?
メガネ
るるーしゅ
買い手市場にシフトしつつあるからね
とはいえ、この業績悪化で経営者や上司の本気の顔が見えたりして、「このままここにいたら、やばいかも?」と思うようなら、早めに情報収集なり準備しておくことはいいと思うよ~
るるーしゅ
こちらもよかったら読んでみてください
‘Nietzsche Was Wrong’: Past Stressors Do Not Create Resilience
Fernandez, Cristina A., et al. “Assessing the relationship between psychosocial stressors and psychiatric resilience among Chilean disaster survivors.” The British Journal of Psychiatry (2020): 1-8.