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子宮内膜症に適応外でモンテルカスト?
今回はモンテルカスト錠が子宮内膜症に適応外処方で使われることがあるということを耳にしましたので調べてみました。
- 子宮内膜症に適応外でシングレアが使用されることがある。
- 子宮平滑筋の炎症にロイコトリエンが関係しているらしい。
- ロイコトリエン拮抗薬の中でもモンテルカストが特に有効だったという研究結果がある。
この下ネタばっか言っている薬剤師の人ですね…
確かに本当か確認しなきゃダメですね
メガネ
るるーしゅ
まぁむむさんのことを信用しているけど、モンテルカストについては色々ある薬なので、あまり鵜呑みにはできないかなと
モンテルカストが子宮内膜症に適応外処方で使用されるというツイートを見つけたので、その根拠の妥当性について調べてみた(エビデンスとして妥当かどうか)
るるーしゅ
上記のような臨床研究の結果が欲しいので調べてみます
まずは英語でGoogle検索を実施
とりあえず、Google先生に教えてもらうことが近道かなと思って、モンテルカスト(Montelukast)と子宮内膜症(Endometriosis)、そして魔法のキーワードncbiをつけてググってみます。
るるーしゅ
最初にラットの研究が出るから、あまり海外では一般的ではないんだろうなって思った
二次資料で検索してみる
UpToDate、Dynamed、今日の臨床サポートと子宮内膜症の項にモンテルカストに対する言及などがあるか調べてみましたが該当しませんでした。
るるーしゅ
まぁこのあたりで言及されていたら、もう少し有名なのでは?と思ったりもします。
医中誌で検索してみる
ここまでの調べてみた中で、このモンテルカストを子宮内膜症に使用するというのは、海外では一般的に使用されている方法ではないということ、そして今日の臨床サポートでも言及されていないため、すこし雲行きがあやしくなってきました…
るるーしゅ
まぁそれでもむむさんが嘘をついているとは思えないので、もう少し調べてみよう
14件ヒットしました、最近の報告はなく2012年頃に薬剤師や産婦人科医向けの記事が出ているようです。
また根拠となった文献も見つけられましたので簡単にまとめます。
子宮内膜症にモンテルカストは有効?
- 子宮内膜症の痛みの原因はアラキドン酸カスケードによるPG産生による子宮平滑筋の収縮によると考えられている
- 月経痛がひどい人の子宮内にはLTが増加している
- 月経痛でNsaidsが効果的ではない患者はPGよりLTが原因かもしれない
薬事 (0016-5980)54巻4号 Page633-636(2012.04)より作成
るるーしゅ
モンテルカストの研究概要はこんな感じ
子宮内膜症・月経困難症に対するロイコトリエン受容体拮抗剤の有用性の検討
- ランダム化
- 二重盲検
藤原寛行, et al. “子宮内膜症・月経困難症に対するロイコトリエン受容体拮抗剤の有用性の検討―二重盲検試験―.” 日本産科婦人科學會雜誌 57.2 (2005): 654.より作成
考察
今回は、SNSで知った情報についてすこし掘り下げてみました。
私自身、子宮内膜症の病態や予後などについてはあまり詳しくないため、的外れになるかもしれませんが、子宮内膜症に対するモンテルカストは本当にオプションという位置づけではないかなと思います。
適応外として使用することはあるかもしれませんが、有効性が確立していると言っていいほどのエビデンスではないかなと解釈しました。(日本の昔ながらの薬も同様ではありますが・・・)
るるーしゅ
モンテルカストは現在、アメリカではアレルギー性鼻炎に使用するのもベネフィットとリスク天秤にとったらリスクのほうが上回っているんじゃないの?という評価になっている薬剤ですので、このエビデンスを踏まえても生理痛がひどい方などに処方提案するレベルではないかなという印象です。
オマケ
先日、こんな記事を書きました
今回は、日々の業務の中ではありませんが、SNSなどから疑問をみつけ、その疑問を解消するために調べてみました。
るるーしゅ
自分が何を知らないか考えてみることが大事だと思う。
ロイコトリエン拮抗薬の中でもモンテルカストが特に有効だったという研究結果がある。というのはどうだったんですか?
メガネ
るるーしゅ
原著は見つけられなかったけど、月刊薬事の解説の中では下記の内容がでていたよ