今回は薬剤師のキャリアを考えるきっかけとして日本の薬剤師の勤務態度に対する横断研究を紹介いたします。
目次
どんな研究?
Nakagomi K, Hayashi Y, Komiyama T. Cluster analysis of pharmacists’ work attitudes. J Gen Fam Med. 2017;18(6):341-353. Published 2017 Jun 5. doi:10.1002/jgf2.87
1228人の薬局薬剤師と419人の病院薬剤師の勤務態度に対するアンケートを実施した横断研究です。
本研究を実施するに至ったイントロダクションを箇条書きでまとめてみます。
- 薬剤師の仕事に対する態度に関心がある
- 薬剤師は仕事満足度が高いと患者への良いサービスが提供できる
- 日本の研究では、コミュニティ薬剤師が仕事にやや不満を持っていることが示された
- 病院薬剤師は職場状況に不満を持ちつつも、価値ある仕事だと考えている
- 仕事の態度には個人や組織の要因が影響する
- これまでの研究では、仕事満足度と将来の仕事計画の関係が認められた
- 日本の薬剤師の仕事態度に関するクラスター分析は少ない
- この研究では、以前の研究に基づいてコミュニティ薬剤師と病院薬剤師の仕事態度を分類し、互いに有益な要求を理解する手助けをする
るるーしゅ
今回はこのデータの薬局薬剤師の部分だけ、注目するね
1228人の薬局薬剤師ってけっこう多いですね
メガネ
るるーしゅ
クラフト、日本調剤、ファーコスなどの大手チェーン薬局が参加したからね。
でも少しデータが古くて2007年のデータだから今も同じように考えていいかはわからないけどね
なぜ薬局薬剤師になったのですか?
項目 | 薬局薬剤師 | 病院薬剤師 |
薬剤師免許の実践的な活用 | 42.8% | 9.0% |
給与 | 3.3% | 0.2% |
専門資格取得の機会 | 15.1% | 32.4% |
医療分野での勤務希望 | 21.7% | 46.9% |
継続的な学習 | 8.7% | 8.0% |
仕事が楽 | 0.9% | 0 |
るるーしゅ
薬剤師免許をせっかくとったから生かしたいってことだろうね
チェーン薬局だから給料目当ての薬剤師が少ないのも納得
職場にどんな不満がありますか?
項目 | 薬局薬剤師 | 病院薬剤師 |
給与 | 27.5% | 23.0% |
雇用条件 | 29.0% | 22.1% |
成長できなさそう | 2.7% | 2.8% |
社員研修制度 | 1.6% | 7.2% |
職場の状況 | 6.2% | 7.2% |
ハードワーク | 13.4% | 17.2% |
るるーしゅ
薬局薬剤師、病院薬剤師ともに不満を抱いている部分は同じみたい
前の職場は何故やめたのですか?
項目 | 薬局薬剤師 | 病院薬剤師 |
給与 | 6.9% | 5.7% |
雇用条件 | 20.3% | 11.3% |
成長できなさそう | 14.5% | 32.1% |
対人関係 | 7.2% | 8.5% |
仕事内容の問題 | 7.5% | 4.7% |
薬局薬剤師では雇用条件、病院薬剤師では成長できなさそうが多いですね
メガネ
るるーしゅ
給与の問題でやめている人は少ないね。
大手チェーンに所属している人を対象にしているからバイアスがかかっているのかもしれないけどね
仕事の満足度が高い層は?逆に低い層は?
本研究では、年齢や性別、結婚の有無などでクラスター化して、仕事の満足度が高い層などを検討しています。
るるーしゅ
薬局薬剤師だと、既婚の30代の男性薬剤師が仕事に対する満足度が高い
一番満足度が低かったのは、30代後半の独身の女性薬剤師で成長できなさそうとか、対人関係に不満があるみたい
確かに、大手チェーンで女性薬剤師が出世するの難しそうですもんね
メガネ
るるーしゅ
今はいくらか改善されていると思うけどね…
一方、病院薬剤師のほうはというと・・・
るるーしゅ
25歳以下の男性薬剤師…
薬局と違って、30~34歳の既婚男性薬剤師の満足度が一番低い
謎ですね…
メガネ
まとめ
今回は2017年に発表された日本の薬剤師の働き方などに対する研究結果から薬局薬剤師に関連した内容を紹介してみました。
あまりこの手の論文を読んだことがないので内容の妥当性などをあまり突っ込んでいませんが、色々と考えることができ面白いなと個人的には思います。
るるーしゅ
退職した理由で、このままここにいても将来がないという回答が多かったのは嬉しい
最近の薬局業界のM&Aや倒産状況を見てみると、薬局の淘汰が始まっていることが分かると思います。
るるーしゅ
今年の4月に昇給しましたか?
このような時期でも高額な紹介料を支払ってでも人材を得たいとか考えている薬局などは面白いなと感じます。
るるーしゅ
先日、購入した書籍「お金の大学」でも転職力は必須の時代と書かれていて、やはり雇われ力(employability)を高めるようにしなきゃだね。
もし、今の会社のままで将来大丈夫かな?、うちの会社、処方箋枚数減っているのに何の対応もしてないんだけど経営層、ちゃんと将来見えているの?などと今の職場で働き続けることに不安があったら是非とも転職活動を行ってみることをオススメします。
るるーしゅ
転職活動=転職しろってわけじゃなくて、転職活動をすることで自分という薬剤師を他者目線で知るきっかけ、つまり市場価値などを理解できるようになるので、不安がある方は是非ともやってみて。
\ 悪質な転職サイトは利用しないで /
薬剤師が転職する際に利用する人材紹介会社(転職エージェント)、どこも同じだと思っていませんか?
現在、国は医療の分野において紹介料目当てで頻繁な転職を促す悪質な人材紹介会社への対策を強化しています。
るるーしゅ
悪質な人材紹介会社の利用は、ミスマッチする可能性が高いです。
このような悪質な人材紹介会社には絶対に相談してはダメです!!(悪質とは言っても国の許可を得ているという矛盾もありますが…)
薬剤師が、キャリア相談や転職時に、転職エージェントを利用する場合は、適正な有料職業紹介事業者の認定を受けている転職エージェントを利用しましょう。
薬剤師の分野で優良認定を受けているところは、ファルマスタッフ、その他数社とまだ少ないです。
悪質な人材紹介会社がどこか分かれば対策しやすいのですが、そのような情報はなかなか表に出てきません。なので我々としては、優良認定を受けているところを優先するのが望ましいでしょう。
るるーしゅ
転職活動をする際に、キャリア相談や業界情報を教えてもらうのにオススメな人材紹介会社です。
登録は無料ですし、職業紹介優良事業者取得しているので強引な転職をすすめてくることはないので安心してください