薬機法改正について昨年から話し合いが始まっており、そろそろ改正案が固まってきました。今回は薬機法改正で追加される調剤後のフォローについて、何故そのような話になったのかなど背景なども踏まえて解説していこうと思います。
薬機法改正について
薬機法改正については、前回の平成25年改正時に、5年を目途に検討を行い、必要な措置を行うとなっていたので、平成30年から話し合いが行われ、現在(H31,3月時点)固まってきているというわけです。
現在の薬局の問題点として挙げられているもの
- 調剤技術料1.8兆円に見合った業務を薬局薬剤師は行っているのか?
- 「同じことを毎回聞かれる」、「薬をもらうのは二度手間」、「コストがかかる」などの患者の声
- 患者や住民に信頼される薬剤師になっているのか?
- 薬剤師の業務が医療・介護関係者、行政に理解されていない
厳しい意見ですね・・・
メガネ
るるーしゅ
薬局は平成18年の医療法改正で医療提供施設に位置付けられたんだけど、なんでこんな声がたくさんあがるの?まずいんじゃないの?ってことだよね そういった背景もあり、今回改正で追加されたのが、薬局の機能分化と調剤後のフォローだね
薬局の機能分化
薬局の機能分化については、今回はあまり詳細に解説しません(そのうち書きます)
現状は、薬局がひとつしかありませんが病院と同様に3つに機能分化をしていきます。
普通のかかりつけ薬局(いままでの薬局)、そして現状の健康サポート薬局にすこし要件を加えた地域連携薬局、最後に専門医療機関連携薬局になります。
地域連携薬局、専門医療機関連携薬局は都道府県知事の認定によって、その名称を名乗ることが可能になります。
現在健康サポート薬局は1000ちょいで、当初の中学校区域に1つ(10000以上)という予定にはまだ足りていません、そのため地域連携薬局も数を制限する予定はないそうです。
ただ専門医療機関連携薬局は、特定機能病院の数などを考慮してなので、もしかしたら地域で早いもの順になったりするのかもしれません。
ちなみにマンガの中で専門医療機関連携薬局は黄色、地域連携薬局は緑色ですがなんか理由はあるんですか?
メガネ
るるーしゅ
分かる人には分かるカラーリングね、黄色は日本調剤、専門医療機関連携薬局に向けて必要な資格取得に向けて力を入れているからね。 緑色は総合メディカル、現時点(H31.3月)で一番健康サポート薬局あるから
調剤後のフォロー
それでは本日のメインの調剤後のフォローについてです。
具体的な方向性
(1) 患者の薬物療法を支援するために必要な薬剤師・薬局における取組
① 服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援
- 現行の薬剤師法等の規定では、薬剤師は調剤時に情報提供や薬学的知見に基づく指導を行うことが義務づけられているが、薬剤の服用期間を通じて服薬状況の把握等を行うべき旨は必ずしも明確ではない。このため、薬剤師には、調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、一般用医薬品等を含む必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化すべきである。
- また、患者に対する継続的な薬学的管理・指導を効果的に実施できるよう、薬剤師に、上記により把握した患者の服薬状況等の情報や実施した指導等の内容について記録することを義務づけるべきである。
- 薬局開設者は、その薬局に従事する薬剤師に対して、上記に関する業務を実施させるべきである。
② 医師等への服薬状況等に関する情報の提供
- 薬剤師は、把握した患者の服薬状況等に関する情報について、医療機関・薬局において診療又は調剤に従事する医師、歯科医師、薬剤師へ適切な頻度で提供するように努めるべきことを明確化すべきである。
③ 薬剤師の資質の向上
- 以上のような役割を果たすためには、薬剤師自らが常に自己研鑽に努め、専門性を高めていくことが重要である。
るるーしゅ
服薬指導の際に、○○といった副作用がでることがありますので出たら薬局に連絡して下さいっていうことあるじゃん? ああいうのをね、電話とかを確認してあげたほうがいいんじゃないの?って話だね
まぁ言われてみればそうですね、ただ全部やるのは無理ですけど・・・
メガネ
るるーしゅ
もちろん、全部やれってわけじゃないよ、必要に応じてでいいと思うよ。 例えば、例年、花粉症でビラノア®30日分の患者さんに服薬中にフォローが必要かと言われたら、次回来局時での確認でいいと思うし。
るるーしゅ
この調査を見る限り、薬剤師も8割くらいは必要だと思うって回答しているから、これは制度で後押しするのはいいと思うよ
患者さんはどう思うんでしょうかね?
メガネ
るるーしゅ
がん領域だけど、肯定的な結果だね。あと私自身の経験としても調剤後のフォローで嫌な印象をうけたことはないな、もし嫌がられたりしたら国のせいにして構わないって言ってたし
なるほど、ここでうまく患者からの信頼が得られるようになるといいんですかね~
メガネ
るるーしゅ
そうだね、薬局薬剤師の味方をしてくれる患者さんは薬剤師に助けてもらった経験を持つ方が多いらしいからね、この改正をうまく利用できればいいんじゃないかな
調剤後のフォローは、薬機法改正されたからやるべきことではない?
~2019年11月26日追記~
るるーしゅ
この記事では薬機法改正されたら調剤後のフォローやるんだよって書いているけど、実際は違うらしい
えっ?!どういうことですか?
メガネ
るるーしゅ
もう現状の業務の中で実施すべきことみたい、薬局においてある調剤指針のなかの調剤の概念みてごらん
調剤の概念とは、薬剤師が専門性を活かして、診断に基づいて指示された薬物療法を患者に対して個別最適化を行い実施することをいう。また、患者に交付した後も、その後の経過の視察や結果の観察を行い、薬物療法の評価と問題を把握し、医師や患者にその内容を伝達することまでを含む。
調剤指針より引用
るるーしゅ
投薬後のフォローも含めて「調剤」、だから薬機法改正しなきゃやらないというのも問題なんだよね。 薬機法改正の審議の中でも「プロフェッショナルとして当たり前のことが薬機法に記載しなきゃできないってことは国民から信頼されていないのでは?」と厳しい意見があがっていたからね
今回は薬機法改正について厚生労働省の方のお話しを又聞きする機会がございましたので調剤後のフォローについて書いてみました。
ちなみに以前書いたこの記事も厚生労働省の方からのお話しをもとに作成しています。
上記、書籍の中でソクラテスこと山本先生も投薬後のフォローについて記載してあります。
この書籍はおすすめですので、若手の薬剤師の方で持っていない方がいましたら購入することをオススメします。
日々、忙しい業務の中、調剤後のフォローは大変だと思うのですが実際やってみたら結構喜ばれる事例もでてくると思います。
是非とも、この業界をよりよいものへと進化させていきましょう。
参考資料
【H30年10月18日 第7回医薬品医療機器部会】資料2.薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方
薬機法等制度改正に関するとりまとめ 平成 30年 12月 25日 … – 厚生労働省