2024年調剤報酬改定による変更点や背景などを簡単に解説していきます。今回は調剤基本料についてです。
目次
調剤基本料の見直しの概要
区分 | 主な施設基準 | 改定前 | 改定後 |
1 | ①調剤基本料2、3、特別調剤基本料以外 ②医療資源の少ない地域にある薬局 | 42点 | 45点 |
2 | ①月の処方箋受付枚数4000回超かつ集中率70%(上位3医療機関) ②月の処方箋受付枚数2000回超かつ集中率85% ③月の処方箋受付枚数1800回超かつ集中率95% ④特定の医療機関(モール)から月の処方箋受付枚数4000回超 | 26点 | 29点 |
3イ | ①同一グループの月の処方箋受付枚数3.5万回~4万回の集中率95% ②同一グループの月の処方箋受付枚数4万回~40万回の集中率85% | 21点 | 24点 |
3ロ | ①同一グループの月の処方箋受付枚数40万回超の集中率85%超 ②同一グループの薬局数が300以上で集中率85%超 | 16点 | 19点 |
3ハ | ①同一グループの月の処方箋受付枚数40万回超の集中率85%以下 ②同一グループの薬局数が300以上で集中率85%以下 | 32点 | 35点 |
特別A | ①いわゆる敷地内薬局で、集中率50%超 ②調剤基本料の施設基準の届出あり | 7点 | 5点 |
特別B | ①調剤基本料の施設基準の届出なし | 3点 |
2022から2024の変更点は…
- 調剤基本料1~3は、3点アップ
- 敷地内薬局は、2点マイナス
- 調剤基本料の施設基準の届出をしない場合は7点⇒3点と4点マイナス
- 調剤基本料2の範囲が広がった(ビレッジ型の薬局の狙い撃ち)
調剤基本料の3点アップについて
まずは調剤基本料1~3がすべて3点ずつアップしていますので、何故か解説していきます。
地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献する薬局の整備を進めていくこと、職員の賃上げを実施すること等の観点から、調剤基本料の評価を見直す。
るるーしゅ
医療従事者全体で賃上げができていないので、今回は賃上げするために基本料をあげました。
看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、令和6年度にベア+2.5%、令和7年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応
医療経済実態調査の結果でも、薬局の給与の伸びは不十分。また、薬局の事務職員の平均賃金は全産業を大きく下回っている。人手不足は深刻な状況であり、処遇改善の対応が必要。
るるーしゅ
あなたの働いている職場は2.5%のベースラインアップしてくれるでしょうか?
調剤基本料が3点アップというのは、なかなか大きいです。ただ別記事で解説しますが、地域支援体制加算がー7点と大幅に減額されているため、ちゃんと賃上げできるのか怪しいところです。
今回の改定は、地域支援体制加算をまじめに取得していた薬局が報われていないようにみえます。頑張って成果だしてんだから、内部留保を削ってでも賃上げできるよね?ってことなんでしょうね。
今年の賃上げするかどうかへの私の勝手な印象です。
- 点数アップ⇒賃上げなし=クソ薬局
- 点数ダウン⇒賃上げなし=仕方ない部分もあるよね…でも
- 点数ダウン⇒賃上げあり=こういうところで働きたい
調剤基本料2の見直しについて
つづいて調剤基本料2の見直しについてですね。
簡単に言えば、医療モールみたいなもんだから、医療モール内の薬局と同じように評価すべきだよねって話になったようです。
るるーしゅ
総合メディカルがこのビレッジ型というのを、強みとして進めていたようなので、ダメージ大きいかもしれないですね…
敷地内薬局の見直しについて
最後に敷地内薬局ですね。今回は、アインの敷地内薬局に関連した不祥事により、当初は敷地内薬局を有するグループ全体への制裁を考えていたようですが、それはなくなりました。
ただ、敷地内薬局は今回の改定でめっちゃダメージくらいます!!
るるーしゅ
社長が逮捕されるって不祥事って言葉で済ましていいのかわかりません…
特別調剤基本料A | ①いわゆる敷地内薬局で、集中率50%超 ②調剤基本料の施設基準の届出あり | 5点 |
特別調剤基本料B | ①調剤基本料の施設基準の届出なし | 3点 |
従来の調剤基本料の7点から、特別調剤基本料Aは-2点、特別調剤基本料Bは-4点です。
るるーしゅ
調剤基本料の点数だけ見れば、たいしたことないのですが、いろいろとやばいことに今回なっています…
敷地内薬局は一部の加算が減算および取得不可に!
特別調剤基本料Aを算定する薬局は以下の項目が減算されます。
項目 | 今までの減算 | 減算 |
---|---|---|
地域支援体制加算 | 80% | 10% |
後発医薬品調剤体制加算 | 80% | 10% |
在宅薬学総合体制加算 | ー | 10% |
特別調剤基本料Aを算定する薬局では、敷地内の医療機関が外来感染対策向上加算または感染対策向上加算を取得していたら、連携強化加算(5点)は算定できません。
るるーしゅ
ちなみに届出なしの特別調剤基本料Bは、加算や薬学管理料が、ほとんどないもとれません。
敷地内薬局は薬剤料にもメスが!
医療機関の多剤処方時の薬剤料と同様に、いわゆる同一敷地内薬局においても多剤調剤時の薬剤料を減額する規定を設ける。
【使用薬剤料】
区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する薬局及び区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する特別調剤基本料Bを算定する薬局において、処方につき7種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)の調剤を行った場合には、所定点数の100分の90に相当する点数により算定する。
るるーしゅ
薬剤料90%も、敷地内薬局の場合ですと高額薬剤も多いため、かなりの影響がありそうですよね…
調剤基本料のまとめ
今回は2024年の調剤報酬改定のなかで、調剤基本料について解説しました。
敷地内薬局およびビレッジ型の薬局以外は+3点とよかったのではないでしょうか?ただ調剤基本料の加算のひとつの地域支援体制加算がマイナスのため、なかなか素直に喜べない薬局も多いと思います。
なんで地域支援とっている薬局がマイナスで、基本料だけしかとっていない薬局がプラスになるんだよ?
頑張っている薬局を評価しろよ
???
このような意見には私も同意ですが、今回の改定では今後にむけて設備投資しないと、薬局運営が厳しくなるため、今回はそのような薬局にもアメをあげたのではないかなと思っています。
あと、雇われ目線からは、賃上げで点数あがっているのに、賃上げしてくれない職場でしたら、「そこで働き続ける意味ってあんの?」と考えたほうがいいと思います。