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病院と自宅で最期を迎える場合、どちらのほうがQOLが高いですか?
アンサングシンデレラのドラマの第八話いい内容でしたね。
私自身、家族でも看取るという経験もなければ薬局でも終末期はおろか在宅経験もなかったりします…
今回は、患者さんにとって病院および自宅、どちらで最期を迎えることがQOLが高いのかを検討した研究を紹介いたします。
るるーしゅ
さて、メガネよ。
亡くなった人のQOLはどうやって評価しようか?
QOL評価は、医療者が評価するのではなく、患者自らに評価してもらうことが大切ですよね。医療者のQOL評価と患者の評価(Patient Reported Outcome)で結果に差がありますからね!
ズバリ亡くなった人に回答してもらいましょう!!
メガネ
るるーしゅ
亡くなった人にどうやって回答してもらうんだよ…
お題論文
Katsuki M, Nakamata M, Ezaki A, et al. Survey of satisfaction regarding palliative care provided to patients who died at home or in a hospital. Int J Palliat Nurs. 2020;26(6):272-277.PMID:32841077
というわけで今回、紹介する研究はもちろん日本の研究で、病院および自宅で亡くなった患者さんのQOLを評価した研究です。
冒頭でも紹介したように、終末期の患者さんの身体機能、認知機能が低下し、通常の調査票への記入は極めて困難になります。今回紹介する文献では、GDI(Good Death Inventory):遺族の評価による終末期がん患者の QOL 評価尺度を用いて、亡くなった患者さんのQOLを評価しています。
GDI(Good Death Inventory)について
GDI は多くの人が共通して望む 10 の概念(コア 10 ドメイン)と、人によって大切さは異なるが重要なことである8 の概念(オプショナル 8 ドメイン)から構成されます。それそれのドメインが 3 項目の質問からなり、全体で 54 項目の質問からなります。各質問には、非常にそう思う、そう思う、ややそう思う、どちらともいえない、あまりそう思わない、そう思わない、全くそう思わないの7段階で回答する。
- からだや心のつらさが和らげられていること
- 望んだ場所で過ごすこと
- 希望や楽しみをもって過ごすこと
- 医師や看護師を信頼できること
- 家族や他人の負担にならないこと
- ご家族やご友人とよい関係でいること
- 自分のことが自分でできること
- 落ち着いた環境で過ごすこと
- ひととして大切にされること
- 人生をまっとうしたと感じられること
- できるだけの治療を受けること
- 自然なかたちで過ごせること
- 伝えたいことを伝えておけること
- 先々のことを自分で決められること
- 病気や死を意識しないで過ごすこと
- 他人に弱った姿を見せないこと
- 生きていることに価値を感じられること
- 信仰に支えられていること
お題論文の概要
研究の概要については、ビジュアルアブストラクトにてまとめさせていただきます。
お題論文の著者の結論
正直、この結果を見て、どのように解釈していいのか不明なので、とりあえず論文著者の結論を記載します。
QoL of patients who died at home appeared higher than that of those who died in a hospital. Patients prefer to remain at home rather than in a hospital, probably because at home they are surrounded by familiar things and can live according to their usual habits.
在宅で死亡した患者のQoLは、病院で死亡した患者よりも高かった。患者は病院よりも在宅を好むが、これは在宅では慣れ親しんだものに囲まれていて、普段の生活習慣に沿った生活ができるからであろう。(DeepLにて翻訳)
私は自宅で最期を迎えたいだろうか?
ドラマのアンサングシンデレラの第八話では在宅での看取りについて描かれていました。すべて思い通りだったかというと、そうでもなかったと思いますが在宅での最期はいいなと思いました。
ただ自分は自宅で亡くなりたいか?と聞かれると、そんな自分の希望より家族に迷惑をかけたくないという思いのほうが今は強いです。
るるーしゅ
その時になってみないと分からないんだろうな、全然想像つかないもん
- GDI(Good Death Inventory):遺族の評価による終末期がん患者の QOL 評価尺度(pdf)
- Katsuki M, Nakamata M, Ezaki A, et al. Survey of satisfaction regarding palliative care provided to patients who died at home or in a hospital. Int J Palliat Nurs. 2020;26(6):272-277.PMID:32841077