今回は、薬剤師を対象に携帯型の空間除菌用品の有効性に関するアンケートを実施した内容について紹介します。タイトルにもある通り、大多数の薬剤師は有効ではないと思っています。
目次
携帯型の空間除菌用品は感染症対策に有効?
それでは以前とったアンケート結果を紹介します。
アンケートは当ブログおよび私のツイッターアカウントから、Googleフォームを用いてお願いしました。
回答してくれた方は、289名ですね。ご協力ありがとうございます。
設問内容は以下で、1~5の5段階で評価していただきました。
1が有効ではない、5が有効であるという基準です。
1(有効ではない) | 248(85.8%) |
2(どちらかというと有効ではない) | 30(10.4%) |
3(どちらともいえない) | 7(2.4%) |
4(どちらかというと有効である) | 2(0.7%) |
5(有効である) | 2(0.7%) |
289人中、278人(96.2%)が携帯型の空間除菌用品に否定的な印象をもっています。
るるーしゅ
でもプライベートでも情報収集している薬剤師の意見のほうが妥当性は高いと思いますし、結果が圧倒的ですからね
携帯型の空間除菌用品を販売するのはアリ?ナシ?
じゃあ薬剤師の95%が否定的な印象を持っている携帯型の空間除菌用品を薬局・ドラッグストアで販売するのはアリでしょうか?それともナシでしょうか?
このあたり結構ややこしくなるので、私の持論で丁寧に紐解いていきます。
有効性が乏しいものを販売するのはアリ?ナシ?
まずはサプリメントなどの有効性が乏しいものですね。この有効性が乏しいという定義も明確にしておきます。
有効性が乏しい=プラセボ比較で臨床的有効性が乏しいものとします。
これは販売してもいいと思います。薬の効果などは、薬の薬効、自然経過、プラセボ効果が合わさったものです。
そのため薬効がなくてもプラセボ効果が期待できるのであれば、保険を使用するわけではないので患者の自由だと思います。
るるーしゅ
オススメするかしないかは、また個別の事情で難しいかもしれませんが…
ただDo No Harmの原則は忘れずに
じゃあ携帯型の空間除菌用品を販売するのもいいのではないか?と思いますが、前提としてDo No Harmというのがあると思うんですよね。
Do No Harmは害を及ぼさないことです。
携帯型の空間除菌用品は有効性に関するデータは乏しいですが、健康被害に関しては報告されています。
仲宗根尚子, 仲村郁心, and 平良清人. “症例 次亜塩素酸ナトリウム含有の空間除菌剤使用による化学熱傷の 1 例.” 皮膚科の臨床 56.12 (2014): 2023-2025.
15歳男児。10日前より首から下げるタイプの携帯型空間除菌剤(ウイルスプロテクター)を使用したところ、1週間後に右側胸部の発赤と疼痛が出現した。
また事故情報データバンクシステムでも、使用後の皮膚炎に関する報告はいくつかあります。
事故の概要:首かけタイプのウィルス対策空間除菌剤を首にかけて半日仕事をし汗を掻いたら肌に当たった部分が火傷のようになった。
発生年月日:2020年09月
事故の概要:空間除菌剤(首下げ型)が直接胸部に触れ、皮膚炎を発症。
発生年月日:2020年08月16日
事故の概要:息子が空間除菌剤をTシャツの上からぶら下げて1日使ったら、化学火傷。症状がひどく、輸入販売元の対応が悪い。
発生年月日:2020年07月
事故の概要:空間除菌剤(首下げ型)をズボンのポケットに入れていたところ、軽度の化学熱傷。
発生年月日:2020年06月03日
事故の概要:満員の電車内に空間除菌消臭ホルダーを首から下げている人がいて咳が止まらなくなった。電車内で使用しないよう指導すべきだ
発生年月日:2015年11月
まとめ:結局のところどっち?
わたしとしては、携帯型の空間除菌用品を薬局・ドラッグストアで販売するのは否定的です。
有効性が乏しいだけではなく、害を有する可能性も高いのでDo No Harmではないだろうなと判断します。
るるーしゅ
ただ風邪薬もけっこう類似なところあるから、私自身も線引きがいまいちなんだろうな…