今回はデータに基づいて問題解決するための考え方としてPPDACサイクルを紹介いたします。
おそらくPDCAサイクルは耳にしたことがある方が多いと思いますが、PPDACサイクルは初めてという方も多いのではないでしょうか?
言ってみれば、薬剤師の薬歴記載のSOAPなどの時に出てくるPOS(Problem Oriented System):問題志向型システムとほとんど同様なのですが、個人的にはこのPPDACサイクルは思考が整理されるので使い勝手がいいと思います。
PPDACサイクルについて
PPDACサイクルは、1990年代に作られたデータ分析による課題解決マネジメントサイクルです。
以下の5つのステップで構成されています。
- P(Problem):課題の設定
- P(Plan):調査・分析の計画
- D(Data):情報収集(データを集めたり、ヒアリングしたりする)
- A(Analysis):情報の整理・集計・分析・数理モデル構築など
- C(Conclusion):とりあえずの結論
ちなみにPOSは以下の通りです。
- 情報収集
- 問題の明確化
- 解決のための計画立案
- 計画の実施
どうですかね?個人的には似ていると思うのですが、POSよりPPDACのほうが分かりやすいかなと感じます。
というのもPOSだと「情報収集」が先頭にきているため、「どういった課題があるから情報収集しようと思っているのか?」というのが抜けていて情報収集がマニュアルみたいになってしまうように感じるからです。
(うちの会社だけの問題なのかもしれませんが…)
慢性疾患のDo処方などは、その典型的でDo処方だからという理由で情報収集が疎かになっているように感じます。PPDACサイクルで考えると、
P:Do処方の患者に薬剤師として必要なかかわるポイントは?
P:くすりの効果がでているか、くすりの副作用はでていないか等
D:患者への服薬指導の際の聞き取り
A:聞き取ったデータを添付文書、ガイドライン等で評価する
C:評価した結果に基づき、行動する
こんな感じです。
この過去記事なんかそのPPDACサイクル使って、結論をだしていると思います。
P:GEの流通による薬局の加算への影響は?
P:厚生局の加算の届け出から評価
D:3月と6月の近畿厚生局の届け出データを使用
A:後発加算の届け出状況の数を比較
C:2021年6月時点では加算への大きな影響はなさそう
こんな感じで、こういうフレームワークでこういった結論に至ったよというのは、周りにも伝わりやすいと思います。また結論に対して異なる意見を持つ場合にも、どこがおかしいからといった議論もしやすいですよね。
S:いつもと同じです。くすり飲めています。
O:Do処方
A:Comp良好、SE(-)
P:引き続き副作用を注視し経過観察
こんな感じだと、どういうやり取りがあって問題なしと判断したのか伝わらないですよね(汗)
またうちの管理職クラスが意外と多いのが、数字を使えていないんです。
ジェネリック推進の進捗がうまくいっていない理由に、「日医工の流通が原因です」とか「都内なので先発品志向の人が多いんです」というとりあえずの結論を出しているのですが、その結論にいたったデータがないため、どうしたもんかな…となります。
管理職クラスの人は、感覚でものを言わずに、数字を使って話せるようにしてください、マジで…
最後のほう、会社に対して愚痴も言いましたが、是非ともこのPPDACサイクルを意識してみて行動するようにしてみてください。
SNSなどでも薬剤師は、感覚でものを言っていることを目にします。
問題に対して、どのようなデータがあれば周りにも受け入れられる結論を出せるか?、これを意識して行動していくと薬剤師もよりよい方向にいくのではないかなと思います。