薬歴記載はAIで効率化!! 気になる方はこちらを!

「病院薬剤師の離職理由の1位は給与?やりがい?」200人以上を対象にした研究結果より解説

「離職理由は給与じゃない」と言われても、正直ピンと来ない。そんな声、聞こえてきそうです。

私自身、病院薬剤師として働く中で「給与面の不満」を口にする同僚を何人も見てきました。一方で、実際に辞めていった人たちの理由を振り返ると、給与だけでは説明がつかないケースも多い。では、離職理由の「本音」はどこにあるのでしょうか。

今回は、神奈川県の病院薬剤師230人を対象にした調査結果(小串ら、2018年)を基に、離職理由の実態を整理します。この記事では、「口で言う理由」と「実際に辞める理由」の違い、職位による離職理由の変化、そして自分のキャリア判断に活かせる視点を提示します。データの解釈には注意が必要な点もあるので、そこも含めて見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 230人の病院薬剤師が「もし辞めるなら」と答えた離職理由の1位は何か
  • 過去の研究結果と異なる理由——「仮定の質問」と「実際の理由」の違い
  • 職位によって離職理由がどう変わるか(一般職・指導的役割・管理職の比較)
  • 「給与への不満」を自分のキャリア判断にどう活かすか

調査結果の第1位は「給与が少ない」——でも、解釈には注意が必要

神奈川県病院薬剤師会の名簿から無作為に抽出した491人にアンケートを郵送し、230人(46.8%)から回答を得た調査です。質問は「もしも現勤務先を辞めるとすれば、どのような理由だと思われますか?」というもので、複数回答可の選択式でした。

結果は以下の通りです。

離職理由一般職(132人)指導的役割(67人)管理職(31人)
給与が少ない69人(52.3%)27人(40.3%)12人(38.7%)
結婚・子育て37人(28.0%)14人(20.9%)2人(6.5%)
家族の都合25人(18.9%)21人(31.3%)6人(19.4%)
キャリアアップ34人(25.8%)15人(22.4%)11人(35.5%)

一般職の半数以上が「給与が少ない」を挙げています。指導的役割や管理職でも約4割が選択しており、職位を問わず給与への不満は根強いことが分かります。

やっぱり給与が一番じゃないですか。生活もあるし…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

その気持ちはよく分かります。ただ、ここで押さえたいのは、この質問が「もし辞めるとしたら」という仮定の話だということです。実際に辞める理由とは異なる可能性があります。

ここ、誤解されやすいところです。この調査は「不満の有無」を聞いているのであって、「実際に離職を決断する理由」を聞いているわけではありません。

私なら、この結果を「給与への不満は広く存在する」という事実として受け止めつつ、「では実際に何が離職の引き金になるのか」は別に考えます。

想定反論への対応

「でも、不満があるから辞めるんじゃないですか?」——確かにそうです。ただし、不満を抱えながらも働き続ける人は多く、不満が必ずしも離職に直結するわけではありません。逆に言うと、給与以外の「最後の一押し」が何かを見極めることが、離職を考える際には重要になります。

境界条件

ただし、給与が生活に直結するレベルで低い場合は、これが最優先の離職理由になりえます。特に20代後半〜30代前半で結婚・子育てを控えている場合、給与の問題は先送りできません。

どうですか?今の職場で「給与への不満」はありますか。あるとして、それが実際に「辞める」という決断につながるほどのものか、一度整理してみる価値があります。

過去の研究とは正反対の結果——なぜ違いが生まれたのか

実は、過去の研究では異なる結果が出ています。徳洲会グループの病院薬剤師を対象にした調査(2010年実施、対象は離職者)では、離職理由の上位は「成長できなさそう」(32.1%)や「雇用条件」(11.3%)で、「給与」は5.7%にとどまっていました。

なぜこれほど結果が違うのでしょうか。私なりに考えた理由は3つです。

理由①:対象者の違い

  • 神奈川県の調査:現在働いている病院薬剤師(広範囲)
  • 徳洲会の調査:実際に離職した病院薬剤師(特定グループ)

現在働いている人に「もし辞めるなら」と聞くのと、実際に辞めた人に「なぜ辞めたか」と聞くのでは、回答が変わるのは自然です。現場だとここで詰まりがちですが、「今の不満」と「辞めた理由」は別物と考えたほうが安全です。

理由②:調査時期の違い(5年間のギャップ)

  • 徳洲会の調査:2010年1月〜3月
  • 神奈川県の調査:2015年以降

この5年間で、病院薬剤師を取り巻く環境は変化しています。2010年は、専門性やチーム医療の重要性が注目され始めた時期で、「成長」や「やりがい」を重視する風潮が強かったと考えられます。一方、2015年頃には現実的な生活基盤(給与)への関心が高まった可能性があります。

理由③:質問の仕方が決定的に違う

じゃあ、どっちが正しいんですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

どちらも正しいです。ただ、神奈川県の調査は「もし辞めるとしたら」という仮定の質問、徳洲会の調査は実際に辞めた理由を聞いています。つまり、「口で言うこと」と「実際の行動」の違いが見えているんです。

私はここが一番重要だと考えています。不満を口にするのは簡単ですが、実際に辞める決断をするには、もっと切実な理由が必要です。

給与への不満は広く共有されているけれど、それだけで辞める人は意外と少ない——このギャップを理解しておくことが、自分のキャリア判断では役立ちます。

ここ、心当たりありませんか?「給与が不満」と言いながらも、実際には「人間関係」や「スキルが活かせない」といった理由が本音だったケース、職場で見たことはないでしょうか。

職位が上がるほど「研究活動への理解不足」が離職理由に

この調査では、職位による離職理由の違いも明らかになりました。特に注目すべきは、管理職や指導的役割の薬剤師ほど「研究活動への理解不足」を離職理由に挙げる傾向があったことです。

これは、キャリアが進むにつれて、単なる業務遂行だけでなく「専門性の発揮」や「自己実現」を求めるようになることを示しています。一般職では「給与」や「結婚・子育て」といった生活に直結する理由が上位ですが、管理職では「キャリアアップ」(35.5%)が目立ちます。

研究活動って、病院薬剤師にとってそんなに重要なんですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

職位が上がると、臨床だけでなく学術活動や後進育成も求められるようになります。しかし、病院の体制がそれを支援しない場合、専門性を活かせないというジレンマが生まれるんです。

例外・注意点

ただし、全ての管理職が研究活動を求めているわけではありません。研究志向が強い人にとっては重要ですが、臨床現場でのマネジメントに専念したい人にとっては優先度が低い場合もあります。自分がどちらのタイプかを見極めることが、キャリア選択では重要です。

逆に言うと、今の職場で「自分の専門性が活かせているか」「成長の機会があるか」を確認することは、長期的なキャリア満足度を左右します。いまの状況だと、給与だけに目を向けていると、本当の不満の原因を見逃す可能性があります。

「もし辞めるなら」と「実際に辞める」の違いをどう捉えるか

ここまでの内容を整理すると、以下の3点が見えてきます。

  • 給与への不満は広く存在するが、それが直接の離職理由になるとは限らない
  • 「口で言う理由」と「実際に辞める理由」にはギャップがある
  • 職位やキャリアステージによって、離職理由は変化する

では、この情報を自分のキャリア判断にどう活かせばいいのでしょうか。私なら、以下の手順で整理します。

ステップ①:自分の不満を書き出す

まず、今の職場で感じている不満を全て書き出してみます。給与、人間関係、業務内容、勤務時間、成長機会など、思いつく限り挙げてください。

ステップ②:「これが解決したら残るか」を問う

次に、各不満について「これが解決したら、今の職場に残るか」を自問します。例えば、「給与が月5万円上がったら残るか」「人間関係が改善したら残るか」と具体的に考えます。

でも、それって答えが出にくくないですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

確かに難しいですね。ただ、この問いを通じて「本当に解決したい問題は何か」が見えてきます。給与が上がっても残らないなら、給与は表面的な不満で、本質は別にあるかもしれません。

ステップ③:優先順位をつける

全ての不満を同時に解決するのは現実的ではありません。「これだけは譲れない」という軸を1〜2個に絞り込みます。私の場合、「成長機会」と「ワークライフバランス」が譲れない軸です。

境界条件

ただし、生活に直結する問題(給与が低すぎて生活が成り立たない、過労で健康を害している)がある場合は、それを最優先にすべきです。安全性が確保されていない状態でのキャリア選択は危険です。

この作業、面倒に感じるかもしれませんが、転職活動を始める前にやっておくと、ミスマッチを防げます。どうですか、試してみる価値はありそうでしょうか。

まとめ:離職理由の「複雑さ」を受け止めて、自分の判断軸を整理する

病院薬剤師の離職理由は、単純に「給与」や「やりがい」の二択では語れません。今回見てきた研究結果が示すのは、「口で言う理由」と「実際に辞める理由」には差があるという現実です。

給与への不満は広く存在しますが、それが離職の決定打になるかは、個々の状況や価値観に大きく左右されます。職位が上がれば求めるものも変わり、ライフステージによって優先順位も変わります。

次の一歩

もし今、離職を考えているなら、まず「自分の本当の不満は何か」を言語化してみてください。そして、その不満が解決可能かどうか、現職で解決できるのか、転職が必要なのかを冷静に判断しましょう。小さな検証(上司への相談、他部署への異動希望、転職エージェントへのキャリア相談など)を回すことで、より安全な選択ができます。

確認先:病院薬剤師の離職や転職に関する統計データは、日本病院薬剤師会や厚生労働省の資料で確認できます。また、転職を検討する際は、優良職業紹介事業者の認定を受けているエージェント(ファルマスタッフなど)を利用することで、ミスマッチのリスクを減らせます。

ポッポ先生

ポッポ先生

誤解されやすいので最後に言うと、「給与への不満を口にすること」自体は悪いことではありません。ただ、それが本当の離職理由なのか、表面的な不満に過ぎないのかを見極めることが、後悔しないキャリア選択には不可欠です。


参考文献
小串興平ら「病院薬剤師における職務満足度と勤務継続意識の関係についての検討」医薬品相互作用研究 42巻1号 (2018)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

\薬歴、半分の時間で終わらせませんか? /
「薬歴、溜まってる…」を終わりにする
AI薬歴ディープインパクト
無料で試してみる