「このまま今の職場でいいのかな」「転職サイトって結局どこがいいの?」
転職を考えはじめると、こういった疑問がぐるぐる回りますよね。私も以前、転職を考えたとき、どこから手をつければいいのかわかりませんでした。
この記事では、薬剤師が転職時に利用できる手段(人材紹介会社、ハローワーク、直接応募、知人紹介)それぞれの特徴と、2024年以降に強化された人材紹介会社への規制を踏まえて、自分に合った転職方法の選び方をお伝えします。読み終わるころには「まず何をすればいいか」が見えてくるはずです。
目次
薬剤師の離職率は本当に高いのか?
薬剤師は転職が多いって聞きますけど、実際どうなんですか?

オカメインコ

ポッポ先生
データで確認しておきましょうか。感覚だけで語ると判断を間違えやすいですからね。
まず押さえておきたいのが、薬剤師の離職率です。厚生労働省が2022年に公表した「雇用動向調査結果」によると、医療・福祉業界全体の離職率は15.3%。全産業平均の15.0%とほぼ同水準でした。
誤解されやすいので先に言うと、「薬剤師だけ特別に離職率が高い」わけではありません。ただし、店舗規模によって傾向が異なります。
| 店舗規模 | 年間離職率 | 3年以上勤務の割合 |
|---|---|---|
| 5店舗以下 | 6% | 70% |
| 6〜10店舗 | 14% | 67% |
| 11〜20店舗 | 11% | 73% |
| 21〜30店舗 | 8% | 76% |
| 31店舗以上 | 16% | 58% |
ここ、心当たりありませんか? 大手チェーン薬局で3年以内に辞める人が約42%というのは、現場の感覚とも一致する方が多いのではないでしょうか。転勤が多い、経営者との距離が遠い、といった理由が重なりやすいためです。
でも、辞めたくなるのは職場のせいだけじゃないですよね…

オカメインコ

ポッポ先生
その通りです。そもそも「なぜミスマッチが起きるのか」を理解しておかないと、転職しても同じことを繰り返す可能性があります。
なぜ薬剤師は雇用のミスマッチが起きやすいのか
2019年の日本薬学教育学会シンポジウムで、興味深い指摘がありました。
「専門職能の向上には関心は高いものの、キャリアデザインの考え方や手法への関心は低く、大学教育の中でそれらが扱われることはほとんどない」
いまの状況だと、こういうパターンになりやすいです。
- 自己分析が不十分なまま「条件」だけで選ぶ
- 業界研究・企業研究をしないまま応募する
- 自分の市場価値を把握せずに交渉に臨む
- 「薬剤師なら引く手あまた」という思い込みで動く
私ならまず、「自分が何を大事にしているのか」を言語化するところから始めます。年収なのか、勤務地なのか、やりがいなのか。これが曖昧だと、紹介会社に流されやすくなります。
でも、自己分析って難しくないですか? 忙しいし…

オカメインコ

ポッポ先生
完璧にやる必要はありません。「これだけは嫌だ」という条件を3つ挙げるだけでも十分です。逆に言うと、それすらなく動くのは危険ということですね。
転職方法ごとの特徴と使い分け

転職には大きく4つの方法があります。それぞれの特徴を整理しておきましょう。
1. 民間の人材紹介会社(転職エージェント)
仕組み:薬剤師を企業に紹介し、採用が決まると企業側が紹介料を支払います。薬剤師側は無料で利用できます。
メリット
- キャリア相談ができる
- 非公開求人を紹介してもらえる
- 履歴書添削・面接対策・条件交渉を代行してくれる
- 業界情報(会社の内情、算定状況など)が得られる
デメリット
- 紹介料優先で転職先をすすめられるリスクがある
- 面談などで時間がかかる
- 紹介料を払えない小規模薬局は選択肢に出にくい
東京都病院協会の調査によると、薬剤師の平均紹介手数料は約112万円(2022年度)。企業側の負担は小さくありません。
2. ハローワーク
メリット:掲載料が無料なので、個人薬局や小規模法人の求人が出やすい。
デメリット:業界特化のアドバイザーがいないため、薬剤師ならではの相談には限界がある。
現場だとここで詰まりがちです。ハローワークの求人票は情報量が少なく、「実際に働いてみたら違った」となりやすい。
3. 直接応募(自分で探す)
企業のWEBサイトや求人サイトから直接応募する方法です。
メリット:自分で選んだという納得感が高く、満足度につながりやすい。
デメリット:情報収集・条件交渉をすべて自分でやる必要がある。
自分で探すのが一番いい気もしますけど…

オカメインコ

ポッポ先生
情報戦で勝てるかどうかがカギですね。紹介会社が持っている内部情報(たとえば地域支援体制加算の算定状況、後発品体制加算の取得率など)を自力で集められるかどうか、冷静に考えてみてください。
4. 友人・知人の紹介
信頼できる人からの紹介なら、「変な職場」を紹介されるリスクは低いです。
ただし、待遇面で不満が出たときに言い出しにくい。紹介した人の立場もあるので、関係性にヒビが入る可能性も。
2024年以降の人材紹介会社への規制強化を知っておく

ここ、迷いやすいところです。「人材紹介会社は使わないほうがいい」という意見もありますが、2024年以降、国による規制が強化されています。
2024年からの主な変更点
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2021年4月 | 「就職お祝い金」の禁止(指針レベル) |
| 2023年6月 | 医療分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度開始 |
| 2024年〜 | 返戻金制度(6ヶ月以内離職時の紹介料返還)が認定の必須条件に |
| 2024年7月 | 厚労省がお祝い金禁止を「許可条件」に格上げ(違反は許可取消し対象) |
| 2025年4月 | 求人メディア(募集情報等提供事業者)への規制も強化 |
厚労省が2023年8月〜2024年5月に全国約1,100の人材紹介事業者を調査したところ、約6割で法令違反が発覚しました。お祝い金の支給、手数料表記の不備などが主な内容です。
え、そんなに違反があるんですか…怖い

オカメインコ

ポッポ先生
だからこそ、認定制度が重要になってきています。「医療分野における適正な有料職業紹介事業者」の認定を受けているかどうかは、ひとつの判断基準になりますね。
認定を受けている主な事業者(2025年時点)
- ファルマスタッフ(株式会社メディカルリソース):2021年から認定第1号、2025年2月に更新認定
- マイナビ薬剤師:職業紹介優良事業者認定あり
でも認定があれば絶対安心ってわけでもないですよね?

オカメインコ

ポッポ先生
その通り。認定は最低限の基準をクリアしているという意味です。複数登録して、担当者の対応を比較するのが安全ですね。
私ならこう使う:人材紹介会社との付き合い方
「人材紹介会社は利用するな」と言い切るのはしないほうが安全です。なぜなら、業界情報という点では、個人では太刀打ちできない面があるからです。
たとえば、こういう情報は紹介会社経由でしか手に入りにくい。
- 有限会社〇〇薬局が実は大手グループの傘下だった
- その会社全体の後発品体制加算・地域支援体制加算の算定状況
- かかりつけ薬剤師のノルマがあるかどうか
どうですか? これを自分で調べるのは相当な手間です。
私がおすすめする使い方
- まず転職の「思考法」を学ぶ:いきなり登録せず、「転職で何を重視するか」の軸を決める
- 認定事業者を優先して登録:適正事業者の認定を受けているところを選ぶ
- 複数登録で比較する:1社だけだと紹介料優先のリスクを下げられない
- 紹介された求人は自分でも調べる:鵜呑みにしない
複数登録すると、連絡が多くて大変じゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
そこは正直、トレードオフですね。ただ、面倒を嫌って1社だけに依存するのはリスクが高い。MRの情報を複数社から聞くのと同じです。
例外と注意点:こういう場合は慎重に
転職を考えるときの「例外」も押さえておきましょう。
転職を急がないほうがいい場合
- 入社1年未満(短期離職歴がつく)
- 管理薬剤師を打診されている最中(条件交渉の余地がある)
- 転職理由が「人間関係」だけ(環境を変えても解決しない可能性)
紹介会社を使わないほうがいい場合
- 明確に働きたい薬局が決まっている(直接応募のほうが有利)
- 知人から具体的な紹介がある
- パート・派遣ではなく、自分のペースで探したい
ただし〜の場合は、という注意点も。たとえば「直接応募のほうが有利」と言いましたが、条件交渉が苦手な人は、紹介会社を通したほうが結果的に良い条件になることもあります。
まとめ:次にやること

転職方法に「正解」はありません。ただ、判断軸を持たずに動くと、雇用のミスマッチを繰り返すリスクが高まります。
次の一歩として
- 「これだけは嫌だ」という条件を3つ書き出す
- 認定を受けた人材紹介会社に1〜2社登録し、情報収集だけしてみる
- 紹介された求人は、自分でも企業サイトや算定状況を確認する
情報は多いほうが有利です。ただし、情報に振り回されないためには、自分の「軸」が必要です。まずはそこから始めてみてください。
参考資料・確認先(一次情報)
- 厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」
- 厚生労働省「薬剤師確保のための調査・検討事業」(2022年)
- 日本薬学教育学会「多様化の時代に求められるキャリアの考え方」(2019年)
- 厚生労働省「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」
- 株式会社メディカルリソース プレスリリース(2025年2月)


