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育児中の薬剤師が転職で失敗しないために──条件の『優先順位』を先に決める技術

育児をしながらの転職活動は、スキルや経験よりも「生活が回るかどうか」が最初の関門になります。年収、やりがい、通勤時間、時短の可否、急な休みへの対応……。全部大事なのはわかっています。でも、全部を満たす求人は、ほぼ存在しません。

私自身、30代で子育てと薬剤師の仕事を両立する立場として日々感じるのは、「条件を絞れないまま動くと、比較ばかり増えて決められなくなる」ということです。逆に言うと、優先順位さえ決めてしまえば、判断のストレスは大幅に減ります。

この記事では、育児中の薬剤師が転職先を選ぶときに「何を先に固めて、何を後回しにするか」を整理します。「時短OK」の表記に隠れた落とし穴や、面接前に確認しておくべき項目リスト、そして育児中に付きまとう罪悪感との付き合い方まで、判断の筋道を一つずつたどっていきます。読み終わったあと、自分用の「条件の優先順位表」が作れる状態を目指しています。

「全部ほしい」は無理なので、優先順位で勝つ

育児中の転職で最初にぶつかる壁は、「条件が多すぎて絞れない」ことです。時短がいい、家から近いほうがいい、急な休みに対応できる職場がいい、年収も下げたくない──。どれも切実ですし、一つ欠けると生活に直撃します。ここ、心当たりありませんか。

ただ、すべてを満たす求人はほとんど出てきません。仮にあっても、人気が集中して競争率が跳ね上がります。

条件を妥協したら転職する意味がなくないですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

妥協ではなく“配分”です。全部80点より、90点の項目を2つ作って残りは60点で許容する。その設計図が優先順位ですね。

私ならまず、「これが崩れたら家庭が回らない条件」と「なくても1年は耐えられる条件」の2つに仕分けるところから始めます。この仕分けをせず求人を見ると、「あっちもこっちも」のループに入ります。

ただし、お子さんの年齢やパートナーの働き方、実家のサポートの有無で「崩せない条件」はまったく違います。隣の人と同じ優先順位にはなりません。0歳児と小学校低学年では、必要なサポートの質がまるで異なります。「育児中」とひとくくりにせず、いまの自分の状況に合った軸を立てることが出発点です。

優先順位TOP5──何を上に持ってくるかで転職先が変わる

育児中の薬剤師が検討すべき条件を5つ挙げます。「この順番が正解」ではなく、自分の場合はどうかを考える材料にしてください。

①勤務時間(退勤時刻と残業の実態)

保育園のお迎えは動かせないハードデッドラインです。求人票に「17時まで」とあっても、閉局作業で30分〜1時間延びる薬局は少なくありません。私ならまず「何時に職場を出られるか」を確認します。

②勤務地(通勤+送迎の導線)

「自宅→保育園→職場」のトータル導線で見てください。職場まで30分でも保育園が逆方向なら実質1時間です。いまの状況だと、片道40分超は朝がかなりきつくなりやすいです。

③休日(土日出勤の有無と頻度)

調剤薬局は土曜営業が一般的、ドラッグストアなら土日シフトも珍しくありません。「月に何回の土日出勤があるか」と「その日の保育をどう確保するか」をセットで考えないと、入社後に行き詰まります。ちなみに、総合病院の門前薬局は病院が土日休診であれば薬局も休みになることが多く、この点ではねらい目といえます。

④急な欠勤・早退への対応力

ここ、迷いやすいところです。「子育て応援」と書いてあっても、薬剤師の人数や雰囲気次第で実態は変わります。特に薬剤師が自分を含めて2〜3人の店舗では、一人が抜けた瞬間にオペレーションが止まるリスクがあります。4人以上の体制がある店舗のほうが、物理的にカバーがしやすいです。

⑤評価とキャリアの扱い

時短やパートだと昇進・昇給の対象外になることも。短期と長期で分けて考える必要があります。

ポッポ先生

ポッポ先生

0〜2歳なら①②④が上位、小学校入学前後なら③⑤の重みが増えます。固定ではなく、子の成長でスライドさせるイメージです。

以下の表で、自分の優先順位を可視化してみてください。

優先度条件項目基準(例)妥協範囲
A(絶対)退勤時刻17:30に退勤月2回まで18:00可
A(絶対)急な休み対応当日連絡で休める──
B(重要)通勤時間片道30分以内40分まで可
B(重要)土日出勤月2回以下月3回まで可
C(希望)年収・評価現状維持一時的な減額可

「A」が崩れる求人は、他の条件が良くても避けたほうが安全です。

落とし穴──「時短OK」でも”実質フル稼働”な職場がある

誤解されやすいので先に言うと、これは企業が嘘をついているわけではありません。「制度はあるが運用が追いついていない」パターンが多いのです。

育児・介護休業法では3歳未満の子を養育する労働者への時短勤務が義務化されています。さらに2025年10月の法改正で、3歳〜小学校就学前の子を持つ労働者にも、時短やテレワーク等の柔軟な措置を2つ以上講じることが事業主に義務化されました。残業免除の対象も就学前まで拡大されています。

制度面は確実に前進しています。ただし、制度があることと「使える空気があること」は別です。現場だとここで詰まりがちです。薬剤師2〜3人の店舗では、一人が時短で帰ると残りに処方が集中し、帰りづらい雰囲気が漂う──これが「実質フル稼働」の正体です。

面接でそこまで聞いていいんですか? 印象悪くなりそうで……。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

エージェント経由なら聞きやすいです。離職率や時短利用者の人数など、求人票に載らない運用実態を把握していることが多いですよ。

「時短OK」を見極める3つのポイント

  • 常勤薬剤師の人数(3人以下は要注意)
  • 過去に時短勤務を使った人がいるか(利用実績ゼロなら要注意)
  • 時短勤務中の業務量調整があるか

大手だから安心とは限りませんし、小規模でも柔軟な薬局はあります。「大手か個人か」ではなく「その店舗の運用実態がどうか」で判断してください。

また、ドラッグストアの場合、営業時間が長くシフト制が基本です。時短勤務中にどの程度シフトの配慮があるのかは店舗によって差が大きいため、「子育て中の時間帯配慮はどこまであるか」を具体的に確認しておくと安心です。

聞くべき確認項目──面接・エージェント・見学で分散して確認する

どうですか、以下の項目、意識したことはありますか?

転職前に確認すべき5つの項目

急な休みの運用ルール:当日朝の連絡で休めるか。2025年改正で子の看護休暇の対象は小3修了まで拡大されましたが、自社の就業規則が追いついているかも確認を。

早退時のフォロー体制:誰がカバーするか仕組みが明確か。属人的な対応だと回数が増えたとき関係が悪化します。

時短の適用期間:法定は3歳まで、企業独自に小学校入学まで延長しているところも。ここは押さえたいです。

残業の実態:「平均残業時間」より「繁忙期にどれくらい発生するか」を聞くほうが現実に近い情報を得られます。

雇用形態の切り替え:パートから正社員への転換ルートがあるかどうかで、長期のキャリア設計が変わります。最初はパートで入って、子どもの手が離れたら正社員に戻る──この柔軟性がある職場かどうかは、面接で聞いておきたいポイントです。逆に、正社員にこだわりすぎて無理な勤務を続けるより、パートや派遣で時間を確保しながらスキルを維持するほうが、トータルでは合理的な場合もあります。薬剤師の派遣は時給3,000円以上の求人も多く、短時間でもある程度の収入を確保しやすい点は知っておいて損はありません。

確認手段の使い分け

確認したいことおすすめの手段
急な休み・早退の運用エージェント経由で事前確認
薬剤師の人数・雰囲気職場見学で観察
時短の適用期間面接時に質問 or 就業規則確認
残業の実態エージェント+口コミ

条件が細かいほど、求人票だけでは見落としが出ます。エージェント経由で「時短の実態」「急な欠勤の運用」「フォロー体制」を事前確認するだけで、ミスマッチはかなり減ります。

罪悪感に飲まれない考え方──「短期」と「長期」で分けて見る

育児中の転職でいちばん厄介なのは、条件面より「こんなにわがまま言っていいのか」という罪悪感かもしれません。しないほうが安全です──罪悪感だけを理由に条件を無理に上げること。

短期(今〜3年):子どもが小さいうちは時間の制約が最大です。この時期に無理をして体調を崩すと回復に時間がかかり、キャリアの空白がかえって長くなります。「今は時間を優先する」は、長期で見れば合理的な判断です。

長期(3年〜10年):子どもの成長とともに制約は減ります。フルタイム復帰、専門資格、管理薬剤師──選択肢は再び広がります。

同期がどんどん管理薬剤師になっていくのを見ると焦ります……。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

その焦りは自然です。ただ、”いま”なっていないことと”一生”なれないことは違います。焦りを感じたら、「3年後に何をしていたいか」を一つだけ書き出してみてください。漠然とした不安が具体的な目標に変わるだけで、気持ちは変わりますね。

薬剤師は資格職であり、パート時給も他職種と比べて高水準です。ブランクがあっても復職しやすい業界であることは、育児中の大きな強みとして覚えておいてください。制度を使うことは権利であり、「迷惑をかけている」とは別の話です。とはいえ、感情はロジックだけで割り切れません。

私ならまず「自分がいないとき業務が回っているかどうか」を冷静に確認します。フォロー体制が整っている職場なら、あなたが休んでも業務は回っています。もし回っていないなら、それは個人の問題ではなく組織の体制の問題です。「ありがとうございます」を言葉にする習慣はあったほうがいいですが、「申し訳ない」が口癖になっているなら、それは自分を追い詰めているサインかもしれません。

まとめ:家庭が回る条件を先に固めて、そこから選ぶ

  1. 「崩せない条件(A)」と「希望条件(B・C)」を仕分ける。
  2. 「時短OK」の実態を、エージェントや見学で確認する。
  3. 短期と長期を分けて考え、罪悪感に振り回されない。

もしいま転職を考えているなら、まずは優先順位の表を自分用に書いてみてください。「A」に入る条件が2〜3個見えたら、求人の絞り込みが格段にやりやすくなります。条件が具体的になるほど、エージェントを活用して事前確認する価値が上がります。

結局、完璧な職場なんてないってことですよね。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

その通りです。完璧な職場を探すのではなく、“自分の優先順位に合った職場”を探す。この発想の切り替えが、育児中の転職を前に進める最大のコツですね。

育児中の転職は、能力の問題ではなく条件の設計の問題です。設計図を先に描けば、選ぶ苦しさは確実に減ります。

そしてもう一つ。転職しない、という判断も立派な選択肢です。優先順位を整理した結果、「いまの職場のほうが条件に合っている」と気づくこともあります。動くにしても留まるにしても、判断軸が明確になっていれば後悔は少なくなります。


確認すべき一次情報

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