ブランクや短期離職がある状態で転職サイトを開くと、胸がざわつきませんか。
「この空白期間、どう説明しよう」「半年で辞めたことを突っ込まれたらどうしよう」。私自身、職歴を見つめるたびに手が止まる感覚をよく覚えています。ただ、現場で転職事情を見聞きしてきた実感として言えることがあります。ブランクや短期離職そのものが致命傷になるケースは、実はそこまで多くないということ。本当に詰まるのは、「説明の仕方」よりも「応募先の選び方」を間違えたときです。
この記事では、ブランクや短期離職が不利に働く構造を整理したうえで、書類・面接での説明テクニック、そして「勝てる土俵」の見つけ方までを具体的にまとめます。判断の筋道と実行手順だけで構成していますので、いまの状況に当てはめながら読んでみてください。
目次
ブランク・短期離職が不利になる”理由”を知る(対策の出発点)

まず、なぜ不利になるのかを正確に押さえておきましょう。ここ、感覚ではなく構造で理解しておくと対策がブレません。
採用する側が気にしているポイントは、突き詰めると2つだけです。
① この人はまたすぐ辞めないか(定着リスク)
② 即戦力として機能するか(立ち上がりコスト)
厚生労働省の調査によれば、紹介事業者経由で薬剤師を1人採用するコストは約122万円という報告があります(2019年・医療介護分野における職業紹介事業アンケート調査)。採用側からすると、数カ月で辞められたらその投資が丸ごと消えるわけです。だからこそ「定着リスク」にピリピリする。ここ、心当たりありませんか。面接で退職理由をしつこく聞かれる背景は、まさにここにあります。
逆に言うと、「辞めない根拠」と「すぐ動ける根拠」さえ示せれば、ブランクや短期離職の事実そのものは大きなマイナスにならないということです。
でも、正直に言うと「またすぐ辞めるかも」って自分でも思ってるんですよね…

オカメインコ

ポッポ先生
その不安、放置しないほうがいいですね。「なぜ前職を辞めたのか」「次の職場で同じことが起きたらどうするか」を整理できていないと、面接でもぼんやりした回答になりがちです。自信がないのは準備が足りていないサインなので、まずは事実の整理から始めましょう。
不利に見えるパターン/問題になりにくいパターン

ブランクや短期離職といっても、すべてが同じように不利になるわけではありません。私ならまず「自分がどのパターンに入るか」を確認します。
不利になりやすいパターン
| パターン | 採用側の懸念 |
| 半年未満の離職が2回以上 | 「繰り返す人」と見なされやすい |
| 退職理由が不明確なブランク | 「何か問題があったのでは」と推測される |
| 直近の離職から動きがない期間が長い | 「働く意欲が低い?」と疑われる |
| 人間関係トラブルが退職理由と読み取れる | 「うちでも同じことが起きるのでは」 |
問題になりにくいパターン
| パターン | 理由 |
| 出産・育児・介護などライフイベント起因 | 社会的に理解されやすい。薬剤師は女性比率が高く、採用側も慣れている |
| 配偶者の転勤による退職 | 自己都合と見なされにくい |
| 職場の閉鎖・M&Aなど外部要因 | 本人に帰責性がない |
| ブランク中にパート・派遣で少しでも働いていた | 「完全に現場を離れていない」と評価される |
いまの状況だと、どちらに近いですか?
ただし、「不利になりやすい」パターンでも、説明の仕方と応募先の選び方で十分にカバーできます。不利になりやすいパターンに当てはまったからといって、ここで読むのをやめないでください。
ライフイベントじゃなくて、正直、人間関係で辞めたんですけど…それってやっぱり不利ですか?

オカメインコ

ポッポ先生
人間関係が原因の離職は薬剤師の転職理由として実際にかなり多いです。採用側もそれは分かっています。問題は「辞めた」という事実ではなく、「同じ状況になったときにどう対処するか」の見通しがあるかどうか。そこが見えれば、過度に不利にはなりません。
説明は「反省」より「再発防止」が強い

ここ、迷いやすいところです。ブランクや短期離職を説明するとき、多くの人が「反省」を語ろうとします。「あのとき判断を誤りました」「もっと我慢すべきでした」。気持ちは分かります。でも、採用側が聞きたいのはそこではありません。
採用側の本音は、「で、次はどうするの?」です。
反省は過去に向いた言葉です。採用側が知りたいのは未来の行動。つまり、「同じ状況になったときの対処法」「次の職場を選んだ基準」「辞めないための具体的な工夫」。これが「再発防止」の視点です。
反省トーンと再発防止トーンの違い
反省トーン(弱い):
「前の職場では人間関係がうまくいかず、もっと粘るべきだったと反省しています」
再発防止トーン(強い):
「前の職場で感じたミスマッチを分析した結果、一人薬剤師体制かどうか、教育の方針が明確かどうかという2点が自分にとって重要な判断基準だと分かりました。御社はこの2点が合致しているため志望しています」
どうですか? 後者のほうが、採用側に「この人は同じ失敗をしなさそう」と感じてもらえませんか。
誤解されやすいので先に言うと、反省そのものが不要というわけではありません。ただ、反省「だけ」では弱い。反省+再発防止策のセットで初めて説得力が出ます。
でも、再発防止って言っても、「もう大丈夫です」みたいな精神論になりそうで…

オカメインコ

ポッポ先生
精神論にしないコツは、「数字」か「基準」を入れることです。「処方箋枚数○枚以下」「薬剤師○名以上の体制」「通勤○分以内」みたいに、選んだ根拠を具体化するだけで、一気に説得力が上がりますよ。
退職理由の言い換えテンプレ(5パターン)
退職理由の伝え方には型があります。ここではよくある5パターンの「NG表現→OK表現」をまとめます。ただし、嘘はつかないでください。嘘は面接で深掘りされたときに破綻します。「事実をどの角度から伝えるか」の技術だと思ってください。
パターン①:人間関係
- NG:「上司と合わず、限界でした」
- OK:「チームで連携して患者さんに対応する環境を求めています。前職は一人薬剤師の時間が長く、相談や確認の体制が不十分だと感じたのが転職のきっかけです」
パターン②:業務量・残業
- NG:「忙しすぎて体を壊しました」
- OK:「服薬指導や在宅対応に力を入れたいと考えていますが、前職では処方箋枚数の多さから一つひとつの対応に時間が取れない状況でした。業務の質を高められる環境で働きたいと考え、転職を決意しました」
パターン③:短期離職(入社後のミスマッチ)
- NG:「思っていた職場と違いました」
- OK:「入社後に、求人情報と実際の業務内容に差があることが分かりました。今回は事前の職場見学と業務確認を徹底したうえで応募しています」
パターン④:体調不良
- NG:「体調を崩して退職しました」(具体性がないと不安を与えやすい)
- OK:「一時的に体調を崩し療養しておりましたが、現在は完治しています。復帰にあたり、主治医からも就業可能の判断をいただいています」
パターン⑤:ライフイベント(育児・介護)
- NG:「子育てに専念していました」(それだけだと現在の就業意欲が見えにくい)
- OK:「育児のために退職しましたが、その間もe-ラーニングで研修を受講し、調剤報酬改定の情報はフォローしていました。子どもが○歳になり保育の体制が整ったため、フルタイムでの復帰を希望しています」
いずれのパターンにも共通するのは、「過去の事実+今の状態+未来の行動」をセットで伝えるということです。これを外さなければ、不自然に取り繕う必要はありません。
書類(職務経歴書)での見せ方──短く・事実・学び
現場だとここで詰まりがちです。「職歴に自信がないから、書類をどう書けばいいか分からない」。その気持ち、よく分かります。ただ、職務経歴書は「全部を正直に書く」のがルールである一方、「見せ方」で印象は大きく変わります。
原則:短い在籍も省略しない
履歴書・職務経歴書で職歴を省略するのは経歴詐称にあたる可能性があります。3カ月でも勤務した事実は書くこと。その代わり、書き方に工夫を入れます。
工夫①:短期在籍の職歴は「1行+理由」で簡潔に
長く在籍した職場の経歴は手厚く書き、短期離職の職歴はコンパクトにまとめます。職務経歴書はA4で1〜2枚が基本ですから、「どこに紙面を割くか」で印象が変わります。
【記載例】
○○薬局(2023年4月〜2023年9月)※事業所閉鎖に伴い退職
担当科目:内科・小児科、1日処方箋枚数:約40枚
理由を一言添えるだけで「ああ、そういう事情か」と採用側も納得しやすくなります。
工夫②:ブランク期間中の「学び」を書く
ブランクが1年以上ある場合、空白期間に何をしていたかは確実に聞かれます。ここに書けるものがあるかないかで、印象が大きく分かれます。
書ける内容の例:
- e-ラーニング受講
- 薬剤師向け研修会への参加
- 認定薬剤師の単位取得
- 医薬品情報の自主学習
- パートや単発派遣での勤務
「何もしていなかった」という場合は、いまからでも遅くありません。転職活動と並行して、最低1つは「ブランク中に取り組んだこと」を作っておくと書類の印象が変わります。
工夫③:自己PRは「過去の実績」+「次にどう活かすか」の構成
自己PRは300字程度で、「スキルや経験→応募先でどう活かすか→入社後に取り組みたいこと」の流れが基本です。ブランクや短期離職があっても、それ以前に積み上げた経験は消えません。処方箋枚数、対応した科目、在宅訪問の件数など、数字で示せる実績は積極的に盛り込んでください。
正直、特に資格も取ってないし、ブランク中に何か勉強したわけでもなくて…

オカメインコ

ポッポ先生
であれば、まず転職活動を始める「前に」1〜2カ月だけ準備期間を設けるのも手です。e-ラーニングを数コース受けるだけでも「学び直しの姿勢がある」と書類に書けます。焦って応募するより、この準備が書類通過率に直結しますよ。
面接での受け答え(突っ込まれたときの返し方)
書類を通過しても、面接で突っ込まれるのが怖い。そう思う方は多いはずです。ここでは、ブランクや短期離職がある薬剤師が面接で聞かれやすい質問と、その返し方の型を整理します。
質問①:「ブランク期間は何をされていましたか?」
返し方の型: 理由+期間中の取り組み+現在の就業準備状況
「育児に専念しておりました。その間、日本薬剤師研修センターのe-ラーニングで○単位を取得し、直近の調剤報酬改定の内容も把握しています。保育体制が整い、週5日のフルタイム勤務が可能な状態です」
質問②:「前職を短期間で退職された理由は?」
返し方の型: 事実+自分が学んだこと+今回の選び方
「入社後に、求人票にはなかった一人薬剤師体制が常態化していることが分かりました。確認不足だった点は反省しています。この経験から、今回は事前に見学をさせていただき、薬剤師の配置体制と教育方針を確認したうえで応募しました」
質問③:「うちでも同じことが起きたらどうしますか?」
これ、いちばんキツい質問です。でも、ここにしっかり答えられると、一気に信頼が上がります。
返し方の型: 具体的な対処行動+相談先の明示
「まず上長に相談します。前職では相談せずに自分で抱え込んだことが早期離職の一因でした。次の職場では、困ったことがあれば早い段階で上長や同僚に共有し、改善の余地があるかを一緒に検討したいと考えています」
ただし、いくら準備しても面接は緊張します。頭が真っ白になることもあります。そうなったときのために、「退職理由」「志望動機」「今後のキャリア」の3つだけは紙に書いて暗記レベルまで落とし込んでおくのが安全です。
そこまで準備しても、やっぱり落ちたらどうしよう…って考えちゃいます。

オカメインコ

ポッポ先生
落ちること自体は、実は「合わない職場に入らずに済んだ」とも言えます。ブランクや短期離職がある方こそ、次の職場は長く働ける場所を選ぶべきです。焦って合わない場所に入ると、また短期離職を重ねることになる。それが一番避けたいシナリオですね。
まとめ:勝てる土俵を選ぶ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に、この記事の要点を整理します。
ブランクや短期離職があるとき、もっとも消耗するのは「受かるかどうか分からない求人に片っ端から応募する」やり方です。書類で落ち続けると自己肯定感が削られますし、面接で突っ込まれるたびに傷つきます。
だからこそ、「勝てる土俵を選ぶ」ことが最優先です。
- 受け入れ体制がある職場を選ぶ
求人情報で「ブランク可」「未経験歓迎」のタグは最低条件。さらに、研修制度の有無、薬剤師の配置人数、処方箋枚数の目安を確認してください。人員に余裕がある職場のほうが、ブランク明けの立ち上がりに時間をかけてもらいやすいです。 - 「第三者のフィルタ」を使う
短期離職やブランクがある場合、独力で求人を探すより、転職エージェントに状況を正直に伝えて「通りやすい求人」を選別してもらうほうが効率的です。エージェントは採用側の温度感を知っているので、「ここは職歴を気にするタイプ」「ここは人柄重視で受け入れ実績あり」という情報を持っています。 - 説明の準備は「反省」より「再発防止」で組み立てる
退職理由・ブランクの説明は、「過去の事実+今の状態+未来の行動」の3点セットで。反省だけで終わらず、次はどうするかを具体的に語れるようにしておいてください。
最後にひとつ。薬剤師は国家資格を持つ専門職です。ブランクがあっても、短期離職があっても、資格と経験は消えません。厚生労働省の統計によれば、薬剤師の平均転職回数は2〜3回とされており、転職自体は珍しいことではありません。職歴に不安があっても、応募先と説明の仕方を間違えなければ、十分に次のステップに進めます。
不安が強いときほど、まずはエージェントに状況を伝えて「通りやすい求人があるかどうか」を確認するところから始めてみてください。全部を一人で抱え込む必要はありません。
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※上記は薬キャリAGENT公式の特徴説明に基づく表現です。
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- 企業一本志望なら、企業特化サービスの併用も検討
確認先(一次情報)
- 厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
- 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
- NTTデータ経営研究所「令和3年度 薬剤師確保のための調査・検討事業 報告書」
- 日本薬剤師研修センター(e-ラーニング・認定薬剤師に関する情報)


