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誰も教えてくれない職場で詰んだ:放置される薬剤師の生存戦略

「聞きたいけど、忙しそうだからやめておこう」。

その遠慮、すごくわかります。でも、その積み重ねで気づいたら“何もわからないまま数ヶ月が過ぎていた”という状況になっていませんか。教育がない職場で放置されるのは、あなたの努力不足ではありません。まずそこだけは、はっきりさせておきたいです。

私の周りにも「入社したら研修なんてほぼなくて、いきなり投薬に立たされた」という薬剤師の友人が何人かいます。本人たちはみんな「自分の要領が悪いのかな」と思っていました。でも話を聞けば聞くほど、それは個人の問題じゃなくて構造の問題でした。

この記事では、教育放置の正体を整理したうえで、現職で生き残る方法と、教育体制のある職場の見分け方までをまとめます。


放置がしんどい本当の理由──孤独と自己否定のループ

教育放置がつらいのは、単に「教えてもらえないから」だけではありません。誤解されやすいので先に言うと、本質は「自分がダメなのかもしれない」という自己否定が止まらなくなることです。

質問したくても誰も手が空いていない。聞けば「前にも言ったよね」と返される。そのうち「聞くこと自体が悪いことなのかも」と感じ始める。この流れ、心当たりありませんか。

でも、自分で調べるのも薬剤師の仕事じゃないですか? 甘えてるだけなのかなって思っちゃうんですけど…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

自分で調べる力はもちろん大事です。ただ、“調べ方”や”判断の基準”を教わっていない段階で丸投げされるのは、教育の放棄ですね。調べる姿勢と、教える体制は別の話です。

放置が続くと起きやすいのが、次の3つの悪循環です。

段階状態心理
第1段階質問を遠慮し始める「忙しそうだから後にしよう」
第2段階自己流で対処し始める「たぶんこれで合ってるはず」
第3段階ミスが出て自信喪失「自分は薬剤師に向いていない」

この第3段階まで来ると、退職か休職かという話になりがちです。でも逆に言うと、第1段階の「遠慮」に気づいた時点で手を打てば、まだ間に合います

ただし、すでに心身に不調が出ている場合は、「頑張り方」ではなく「環境を変えること」を最優先にしてください。自分の責任にしすぎないことが、ここでは一番の生存戦略です。


教育がない職場にありがちな空気

教育放置の職場には、いくつか共通するパターンがあります。友人たちの話を総合すると、だいたい以下のような空気が漂っています。

「見て覚えて」文化が根づいている

指導者が自分自身も体系的な教育を受けた経験がなく、「自分もそうやって育った」という認識で止まっているケースです。悪意はないのですが、結果として新人が放置されます。

厚生労働省が2024年3月に公表した「薬剤師臨床研修ガイドライン」では、研修期間は原則1年間以上とし、指導薬剤師の配置や段階的な研修プログラムの整備を促しています。つまり、国として「教育は組織の責任」という方向に動いているわけです。

教育担当が名前だけ

形式上はプリセプターや教育係がいるけれど、その人自身の業務量が多すぎて教える時間がない。これ、現場だとここで詰まりがちです。教育担当の業務量が調整されていないと、担当者も新人も両方が疲弊します。

正直、うちの薬局は人が足りなくて、教育どころじゃない雰囲気なんです。これって仕方ないことですか?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

人手不足は確かに現実です。でも、”仕方ない”で終わらせると、新人が定着しない→さらに人手不足、という負のループになりますね。少なくとも週1回15分でも振り返りの時間を確保できるかどうかが、教育の最低ラインだと思います。

「できて当然」の圧力がある

薬剤師は国家資格なので、「資格を持っているなら一定レベルはできるはず」という前提が暗黙のうちにある職場もあります。でも、大学で学ぶ薬学知識と現場で求められる実践力には大きなギャップがあることは、多くの薬剤師が感じているところです。

どうですか? いまの職場に、これらの空気感がいくつ当てはまりますか。2つ以上なら、あなた個人の努力だけで状況を変えるのはかなり難しいと思ったほうがいいです。


現職で生き残る最短ルート──質問の仕方・記録・外部資源

「すぐに辞められない」という現実もありますよね。いまの職場で少しでもマシに過ごすために、私ならまず次の3つから手をつけます。

① 質問の仕方を変える

放置される環境で一番のリスクは、「聞けない→わからない→ミスする」の連鎖です。聞きやすい状況を自分から作る工夫が必要になります。

ポイントは、「Yes/Noで答えられる形」にして聞くこと。

  • 「この処方、どう思いますか?」
  • 「この処方でAの用量が通常より多いと思うのですが、腎機能を考慮した調整という理解で合っていますか?」

自分の考えをセットにして質問する形は、相手の負担を減らすだけでなく、「ちゃんと考えてから聞いてるな」という印象にもつながります。

それってつまり、自分で仮説を立ててから聞けってことですか? でも、仮説を立てる知識すらないときはどうすれば…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

そういうときは「添付文書のここまで確認したんですが、この先の判断がわかりません」でOKです。”どこまで調べたか”を見せるだけで、返ってくる答えの質が変わりますよ。

② 業務記録を自分で残す

教育がない職場では、マニュアルも不十分なことが多いです。だったら、自分が教わったこと・調べたことを自分用のマニュアルとして記録してください。

ノート形式でもスマホのメモアプリでもいいのですが、ここは押さえたいです──日付と状況をセットで書くこと。

📝 記録テンプレート

日付:〇月〇日
状況:△△の処方で□□の点が不明だった
確認先:先輩Aさんに相談
回答:理由は〜〜のため
参照:添付文書・ガイドラインの該当箇所

この記録は後から振り返ったときに自分の成長が可視化されますし、万が一トラブルがあったときの証拠にもなります。

③ 外部の学習資源を使う

職場内で教育を受けられないなら、外部に頼る選択肢があります。いまの状況だと、以下のようなリソースが現実的です。

  • eラーニング(MPラーニング、メディカルナレッジ、JPラーニング等)
    研修認定薬剤師の単位取得にも対応。1講座30分程度から受講可能
  • 日本薬剤師研修センター(PECS)
    研修認定薬剤師制度のプラットフォーム。受講記録や単位管理ができる
  • 地域の薬剤師会の研修会
    対面で質問できる機会があるので、孤立感の軽減にもつながる
  • 日病薬のeラーニング
    病院薬剤師向けの専門性の高いコンテンツが揃っている

ただし、業務時間外に自費で学ぶことが前提になるので、長期間続けるのは負荷が高いです。「あくまで応急処置」と割り切って、並行して環境を変える準備も進めたほうが安全です。


“教育がある職場”の見分け方──研修の実態をどう確認するか

転職を考えるとき、「教育体制が充実」と書いてある求人票は山ほどあります。でも、求人票の文言と現場の実態が一致しないことは、薬剤師業界に限らずよくある話です。

私ならまず以下の5つを確認します。

確認すべき5つのポイント

  1. OJT期間が具体的に決まっているか
    「先輩について学びます」ではなく、「入社後3ヶ月は教育担当がつき、段階的に業務範囲を広げます」のように、期間と内容が明確かどうか。ここ、迷いやすいところです。「OJTあり」だけでは、1日で終わるOJTかもしれません。
  2. 教育担当者の業務量が調整されているか
    教育担当が通常業務をフルで抱えたまま「ついでに教育もよろしく」になっていないか。面接や見学で直接聞かないとわかりません。
  3. 研修スケジュールや到達目標が文書化されているか
    厚生労働省の薬剤師臨床研修ガイドラインでは、到達目標の設定と達成度評価の仕組みを整備するよう促しています。書面で確認できる職場は、教育に対する意識が高いと判断してよいでしょう。
  4. 定期的なフィードバックの仕組みがあるか
    月1回でも「いまの課題と次のステップ」を話し合う場があるかどうか。これがないと、できているのかできていないのかすら自分でわかりません。
  5. 中途入社者への教育体制が新卒と別に存在するか
    中途で入ったのに新卒と同じ研修を受けさせられる、あるいは「経験あるからすぐ現場に出てね」と放置される。どちらも教育設計がされていない証拠です。
ポッポ先生

ポッポ先生

求人票で”研修充実”と書いてあっても、入社初日のオリエンテーション1回で終わるケースもあります。具体的な内容と期間を確認することが最優先ですね。

ただし、小規模の薬局の場合は、仕組みが整っていなくても教育意識の高い管理薬剤師がいれば十分に育つこともあります。逆に、大手チェーンで研修制度が立派でも、店舗によって運用がバラバラということもある。規模だけで判断しないほうが安全です。


面接で”教育の実態”を見抜く質問テンプレート

ここからは、面接で使える具体的な質問例を出します。ストレートに「教育体制はどうですか?」と聞いても、相手は良いことしか言いません。だから、事実ベースで掘り下げる質問にするのがコツです。

OJTの実態を確認する質問

  • 「入社後、独り立ちまでの期間はどのくらいを想定されていますか?」
  • 「教育担当の方は、通常業務と教育をどのように並行されていますか?」
  • 「直近で中途入社された方は、どのくらいの期間で投薬に入りましたか?」

フィードバック体制を確認する質問

  • 「業務上の疑問や判断に迷ったとき、相談できる仕組みはありますか?」
  • 「定期的な面談やフィードバックの機会はどのくらいの頻度でありますか?」
  • 「新人のミスや課題に対して、どのようにフォローされていますか?」

研修の中身を確認する質問

  • 「研修スケジュールや到達目標を文書で確認することはできますか?」
  • 「外部研修やeラーニングの受講について、会社からのサポートはありますか?」
  • 「過去1年で、スタッフの方が受講された研修にはどのようなものがありますか?」

こんなに質問したら、面倒な人だと思われませんか? 正直、怖いんですけど…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

全部を一度に聞く必要はありません。2〜3個に絞って、会話の流れに合わせて出せば大丈夫です。むしろ、教育に関心がある姿勢は好印象になります。それで嫌がる職場は、入ってからも教育に冷たい可能性が高いですね。

ちなみに、転職エージェントを経由する場合は、エージェント側に「OJTの期間」「教育担当の有無」「相談窓口の仕組み」を事前に確認してもらうことも可能です。自分で聞きにくいことを代わりに聞いてもらえるのは、エージェント経由の強みです。

面接での回答が曖昧だったり、「その場で考えます」的な反応だったら、教育体制は期待しないほうが安全です。逆に、具体的な数字や事例が返ってくる職場は、実際に運用されている可能性が高いと見ていいでしょう。


まとめ:自分のせいにしない。でも、自分から動く

教育が放置される職場で働くのは、精神的にも技術的にもかなりキツいことです。でも、そこで「自分がダメだから」と思い込むのだけは、やめてください。

この記事のポイント

  • 放置は構造の問題。あなた個人の努力不足ではなく、教育体制が整っていない組織の問題です
  • 現職でできることはある。質問の仕方を変える、記録を残す、外部の学習資源を使う。ただし応急処置と割り切ること
  • 環境を選ぶのは逃げではない。面接では事実ベースの質問で「教育の実態」を確認してください

次の一歩として──いまの職場で感じている「しんどさ」を、まず言語化してみてください。「何がわからないのか」「何が不安なのか」をノートに書き出すだけで、状況が整理されます。そのうえで、現職で改善を試みるのか、環境を変えるのかを判断しても遅くはありません。


いまの職場で頑張り続けるのも選択肢です。

でも、比較対象がないまま耐えると「これが普通」と思い込みやすい。まずは転職サービスで相場と条件を見て、自分の状況を客観視してみてください。

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教育体制は、求人票より“運用”が大事です。エージェント経由だと「OJTの期間」「相談窓口」「教育担当の有無」を具体的に確認しやすいので、教育重視の人には相性が良い選択肢になります。

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