「アイン薬局 辞めたい」「アイン薬局 やばい」——こうした検索ワードでこの記事にたどり着いた方も多いかもしれません。
調剤薬局で働く薬剤師として、「大手チェーンで働き続けるべきか」「転職すべきか」という問いに向き合ってきた方は多いはずです。ここ、迷いやすいところです。ネット上には「やばい」という声もあれば、「安定している」という声もある。情報が多すぎて、結局どう判断すればいいのか分からなくなりますよね。
この記事では、2025年の最新データと企業の中長期ビジョンをもとに、アイン薬局(アインホールディングス)の現状を整理します。転職を煽るのでも、無理に引き留めるのでもなく、「あなた自身が判断するための材料」を提供することを目指しています。
目次
アインホールディングスの最新基本情報(2025年8月時点)

まずは事実を押さえましょう。アインホールディングスは、2025年8月にさくら薬局グループ(クラフト社)を買収し、調剤薬局チェーンとして圧倒的な規模に成長しました。
主要データ一覧
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 薬局店舗数 | 2,141店舗 | 2025年8月1日時点 |
| 薬剤師数 | 10,386人 | 2025年8月1日時点 |
| 売上高(25/4期) | 4,568億円 | 前年比14.3%増 |
| 経常利益(25/4期) | 180億8,000万円 | 前年比15.4%減 |
| 薬剤師平均年収 | 約534万円 | 23/4期データ |
| 薬剤師離職率 | 約7.0〜7.9% | 業界平均より低い |
| 平均残業時間 | 約5時間/月 | 23/4期データ |
| 新卒薬剤師採用 | 553人 | 2025年4月入社 |
でも、さくら薬局を買収したってことは、そこで働いてた人はどうなるの?

オカメインコ

ポッポ先生
いい視点ですね。さくら薬局は約830店舗あり、従来のアイン約1,290店舗と合わせて2,141店舗になりました。組織統合には時間がかかりますが、人員削減というより「スケールメリットで効率化」が方針のようです。ただし、異動や配置転換がどう進むかは注視が必要ですね。
離職率7%は「高い」のか「低い」のか

「離職率7%」という数字だけ見ても、それが良いのか悪いのか判断しにくいですよね。心当たりありませんか?
業界比較で見ると
厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、医療・福祉業界の離職率は約13.5%です。つまり、アインの7%前後という数字は業界平均の約半分ということになります。
誤解されやすいので先に言うと、「離職率が低い=いい会社」とは限りません。辞めたくても辞められない環境という可能性もゼロではないからです。逆に言うと、離職率だけで会社の良し悪しを判断するのは危険です。
正直、離職率が低いのは単に転職する気力がないだけじゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
その可能性もありますが、アインの場合は「異動希望が通りやすい」という口コミも多いんです。合わない店舗から早めに異動できれば、辞めなくて済むケースも。ただし、これは「運」や「上司との相性」に左右される部分も大きいので、一概には言えませんね。
離職率推移(2021〜2023年)
| 年度 | 離職率 | 背景 |
|---|---|---|
| 2021/4期 | 4.5% | コロナ禍で転職控え |
| 2022/4期 | 5.7% | 転職市場の回復 |
| 2023/4期 | 7.0% | 報酬改定の影響? |
2022年の調剤報酬改定で大手チェーンが厳しくなった影響も指摘されていますが、転職市場全体の活性化も要因として考えられます。私ならまず「なぜこの時期に離職率が上がったのか」を複数の視点から確認します。
中長期ビジョン「Ambitious Goals 2034」を読み解く

2025年3月、アインホールディングスは中長期ビジョン「Ambitious Goals 2034」を発表しました。2034年に売上高1兆円を目指すという、かなり野心的な目標です。
数値目標
| 期 | 売上高 | ROE | 売上高純利益率 |
|---|---|---|---|
| 24/4期(実績) | 3,998億円 | 8.7% | 2.8% |
| 30/4期(目標) | 7,000億円 | 13.0% | 4.0% |
| 34/4期(目標) | 1兆円 | 15.0% | 4.0% |
ファーマシー事業の戦略
「規模と効率化で持続可能な次世代薬局を創出」がスローガンです。
具体的な施策として挙げられているのは:
- DXの推進:AI薬歴の開発、処方箋事前送信アプリの拡大
- 調剤業務の機械化と一部外部委託:一包化調剤の外部委託、自動調剤機器の開発
- 在庫管理の効率化:ハブ&スポークによる不動在庫の一元管理
処方箋処理枚数のKPIは、現在の21枚/日から30枚/日へ引き上げる計画です。
1人30枚って、それ現場回るんですか?

オカメインコ

ポッポ先生
現状の体制のまま30枚は厳しいですよね。だからこそ「構造改革」が前提なんです。AI薬歴で記載時間を短縮し、一包化を外部委託で負荷軽減、アプリで来局を平準化——これらがセットで動いて初めて成立する話です。実現可能性は、各施策の進捗次第ですね。
リテール事業の拡大とその狙い

アインは調剤薬局だけでなく、「アインズ&トルペ」(コスメ&ドラッグストア)や、2024年8月に買収したFrancfranc(インテリア雑貨)も展開しています。
なぜ雑貨店を買収したのか?
一見すると「薬局と雑貨、関係ある?」と思いますよね。ここ、現場だとピンとこないかもしれません。
ただ、経営視点で見ると2つの戦略的意図が見えてきます。
①事業ポートフォリオの分散
調剤報酬は2年ごとの改定で収益が不安定になりやすい。一方、リテール事業は比較的安定した利益率(約10%)を確保できています。「調剤だけに依存しない」経営体質への転換です。
②消費税の課税売上割合の改善
これは少し専門的な話ですが、調剤報酬は「非課税売上」に該当します。非課税売上の割合が高いと、仕入れにかかった消費税を控除できる金額が制限されます。リテール事業(課税売上)を拡大することで、この「課税売上割合」を改善し、消費税負担を軽減できる可能性があります。
Francfrancをアインファーマシーズに吸収分割したのもそういう理由?

オカメインコ

ポッポ先生
その通りです。2024年8月にFrancfrancを買収後、2025年に同社のインテリア・雑貨販売事業をアインファーマシーズに承継しています。これにより、グループ全体での税務効率化を図っていると考えられます。
どんな理由でアイン薬局を辞めたいと思うのか

口コミサイトから見える退職検討理由を整理すると、以下のようなパターンが多いです。
主な退職検討理由
- 給与が労働量に見合わない(約40%)
- 人手不足・人員配置の問題(約20%)
- 異動・転勤への不満(約10%)
- ノルマと店舗格差(約20%)
- 上層部と現場の温度差
結局、大手チェーンってどこも同じじゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
正直、大手チェーン特有の悩みは共通している部分が多いです。ただ、「同じ悩み」でも、その会社がどう対応しているかは違います。アインの場合、異動希望は比較的通りやすいという声がある一方、給与の上がりにくさは構造的な課題として残っています。
年収に関する実態
アイン薬局の薬剤師平均年収は約534万円で、業界平均(約580万円)と比較するとやや低めです。
ただし、「年収が低い」の場合は:
- 福利厚生込みで考えているか
- 残業時間との比較(月5時間程度)
- 研修制度や成長機会
これらを総合的に判断しないほうが安全です。時給換算すると、実は悪くないケースもあります。
転職すべきか?判断の前に確認したい3つの軸

転職を考えている方に、私ならまずこの3点から確認します。
①「今の不満」は環境で解決できるか
店舗や上司との相性が原因なら、異動で解決する可能性があります。アインは異動希望が通りやすいという口コミが多いので、転職前に一度打診してみる価値はあります。
②「市場価値」は把握できているか
自分のスキルや経験が、転職市場でどう評価されるかを知らないまま動くのはリスクが高いです。転職エージェントに登録して「市場価値の確認だけ」するのも一つの手です。
③「キャリアの方向性」は明確か
「とりあえず辞めたい」だけでは、次の職場でも同じ不満を抱える可能性があります。
働く・稼ぐ・生きる——この3つのバランスが崩れているとき、人は転職を考えます。どの軸が崩れているのか、まず言語化してみてください。
まとめ:判断材料を揃えてから動く

アイン薬局は「やばい会社」かと聞かれれば、答えは「人による」です。
- 業界最大手としての安定性は確保されている
- DXや効率化への投資は進んでいる
- 給与水準や現場負荷には課題が残る
- 2,000店舗超の規模になり、今後の統合過程に不確実性もある
会社が潰れる心配はほぼないでしょう。しかし、「会社が安定している=あなたが幸せに働ける」とは限りません。
次の一歩として:
- まず、自分の不満の根本原因を言語化する
- 異動で解決できるなら、上司や人事に相談
- 転職を検討するなら、まず市場価値を確認
- 最新の情報はアインホールディングスIRページで確認
焦って動く必要はありません。ただ、不安を放置したままだと、キャリアの選択肢はどんどん狭くなっていきます。
参考資料:
- アインホールディングス「中長期ビジョン説明会 Ambitious Goals 2034」(2025年3月18日)
- アインホールディングス「2025年4月期 決算短信」
- アインホールディングス「さくら薬局グループの株式取得について」(2025年6月5日)
- 厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果」


