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しんどいのは仕事量じゃなく、「理不尽が正当化される空気」のほう
管理薬剤師との相性が悪い——これ、薬剤師の転職理由としてかなり上位に来る話です。ある調査では、薬剤師の転職理由の第2位が「人間関係の不満(14%)」で、特に上司・経営層との関係に悩むケースが多いと報告されています(エムスリーキャリア「薬剤師の転職実態調査」)。
ここ、心当たりありませんか。しんどいのは処方箋の枚数じゃなくて、「あの人がいるだけで空気が変わる」あの感覚。頑張ろうとするほど消耗する構造になっている職場って、実は珍しくないです。
この記事では、管理薬剤師が原因で職場がきつい人に向けて、戦わずに自分を守る手順を整理します。友人の薬剤師たちから聞いた話や、パワハラ防止法の制度面も踏まえて、「いま何から手をつけるか」をできるだけ具体的にまとめました。私自身、30代の調剤薬局勤務ですが、周囲にこの手の相談がとにかく多いので、一度まとめておきたかったんです。
地雷上司の典型パターン5つ——「あれ?」と思ったら黄色信号

まず、「自分の上司がどのタイプの地雷なのか」を整理するところから始めましょう。友人たちの話を集約すると、だいたい5パターンに分類できます。
| パターン | 具体的な言動例 | 危険度の目安 |
|---|---|---|
| ①公開処刑型 | 調剤室で大声で叱責する、他のスタッフの前でミスを蒸し返す | 高(精神的攻撃に該当しやすい) |
| ②無視・排除型 | 挨拶を無視する、情報を共有しない、シフト上で孤立させる | 高(人間関係からの切り離し) |
| ③過大要求型 | 明らかに一人では回しきれない業務量を押し付ける、教育なしに丸投げする | 中〜高(過大な要求) |
| ④私物化型 | 「自分のルールが絶対」で、薬歴の書き方から休憩のタイミングまで細かく管理する | 中(業務の適正範囲か判断が分かれる) |
| ⑤機嫌スイッチ型 | 日によって態度が激変する、言うことがコロコロ変わり振り回される | 中(証拠が残りにくい) |
どうですか? 1つでも「うちの管理薬剤師、これだ」と思ったパターンがあったなら、この先を読む意味があります。
でも、④とか⑤って”厳しい上司”との線引きが難しくないですか? 自分が甘いだけなのかなって思っちゃうんですけど……

オカメインコ

ポッポ先生
いい着眼点ですね。判断の基準は“業務上必要かつ相当な範囲を超えているか”です。厚生労働省のパワハラ指針でもそう定められています。ミスの指導自体は問題ないですが、人格否定や大声での叱責が常態化していたら、それは”指導”ではありません。迷ったら第三者に状況を話してみるのが一番確実です。
誤解されやすいので先に言うと、「ちょっと厳しい」と「パワハラ」は別物です。ただし、厚生労働省の調査によれば、パワハラを受けても何もしなかった人の約7割が「何をしても解決にならないと思ったから」と答えています。つまり、「これはパワハラかも」と感じた時点で、すでに相当追い込まれているケースが多い。感じた違和感を軽視しないほうが安全です。
まずやること——自分の”逃げ道”を確保する

地雷上司への対処で、私ならまず確認するのは「逃げ道があるかどうか」です。
ここで言う「逃げ道」は、退職という意味だけじゃありません。異動の可能性、相談できる上位者の有無、経済的なバッファ——この3つのうち、どれが使えるかを先に把握しておくことです。
(1)異動の選択肢
大手チェーンなら店舗異動を申し出ることが可能な場合があります。中小薬局だと難しいですが、複数店舗があるなら打診してみる価値はあります。逆に言うと、1店舗しかない薬局で管理薬剤師が地雷だった場合、社内での解決策は事実上ゼロに近いです。
(2)上位の相談先
エリアマネージャーや人事部門がある場合は、そちらに相談できます。ただし、管理薬剤師が社長と直結している中小薬局だと、相談先そのものが存在しないこともあります。友人に聞いた話では、「管理薬剤師の上が社長で、社長が管理薬剤師の味方だった」というケースが少なくありません。
(3)経済的バッファ
最低3ヶ月分の生活費があれば、いざというとき退職の判断をしやすくなります。いまの状況だと、ここの余裕がないまま我慢を続けて体調を崩すのが最悪のシナリオです。
正直、そこまで計算してから行動する余裕がないんですけど……

オカメインコ

ポッポ先生
全部完璧にしなくて大丈夫です。まずは”いまの自分にどの逃げ道があるか”を紙に書き出すだけでも、頭が少し整理されます。全部ない場合でも、”ないと分かっている”のと”考えたことがない”のでは、次の一手が変わりますからね。
ここ、迷いやすいところです。「まだ頑張れるかも」と思っているうちに動けなくなるパターンが一番怖い。友人が言っていましたが、「辞めるつもりで動いたら、逆に冷静になって”もう少しだけ様子見よう”と判断できた」と。選択肢を持つこと自体が、精神的な余裕を生むというのは、よく聞く話です。
争わずに距離を取る実務テク——記録・相談・線引き

地雷上司と「戦う」必要はありません。むしろ、戦うほどエネルギーを消耗して、得るものが少ないケースのほうが多いです。現場だとここで詰まりがちですが、やるべきことは3つに絞れます。
①記録を取る
いつ、どこで、どんな状況で、何を言われたか。これを淡々とメモに残してください。
私ならまずスマホのメモ帳か手書きノートで記録を始めます。医療現場ではスマホを触りづらい場面も多いので、休憩時間にまとめて書くのが現実的です。「5W1H+そのときの自分の体調変化(動悸がした、眠れなくなった等)」を記録しておくと、のちのち使えます。
この記録は、以下のどのルートに進んでも役立ちます。
- 社内の相談窓口に持ち込む場合
- 労働局に相談する場合
- 転職活動で「なぜ辞めたか」を整理する場合
- 万が一、法的手段を取る場合
2022年4月からすべての企業にパワハラ防止措置が義務化されています(改正労働施策総合推進法)。会社にハラスメント相談窓口が設置されているはずなので、存在を確認しておくだけでも意味があります。ただし、相談窓口が形だけで機能していないケースもあるので、過度な期待はしないほうが安全です。
②第三者に相談する
一人で抱え込むのが一番まずいパターンです。相談先は段階的に考えます。
- まず身近な人:同僚、同期、薬剤師仲間、家族
- 次に社内の上位者:エリアマネージャー、人事
- それでもダメなら外部:都道府県の労働局(総合労働相談コーナー)、法テラス(0570-078374)
どうですか? 「でも相談しても何も変わらないんじゃ……」と思いましたか。正直、相談だけで劇的に状況が改善することは少ないです。でも、「自分はおかしくない」と確認できること自体が、判断力を取り戻す第一歩になります。
③線引きをする
地雷上司のペースに巻き込まれないための実務上の線引きも大切です。
- 業務連絡は可能な限り文面(チャットやメール)に残す
- 口頭の指示は復唱して確認し、メモに記録する
- 不当な要求には「確認します」と一拍置く習慣をつける
- プライベートの話題には深入りしない
それってつまり、我慢しろってことですか?

オカメインコ

ポッポ先生
いいえ、“我慢”と”距離を取る”は違います。我慢は受け入れること、距離を取るのは被害を最小化すること。ここの区別は押さえたいです。そして、距離を取る努力を半年やっても改善しないなら、それは”この職場では無理”という判断材料になります。
「改善する職場」と「改善しない職場」の見分け方

いまの状況を「もう少し頑張ったら良くなるのか」、それとも「構造的に無理なのか」。ここの判断が一番難しいですよね。
私なりの判断軸を整理すると、以下のようになります。
改善の余地がある職場の特徴
- 管理薬剤師の上に、まともな判断ができる上位者がいる
- 過去に異動や配置転換の実績がある
- ハラスメント相談窓口が実際に機能している(相談して不利益を受けた人がいない)
- 管理薬剤師以外のスタッフとの関係は良好
改善が見込めない職場の特徴
- 管理薬剤師=実質的なトップ(社長直結の中小薬局等)
- 離職率が高く、常に求人が出ている
- 過去に相談した人が不利益を被った(または「そんなことくらい」と流された)
- 管理薬剤師の言動を周囲が「仕方ない」と受け入れている
いまの状況だと、後者に当てはまる項目が3つ以上あるなら、職場内での解決はかなり難しいと見たほうが現実的です。

ポッポ先生
一つ補足すると、”改善する職場”でも、改善までに数ヶ月〜1年かかることはあります。その間、自分の心身がもつかどうかも判断材料に入れてください。改善の可能性があっても、自分が壊れたら意味がありませんからね。
ここで友人から聞いてなるほどと思った話があります。「転職活動を”始めた”だけで、不思議と今の職場での気持ちが楽になった」と。実際に転職するかどうかは別として、「ここ以外にも選択肢がある」と実感できることが大きいようです。
次の職場で同じ目に遭わない——面接で使える質問テンプレ

人間関係は求人票に載りません。だからこそ、面接や見学の段階で”空気”を見抜く工夫がいります。
以下は、面接で使える逆質問のテンプレです。直球で「人間関係どうですか?」と聞いても正直に答えてもらえないので、間接的に探ります。
| 逆質問テンプレ | この質問で何を見ているか |
|---|---|
| 「管理薬剤師の方はどのくらいの期間、この店舗にいらっしゃいますか?」 | 在籍期間が極端に短い=問題ありの可能性 |
| 「この店舗のスタッフの平均勤続年数を教えていただけますか?」 | 勤続年数が短い=離職率が高い可能性 |
| 「新しく入った方へのフォロー体制はどうなっていますか?」 | 「先輩が教えます」だけなら教育体制が未整備の可能性 |
| 「業務改善の提案は、どのような流れで検討されますか?」 | ボトムアップの仕組みがあるか=風通しの良さ |
| 「前任の方はどのような理由で退職されましたか?」 | 回答を濁す場合、人間関係の問題がある可能性 |
面接でそんなに質問したら印象悪くならないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
全部聞く必要はありません。2〜3個に絞って、自然な会話の流れで聞くのがコツです。むしろ、”職場環境に関心がある応募者”として好印象を持たれることも多いですよ。質問をまったくしないほうが、逆にマイナスになることもあります。
ただし、面接での質問だけでは限界があります。可能であれば、以下の方法も併用してください。
- 職場見学を申し出る:実際の調剤室の雰囲気、スタッフの表情、声のトーンを見る
- 自分が勤務する時間帯に見学する:忙しい時間帯の対応を確認できる
- 転職エージェントに聞く:「この店舗から過去に退職者は出ていますか?」「店舗の雰囲気はどうですか?」と率直に聞く
もう一つ。転職エージェントに相談するとき、「人間関係で辞めたいので、店舗の雰囲気がわかる案件が良い」と正直に伝えるのは有効です。ネガティブな理由をそのまま面接で言う必要はありませんが、エージェントには正直に話したほうが、ミスマッチを防げます。
まとめ:人間関係で壊れる前に——いま取れる「一手」だけ決める

ここまで読んでくださってありがとうございます。最後に、この記事で伝えたかったことを整理しておきます。
- 管理薬剤師が地雷だった場合、「頑張って関係を改善する」よりも「自分を守る手順を踏む」ほうが安全
- まず逃げ道(異動・相談先・経済的余裕)を確認する
- 記録を取り、第三者に相談し、距離を取る——この順番で進める
- 「改善する職場」か「改善しない職場」かを見極めて、後者なら環境を変えることを検討する
- 次の職場選びでは、面接の逆質問と職場見学で”空気”を探る
いますぐできる一手は、以下の3つのうちどれか1つ:
- 今日から、言われたことの記録をつけ始める
- 信頼できる人に、いまの状況を話す
- 転職サイトに登録だけしておく(応募しなくてOK)
「3つ全部やれ」ではありません。どれか1つだけ。それだけで「動き出した」という感覚が生まれて、判断力が少し回復します。
パワハラかどうか迷ったら、厚生労働省の「あかるい職場応援団」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/)に相談の流れや事例が掲載されています。一人で判断しないでください。
いまの職場で頑張り続けるのも選択肢です。
でも、比較対象がないまま耐えると「これが普通」と思い込みやすい。
まずは転職サービスで相場と条件を見て、自分の状況を客観視してみてください。
応募しなくても大丈夫。判断材料を増やすだけで、気持ちはかなり軽くなります。
人間関係は求人票に書かれません。だからこそ、複数求人を見比べて「母体」「離職率の傾向」「面接の質問の通りやすさ」を比較するだけでも当たり外れが減ります。
転職エージェントに「人間関係で辞めたいので、店舗の雰囲気が分かる案件が良い」と言うのは有効です。
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※上記は薬キャリAGENT公式の特徴説明に基づく表現です。
注意点(デメリット)
- 提案テンポが速いと感じる場合あり(連絡ペースは最初に指定がおすすめ)
- 企業一本志望なら、企業特化サービスの併用も検討
あなたの心身より大事な職場は、どこにもないです。


