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「こんなはずでは…もう辞めたい」入社一年目の新人薬剤師が出会うリアリティショックについて

今回は、新人薬剤師のキャリア支援ということで、リアリティショックについて解説します。

入社したばかりなのに、「就職前はこんなことを期待していたのに…こんなはずでは!」と感じている新人薬剤師の方およびその関係者(新人がいる店舗の上司など)は知っておいてほしい内容です。

先行研究(参考文献1)によると、薬剤師の7割程度は入社して1年以内にリアリティショックを感じているようです。

特に精神的に弱い人がリアリティショックに陥るとネガティブな感情が強くなっていきます。

そうすると、ミスが増えてきて、その次は遅刻するようになったり、当日欠勤(無断欠勤)が増えてくるようになります。やがて、退職というは負のスパイラルにはまってしまうこともありますので、適切に対応していただけたらと思います。

なお、新人薬剤師で「うるせえ、私はもうこの職場やめたいんだよ」と強い意志をお持ちの方はこちらの記事をどうぞ

リアリティショックとは何?

それではまずリアリティショックについて解説します。

​リアリティショックとは、新しい職場や仕事に就いた際に、​自分が持っていたイメージや期待と、​実際の現実とのギャップに衝撃を受けることを指します。​

先行研究によると、3つのリアリティショックの構造が考えられているそうです。

既存型リアリティショックの構造

肩透かしの構造

専門職型リアリティショックの構造

新人薬剤師はどのようなことでショックをうけているのか?

先行研究によると、日本の薬剤師の8割程度がリアリティショックを受けたことがあると回答しています。

そしてそのリアリティショックを受けた時期は、半数程度が入社後1.2カ月、2割程度が半年から1年と回答しています。

では、どのようなことにリアリティショックを受けているかを以下に示します。

  • 上司との関係が悪い
  • 自分を取り巻く人間関係
  • 拘束時間が長い
  • 忙しい(あたふた)
  • 給与への不満
  • 他の仕事が多い
  • 急な責任の付与

このリアリティショックの背景には以下の内容があると考えられています。

  • 自分以外の人間関係
  • 会社の方針への葛藤
  • 働く環境への幻滅
  • 評価してもらえない・教育システムへの不満
  • 自分の思いと求められることとのギャップ
  • 思ったよりチョロイ
  • よそと比べたショック

上記の内容はすべて、参考文献1より

るるーしゅ

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確かに~と共感する薬剤師も多いのではないでしょうか。

新人薬剤師が落ち込んでいたら

上記で示した内容は、新人時代に多くの薬剤師が経験することだからと理解出来れば、新人薬剤師も「自分だけじゃなかったんだ」と安心するのではないでしょうか。

また新人薬剤師でうまくいかなくて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。その落ち込んでしまう内容についてもこんなことで落ち込むんだよというのを紹介します。

尚、こちらのデータは新人看護師のデータなので、薬剤師には当てはまらないかもしれませんが、多分同じような専門職なので大丈夫じゃないかなと思います。

  • できないことへの焦りと自覚
    できないこととやるべきことのギャップ、2年目になる不安
  • 職場の人間関係と厳しい指導
    先輩からの厳しい指導と怒られる経験、人間関係がうまくいかない悩み
  • 仕事がうまくいかない
    仕事がこなせない、仕事量の多さと余裕のなさ
  • ひとり立ちに対する不安
    ひとり立ちできない、責任の重さと仕事のミス
  • 職場環境への不適応
    環境に慣れない、仕事に慣れない、人間関係に慣れない
  • ストレス・疲労・緊張
    疲労、ストレスと緊張
  • 同期との比較
    同期との能力差、同期より遅れを感じる

谷原弘之 (2022). メカニズムを知って対処する 新人看護師のリアリティショック: メカニズムから学ぶ 新人看護師のリアリティショック. Nursing BUSINESS, 16(4), 318-323.より

リアリティショックへの対策はどうする?

ここまでは、リアリティショックとは?どんなことでショックを受けるの?といったことを解説してきました。

新人薬剤師でリアリティショックを受けていた方も、「自分だけじゃないんだ、普通のことなんだ」と思えて、気持ちが楽になったのではないでしょうか。

つづいてリアリティショックを乗り越えるための方法を解説します。

新人薬剤師向けの記載のため、新人薬剤師がいる店舗の人達は以下の内容をフォローしてあげられるように頑張ってください。

特に今年の新人は、薬局実習がコロナの影響で満足で出来ていない可能性があり、よりリアリティショックを受けやすい状況だと思います。

リアリティショックを乗り越える方法

自分の限界を認識する:自分ができることとできないことを把握し、無理をせず、適切なペースで業務を行うことが大切です。

コミュニケーションを大切にする:上司や先輩、同僚と積極的にコミュニケーションをとり、悩みや不安を共有することで、解決策やアドバイスを得られます。

メンターを見つける:経験豊富な先輩や上司の中からメンターを見つけ、相談や助言を受けることで、自分の成長を促すことができます。

定期的に振り返りを行う:自分の業務やスキルの成長を定期的に振り返り、目標設定や達成度を確認し、適切な改善策を考えることが重要です。

リアリティショックへの対処法(店舗スタッフのフォロー方法)

リアリティショックへの一番の効果的な対応は、職場環境に適応させることです。新人薬剤師が職場に適応するために、店舗のスタッフが行うべきことは以下の通りです。

  • 良好な人間関係の構築
  • 安心できる場所が提供されること
  • 相談に乗ってくれる先輩薬剤師の存在
  • 新人支援が容易に受けられる環境作り(新人バッジなどの活用)
  • チームメンバーとしての一体感
  • コミュニケーションスキルの向上を図るトレーニング
るるーしゅ

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心理的安全性の確保は非常に重要です!リアリティショックに陥りやすい人は、自己主張が得意でないことがよくあります。

リアリティショック乗り越えられそうにない場合は?

リアリティショックを乗り越える方法を伝えましたが、なかには「いやいや、無理だから」と思う新人薬剤師もいるのではないでしょうか。

そのようなケースでは、早期に転職するのはやむを得ないと思います。

「早期に離職すると、経歴に傷が…」と思うかもしれませんが、合わない環境で働き続けるよりはマシではないかと思います。

るるーしゅ

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指導がうまいところで働いたほうが伸びると思います。

特にメンタルヘルスに大きな影響を与えている事例では、無理せず転職したほうがいいと思います。

さいごに

今回は、新人薬剤師が入社後の早い段階で直面するリアリティショックについて解説しました。

新人薬剤師には、程度の差はあれど、多くの薬剤師が感じていることだから過度に不安を抱く必要はないことを知ってもらいたいです。(本当に向いていない人もすくなからずいますが…)

また新人薬剤師がいる店舗の責任者(管理薬剤師等)は、新人はこのようなことでショックを受けているかもしれないということを頭の片隅に入れて、定期的に振り返り(リフレクション)などのキャリアサポートをしてあげるといいのではないかなと思います。

また大手調剤チェーンや大手ドラッグストアの場合、たいして考えず入社して、「この職場合わない」と感じている新人もいると思いますので、その場合は割り切って、合わないなら転職すれば?くらいの対応でもいいのかなと思います。

参考文献
  1. 高木彰子, 橋口友貴, and 伊藤由加里. “薬剤師のキャリアデザイン–薬剤師のリアリティ・ショックに関する定性的分析 (1).” Journal of pharmaceutical communication: ファーマシューティカルコミュニケーション研究会会誌/ファーマシューティカルコミュニケーション研究会 編 7 (2009): 49-54.
  2. 尾形真実哉 人材育成学会 「新人の組織適応課題-リアリティ・ショックの多様性と対処行動に関する定性的分析-」(2006)
るるーしゅ

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おすすめとしては優良認定を受けているファルマスタッフがいいと思います。(転職サービスですが、無料でキャリア相談してもらえます)

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るるーしゅ

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ファルマスタッフに登録したからといって、必ず転職しなければいけないわけではありません。

まずは登録して、転職市場の専門家と話してみるのがいい経験になり、視野が広がるはずです。

自分はこれからどのような生活を送っていきたいのか?

お金を優先するのか、やりがいを優先するのか、ライフワークバランスを優先するのか、など働き方は人それぞれです。

自分がどうなりたいのか、どうなれるのかを常に考えながら、目の前の仕事を通じてキャリアを形成していくことが大切です。

まずは目の前の仕事においてできることと、自分自身の市場価値を確かめることから始めてみるのがよいと思います。

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  • 職務経歴書の書き方指導
  • 面接対策、企業との交渉代行など
るるーしゅ

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これから先のどうなるかわからない業界だからこそ、情報量が多いキャリアに関する知識がある人に相談するのは、マイナスにはならないと思うんだよね。

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薬局薬剤師です。
若手の薬剤師教育や学会発表、論文投稿などに興味があります。
m3や雑誌への寄稿や、某大学非常勤講師歴もあります。
ファクトベースで物事を話さない(=感覚でものを言う)人は苦手です。
今後の業界の変化に対応できるように、業界情報や専門的なスキル、そして薬剤師としての働き方などについて情報発信していきます。
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