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海外に行くので飲んでいる薬の証明書いただけませんか?薬剤携行証明書について解説

「海外に行くので、飲んでいる薬の証明書を出してもらえませんか?」

調剤薬局で働いていると、こんな相談を受けることがあります。年に数回あるかないかの頻度なので、いざ聞かれると「えっと、どう対応するんだっけ…」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。

私も最初に相談されたとき、正直なところ「くすりのしおりの英語版を渡せばいいのかな?」くらいに思っていました。でも調べてみると、それだけでは不十分なケースがあるんですね。

この記事でわかること
  • 薬剤携行証明書とは何か、法的な位置づけ
  • 薬局で作成できるのか、どんな項目を書けばいいのか
  • 渡航先や薬剤によって注意すべきポイント
  • 患者さんから相談されたときの対応フロー

そもそも海外に処方薬を持ち込んで大丈夫なのか

まず前提として、海外への処方薬の持ち込みは、滞在日数に見合う量であれば、ほとんどの国で問題になりません

ただし、ここで「ほとんど」と書いたのには理由があります。

「ほとんど問題ない」って、逆に言うと問題になるケースもあるってことですよね?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

そうですね。大きく分けて2つのリスクがあります。1つは「手荷物検査で説明を求められたとき、うまく伝えられない」リスク。もう1つは「そもそも渡航先で持ち込みが禁止されている薬剤だった」というリスクです。

手荷物検査で「この薬は何ですか?」と聞かれたとき、英語で説明できる方は多くありません。そこで、あらかじめ「この薬は医師の処方に基づいて使用しているものです」と証明できる書類があると安心です。これが薬剤携行証明書の役割になります。

ここ、誤解されやすいので先に言っておくと、薬剤携行証明書があれば何でも持ち込めるわけではありません。渡航先の国が「この成分は持ち込み禁止」と定めている場合、証明書があっても没収や拘留の対象になり得ます。

つまり、証明書の準備と、渡航先の規制確認は別の話なんですね。両方やって初めて「安心して渡航できる状態」になります。

薬剤携行証明書とは|法的根拠と薬局での位置づけ

薬剤携行証明書は、「携行している医薬品が、正当な理由で所持しているものである」ことを証明する書類です。

これって、法律で決まった書式があるんですか?公的な文書?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

いえ、法的に定められたものではないんです。だから公式なフォーマットもありません。処方医が作成することもあれば、調剤した薬局の薬剤師が作成することもあります。

ここ、現場だと迷いやすいところです。「法的に定められていない」と聞くと、「じゃあ薬局で作っていいの?ダメなの?」と判断に困りますよね。

結論から言うと、薬局でも作成できます。ただし、あくまで「調剤した薬局として、この薬剤を処方箋に基づいて調剤しました」という事実を証明する立場での作成です。

疾患名を書く場合は処方箋や薬歴の情報に基づく範囲にとどめ、診断内容に踏み込みすぎないほうが安全です。

もし患者さんが「医師のサイン入りの証明書がほしい」と希望された場合は、処方元の医療機関に依頼するよう案内するのが適切です。

薬局で作成するときの手順と記載項目

では、実際に薬局で薬剤携行証明書を作成する場合、どんな手順で進めればいいでしょうか。

作成前に確認すること

私ならまず、以下の3点を患者さんに確認します。

  • 渡航先の国:国によって持ち込み禁止薬剤が異なるため
  • 渡航期間:携行量が妥当かどうかの判断材料
  • 携行する薬剤の一覧:麻薬・向精神薬など別対応が必要な薬剤がないか確認

この段階で「あ、この薬は別の手続きが必要ですね」と気づければ、患者さんに無駄な期待を持たせずに済みます。

記載すべき項目

薬剤携行証明書に決まった書式はありませんが、以下の項目を押さえておくと、海外の手荷物検査で説明しやすくなります。

必須項目
  • 作成日(Month/Date/Year形式)
  • 患者氏名(パスポート表記と一致させる)
  • 疾患名または薬剤の使用目的
  • 薬剤名(一般名を必ず併記する)
  • 用法用量・日数
  • 薬局名・薬剤師名・連絡先
  • 薬剤師の署名(手書き)
あると望ましい項目
  • 「麻薬を含まない」旨の記載(該当する場合)
  • 「医師の処方箋に基づいて調剤された」旨の記載

一般名を併記するのはなぜですか?商品名だけじゃダメ?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

日本の商品名は海外では通じないことが多いんです。たとえば「ロキソニン」と書いても、海外の検査官には何の薬かわかりません。でも一般名の「Loxoprofen」と書いてあれば、成分として認識してもらえます。

薬剤名の英語表記は、「くすりのしおり」の英語版で確認できます。一般名と商品名の両方が載っているので、私はいつもこれを参照しています。

住所・電話番号の英語表記

意外と見落としがちなのが、薬局の住所や電話番号の書き方です。

  • 住所:日本語の住所を英語に変換できるサイトを利用するか、いっそ書かない選択もあり
  • 電話番号:国際電話形式で記載(例:+81-3-XXXX-XXXX、市外局番の0は省略)

ここ、心当たりありませんか? 「英語の住所ってどう書くんだっけ…」と調べ始めて時間を取られるパターン。あらかじめ薬局のひな形を作っておくと、次回から楽になります。

渡航先・薬剤別の注意点と確認先

薬剤携行証明書を作成する前に、必ず確認してほしいことがあります。それは、携行する薬剤が渡航先で持ち込み可能かどうかです。

日本から持ち出す際に手続きが必要な薬剤

日本側のルールとして、出国時に特別な手続きが必要な薬剤があります。

出国時に手続きが必要な薬剤
  • 医療用麻薬(モルヒネ、オキシコドン等):地方厚生局長の「麻薬携帯輸出(輸入)許可」が必要
  • 覚醒剤原料(セレギリン塩酸塩等):治療目的であっても輸出入不可

医療用麻薬を使用中の患者さんから相談を受けた場合は、薬局で証明書を作成する前に、地方厚生局への申請が必要であることを案内してください。これは証明書とは別の話です。

渡航先で持ち込みが禁止されている薬剤の例

逆に、日本では普通に使われている薬剤でも、渡航先では禁止薬物に指定されているケースがあります。

  • フルニトラゼパム(サイレース等):米国では禁止薬物に指定
  • プソイドエフェドリン含有薬:タイでは禁止薬物に指定

全部の国の規制を把握するのは無理じゃないですか…?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

その通りです。だからこそ、最終的な確認は「渡航先の在日大使館」に問い合わせるよう患者さんに案内するのが安全です。薬局がすべてを保証する立場ではありませんから。

私なら、「この薬は日本では問題なく処方されていますが、渡航先で持ち込めるかどうかは、念のため大使館に確認していただけますか」と一言添えます。ここで確認を促しておくと、後からトラブルになるリスクを減らせます。

確認先の一覧

確認先まとめ
  • 渡航先の持ち込み規制:渡航先の在日大使館
  • 医療用麻薬の携帯輸出許可:地方厚生(支)局 麻薬取締部
  • 薬剤の英語名・一般名:くすりのしおり(RAD-AR)

ひな形と作成時のポイント

ここまでの内容を踏まえて、薬剤携行証明書のひな形例を示します。

Medicine & Medical Kit Certificate

Date: January 2, 2026

This is to certify that [患者氏名(パスポート表記)] carries the following medicines for [疾患名または使用目的].

Medicine List

1. [一般名] ([商品名]) [規格]
– Indication: [使用目的]
– Dosage: [用法用量] for [日数] days

2. [一般名] ([商品名]) [規格]
– Indication: [使用目的]
– Dosage: [用法用量] for [日数] days

Note
– The above items do NOT contain narcotics.
– These medicines are prepared under a physician’s prescription.

Pharmacist’s Signature: ______________________

Pharmacy Name: [薬局名]
Pharmacist Name: [薬剤師名]
Address: [住所(英語表記)]
TEL: +81-XX-XXXX-XXXX
Email: [メールアドレス]

作成時に気をつけたいポイント

  • 患者氏名はパスポートと一致させる:漢字ではなく、パスポートに記載されているローマ字表記で書く
  • 薬剤名は一般名を先に書く:商品名は括弧書きで補足
  • 署名は手書き:印刷だけでなく、必ず手書きの署名を入れる
  • 日付の形式に注意:Month/Date/Year(例:January 2, 2026)が国際的に通じやすい

正直、こういう対応って手間がかかりますよね。忙しい日に頼まれると困る…

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

わかります。だからこそ、薬局としてひな形を1つ作っておくと楽です。患者さんの情報を差し替えるだけで済むようにしておけば、対応時間を短縮できます。

まとめ|対応フローと次の一歩

最後に、患者さんから「海外に薬を持っていきたい」と相談されたときの対応フローを整理します。

対応フロー
  1. 渡航先・期間・携行する薬剤を確認する
  2. 麻薬・覚醒剤原料など、別手続きが必要な薬剤がないかチェックする
    → 該当する場合は地方厚生局への申請を案内
  3. 渡航先での持ち込み規制を確認するよう案内する
    → 確認先:渡航先の在日大使館
  4. 問題がなければ、薬剤携行証明書を作成する
  5. 薬剤の英語名は「くすりのしおり」で確認する

いま対応に迷っている方は、まず薬局内でひな形を1つ作成しておくことをおすすめします。フォーマットさえあれば、次に相談されたとき「ちょっと待ってくださいね」と落ち着いて対応できます。

また、麻薬携帯輸出入許可の手続きについては、厚生労働省の地方厚生局のサイトに詳細があります。年に何度も対応するものではないかもしれませんが、「こういう手続きがあるんだな」と知っておくだけで、いざというとき慌てずに済みます。

ポッポ先生

ポッポ先生

この記事が、次に相談を受けたときの「判断の土台」になれば幸いです。ひな形のWordファイルも用意していますので、ぜひ活用してください。


薬剤携行証明書の作成に役立ちそうなサイトを紹介します。

参考資料・確認先
  • くすりのしおり(RAD-AR):https://www.rad-ar.or.jp/siori/
  • 厚生労働省 地方厚生局:麻薬携帯輸出入許可について
  • 各国の在日大使館(渡航先の持ち込み規制確認)
  • 診断と治療106巻11号「海外に薬を持参する際の注意点」(2018年)

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