求人票を見ていて、「どれも似たようなことが書いてある」「結局どこが良いのか分からない」と感じたことはありませんか?
私もかつて、「年収500万円」という数字だけに惹かれて応募し、入職後に「基本給に30時間分のみなし残業が含まれている」と知ってショックを受けた経験があります。賞与も思ったより低く、年収換算すると前職とほぼ変わらなかったんです。
求人票は、一見すると同じようなフォーマットで書かれているように見えますが、実は読み方を知っているかどうかで、見える景色が全く違ってきます。特に2025年現在、薬剤師の有効求人倍率は2.26倍と依然高水準ですが、都市部では条件重視の選考が進み、「良さそうな求人」に飛びついて失敗するケースも増えています。
この記事では、求人票の「表記ルール」を理解し、本当に自分に合った職場かどうかを見極めるためのチェックポイントをお伝えします。転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、一緒に確認していきましょう。
- 求人票の「表記ルール」と読み解くべきポイント
- 給与・みなし残業の確認方法と見落としがちな落とし穴
- 週休2日制の本当の意味と休日制度の違い
- 求人票に書かれていない情報の確認方法
- 後悔しない転職のための最低限チェックすべきポイント
目次
なぜ求人票の「読み方」が重要なのか

求人票は、企業が求職者に伝える「公式な労働条件」です。ただし、ここに落とし穴があります。求人票には法律で定められた表記ルールがある一方で、企業によって「見せ方」が異なるんです。
求人票に書かれているのは「最低限の情報」
たとえば、「給与:月給25万円~35万円」と書かれていても、実際にどの程度の給与が支払われるかは、経験年数や能力、そして「基本給にみなし残業が含まれているか」によって大きく変わります。
でも、求人票に書いてあることは信用できるんですよね?

オカメインコ

ポッポ先生
書かれている内容は正確ですが、「書かれていないこと」も多いんです。たとえば、実際の残業時間や有給取得率、職場の雰囲気などは求人票からは読み取れません。ここ、迷いやすいところです。
2025年の薬剤師転職市場の現状
2025年時点の薬剤師転職市場では、電子処方箋対応スキルが即戦力として評価されるポイントになっています。また、在宅医療患者数は過去12年間で2倍以上に増加し、オンライン服薬指導も急速に普及しています。
こうした変化の中で、求人内容も多様化しています。「在宅専門薬局」「オンライン調剤薬局」など新しい業態も登場し、それぞれ求められるスキルや働き方が異なります。
給与・手当の見方:「みなし残業」の罠に注意

求人票で最も注目されるのが給与欄ですが、ここが最も誤解を生みやすい部分でもあります。
基本給と諸手当の内訳を確認する
まず確認すべきは、「基本給」と「諸手当」の内訳です。なぜなら、賞与は基本的に基本給をベースに計算されるからです。
たとえば、以下の2つの求人があったとします。
求人A
基本給:25万円
諸手当:なし
月給:25万円
求人B
基本給:20万円
薬剤師手当:5万円
月給:25万円
一見同じ月給25万円ですが、賞与が「基本給の3ヶ月分」の場合、求人Aは75万円、求人Bは60万円となり、年収で15万円の差が出ます。
月給が同じなら、どちらも同じだと思ってました…

オカメインコ

ポッポ先生
そう思いますよね。でも、賞与の計算方法を確認しないと、実際の年収は全く違ってきます。逆に言うと、基本給が低くても手当が充実していれば、月々の手取りは高くなることもあります。
みなし残業(固定残業代)の確認
2015年の若者雇用促進法により、固定残業制の企業は求人広告に以下の3点を明示する義務があります。
- 固定残業代の金額
- その金額に充当する労働時間数
- 固定残業代を超える労働を行った場合の追加支給の旨
しかし、実際の求人票では以下のような表記が見られます。
✓ OK例
「月給30万円(固定残業代5万円/30時間相当分を含む。30時間を超える時間外労働は追加で支給)」
✗ NG例
「月給30万円(各種手当含む)」
見落としがちなポイント:残業代の計算単位
残業代が「1分単位」で支払われるのか、それとも「10分単位」「15分単位」なのかも確認しておきたいポイントです。10分単位の場合、9分の残業は切り捨てられることになります。
1分単位と10分単位って、そんなに違うんですか?

オカメインコ

ポッポ先生
毎日9分ずつ切り捨てられると、月に約3時間分の残業代が支払われないことになりますね。年間で考えると、けっこうな金額になります。細かいですが、確認しておくと安心です。
休日・労働時間の見方:「週休2日」の誤解

休日に関する表記も、誤解を生みやすい部分です。
「週休2日制」と「完全週休2日制」の違い
求人票でよく見かける「週休2日制」という言葉。これ、実は「毎週2日休める」という意味ではないんです。
- 週休2日制:月に1回以上、週2日休みの週がある(他の週は週1日でもOK)
- 完全週休2日制:毎週必ず2日休める
週休2日制の場合、月の内、2日休みの週が1回以上あれば良いという意味ですので、最悪の場合、月に5日しか休めない可能性もあります。
年間休日の計算方法
年間休日も要チェックです。一般的に、年間休日120日以上が「働きやすい」とされる目安ですが、半日休み×2を1日休みとして換算し、年間休日日数を算出している企業もあるため、注意が必要です。
休日制度別の実際の休日日数
- 完全週休2日制(土日)+ 祝日 + 年末年始・夏季休暇:約120~125日
- 週休2日制(月1回):約70~80日
- 4週8休:約104日
年間休日が少ないと、時給換算すると実質的な給与が下がることになります。いまの状況だと、休日の質も考えないと続けにくいです。
変形労働時間制とは?
1か月や1年単位の変形労働時間制では、一定期間を平均して週40時間以内であれば、特定の日に8時間を超える労働が可能です。
つまり、繁忙期には1日10時間勤務でも、閑散期に勤務時間を短くすることで調整し、残業代が発生しないようにシフトを組むことができます。
それって、残業代が出ないってことですか?

オカメインコ

ポッポ先生
はい。変形労働時間制の場合、月末など繁忙期に8時間以上働いても、月平均で週40時間以内なら残業代は発生しません。ただし、これは違法ではなく、合法的な制度です。自分のライフスタイルに合うかどうかで判断したいですね。
求人票から読み取れない情報の確認方法

求人票に書かれている情報はあくまで「公式な最低限の条件」です。実際の職場環境や働きやすさは、書かれていない部分に隠れています。
処方箋枚数と薬剤師人数から「忙しさ」を推測する
1日あたりの処方箋枚数や現場の薬剤師人数が掲載されていれば、1日あたり1人あたりの業務量を事前に把握できます。一般的には1人につき40枚程度が標準で、それを超えると比較的忙しい店舗と言えます。
転勤の有無と「地域限定社員」制度
大手をはじめ複数店舗をもつ調剤薬局やドラッグストアでは転勤・異動が発生しますが、近年では異動がない、もしくは異動が通勤可能圏内に限定される「地域限定社員」のような働き方がある企業も徐々に増えています。
ただし、地域限定社員の場合、転勤ありの薬剤師に比べて年収が若干低くなる企業がほとんどです。どの程度の年収差がつくのかも併せて確認しておきましょう。
求人票に書いていないことって、どうやって確認すればいいんですか?直接聞くのは気が引けます…

オカメインコ

ポッポ先生
そうですよね。直接聞きにくいことは、転職エージェントを経由して確認してもらうのが安全です。または、面接時に「職場見学は可能ですか?」と尋ねるのも一つの手です。見学できる企業は、隠すことが少ない傾向にあります。
募集背景と離職率
求人票に「欠員募集」「増員募集」と書かれている場合、その背景を確認することも大切です。
- 欠員募集:前任者が退職した理由は?(キャリアアップ?人間関係?労働環境?)
- 増員募集:事業拡大による増員なのか、離職率が高くて常に人が足りないのか?
平均年齢が若すぎる場合は、長期的に働く体制が整っていない可能性があり、経験の長いベテランスタッフがいないことで、トラブル時に難しい判断を委ねられることもあるという指摘もあります。
福利厚生の実態
求人票には「社会保険完備」「住宅手当あり」と書かれていても、実際の内容は企業によって異なります。
住宅手当の場合、支給額の変動や年齢制限があることもあります。たとえば「30歳まで月2万円支給」という条件の場合、31歳以降は手当がなくなるため、長期的に見ると年収が下がることになります。
また、住宅手当として支給されるか、借り上げ社宅として会社が負担するかで、税金の対象になるかどうかが変わるため、実質手取り額では借り上げ社宅の方がお得です。
まとめ:求人票の「行間」を読む力が、後悔しない転職につながる

求人票は、一見すると同じような内容に見えますが、「基本給の内訳」「みなし残業の有無」「週休2日制の意味」など、細かい表記の違いが、入職後の満足度を大きく左右します。
- 給与:基本給と諸手当の内訳、みなし残業の時間数と金額、残業代の計算単位
- 休日:週休2日制 or 完全週休2日制、年間休日数、変形労働時間制の有無
- 労働環境:処方箋枚数と薬剤師人数、転勤の有無、募集背景
- 福利厚生:住宅手当の条件、社会保険の詳細、研修制度
次の一歩:確認すべきこと
求人票を見て気になる点があれば、以下の方法で確認してみてください。
- 転職エージェントに相談する:直接聞きにくいことは、エージェント経由で確認してもらう
- 面接時に質問する:「職場見学は可能ですか?」「実際の1日の業務の流れを教えてください」
- 厚生労働省の「薬局機能情報提供制度」で調べる:処方箋枚数や開局時間などを確認
どうですか?求人票の見方、少しクリアになったでしょうか。
「転職は人生の大きな決断」と言われますが、実際には「情報の読み解き方を知っているかどうか」で、選択肢の質が変わります。

ポッポ先生
焦らず、丁寧に、自分の判断軸を持って進めていきましょう。もし不安なことがあれば、一人で抱え込まず、信頼できる誰か(先輩、転職エージェント、キャリアカウンセラーなど)に相談してみてください。あなたに合った職場が見つかることを、心から応援しています。
\ 悪質な転職サイトは利用しないで /
薬剤師が転職する際に利用する人材紹介会社(転職エージェント)、どこも同じだと思っていませんか?
現在、国は医療の分野において紹介料目当てで頻繁な転職を促す悪質な人材紹介会社への対策を強化しています。

ポッポ先生
悪質な人材紹介会社の利用は、ミスマッチする可能性が高いです。
このような悪質な人材紹介会社には絶対に相談してはダメです!!(悪質とは言っても国の許可を得ているという矛盾もありますが…)
薬剤師が、キャリア相談や転職時に、転職エージェントを利用する場合は、適正な有料職業紹介事業者の認定を受けている転職エージェントを利用しましょう。
薬剤師の分野で優良認定を受けているところは、ファルマスタッフ、その他数社とまだ少ないです。
悪質な人材紹介会社がどこか分かれば対策しやすいのですが、そのような情報はなかなか表に出てきません。なので我々としては、優良認定を受けているところを優先するのが望ましいでしょう。


