「オッズ比とリスク比、どっちが大きいんですか?」「ハザード比は何を示しているんですか?」。論文を読んでいると、こうした指標が出てきて混乱することはありませんか。
この記事では、オッズ比(OR)、リスク比(RR)、ハザード比(HR)の違いと使い分けを、できるだけわかりやすく解説します。数式は最小限に抑え、概念の理解を重視します。
目次
リスク比(RR:Relative Risk)とは
リスク比は、治療群と対照群のイベント発生率の比です。最も直感的に理解しやすい指標の一つです。
RR = 治療群の発生率 ÷ 対照群の発生率
リスク比の解釈
| RRの値 | 解釈 |
|---|---|
| = 1.0 | 差なし(治療効果なし) |
| < 1.0 | 治療群の方がイベント発生率が低い(治療が有効) |
| > 1.0 | 治療群の方がイベント発生率が高い(治療が有害) |
例:対照群の発生率が10%、治療群が8%なら、RR = 0.8。つまり、治療群のリスクは対照群の80%(20%減少)。
リスク比って、カンタンに言えば「何倍のリスクがあるか」ってことですよね?

オカメインコさん

ポッポ先生
その通りです。ただ、RRだけでは「絶対的な差」がわからないので、ARR(絶対リスク差)やNNTと合わせて見る必要がありますね
オッズ比(OR:Odds Ratio)とは
オッズ比は、イベント発生のオッズ(確率)の比です。ケースコントロール研究でよく使われます。
まず「オッズ」とは何かを説明します。オッズは「イベントが起きる確率 ÷ イベントが起きない確率」です。
例:イベント発生率が20%なら、オッズ = 0.2 ÷ 0.8 = 0.25(1/4)
オッズ比は、このオッズの治療群と対照群での比です。
OR = 治療群のオッズ ÷ 対照群のオッズ
オッズ比とリスク比の関係
イベント発生率が低い場合(10%未満)、ORはRRに近い値になります。しかし、発生率が高くなると、ORはRRより大きく見える傾向があります。
例:発生率50%の場合、RR = 0.5ならOR ≈ 0.33。同じ効果でも、ORの方が小さく見えます。
じゃあ、ORとRR、どっちを見ればいいんですか?

オカメインコさん

ポッポ先生
RCTではRR、ケースコントロール研究ではORが使われることが多いです。どちらを見るかは研究デザインによるので、論文にどちらが報告されているかを確認してください
ハザード比(HR:Hazard Ratio)とは
ハザード比は、生存時間解析で使われる指標です。カプラン・マイヤー曲線などで示される結果に伴って報告されます。
「ハザード」とは、ある時点での瞬間的なイベント発生リスクのことです。HRは、治療群と対照群のハザードの比を示します。
HR = 治療群のハザード ÷ 対照群のハザード
ハザード比の解釈
| HRの値 | 解釈 |
|---|---|
| = 1.0 | 差なし |
| < 1.0 | 治療群の方がイベント発生リスクが低い(生存に有利) |
| > 1.0 | 治療群の方がイベント発生リスクが高い |
HRの特徴は、時間経過とともにリスクが変化する場合でも一定の値を示すことです。これを「比例ハザードの仮定」と呼びます。
HR = 0.7って、具体的にどう解釈すればいいんですか?

オカメインコさん

ポッポ先生
「治療群のイベント発生リスクは、対照群の70%」という意味です。つまり、30%リスクが減少していると解釈できますね
3つの指標を比較する
| 指標 | 意味 | 主な使用場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| RR | 発生率の比 | RCT | 絶対的な差がわからない |
| OR | オッズの比 | ケースコントロール研究 | 発生率が高いとRRより大きく見える |
| HR | ハザードの比 | 生存時間解析 | 比例ハザードの仮定が必要 |
まとめ
- RR:発生率の比。RCTでよく使われる。1.0未満なら治療が有効
- OR:オッズの比。ケースコントロール研究でよく使われる。発生率が低いとRRに近い
- HR:ハザードの比。生存時間解析で使われる。時間経過を考慮したリスク比
- どの指標も1.0が基準(差なし)。1.0未満なら治療群が有利
- 信頼区間も合わせて確認する
次に論文でOR、RR、HRを見かけたら、どの指標かを確認し、1.0との関係で効果の方向を把握してみてください。


