調剤薬局で働いていると、「うちは地域支援体制加算を算定しているから大丈夫」と、どこかで安心していませんか。
令和8年度の診療報酬改定で、地域支援体制加算は名称も構造も大きく変わりました。名称は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ。区分は4つから5つに増え、後発医薬品調剤体制加算は廃止。そして——ここが今回の核心ですが——後発医薬品の調剤割合85%以上が、すべての区分の「入口」になりました。
私自身、改定案の段階では「経過措置の構造からして80%では?」と読んでいたので、85%という数字は正直想定外でした。同じように感じている方、少なくないと思います。
この記事では、2月13日に公表された答申(個別改定項目)の原文をもとに、確定した点数・要件の整理、旧制度との点数比較試算、そして「うちの薬局はどうなるのか」を判断するための確認ポイントを整理します。
目次
改定の全体像|何が変わったのか、答申原文で確認する

まず改定の趣旨を、答申の原文で確認しておきます。
第1 基本的な考え方
地域での医薬品供給を通じた適切な医療提供体制の構築を促進する観点から、地域支援体制加算の要件を見直す。
私ならまず注目するのは、「医薬品供給」という機能が制度の前面に出てきた点です。従来の地域支援体制加算は「地域医療への貢献」が軸でしたが、今回は「医薬品の安定供給」が明確に組み込まれています。
さらに別の箇所では、こう記載されています。
地域支援体制加算において、医薬品の安定供給に資する体制を有している薬局に対する評価を設けるとともに、その名称を医薬品の安定供給を踏まえたものに変更する。
つまり、後発医薬品調剤体制加算が「廃止」され、その機能が地域支援・医薬品供給対応体制加算1に統合されたということです。単なる名称変更ではありません。
後発の加算が廃止って、点数がまるまる消えるってことですか…?

オカメインコ

ポッポ先生
そうですね。後発医薬品調剤体制加算1〜3はすべて廃止です。その代わり、新しい加算1(27点)に安定供給体制+後発品割合の要件が統合されました。ただ、旧制度の後発3が30点だったので、ここだけ見ると3点マイナスです。
確定した点数と施設基準|5区分の全体像
答申で確定した点数を整理します。
新旧対照表(点数確定版)
| 区分 | 改定後(新) | 改定前(旧) |
|---|---|---|
| イ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 27点 | 地域支援体制加算1 32点 |
| ロ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 59点 | 地域支援体制加算2 40点 |
| ハ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 67点 | 地域支援体制加算3 10点 |
| ニ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 37点 | 地域支援体制加算4 32点 |
| ホ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 59点 | (新設) |
ここ、迷いやすいところです。新しい「加算1」は、旧制度の「地域支援体制加算1」とはまったく別の立ち位置です。旧制度の地域支援体制加算1(32点)に相当するのは、新制度の加算2(59点)です。
どうですか? 数字だけ見ると「加算2が59点!増えてるじゃないか」と思うかもしれません。でも、旧制度では別建てだった後発医薬品調剤体制加算(最大30点)が廃止・統合されているので、単純比較はできません。このあとの試算で詳しく見ていきます。
後発品割合は85%|80%ではなかった理由
答申で確定した加算1の施設基準(原文)はこうです。
(1) 地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準
イ 地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有していること。
ロ 当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が八割五分以上であること。
誤解されやすいので先に言うと、改定案の段階では「●割以上」と伏せ字でした。経過措置の構造から「80%では」と推測した記事(このブログの前回記事を含め)も多かったと思います。しかし答申では85%と確定しました。
施設基準通知の原文でも明記されています。
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品について、当該薬剤を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること。
80%ならギリギリいけると思ってたのに、85%って…。うちは今82〜83%くらいなんですけど。

オカメインコ

ポッポ先生
その差の2〜3%は、対策次第で届く薬局もあれば、患者層や地域性で難しい薬局もあります。ただ、経過措置の対象になれるかどうかで猶予期間が変わるので、まずは自薬局の届出状況を確認するのが先ですね。
経過措置の確認
経過措置(原文)はこうです。
令和八年三月三十一日において現に後発医薬品調剤体制加算1、2又は3に係る届出を行っている保険薬局については、令和九年五月三十一日までの間に限り、第十五の四の(1)のロに該当するものとみなす。
つまり、令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算を届出している薬局は、令和9年5月31日まで後発品割合85%を満たしているとみなされます。
逆に言うと、今まで後発医薬品調剤体制加算を届出していなかった薬局には、この経過措置は適用されません。改定後すぐに85%の壁にぶつかります。
旧制度との点数比較|「後発3+地域支援」はどうなるか

ここからが本題です。旧制度で「調剤基本料1+後発医薬品調剤体制加算+地域支援体制加算」を算定していた薬局が、新制度でどうなるのか。調剤基本料1は45点→47点に引き上げられたことも含めて試算します。
試算表:処方箋1回あたりの加算点数合計
| パターン | 旧制度(点数合計) | 新制度(点数合計) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 基本料1+後発3(30)+旧地域支援1(32) | 45+30+32=107点 | 47+59(加算2)=106点 | ▲1点 |
| 基本料1+後発3(30)+旧地域支援2(40) | 45+30+40=115点 | 47+67(加算3)=114点 | ▲1点 |
| 基本料1+後発2(28)+旧地域支援1(32) | 45+28+32=105点 | 47+59(加算2)=106点 | +1点 |
| 基本料1+後発1(21)+旧地域支援1(32) | 45+21+32=98点 | 47+59(加算2)=106点 | +8点 |
| 基本料1+後発3(30)+地域支援なし | 45+30=75点 | 47+27(加算1)=74点 | ▲1点 |
| 基本料1以外+後発3(30)+旧地域支援3(10) | X+30+10=X+40点 | X+2+37(加算4)=X+39点 | ▲1点 |
| 基本料1以外+後発3(30)+旧地域支援4(32) | X+30+32=X+62点 | X+2+59(加算5)=X+61点 | ▲1点 |
この試算から見えること
心当たりありませんか。旧制度で後発3(90%以上)+地域支援を最大限取っていた薬局ほど、新制度では微減(▲1点)になるという構造です。
一方、後発品調剤体制加算が1(80%以上)や2(85%以上)だった薬局は、新制度で加算2を取れればプラスに転じる可能性があります。ただし、85%以上が前提です。
▲1点なら大したことない気がしますけど…

オカメインコ

ポッポ先生
1回あたり▲1点でも、月2,000回受付の薬局なら月▲2,000点(▲2万円)、年間▲24万円です。経営インパクトとしては無視できない薬局もあります。ただ、もっと深刻なのは次のパターンです。
本当に深刻なケース|後発品割合85%未満で地域支援を失う薬局
試算表に入れなかったパターンがあります。後発医薬品調剤体制加算を算定できていなかったが、地域支援体制加算は算定していた薬局です。
| パターン | 旧制度 | 新制度 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 基本料1+後発なし+旧地域支援1(32) | 45+0+32=77点 | 47+0=47点 | ▲30点 |
| 基本料1+後発なし+旧地域支援2(40) | 45+0+40=85点 | 47+0=47点 | ▲38点 |
いまの状況だと、後発品割合が85%に届かない薬局は、地域支援・医薬品供給対応体制加算のどの区分も算定できなくなります。
旧制度では、後発品調剤体制加算と地域支援体制加算は別建てでした。後発品割合が低くても、体制と実績があれば地域支援体制加算は取れた。しかし新制度では、後発品割合85%以上+安定供給体制がすべての区分の入口になっています。
月2,000回受付なら▲30点×2,000回=月▲6万点(▲60万円)、年間▲720万円。これは経営に直結する数字です。
ただし、後発品割合が現在80〜84%で「頑張れば85%に届く」という薬局は、逆にチャンスでもあります。85%をクリアして加算2まで取れれば、旧制度より大幅にプラスになる可能性があります。この境界条件は薬局ごとに判断が分かれるところなので、安易に「無理」と決めつけないほうが安全です。
加算2〜5の施設基準|すべて加算1が前提
加算2以降の施設基準を答申原文で確認します。
加算2(59点)の施設基準
次のいずれにも該当する保険薬局であること。
イ (1)に掲げる施設基準を満たすこと。(=加算1の要件を満たすこと)
ロ 調剤基本料1を算定していること。
ハ 地域医療への貢献に係る十分な体制を整備していること。
ニ 地域医療への貢献に係る十分な実績を有していること。
加算3(67点)の施設基準
イ (2)のイからハまでに該当すること。(=加算2のイ〜ハ)
ロ 地域医療への貢献に係る相当の実績を有していること。
加算4(37点)の施設基準
イ (1)に掲げる施設基準を満たすこと。(=加算1の要件)
ロ 調剤基本料1又は特別調剤基本料B以外を算定していること。
ハ 地域医療への貢献に係る十分な体制が整備されていること。
ニ (2)のニに該当する保険薬局であること。(=加算2と同等の実績)
加算5(59点)の施設基準
(3)のロ及び(4)のイからハまでに該当する保険薬局であること。
でも、うちの薬局は今まで地域支援体制加算3を算定していたんです。基本料1じゃないけど、体制と実績はあったのに…

オカメインコ

ポッポ先生
そこが今回の改定の構造変更の肝です。旧制度では後発品割合と地域支援は別の加算だったから、後発品割合が低くても地域支援は取れました。新制度では、加算4(基本料1以外向け)も加算1の要件が前提。つまり85%が必須になります。ただし経過措置の対象なら、令和9年5月末まで猶予があります。
「医薬品の安定供給体制」の具体的要件|答申で確定した内容
現場だとここで詰まりがちです。「安定供給体制」の具体的な要件を、答申の施設基準通知で確認します。
施設基準通知の要件一覧(確定版)
| 項目 | 要件の概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 計画的調達・在庫管理 | 安定供給に向けた計画的な調達・在庫管理を行う | 必須 |
| 他薬局への分譲実績 | グループ外の薬局への分譲実績が必要 | 同一グループは不可 |
| 入手困難時の対応 | 他薬局への案内、処方医への照会など適切に対応 | 別紙様式あり |
| 重要供給確保医薬品の備蓄 | 内用薬・外用薬を1か月程度分備蓄 | 自薬局での実在庫が必要 |
| 値引き交渉 | 流通コストを無視した交渉を慎む、単品単価交渉 | 必須 |
| 適正在庫・配送依頼 | 頻回配送・急配の過度な依頼を慎む | 必須 |
| 返品の制限 | 温度管理品や在庫調整目的の返品を慎む | 必須 |
| 地域連携 | 地域の医療機関・薬局との情報共有 | 望ましい |
| 後発品調剤割合 | 85%以上 | 確定 |
| 掲示義務 | 後発品積極調剤の旨を内外に掲示 | 必須 |
特に注目したいのは「重要供給確保医薬品の備蓄」です。答申原文にはこうあります。
ここでいう備蓄とは、当該保険薬局に現に医薬品の在庫を保有していることを指し、卸売販売業者が代わりに在庫を確保していること又は卸売販売業者に在庫を確保させていることのみでは、備蓄には該当しない。
「卸に頼めば翌日届く」では備蓄要件を満たさないということです。自薬局での実在庫が求められます。
正直、急配や返品って現場では避けられないこともありますよね…

オカメインコ

ポッポ先生
もっともな不安です。ただ、原文の表現は「慎むこと」なので、完全禁止ではなく「過度な」依頼を避けるという趣旨ですね。日常的な運用パターンを見直す機会と捉えるのが現実的です。
単品単価交渉の要件化|ボランタリーチェーン加盟薬局が直面するリスク
安定供給体制の要件一覧の中で、現場レベルで影響が大きいのに見過ごされがちな項目があります。単品単価交渉です。
答申の施設基準通知(原文)にはこうあります。
個々の医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎むこと。また、原則として全ての品目について単品単価交渉とすること。
この一文、さらっと書いてありますが、薬局経営の収益構造に直結する話です。
総価取引と単品単価交渉の違い
まず前提を整理します。従来、多くの薬局では卸との取引で「総価取引」が行われてきました。総価取引とは、個別の品目ごとに価格を決めるのではなく、一定期間の購入金額の総額に対してまとめて値引率を交渉するやり方です。
たとえば「月間の仕入れ総額に対して○%引き」という形で、ざっくりと値引きを受ける。薬局側からすると、交渉がシンプルで、薬価差益を一定程度確保しやすい構造でした。
一方、単品単価交渉は、文字どおり「この品目はいくら、あの品目はいくら」と1品目ずつ価格を決めていく方式です。
単品単価のほうが公正なのはわかるけど…。正直、それって薬局にとっては値引きが取りにくくなるってことじゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
そこが核心ですね。総価取引だと、高額品の薬価差益で低額品の薬価差益の少なさをカバーできていた。でも単品単価になると、品目ごとに交渉するので、「まるっとこれくらい」という形が取りにくくなります。結果として、薬価差益は全体的に圧縮される方向に働きやすいです。
なぜ薬価差益が取りにくくなるのか
総価取引では、「月○○万円分を購入するから、全体で△%引いてほしい」というロジックが成り立ちます。購入実績という”塊”を交渉材料にできるので、卸側も一括で対応しやすい。
単品単価になると、交渉は品目ごとに行います。たとえば、ある後発品Aは「卸の仕入原価に対してこの程度しか値引きできない」、先発品Bは「薬価差がそもそも小さいので余地がない」——という具合に、品目の事情に引っ張られます。
もちろん、購入量が多い品目なら交渉の余地はあります。ただ、総価取引のように「全体の数字で帳尻を合わせる」ことが構造的に難しくなる。これは交渉力の問題というより、仕組みの問題です。
ボランタリーチェーン加盟薬局の特有のリスク
ここ、心当たりありませんか。ボランタリーチェーン(共同購入グループ)に加盟している薬局にとって、この要件は特に影響が大きい可能性があります。
ボランタリーチェーンの多くは、加盟薬局の購入量を束ねて卸と交渉し、スケールメリットで値引きを実現しています。この交渉は構造的に「総価取引」に近い形になりやすい。チェーン全体の購入総額をベースに価格テーブルを組むからです。
施設基準が「原則として全ての品目について単品単価交渉」を求めている以上、ボランタリーチェーンを通じた従来型の価格交渉が、そのままでは要件を満たさない可能性が出てきます。
でも、ボランタリーチェーン側も何か対策してくるんじゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
そう思います。チェーン側が品目ごとの価格テーブルを整備するなど、単品単価交渉に対応した形に移行してくる可能性は高い。ただ、移行のスピードやチェーンごとの対応力には差が出るでしょう。加盟薬局としては、「チェーンに任せておけば大丈夫」と思考停止せずに、自分の薬局の取引形態が要件を満たすかどうかを確認しておく必要があります。
中長期で見た「ボランタリーチェーン加盟」のリスク
今回の単品単価交渉の要件化は、より広い文脈で捉える必要があります。
厚労省が繰り返し示してきた「流通改善ガイドライン」の方向性は一貫しています。総価取引から単品単価交渉への移行、過度な値引き要求の是正、そして流通コストの適正な負担。今回の改定は、その方向性を診療報酬の施設基準に組み込んだ形です。
私ならこう考えます。今後の改定でも、単品単価交渉の実効性を担保するような要件(たとえば実績の確認や記録の保存など)が追加されていく可能性は低くない。そうなると、ボランタリーチェーンの仕組み自体が「加算の要件を満たしにくい構造」と見なされるリスクが中長期的に残り続けます。
もちろん、ボランタリーチェーンには共同購入以外のメリット(情報共有、研修、経営支援など)もあります。「だから脱退すべき」という単純な話ではありません。ただし、加盟を続ける場合は、以下の点を確認しておいたほうが安全です。
- 自薬局の卸との取引形態は「単品単価交渉」と言えるか
- チェーンを通じた価格交渉の仕組みが、施設基準の要件に適合するか
- チェーン側がどのような対応方針を示しているか
- 仮にチェーンの仕組みが要件を満たさない場合、自薬局単独での交渉に切り替える体制はあるか
この要件は「慎むこと」「原則として」という表現であり、厳密な監査でどこまで問われるかは現時点では不透明です。ただし、施設基準として明文化された以上、「知らなかった」では済まされません。加盟チェーンに確認するとともに、自薬局の取引実態を把握しておくことが先決です。
新たに追加される体制・実績要件
答申では、施設基準通知で以下の内容を規定する予定と明記されています。
体制について
- 令和8年6月以降に開設・改築・増築する薬局は、面積16㎡以上の調剤室が必要
- セルフメディケーション関連機器の設置
- 薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを販売又は提供していないこと
「薬事未承認の研究用試薬・検査サービス」とは?|N-NOSEなども該当する可能性
この要件、意外と見落としがちですが、影響が大きい薬局もあるかもしれません。
研究用の迅速検査キットについては、コロナ禍で一時期「研究用」と称した新型コロナやインフルエンザの迅速検査キットを販売する薬局がありましたが、現在はほとんど見かけなくなりました。この点はクリアしている薬局が多いと思います。
ただし、検査サービスの提供についてはどうでしょうか。
検査サービスって、具体的に何が該当するんですか?

オカメインコ

ポッポ先生
ここは解釈が分かれる可能性がありますが、たとえば線虫を使ったがんスクリーニング検査(N-NOSEなど)の検体採取を薬局で行っているケースがあります。これらが「薬事未承認の研究用試薬・検査サービス」に該当するかどうかは、通知の解釈次第ですね。
⚠️ N-NOSEなどの検査サービスを導入している薬局は要確認
N-NOSEのような検査サービスは、薬局での新しい収益源として導入しているところもあります。もしこれが該当する場合、サービスを継続するか、加算を優先するかという判断を迫られることになります。
確認せずに「うちは関係ない」と判断するのは避けたほうが安全です。自薬局で取り扱っている検査サービスがある場合は、地方厚生局や薬剤師会に確認することをおすすめします。
実績について
- 調剤時の薬剤一元管理による疑義照会や残薬調整に係る評価項目を一定程度算定していること
- かかりつけ薬剤師による服薬指導を一定程度実施していること(服薬管理指導料1のイを算定していること)
- 服用薬剤調整支援料2の見直しに伴い、実績要件の項目から服用薬剤調整支援料を削除
ここ、心当たりありませんか。かかりつけ薬剤師関連で注目すべきは、かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止され、服薬管理指導料に統合された点です。新制度では「服薬管理指導料1のイ」がかかりつけ薬剤師による服薬指導の評価になります。
かかりつけ薬剤師の同意書の手間もあるし、なかなか増やせないんですよね…

オカメインコ

ポッポ先生
現実的な課題ですね。ただし、新制度ではかかりつけ薬剤師の要件も変わっています。在籍要件が1年→6か月に短縮されたり、勤務時間が週32時間→31時間になったりと、ハードルが下がった部分もあります。「一定程度」の基準がどこに設定されるかは施設基準通知次第ですので、通知が出たら早めに確認を。
かかりつけ薬剤師制度の変更も押さえておく
地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件に関わるため、かかりつけ薬剤師制度の変更も確認しておきます。答申の主な変更点は以下の通りです。
- かかりつけ薬剤師指導料(76点)・包括管理料(291点)を廃止
- 服薬管理指導料に「イ かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分を新設
- かかりつけ薬剤師によるフォローアップ加算(50点、3月に1回)を新設
- かかりつけ薬剤師による訪問加算(230点、6月に1回)を新設
- 在籍要件:1年→6か月に短縮
- 勤務時間要件:週32時間→週31時間
制度が変わるタイミングで、かかりつけ薬剤師の算定体制を見直しておくと、地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件にもつながります。
影響を受ける可能性が高い薬局の特徴
ここまでの内容を整理すると、以下に当てはまる薬局は新制度で算定できなくなるリスクがあります。
| 該当項目 | リスクの程度 |
|---|---|
| 後発医薬品調剤体制加算1〜3のいずれも算定していない | 高 |
| 後発医薬品の調剤割合が85%を下回っている | 高 |
| グループ外の薬局への分譲実績がない | 高(新要件) |
| 重要供給確保医薬品の自薬局在庫がない | 中〜高(新要件) |
| 卸との取引が総価取引(単品単価交渉になっていない) | 中〜高(新要件) |
| ボランタリーチェーン加盟で取引形態を自薬局で把握できていない | 要確認(新要件) |
| 急配・頻回配送への依存度が高い | 中(新要件) |
| N-NOSEなど薬事未承認の検査サービスを提供している | 要確認(新要件) |
| 先発品希望の患者が多い地域にある | 中〜高 |
| セルフメディケーション関連機器を設置していない | 中(体制要件) |
| かかりつけ薬剤師の算定が少ない | 中(実績要件) |
ただし、「後発品割合80〜84%で、体制・実績はある」という薬局は、85%をクリアすれば新制度のほうが有利になるケースもあります。前述の試算で見たように、旧制度で後発1(21点)+地域支援1(32点)だった薬局が、新制度で加算2(59点)を取れれば+8点です。一律に「損する」わけではありません。
今から準備しておきたいこと|4ステップ

ステップ1:現状把握(後発品割合)
私ならまず以下の数字を確認します。
- 後発医薬品調剤割合(直近6ヶ月)→ 85%以上あるか
- 後発医薬品調剤体制加算の届出状況(経過措置の対象になるか)
- 後発品積極調剤の掲示の有無
ステップ2:現状把握(安定供給体制)
新たに追加された要件についても確認が必要です。
- グループ外薬局への医薬品分譲実績
- 重要供給確保医薬品の在庫状況(1か月程度分あるか)
- 急配・頻回配送の依頼頻度
- 卸への返品状況
- 値引き交渉の方法(単品単価交渉になっているか)
- ボランタリーチェーン加盟の場合、チェーン経由の取引形態が要件に適合するか
ステップ3:体制・実績要件の確認
- 服薬管理指導料1のイ(かかりつけ薬剤師)の算定件数
- 疑義照会・残薬調整関連の算定状況
- 調剤室の面積、セルフメディケーション機器の有無
- 薬事未承認の検査サービス(N-NOSEなど)の取扱い有無
ステップ4:点数シミュレーションと対策の優先順位づけ
上の試算表を参考に、自薬局のパターンに当てはめて新制度での点数を試算してみてください。そのうえで、後発品割合の改善が必要な場合は以下のような施策が考えられます。
- 先発品希望の患者への再説明(丁寧にジェネリック医薬品の選択肢を提示する)
- 採用品目の見直し(同一成分で後発品がある先発品の在庫削減)
- 処方元医療機関との連携(一般名処方の依頼)
安定供給体制については、以下の対応が考えられます。
- 地域の薬局との連携体制の構築(分譲ネットワーク)
- 重要供給確保医薬品リストの確認と在庫見直し
- 卸との発注・配送パターンの見直し
ただし、患者の希望を無視して後発品に切り替えることは適切ではありません。あくまで「説明の機会を増やす」「選択肢を提示する」という姿勢が基本です。強引な切り替えは避けたほうが安全です。
でも、経過措置が令和9年5月末まであるなら、まだ時間はありますよね?

オカメインコ

ポッポ先生
経過措置があるのは「令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算を届出している薬局」だけです。届出していなかった薬局には猶予がないので、そこは間違えないでください。いずれにしても、後発品割合を数%上げるのに半年はかかることが多いので、早めに動くに越したことはありません。
まとめ|算定継続のために確認すべきこと

今回の改定で確定した主なポイントを整理します。
構造の変更
- 名称変更:地域支援体制加算 → 地域支援・医薬品供給対応体制加算
- 区分変更:4区分 → 5区分
- 後発医薬品調剤体制加算(21/28/30点)の廃止 → 機能は新加算1(27点)に統合
確定した点数
- 加算1:27点(安定供給体制+後発品85%以上)
- 加算2:59点(加算1+基本料1+体制+実績)
- 加算3:67点(加算2の体制+相当の実績)
- 加算4:37点(加算1+基本料1以外+体制+実績)
- 加算5:59点(新設。加算3の実績+加算4の体制)
点数の損益
- 旧制度で後発3+地域支援を最大限取っていた薬局は、微減(▲1点/回)
- 後発品割合85%未満で地域支援を失う薬局は、大幅減(▲30〜38点/回)
- 後発1や2で地域支援を取っていた薬局は、85%クリアでプラスに転じる可能性
経過措置
- 対象:令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算を届出している薬局
- 期限:令和9年5月31日まで
- 届出していなかった薬局は経過措置なし
見落としがちなリスク
- 単品単価交渉が施設基準に明文化。総価取引ベースの交渉は要件を満たさない可能性
- ボランタリーチェーン加盟薬局は、チェーン経由の取引形態が要件に適合するか要確認
- 単品単価交渉への移行は薬価差益の圧縮につながりやすく、経営への影響は点数の増減だけでは測れない
次の一歩として、まずは自薬局の後発品割合(85%以上あるか)、届出状況(経過措置の対象か)、分譲実績、備蓄状況、そして卸との取引形態(単品単価交渉か総価取引か)を確認してください。ボランタリーチェーン加盟の場合は、チェーンの対応方針も早めに確認しておくことをおすすめします。施設基準の詳細は厚生労働省の施設基準通知で確定しますので、地方厚生局のホームページも定期的にチェックしてください。
確認先(一次情報)
- 厚生労働省:中医協「個別改定項目について」(令和8年2月13日答申)
- 厚生労働省:診療報酬改定に関する告示・施設基準通知
- 地方厚生局:施設基準の届出に関する情報
- 日本薬剤師会:改定に関する解説・Q&A
- 重要供給確保医薬品リスト:厚生労働省ホームページ
※本記事は令和8年2月13日公表の答申(個別改定項目)に基づいています。点数・割合は答申で確定していますが、施設基準通知における体制・実績要件の詳細(「十分な」「相当の」の具体的な数値基準等)は通知の公表を待つ必要があります。最新情報は必ず一次情報でご確認ください。


