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2026年度調剤報酬改定で薬局はどう変わる?議論整理案から読む「対人業務シフト」の方向性

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定に向けた議論整理案が公表されました。「また改定か…」と思いつつも、自分の薬局にどう影響するのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。

私も調剤薬局で働く薬剤師ですが、正直なところ、日々の業務に追われて改定情報を追いかける余裕がないときもあります。ただ、今回の議論整理案を読むと、「対人業務」と「地域連携」への本格的なシフトがかなり明確に打ち出されている印象を受けました。

この記事では、議論整理案の中から薬局・薬剤師に関連する項目を整理し、「結局、何が変わりそうなのか」「今から何を意識すべきか」をお伝えします。

なお、議論整理案はあくまで「案」ですが、2024年度改定の際も、案に上がった項目はほぼ何らかの見直しが行われています。方向性を押さえておく価値は十分あります。

まず振り返り:2024年度改定では「案」がどう反映されたか

「議論整理案って、結局どれくらい当たるの?」——この疑問、もっともです。「案」の段階だから様子見でいい、と思う方もいるかもしれません。

そこで、まず2024年度(令和6年度)改定を振り返ってみましょう。2024年1月10日に公表された議論整理案(中医協 総-5)では、薬局関連で以下のような項目が挙がっていました。原文と、実際の改定内容を並べてみます。

調剤基本料関連

2024年度 議論整理案の原文(Ⅲ-8-(1))
「調剤基本料について、損益率の状況等を踏まえ、特定の医療機関からの処方箋受付が集中しており、処方箋受付回数が多い薬局等の評価を見直す。」

実際の改定内容
→ 調剤基本料3のイ・ロの区分が細分化。集中率が高く受付回数が多い薬局への評価が厳格化されました。

2024年度 議論整理案の原文(Ⅲ-8-(4))
「いわゆる同一敷地内薬局への対応として、医薬品の備蓄等の効率性、医療経済実態調査に基づく薬局の費用構造や損益率の状況、同一敷地における医療機関との関係性等を踏まえ、特別調剤基本料を算定する薬局の体制等及び当該同一敷地における医療機関の処方について、評価を見直す。」

実際の改定内容
→ 特別調剤基本料が「A」「B」に分離。敷地内薬局への評価がさらに厳しくなりました。

地域支援体制加算関連

2024年度 議論整理案の原文(Ⅲ-8-(2))
「地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を適切に評価する観点から、地域支援体制加算について、要件及び評価の見直しを行う。」

実際の改定内容
→ 地域支援体制加算が1〜4の4区分に再編。実績要件が細分化されました。

かかりつけ薬剤師関連

2024年度 議論整理案の原文(Ⅱ-7-(5))
「かかりつけ薬剤師の業務を推進するため、かかりつけ薬剤師指導料と個別に評価されている薬学的管理の業務、算定している薬剤師の業務実態等を踏まえ、かかりつけ薬剤師が算定できる評価とともに、かかりつけ薬剤師としての要件を見直す。」

実際の改定内容
→ かかりつけ薬剤師指導料の点数引き上げ(73点→76点)。同一薬局での勤務期間要件が「1年以上」に緩和されました。

在宅関連

2024年度 議論整理案の原文(Ⅱ-8-(28))
「悪性腫瘍以外の患者も含むターミナル期の患者に対する薬剤の提供を含む適切な薬学的管理のニーズの増加に対応するため、薬剤師が行う訪問薬剤管理指導を充実する観点から、医療用麻薬等の提供体制、急変時の夜間・休日における対応等を含めた在宅患者(緊急)訪問薬剤管理指導について、要件及び評価を見直す。」

実際の改定内容
→ 在宅薬学総合体制加算が新設。在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の点数が引き上げられました。

どうですか? 議論整理案で「見直す」「新たな評価を行う」と書かれた項目は、ほぼすべて何らかの形で改定に反映されています。

ここ、迷いやすいところです。「案」だから様子見でいいのでは、と思いがちですが、過去の実績を見る限り、議論整理案に上がった項目は高い確率で改定の対象になっています。しかも、「見直す」と書かれたら本当に見直される。「新たな評価を行う」と書かれたら本当に新設される。

今回の2026年度改定でも同様と考えるのが自然です。では、2026年度の議論整理案には何が書かれているのか、見ていきましょう。

2026年度改定の全体像:何が議論されているのか

では、2026年度改定の議論整理案(令和8年1月9日 中医協 総-4)を見ていきましょう。薬局に関連する主な項目を、原文から抜粋します。

Ⅲ-8 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化

  1. 「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過した現在の保険薬局の実態及び損益率の状況を踏まえ、保険薬局が立地に依存する構造から脱却し、薬剤師の職能発揮を促進する観点から、調剤基本料を見直す。
  2. 健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、特別調剤基本料Aの対象薬局について、要件を見直す。
  3. 地域での医薬品供給を通じた適切な医療提供体制の構築を促進する観点から、地域支援体制加算の要件を見直す。
  4. 対人業務である薬学的管理の質を適切に評価する観点から、内服薬の調剤日数によって4つに区分されている調剤管理料を見直す。
  5. かかりつけ薬剤師の推進並びに服用薬剤の継続的・一元的把握に基づく薬剤調整及び実効性の高い残薬対策を評価する観点から、重複投薬・相互作用等防止加算等の見直しを行う。
  6. かかりつけ薬剤師の本来の趣旨に立ち返り、かかりつけ薬剤師の普及及び患者によるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から、かかりつけ薬剤師指導料及び服薬管理指導料について評価体系を見直す。
  7. 保険薬局におけるインフルエンザ吸入薬指導について、慢性疾患と同様の服薬指導や曝露対策を実施している現状を踏まえ、吸入薬管理指導加算の要件と評価を見直す。
  8. 必ずしも服用薬剤数の削減によらない服用薬剤調整支援の手法が策定されている状況を踏まえ、服用薬剤調整支援料について、要件及び評価を見直す。
  9. 調剤報酬の簡素化の観点から、類似する算定項目を統合する。

ここ、心当たりありませんか。「かかりつけ」「地域支援体制」「対人業務」——これらは2024年度改定でも議論された項目です。つまり、厚労省が一貫して「ここを強化してほしい」と言い続けている領域だということです。

でも、うちの薬局は門前で処方箋枚数も安定しているし、そこまで焦らなくてもいいのでは…?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

その気持ちはわかります。ただ、(1)の原文を見てください。「保険薬局が立地に依存する構造から脱却し」と明記されています。門前だから安泰、とは言い切れなくなってきているのが実情ですね。

かかりつけ薬剤師・服薬管理指導料の評価体系見直し

議論整理案では、かかりつけ薬剤師について以下のように記載されています。

Ⅱ-3-(8)/Ⅲ-8-(6)

「かかりつけ薬剤師の本来の趣旨に立ち返り、かかりつけ薬剤師の普及及び患者によるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から、かかりつけ薬剤師指導料及び服薬管理指導料について評価体系を見直す。」

「本来の趣旨に立ち返り」という表現が繰り返し登場する点に注目です。なぜこう言われているのか。背景には、薬局内や同一チェーンにおいて「算定回数や同意取得件数にノルマを課すケース」が問題視されていることがあります。

本来、かかりつけ薬剤師に期待されているのは同意取得件数の多さではなく、患者情報の一元管理、重複投薬・相互作用の確認、服薬後のフォローアップなど、患者への具体的な介入です。今後は、これらの実績が算定要件に反映される方向で見直される可能性があります。

正直、患者さんに「かかりつけになってください」ってお願いするの、ハードルが高いんですよね…。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

そうですよね。ただ、今後は「同意を取った件数」より「何をしたか」が問われる方向です。逆に言うと、残薬管理や服薬フォローで患者さんにメリットを感じてもらえれば、自然と選ばれるようになります。まずは1人から始めてみるのも手です。

在宅医療体制の強化と新評価

在宅関連では、以下の項目が挙がっています。

Ⅱ-5-1-(8)
「在宅医療におけるポリファーマシー対策及び残薬対策を推進する観点から、医師及び薬剤師が同時訪問することについて、新たな評価を行う。」

Ⅱ-5-1-(12)
「今後、在宅で療養する患者の増加が見込まれることを踏まえ、高度な在宅訪問薬剤管理指導を含め、薬局において必要な在宅医療提供体制を整備する観点から、在宅薬学総合体制加算について、要件及び評価を見直す。」

Ⅱ-5-1-(13)
「今後在宅で療養する患者の増加が見込まれることを踏まえ、訪問薬剤管理指導の円滑な実施及びその実効性の改善に向けて、在宅患者訪問薬剤管理指導料について、要件を見直す。」

どうですか? 「医師及び薬剤師が同時訪問することについて、新たな評価を行う」——これは在宅医療における薬剤師の役割を拡大し、医師との連携を強化する方向性です。

在宅って、始めるのにハードルが高くないですか? 人員も時間も足りないし…。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

確かに、いきなりフルスケールで始めるのは難しいです。ただ、(13)を見てください。「円滑な実施」に向けて要件を見直すとあります。始めやすくなる方向にも動いている可能性があります。まずは近隣の在宅医やケアマネと顔をつないでおくだけでも、一歩前進です。

服用薬剤調整支援料:「剤数削減」から「介入の質」へ

ポリファーマシー対策に関連して、以下の記載があります。

Ⅲ-8-(8)
「必ずしも服用薬剤数の削減によらない服用薬剤調整支援の手法が策定されている状況を踏まえ、服用薬剤調整支援料について、要件及び評価を見直す。」

ここ、迷いやすいところです。「必ずしも服用薬剤数の削減によらない」とはどういう意味か。
現行の服用薬剤調整支援料1(125点)は、「2剤以上の減薬」が算定要件になっています。ただ、この「2剤以上」というハードルが現場にとって高く、なかなか算定に結びつかないという声があります。

一方で、近年はポリファーマシー介入の方法論が確立されつつあります。たとえば、服薬時点の集約化(分3を分2にするなど)や、抗コリン薬リスクの低減といった介入です。薬剤数がたとえ減らなかったとしても、服薬負担を軽減する取り組みが評価対象になる可能性があります。

減薬提案しても、医師に「このままで」と言われることも多いんですよね…。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

そうなんです。だからこそ「剤数」だけでなく「介入の質」を評価する方向に変わりそうなのは、現場にとって追い風かもしれません。まずは服薬時点の整理など、医師に提案しやすいところから始めてみるのも手ですね。

後発医薬品・バイオ後続品関連

Ⅳ-1-(3)
「後発医薬品の使用が定着しつつある一方、主に後発医薬品において不安定な供給が発生することが課題となっており、これにより医療機関及び薬局において追加的な業務が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制について、新たな評価を行う。」

Ⅳ-1-(4)
「バイオ後続品の使用を促進する観点から、薬局におけるバイオ後続品の調剤体制の整備及び患者への説明について、新たな評価を行う。」

後発医薬品調剤体制加算に廃止・減算の声

議論整理案には直接書かれていませんが、後発医薬品調剤体制加算(21点〜30点)の見直しも議論されています。支払い側からは「役割は一段落した」として廃止・減算の意見が出ていますが、診療側は反発しています。即廃止とはならない可能性が高いですが、将来的に縮小方向に向かう流れは押さえておいたほうがよいでしょう。

安定供給体制への新評価

出荷調整対応に追われている現状が、ようやく評価の対象になる可能性があります。「医薬品の安定供給に資する体制について、新たな評価を行う」という原文は、供給不安定への対応コストを認める方向と読めます。

バイオ後続品、正直まだあまり扱っていないんですが…。

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

扱いが少ない薬局も多いですよね。ただ、今後は処方が増えていく領域です。「調剤体制の整備及び患者への説明」に新評価とあるので、先発バイオ医薬品からの切り替え提案や丁寧な説明が求められる方向です。まずは自局で扱う可能性のあるバイオ後続品の情報を整理しておくと、いざというとき慌てずに済みます。

調剤基本料・地域支援体制加算の行方

調剤基本料と地域支援体制加算について、改めて原文を確認します。

Ⅲ-8-(1)
「『患者のための薬局ビジョン』の策定から10年が経過した現在の保険薬局の実態及び損益率の状況を踏まえ、保険薬局が立地に依存する構造から脱却し、薬剤師の職能発揮を促進する観点から、調剤基本料を見直す。」

Ⅲ-8-(2)
「健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、特別調剤基本料Aの対象薬局について、要件を見直す。」

調剤基本料1からの除外可能性

具体的にどの薬局が見直し対象になりそうか。報道によると、処方箋受付回数600回超+集中率85%以上で調剤基本料1(45点)を算定している薬局が、調剤基本料2(29点)の対象へ移行される可能性が指摘されています。

「特A逃れ」への対応厳格化

特別調剤基本料A(5点)についても、いわゆる「特A逃れ」が問題視されています。敷地内に位置しながら同一建物内に別の診療所を誘致して特別調剤基本料Aの算定を回避する事例などが対象となり、抜け道を塞ぐ方向で制度整理が進むとみられます。

地域支援体制加算と地域フォーミュラリ

Ⅲ-8-(3)
「地域での医薬品供給を通じた適切な医療提供体制の構築を促進する観点から、地域支援体制加算の要件を見直す。」

地域支援体制加算については、地域フォーミュラリへの参画やリフィル処方の促進が要件に加わる可能性があります。いきなり新しい加算ができるというより、まずは地域支援体制加算の要件として位置付けられる——という段階的な導入が現実的との見方があります。自局の地域で地域フォーミュラリの動きがあるか、情報収集しておくとよいでしょう。

2024年度と2026年度:議論整理案の比較から見える「深化」

ここで、2024年度と2026年度の議論整理案を並べて比較してみましょう。同じテーマでも、表現や観点がどう変化しているかを見ると、改定の方向性がより明確になります。

調剤基本料

2024年度
「調剤基本料について、損益率の状況等を踏まえ、特定の医療機関からの処方箋受付が集中しており、処方箋受付回数が多い薬局等の評価を見直す。」

2026年度
「『患者のための薬局ビジョン』の策定から10年が経過した現在の保険薬局の実態及び損益率の状況を踏まえ、保険薬局が立地に依存する構造から脱却し、薬剤師の職能発揮を促進する観点から、調剤基本料を見直す。」

かかりつけ薬剤師

2024年度
「業務実態等を踏まえ…要件を見直す。」

2026年度
かかりつけ薬剤師の本来の趣旨に立ち返り、かかりつけ薬剤師の普及及び患者によるかかりつけ薬剤師の選択を促進する観点から…評価体系を見直す。」

2024年度は「業務実態を踏まえた要件見直し」でしたが、2026年度は「本来の趣旨に立ち返り」「患者による選択を促進」と、より本質的な問いかけになっています。形式的な算定ではなく、患者にとっての価値が問われる方向です。

こうして比較すると、確かに方向性が一貫していますね…。でも、案はあくまで案ですよね?

オカメインコ

オカメインコ

ポッポ先生

ポッポ先生

はい、確定ではありません。ただ、2024年度改定の時も、議論整理案に上がった項目はほぼすべて何らかの形で改定に反映されました。「様子見」よりも「方向性を押さえて準備する」ほうが、改定後に慌てずに済むのは確かですね。

まとめ:今からできる「一歩」

2026年度調剤報酬改定の議論整理案から見えてくるのは、「対人業務の質」と「地域連携」への本格シフトです。

「また改定か…」と思う気持ちはわかります。ただ、改定の方向性は急に変わるものではなく、数年かけて同じ方向に進んでいます。今回の議論整理案も、2024年度改定の延長線上にあります。
今からできる一歩として、私なら以下の点を確認します。

  • かかりつけ薬剤師の「介入実績」
    同意件数だけでなく、実際に何ができているかを振り返る
  • 在宅への関与度合い
    まったく関わっていないなら、まず情報収集から
  • 服用薬剤調整の取り組み
    剤数削減だけでなく、服薬時点の整理など「質」を意識
  • 地域フォーミュラリ・リフィル処方箋の動向
    自局の地域で動きがあるか確認
  • 調剤基本料・地域支援体制加算の算定根拠
    処方箋受付回数、集中率、各種実績を月次で把握

議論整理案はあくまで「案」ですが、2024年度改定の際も、案に上がった項目はほぼ見直しが行われました。方向性を押さえ、自局の現状と照らし合わせておくことが、改定後に慌てないための準備になります。

参考資料

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