「薬歴、また溜まってる……」
閉局後にパソコンの前で、1日分の薬歴をまとめて入力する。そんな光景、心当たりありませんか。
厚生労働省の調査によると、薬剤師の1日の業務のうち「薬歴への記載」にかかる時間は約1時間25分。服薬指導(約1時間50分)に次いで長い時間を占めています。特に多剤併用の患者さんでは、1件あたり約6分以上かかることも珍しくありません。
私自身、調剤薬局で働いていて「もっと患者さんと話す時間がほしい」「薬歴はちゃんと書きたいけど、時間が足りない」というジレンマを感じてきました。
この記事では、そんな悩みに対するひとつの選択肢として、AI薬歴生成ツール「薬歴AIディープインパクト」を紹介します。実際にどれくらい時短になるのか、コストに見合うのか、判断材料をお伝えします。
目次
薬歴記載に1日1時間25分——その時間、どこから捻出していますか

まず、現状を整理させてください。
厚労省「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」(令和3年6月)の資料によると、薬局における処方箋1枚の処理に要する平均時間は12分41秒。その内訳は以下のとおりです。
| 業務内容 | 平均時間 |
|---|---|
| 受付・薬袋準備 | 1分08秒 |
| 薬歴確認・処方箋監査 | 2分26秒 |
| 計数調剤 | 2分33秒 |
| 監査 | 3分05秒 |
| 薬剤交付・服薬指導 | 3分29秒 |
| 合計 | 12分41秒 |
ここ、注目してほしいのですが——上記は「処方箋1枚あたり」の時間です。つまり、1日に40枚処理すれば、それだけで8時間以上。薬歴への記載時間は別途かかるわけです。
さらに、薬剤種類数によって負担は大きく変わります。
でも、うちの薬局は高齢者が多くて、6種類以上の処方がほとんどなんですけど……

オカメインコ

ポッポ先生
それ、実はかなり時間がかかっているはずです。データを見てみましょう。
同じ調査によると、薬歴作成の平均所要時間は以下のとおり。
| 薬剤種類数 | 薬歴作成時間(1回あたり) |
|---|---|
| 6種類未満 | 約3.9分 |
| 6種類以上(多剤) | 約6.3分 |
多剤処方では、薬歴作成だけで約1.6倍の時間がかかっています。
仮に1日10件の多剤処方があれば、薬歴だけで63分。これが毎日続くと、月に20時間以上を薬歴記載に費やしている計算です。
「時間がない」と感じるのは、気のせいではありません。
AI薬歴ディープインパクトとは——チェックボックスとフリー入力でSOAP薬歴が完成

ここからが本題です。
薬歴AIディープインパクトは、生成AIを活用して、SOAP形式の薬歴を生成するアプリケーションです。

基本的な使い方
操作は3ステップで完結します。
- フリー入力に患者情報・症状・服薬状況などを入力(最大2000文字)
- 疾患・処方区分をチェックボックスで選択
- 「薬歴を生成」ボタンをクリック
これだけで、S(主訴)・O(客観的情報)・A(アセスメント)・EP(服薬指導)・OP(次回確認事項)が自動生成されます。

でも、AIが作った薬歴って、そのまま使っていいんですか?法的に問題ないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
あくまで”下書き“として使う前提ですね。最終確認・修正は薬剤師の責任です。ただ、ゼロから書くより圧倒的に楽になります。
主な機能
- 医薬品自動検出:入力テキストから医薬品名を抽出し、PMDA添付文書データベースから情報を補完
- 音声入力対応:マイクで話すだけでテキスト化。AIが医薬品名の誤変換も自動修正
- カスタムテンプレート:薬局独自のフォーマットや定型文を登録可能
- 履歴・お気に入り機能:過去の薬歴を検索・再利用できる
【S】
子どもからインフルエンザをうつされたようだ。他に飲んでいる薬はない。【O】
Rp1) タミフルカプセル75mg 1回1カプセル 1日2回 5日分 (新規処方)【A】
インフルエンザウイルス感染症に対し、タミフルが新規で処方された。併用薬はなく相互作用のリスクは低い。患者は原因を認識しており、治療への理解は得られやすいと判断。初回服用であるため、用法・用量の遵守と副作用の初期症状について丁寧な説明が必要。【EP】
タミフルはウイルスの増殖を抑える薬であり、症状が出始めてから48時間以内に服用を開始することが重要であると説明。途中で症状が改善しても、処方された5日間は必ず飲み切るよう指導した。めまい、下痢、腹痛などの副作用が出ることがあるため、異常を感じたら相談するよう伝えた。【OP】
次回、服薬状況(アドヒアランス)と副作用の有無を確認する。特に、症状が改善したか、最後まで飲み切れたかを確認する。
時短効果を数字で検証——多剤処方で差が出る

ここ、迷いやすいところです。「AIで半分になる」と言われても、実感が湧きにくいですよね。
私ならまず、自分の薬局の処方傾向から確認します。
時短シミュレーション
前提条件
- 多剤処方(6種類以上):1日10件
- 従来の薬歴作成時間:6.3分/件
- AI使用後の作成時間:約3分/件(半分以下と仮定)
計算
- 1件あたりの短縮時間:6.3分 − 3分 = 3.3分
- 1日あたりの短縮時間:3.3分 × 10件 = 33分
- 月あたりの短縮時間(20日勤務):33分 × 20日 = 660分(約11時間)
11時間——これだけあれば、在宅訪問を増やしたり、服薬フォローアップに時間を使ったり、単純に定時で帰れる日が増えます。
でも、Do処方が多い薬局だと、そこまで効果ないんじゃないですか?

オカメインコ

ポッポ先生
いいポイントです。Do処方が多い場合は、前回薬歴からの引用機能のほうが効率的かもしれません。自分の薬局の傾向を見て判断してください。
ただし、多剤処方や処方変更が多い薬局では、AIの恩恵を受けやすいです。特にアセスメント(A)の記載は、ゼロから書くと時間がかかるため、AI下書き→修正のフローが有効です。
月1,500円で回収できる?——薬剤師の時給から逆算するコスパ
「時短になるのはわかった。でも、コストは?」
現実的な判断材料を出します。
料金プラン
| プラン | 料金 | 利用制限 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | 1日5回まで |
| 月額プラン | 1,500円/月 | 無制限 |
| 年額プラン | 14,000円/年(約1,167円/月) | 無制限 |
コストパフォーマンス計算
薬剤師の平均時給を2,500円として計算します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月間の時短効果 | 11時間 |
| 時給換算 | 11時間 × 2,500円 = 27,500円 |
| 月額コスト | 1,500円 |
| ROI(投資対効果) | 約18倍 |
誤解されやすいので先に言うと——これは「給料が増える」という意味ではありません。あくまで「その時間を別の業務に使える価値」です。
ただ、月1,500円で毎月11時間の余裕が生まれるなら、コーヒー3杯分で残業が減ると考えると、検討の余地はあるのではないでしょうか。
正直、1,500円でも毎月かかるのは気になります……

オカメインコ

ポッポ先生
まずは無料プランで1日5回使ってみて、効果を実感してから判断するのがおすすめです。年額プランなら月あたり約1,167円になりますよ。
musubi端末なら一括取り込み——貼り付けボタンで手間ゼロ
現場だとここで詰まりがちです。「生成した薬歴、どうやって電子薬歴に移すの?」
musubi端末をお使いの方に朗報です。
生成された薬歴は、貼り付けボタンから一括取り込みが可能。コピー&ペーストの手間もなく、生成→取り込みがシームレスにつながります。


ポッポ先生
設定画面から薬歴システムをmusubiに選択すると、【S】ではなく、##S##形式で出力されるため、musubiの貼り付けボタンから一括でSOAPにわかれて取り込みされます。
musubi端末って、EPから選択して薬歴書くような仕組みになっているからSOAP形式がおかしい薬歴になっているところ多いんですよね…

オカメインコ
対応している電子薬歴システム
musubi以外の電子薬歴システムでも、生成されたテキストをコピー&ペーストで利用できます。ただし、一括取り込み機能はmusubi端末での連携が最もスムーズです。
まとめ——まずは無料プランで「自分に合うか」を試してみる

ここまでの内容を整理します。
この記事のポイント
- 薬歴作成は1日1時間25分——特に多剤処方で負担が大きい
- AI薬歴ディープインパクトは、チェックボックス+フリー入力でSOAP薬歴を自動生成
- 多剤処方が多い薬局では、月11時間以上の時短が見込める
- 月1,500円で約18倍のコストパフォーマンス(時給換算)
- musubi端末なら一括取り込みで導入ハードルが低い
次の一歩
「使えそうかも」と思ったら、まずは無料プラン(1日5回まで)で試してみてください。
- 公式サイト:https://deepimpact.jp.click/
- 料金:無料プラン(1日5回)/月額1,500円(無制限)/年額14,000円

ポッポ先生
AIはあくまでツールです。最終判断は薬剤師の責任ですが、”時間がないから薬歴が雑になる”状況を避けるための選択肢として、検討してみてください。
出典・参考資料
- 厚生労働省「第9回 薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」参考資料2(令和3年6月4日)
- 「薬局の機能に係る実態調査(令和3年度医療課委託調査)」速報値


