【薬剤師が解説】テレビなどでは教えてくれない新しいインフルエンザの薬、ゾフルーザ®の情報

患者さん向け

バロキサビル(ゾフルーザ®)ってどうなの?既存の薬より優れているの?

インフルエンザが流行してきていますね、みなさんインフルエンザに罹患しないように手洗いはしっかりしましょう。
さて、今回は2018年に迅速承認された抗インフルエンザ薬バロキサビル(ゾフルーザ®)の既存薬などと比較したデータを紹介するとともに、薬剤師として中立な立場でバロキサビル(ゾフルーザ®)を評価します。
話題の新薬のため、テレビやネットでも多く取り上げられていますが、どうしても中立な立場で評価した記事が少ないですよね…




注意!!
今回の記事は、重い病気などにかかられている方に向けてではなく、持病などがなく元来健康な方を対象にしております。
本記事に記載してあるデータは健常人を対象としたデータであるため、リスクの高い人は本記事を読んで誤解をしないようにお願い致します。
るるーしゅ
まぁ何しても、誤解されるときは誤解されるし、いちゃもんもつけられるんだけどね

インフルエンザの治療薬に求めることは?

インフルエンザにかかった際に、薬に期待することとは一体なんでしょうか?
すこし考えてみて下さい、私は下記の三つだと思います。

インフルエンザにかかった際に薬に期待すること
  • 早くインフルエンザの症状がよくなること
  • インフルエンザがひどくならないこと
  • 家族など周りの方にうつさないこと
るるーしゅ
インフルエンザに罹ったら早く良くなって規定期間(5日間~7日間)、家族にうつさず、ゆっくり休みたーい、仕事したくなーい
では、実際に、バロキサビル(ゾフルーザ®)は既存の薬や偽薬(プラセボ)と比較して効果的なのでしょうか?それをまとめたものがこちらになります。

(こちらの表は、ゾフルーザ®の申請資料およびアメリカFDAの資料に基づき作成しております。)
るるーしゅ
う~ん、この表、見る限りでバロキサビル(ゾフルーザ®)おすすめしないよね…

バロキサビルは既存薬と比べて早く良くなるのか?

まずはバロキサビルが、既存薬より早く良くなるかについて説明致します。
上記の表にもありますが、もう少し詳細に書きます
バロキサビル(n=375)      ・・・53.5時間
オセルタミビル(n=377)  ・・・53.8時間
プラセボ(n=192)       ・・・77.8時間
(nは人数、
全て20歳以上の成人を対象)

メガネ
早く良くなるって、具体的にはどうなったら良くなったと評価したんですか?
早く良くなるの定義について
下記のインフルエンザの症状、全てが消失もしくは軽度と判定された場合
①咳、②のどの痛み、③頭痛、④鼻づまり、
⑤熱っぽさ又は悪寒、⑥筋肉または関節の痛み、⑦疲労感
メガネ
平熱に下がるとかはないんですね
るるーしゅ
アセトアミノフェンは併用してるからかな?
でも平熱にかかる時間ものっていたよ
平熱(37.0度未満、わきの下)になるまでの時間
バロキサビル(n=369)   ・・・24.4時間
オセルタミビル(n=374)・・・24.0時間
プラセボ(230)     ・・・42.0時間
メガネ
オセルタミビル(タミフル®)と比較しても差はなさそうですね

バロキサビルは既存薬と比較して重症化を予防できるのか?

つづいては、バロキサビル(ゾフルーザ®)は既存薬より、重症化(インフルエンザに関連した合併症)を予防することができるのかについてです。
バロキサビル(n=456)   ・・・3.5%
オセルタミビル(n=377)・・・2.4%
プラセボ(n=231)   ・・・4.3%

第Ⅲ相試験の結果より

インフルエンザに関連した合併症について
副鼻腔炎、気管支炎、中耳炎、肺炎
尚、死亡や入院はなし
メガネ
タミフルのほうが少ないんですね・・・
るるーしゅ
有意差はないけどね

バロキサビルは既存薬より周りにうつしてしまう危険性がないのか?

抗インフルエンザ薬に期待することの最後として、家族にうつしてしまう危険性はどうなのか?
ウイルスの排泄量が、早く減るのでその分、家族へインフルエンザをうつすリスクが減るのでは?と思いますが実際のデータはどうなのでしょう?
1~3日の家族内感染割合【】内は、~15日の家族内感染割合
バロキサビル(n=268)   ・・・3.9%【9.0%】
オセルタミビル(n=209)・・・5.2%【8.5%】
プラセボ(n=134)   ・・・6.8%【9.3%】

るるーしゅ
これはFDAの資料なんだけど、データは第Ⅲ相試験の日本人のもの(申請資料に日本のみ家族内管について調べると書かれていたが結果は申請資料にのっていなかった)
メガネ
おっ、バロキサビルのほうが少ない!!
るるーしゅ
有意差はないけどね


懸念事項について

上記の有効性を既存薬や偽薬(プラセボ)と比較すると…

偽薬(プラセボ)よりは効くが、既存薬(タミフル®)とは同等

という評価が妥当かと思いますが薬剤師として懸念事項があります。

安全性について

まだバロキサビルは新薬なので、未知の副作用のリスクなどについて注意しなければいけません。
下記の記事を参考にしていただければ幸いです。
知っておいてほしい3の法則

耐性ウイルスについて

つづいて耐性ウイルスについてです。
治験の段階で、バロキサビルを投与された方9.7%にバロキサビル低感受性のインフルエンザウイルスが見られたそうです。
このあたりはオセルタミビルでも同様にでているのですが、もしバロキサビルが乱用されてバロキサビルが効かないインフルエンザが広がってしまったら最悪ですよね。

値段(費用)について

成人のインフルエンザの治療薬にかかる薬剤の値段(薬価)です。

ゾフルーザ®(80kg未満)・・・4789円
ゾフルーザ®(80kg超)   ・・・9578円
タミフル®                      ・・・2720円
オセルタミビル                ・・・1360円
リレンザ®                      ・・・2942円
イナビル®                      ・・・2139.9円

バロキサビル(ゾフルーザ®)についてのまとめ

るるーしゅ
現状あまり既存薬とも優れていると思わないので、バンバン使うのはオススメできないな~
今回は、バロキサビル(ゾフルーザ®)について薬剤師の中立的な立場で評価いたしました。
テレビのニュースなどの夢の新薬かのように評価されていますが、現時点では服薬方法が簡便であること以外、既存薬と比較してバロキサビルを使ったほうがいいケースは少ないかと思います。
(12時間以内の服用や、タミフル®より消化器障害のリスクが低いといったベネフィットはありますが)
参考資料
ゾフルーザの申請資料
医療用医薬品 情報検索よりゾフルーザで検索し申請資料概要⇒臨床概要6に第Ⅲ相の結果がのっています
FDAのゾフルーザの資料
こちらはネット上で教えていただいたものなのでPDFになります。
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2018/210854Orig1s000MicroR.pdf#page=69