ミニリンメルトOD錠25、50が発売されるが色々とややこしいので注意しよう

ミニリンメルトOD錠 薬剤情報

新効能として、男性における夜間多尿による夜間頻尿をもつミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍が承認されました。(2019.8現在発売はまだ)
今回は色々とややこしい点とミニリンメルトOD錠の投与するにあたって注意しなければいけない点などを紹介します。


ミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍のキーポイント

ミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍のややこしい点
新薬扱いのため、処方は14日分
ミニリンメルトOD錠60㎍、120㎍と販売しているところ違う
夜間頻尿あっても生活改善指導で半数以上は改善する
るるーしゅ
夜尿症などで使われる60㎍、120㎍は協和キリン、今回の男性における夜間多尿による夜間頻尿の適応をもつ25㎍、50㎍はキッセイ
メガネ
あー協和キリンのMRさんに普通に質問しそう
るるーしゅ
ちなみに海外ではノクダーナ(nocdurna)って名前で発売されているんだけど、国内ではだめだったみたいだね
ミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍はざっくりいうとこんな薬
副作用として、低ナトリウム血症に気をつけろ
夜間頻尿があれば、すぐに処方できる薬ではなく、排尿日誌で夜間多尿指数が33%以上必要=専門医?
プラセボと比較して、ミニリンメルトOD錠25㎍は0.2回、50㎍は0.45回夜間頻尿の回数を減らす
海外では女性でも使えるが日本人女性ではプラセボと比較して有意差なし
65歳以上では低ナトリウム血症のリスク高いから注意(25㎍からがいいのでは?)
低ナトリウム血症のモニタリング(血清ナトリウム値135mEq/L未満になったら中止)
初回投与後1週間以内に電話で副作用確認したほうがいいかも

基本的事項

るるーしゅ
ミニリンメルトOD錠は警告や禁忌、そして使用上の注意など盛りだくさんの薬剤です。
高齢者に使用されることが多いので、薬によるリスク最小化のためにきちんと理解しておきましょう。

警告

警告
本剤の抗利尿作用により過剰な水分貯留に伴う低ナトリウム血症を引き起こす可能性があり、また、デスモプレシン酢酸塩水和物を使用した患者で重篤な低ナトリウム血症による痙攣が報告されていることから、患者及びその家族に対して、水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があること、水分摂取管理の重要性について十分説明・指導すること。

禁忌

  • 低ナトリウム血症の患者又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が増悪又は発現するおそれがある。]
  • 習慣性又は心因性多飲症の患者(尿生成量が40mL/kg/24時間を超える)[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
  • 心不全又はその既往歴あるいはその疑いがある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。また、心不全が増悪又は発現するおそれがある。
  • 利尿薬による治療を要する体液貯留又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
  • 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)
  • 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
  • チアジド系利尿剤、チアジド系類似剤、ループ利尿剤を投与中の患者
  • 副腎皮質ステロイド剤(注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤)を投与中の患者
商品名ミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍
一般名デスモプレシン酢酸塩水和物
効能・効果男性における夜間多尿による夜間頻尿
用法・用量成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50µgを経口投与する
備考効能又は効果に関連する注意として、夜間多尿指数が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合にのみ考慮すること。

効能又は効果に関連する注意

本剤投与は、以下の精査及び治療等を行った上でも、夜間多尿指数(夜間多尿指数:24時間の尿排出量に対する夜間の尿排出量の割合)が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合にのみ考慮すること。
夜間頻尿の原因には、夜間多尿の他に、前立腺肥大症、過活動膀胱等の膀胱蓄尿障害等があることから、夜間頻尿の原因が夜間多尿のみによることを確認すること。前立腺肥大症及び過活動膀胱で夜間頻尿の症状を呈する場合には当該疾患の治療を行うこと。その上で、夜間頻尿の症状が改善しない場合には、次に示す夜間多尿の精査及び治療を行った上で、本剤の投与の可否を考慮できる。
夜間多尿の原因となる疾患(高血圧症、糖尿病、心不全、腎不全、肝胆道疾患、睡眠時無呼吸症候群など)があることに留意し、本剤投与前に血圧測定、心電図、血液・尿検査等の臨床検査や問診等を実施すること。これらの疾患が認められた場合は、当該疾患の治療を行うこと。
飲水制限などの生活指導及び行動療法を行うこと。

用法及び用量に関連する注意

年齢、体重、血清ナトリウム値、心機能等の状態から低ナトリウム血症を発現しやすいと考えられる場合には、デスモプレシンとして25µgから投与を開始することを考慮すること。[9.8 参照]
夜間多尿による夜間頻尿の治療における飲水制限などの生活指導及び行動療法の必要性、並びに本剤投与中の低ナトリウム血症の発現予防における水分管理の必要性を考慮し、本剤は水なしで飲むこと。なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける。
投与開始後8週から12週を目安に、症状の改善が認められない場合は、本剤の投与中止を考慮すること。


そもそも夜間頻尿って?治療しなきゃダメ?

夜間、排尿のために起きなければならない症状を夜間頻尿といい加齢とともに頻度が高くなります。
夜間頻尿は、50〜59歳の男女の半数に見られ、18歳から49歳の間では、男女性の方が夜間頻尿を持っています。しかし60歳以降に逆転し、70〜79歳の男性では約半数が夜間2回以上夜間のトイレで起きています。
uptodateのNocturiaのところから引用

るるーしゅ
夜、おしっこ行きたくて起きてしまうって苦痛だよね、朝までずっと寝ていたい
メガネ
そうですね、また高齢者の場合ですと転倒して骨折のリスクもありますよね
るるーしゅ
確かに、最近夜間頻尿があると死亡リスクが高いという研究データもあったね
(PMID: 31364920)
夜間頻尿の問題点として、眠りの中断、転倒リスク、そして死亡リスクがある


ミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍の有効性はどれくらい?

夜間多尿による夜間頻尿症患者の有効性データ

女性男性
プラセボ25㎍
(90)
プラセボ
(117)
25㎍
(113)
50㎍
(108)
ベースライン2.41±0.537(97)2.46±0.588(90)2.41±0.636(117)2.44±0.652(113)2.53±0.954(108)
投与1週1.90±0.684(97)1.79±0.962(90)1.98±0.763(117)1.80±0.769(113)1.61±0.858(108)
投与4週1.48±0.769(96)1.36±0.913(90)1.67±0.838(115)1.51±1.007(111)1.26±0.710(105)
投与8週1.24±0.908(96)1.12±0.889(89)1.58±0.996(112)1.29±0.919(106)1.15±0.829(102)
投与12週1.19±0.835(96)1.08±0.901(87)1.48±0.988(112)1.21±0.894(105)1.10±0.820(101)
ベースライン
からの変化量
-0.95
[-1.08, -0.82]
-1.11
[-1.24, -0.97]
-0.76
[-0.88, -0.64]
-0.96
[-1.08, -0.84]
-1.21
[-1.33, -1.09]
プラセボとの群間差-0.16
[-0.34, 0.03]
-0.20
[-0.36, -0.04]
-0.45
[-0.61, -0.28]
メガネ
プラセボ比較で0.2回、0.45回ってどうなんですかね?
るるーしゅ
あっそれにはPMDAが審査報告書内で言及してたよ

本邦において夜間多尿による夜間頻尿に係る効能・効果で承認されている薬剤はないが、OAB又はBPHの主な症状として夜間頻尿を含む頻尿があり、それらの患者の夜間頻尿に対してOAB治療薬又はBPH治療薬が使用されている。夜間頻尿を有する患者を対象にOAB治療薬(ソリフェナシン及びフェソテロジン)又はBPH治療薬(タダラフィル及びシロドシン)の夜間頻尿に対する有効性を評価したプラセボ対照試験において、これらの薬剤とプラセボとの間に認められた夜間排尿回数のベースラインからの変化量の差は-0.1回~-0.2回程度であったこと(夜間頻尿診療ガイドラインp59-64、BJU International 2006: 97; 1262-6)を踏まえると、男性患者において本薬25及び50μg群とプラセボ群との間に認められた差(それぞれ-0.20及び-0.45回)は臨床的に意義のあるものと考える。



ミニリンメルトOD錠の注意点

今回発売されるミニリンメルトOD錠25㎍、50㎍の使用層は高齢者です。そしてミニリンメルトOD錠は低ナトリウム血症のリスクがある薬剤ですので、薬剤師として注意しましょう

安易な薬剤使用に注意

冒頭でも記載していますが、夜間頻尿は薬剤を使用しなくても生活指導だけで半数以上はよくなります。夜間頻尿に適応のある薬剤が発売されることで、本来は生活指導だけでよくなる患者にも医薬品で何とかしようという思考回路ができてしまうので注意しましょう。

メガネ
へーでも本当に半数以上がよくなるんですか?何を根拠にいっているんですか?
るるーしゅ
第Ⅲ相試験を見てみると、夜間頻尿ある人治験しますからどうですか?って989人集まったみたいなんだけど、治験薬開始するときまで基準満たしていたのは342人。
つまり治験薬開始するまでの生活指導やプラセボ服用期間でよくなっちゃったんだよ
夜間頻尿は薬なしで半数以上はよくなる

65歳以上への投与は注意

るるーしゅ
けっこう重要なことなんだけど、uptodateだとこの薬剤のメインターゲットの65歳以上には低ナトリウム血症のリスクおよび代替治療があるからオススメしていないんだよね。
またBeers criteria criteriaにものっているみたいで、避けるべき医薬品なんだよね
メガネ
えー、そうなんですか…どうしましょう?
るるーしゅ
高齢者、投与量が多いと低ナトリウム血症のリスクが高いからね
65歳未満65歳以上
プラセボ群
(87例)
25μg群
(88例)
50μg群
(76例)
プラセボ群
(93例)
25μg群
(93例)
50μg群
(86例)
125mmol/L以下0(0)0(0)0(0)0(0)0(0)2.3(2)
126~129mmol/L0(0)0(0)1.3(1)0(0)1.1(1)3.5(3)
130~134mmol/L0(0)1.1(1)1.3(1)2.2(2)5.4(5)9.3(8)
135mmol/L以上100(87)98.9(87)97.4(74)97.8(91)93.5(87)84.9(73)
るるーしゅ
治験というお膳立てされた場所で、ミニリンメルトOD錠50㎍が処方された65歳以上の患者では約15%(6-7人に1人)に血清ナトリウム値に問題が生じているので、実臨床の場で65歳以上への使用は25㎍が無難ではないかなーと思う。