目次
子どもの医薬品の誤飲事故対策は必要?
こどもの誤飲事故と聞いたら何に思い浮かべますか?
タバコやボタン電池?といったものを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は医薬品による誤飲事故は多く発生しております。
年度によっては、タバコを抜いて1位になることもあります。またタバコは近年喫煙率の低下により、タバコの誤飲事故は減少傾向にありますが医薬品の誤飲事故は減っていません。
今回はこどもの医薬品の誤飲事故対策について説明いたします。
こどもの医薬品の誤飲事故は多いの?
医薬品の誤飲事故ですか…やっぱり多いんですか?
メガネ
るるーしゅ
多いね、厚生労働省が毎年発表している家庭用品等に係る健康被害 病院モニター報告ってのがあるんだけど、医薬品による誤飲事故はずっと変わらずだね。
確かに医薬品の誤飲事故減っていませんね
メガネ
るるーしゅ
うん、そうなんだよね。
ちなみにH25年に厚生労働省は薬局などの医療機関に、誤飲事故対策の徹底よろ!!って出してるんだよね!!
○医薬品等の誤飲防止対策の徹底について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)〔医療法〕
へぇーそうなんですね
メガネ
るるーしゅ
他人事にしなーい!!
前に私が薬局でお母さん方に「今まで薬局で医薬品の誤飲対策の指導うけたことありますか?」って聞いたんだけど、皆無だったからね。
やっぱり薬局できちんと誤飲対策の指導をしなきゃだよ!!
子どもの医薬品の誤飲事故が多い年齢は?
タバコは年齢とともに減ってますが、医薬品は全年齢でありますね
メガネ
るるーしゅ
そうなんだよね、確かに全年齢に多いよね。
ただ自分でフタや包装を開けて薬を取り出せるようになる1~3歳が特に多いみたいだね。
どうやって医薬品の誤飲対策するのがいいんですかね?
メガネ
るるーしゅ
それに関しては、赤ちゃん・子どもによる薬の誤飲を防ぐためにがまとまっているんだ
(検索で上位にヒットしてもらうためにも、たまにみんなクリックしてあげて)
一応、すこし詳細を説明するね
子どもの誤飲事故はいつに多い?
実家・親類宅で発生した事故は、発生月で見ると帰省時期である12月、8月、1月の順に多くなっています。
薬局で子どもの誤飲事故をしましょう
子どもの見ていないところで薬を飲む
るるーしゅ
家族が服用しているのを見て、食べ物だと思ってしまったり真似したりして誤飲事故につながるケースがあるからね
子どもの見えない手の届かない場所にチャック袋、密閉容器などに入れて保管。
るるーしゅ
手の届かない場所は1m20cmがいいと思う
くすり箱は開けたらすぐに閉める。
るるーしゅ
開けっ放しの一瞬の隙を子どもはついてきて誤飲するので、マジ注意!!
後でしめようと思っていたはちょーキケン!!
くすりの蓋はしっかり閉める。
るるーしゅ
しっかりしめないと、子どもが自分であけてしまうかもしれないので
くすりの保管場所近くに踏み台になるようなものは片付ける。
るるーしゅ
踏み台にのると高い場所にあるものにも手が届いてしまうからね
子どもにくすりは甘い味であってもジュースやお菓子ではないことを理解させる。
るるーしゅ
シロップの飲みすぎやシングレアチュアブルの飲みすぎなんていうのもあるため、しっかり教えることも大事。
くすりをお菓子の箱に入れない。
るるーしゅ
お菓子箱に入ってる=おいしいもの(ラムネ)と思ってしまい、こっそり開けてボリボリとしてしまう危険性あり
おじいちゃん、おばあちゃんの薬にも注意する。
るるーしゅ
祖父母のくすりの誤飲事故は本当に危険。服用している薬剤の誤飲時のリスクが高いことと、また普段から子どもが周りにいないため管理がずさんであるケースも多いので帰省した際はどこに保管してあるか確認しておくこと。
また帰省時に、子どもの薬の服用も祖父母に任せないこと。
(飲ませ間違いあります!!)
乳幼児服薬指導加算を算定して誤飲指導しましょう
12月、8月と帰省シーズン前には薬局で医薬品の誤飲事故の啓発活動しませんか?
乳幼児服薬指導加算も算定できるはずです。
S:年末年始帰省する予定あり
A:帰省シーズンに子どもの医薬品誤飲事故が多いため、注意喚起の必要性あり
P:子どもの誤飲事故防止のために子どもの目の前で薬を飲まないことや帰省先での祖父母の薬剤の保管場所に注意するなどの説明を実施し、おくすり手帳に概要を貼付
るるーしゅ
おくすり手帳に貼付するシールはよかったら下のやつ使ってください。
るるーしゅ
上記のPDFをダウンロードして印刷してみてください。
ラベルシールのサイズはダイソーでも買える名刺サイズのもので作ってみました。(でも店舗で売ってないんですよね…)
そこまで配布する数が多くなければ、どこの100均でも売っているA4のカットなしのラベルシールを使ってもいいと思います(自分でカットするめんどくさいですが)
るるーしゅ
A4、名刺サイズ、10面であればどれでも対応できると思います。安いの上にリンクしておきます。
説明するとき用の手元資料
誤飲対策を説明する際に手元資料があったほうが保護者への理解が深まると思いましたので手元資料を作成しました。
上記の画像と同じものがA4のPDFファイルでダウンロードできるようにしてますので印刷して、パウチして薬局で説明する際に使っていただければ幸いです。
是非とも薬局で誤飲対策指導の実施を
今回は、薬局で子どもの医薬品の誤飲事故対策を実施してほしいということで誤飲対策について記載しました。
子どもの医薬品誤飲事故の現状や対策方法として知識、患者に配布する手帳シールや説明する際の資料を用意しています。
あとは、やるだけです。
るるーしゅ
加算も算定できますので、是非とも多くの薬局で取り組んでいただければと思います。
私の友人の野田先生が、m3.comでも子どものくすりの誤飲事故について書いていますので、よかったらお願い致します。
H28~H26の医薬品の誤飲事故の事例を共有
つづいては、実際にどのような医薬品の誤飲事故が報告されているのか共有しましょう。
実際の事例を知ることで、一気に医薬品の誤飲事故が身近なものに感じるのではないでしょうか?
るるーしゅ
それでは報告されている医薬品の誤飲事故の事例について考えてみよう
H28年(2016)の医薬品の誤飲事故事例
医薬品等による誤飲は108件、38例に症状がみられ入院に至る20例あった。
◎事例1 【剤型:錠剤】
患者: 3歳 11 か月 女児
症状: ふらつき、転倒
誤飲時の状況: 19 時頃、女児は一人で 2 階の寝室にこもっていた。しばらくして、女児をトイレに連れていき歯磨きしていた時にずっとうがいをしていた。母が気になり寝室を見に行くと母の薬の空が落ちていた。70cm の高さのタンスの上、箱の中に母の薬を保管していた。
来院前の処置: なし
受付までの時間: 1時間~1時間 30 分未満
処置及び経過: 点滴(ソルアセト F)。入院(2日)
えっと、あまり状況が良く分からないですが…
メガネ
るるーしゅ
大丈夫、俺もだ…
とりあえず3歳11カ月の子がベンゾジアゼピン系の薬を誤飲したのでは?という気がする
◎事例2 【剤型:錠剤】
患者: 12 歳6か月 女児
症状: 悪心・嘔吐、意識障害(眠気等)
誤飲時の状況: 外出先で突然、気分不快感、冷汗、転倒 午前中に自分の感冒薬と父の降圧剤をまちがえて内服してしまった。
来院前の処置: なし
受診までの時間: 4時間~6時間未満(症状が出るまで本人も家族も気が付かなかった。)
処置及び経過: 点滴(ソリタ T1 500ml)。帰宅。
◎事例3 【剤型:散剤】
患者: 4歳1か月 男児
症状: 嘔吐
誤飲時の状況: 13 時に兄(4歳、15kg)の風邪薬を祖母が間違えて児に飲ませてしまった。19 時 30 分頃より哺乳途中で嘔吐、あやしても常に泣いているため受診。
来院前の処置: なし
受診までの時間: 6時間~12 時間未満
処置及び経過: なし
◎事例4 【剤型:錠剤】
患者:1歳6か月 女児
症状:意識障害(眠気等)、とろんとしている
誤飲時の状況: 8時 30 分頃母が洗面所にいて目を離していた所、キッチンの引き出しから女児が PTP シート(睡眠薬)を取り出して食べてしまった様子、2錠分空いていた。女児の口の中が白くなっていた。9時 30 分頃歩行のふらつきがあり、とろんとしていた。紹介され受診。
来院前の処置: 不明
受付までの時間: 1時間 30 分~2時間未満
処置及び経過: 点滴(VeenD、ソルアセト F)。入院(2日)。
歳6カ月でキッチンの引き出しから…恐ろしい
メガネ
H27年(2015)の医薬品の誤飲事故事例
医薬品等による誤飲は48件、12例に症状がみられ入院に至るケースが5例あった。
◎事例5【原因製品:錠剤(向精神薬)】
患者:2歳0か月女児
症状:なし
誤飲の状況:母の財布で遊んでいたが、気がついたら中に入っていた薬をかじっていた。来院前の処置吐かせた。
受付までの時間:30分~1時間未満
処置及び経過:点滴。帰宅。
◎事例6【原因製品:錠剤(解熱鎮痛薬)】
患者:3歳8か月女児
症状:なし
誤飲時の状況:午前8時15分に女児が椅子を使って戸棚の上に置いてあった母のポーチを取り、中に入っていた解熱鎮痛薬をかじっていた。口の中で粉々になっていた。来院前の処置かき出した、拭いた。
受診までの時間:1時間~1時間30分未満
処置及び経過:帰宅。
るるーしゅ
これは誤飲対策してあったけど、こどもの頭脳が…
◎事例7【原因製品:錠剤(総合感冒薬(OTC))】
患者:1歳6か月女児
症状:顔面蒼白、悪心・嘔吐、意識障害(眠気等)
誤飲時の状況総合感冒薬を机の上に置いていた。瓶の中に2錠あったが、1錠しかなく、残り1錠もなめた形跡があった。
来院前の処置:なし
受診までの時間:3時間~4時間未満
処置及び経過:帰宅。
◎事例8【原因製品:外用剤(皮膚治療剤)】
患者:1歳0か月女児
症状:なし
誤飲時の状況:午前8時40分に外用剤(保湿剤)のチューブをくわえているところを保護者が見つけた。口腔内に軟膏が大量にあった。拭きとった。午前9時に当院救命救急センターに受診した。来院前の処置かき出した。
受付までの時間:30分未満
処置及び経過:帰宅。
H26年(2014)の医薬品の誤飲事故事例
医薬品等による誤飲は51件、14例に症状がみられ入院に至るケースが8例あった。
◎事例9【原因製品:錠剤(中枢神経系用薬)】
患者:1歳11か月男児
症状:神経症状
誤飲時の状況:母親が目を離したすきに、居間のソファーの上にあった母親のハンドバッグの小ポーチを男児が開け、中枢神経系用薬11錠及び他の精神神経用薬2錠をPTPシートごとしゃぶっていたのを母親が気付いた。様子を見ていたが男児にふらつきあり、救急要請し当院へ搬送。
来院前の処置なし:受診までの時間30分~1時間未満
処置及び経過:X線撮影(右肺門部に浸潤影あり)、血液検査(炎症所見軽度あり)、心電図(異常なし)、胃洗浄。入院(2日)。
◎事例10【原因製品:錠剤(中枢神経系用薬)】
患者:1歳10か月女児
症状:悪心・嘔吐、ふらつき、元気がない、顔色不良誤飲時の状況テーブルの上に置いてあった中枢神経系用薬を女児が取って口の中に入れた(らしい)。ふらふらしているのを母が見つけて受診
来院前の処置:ジュースを飲ませて吐かせようとするも吐かず。
受診までの時間:30分未満
処置及び経過:胃洗浄。入院(2日)。
◎事例11【原因製品:錠剤(総合感冒薬(OTC))】
患者:1歳5か月男児
症状:啼泣
誤飲時の状況:母親が10分ほど目を離したすきに総合感冒薬が散乱しているのを見つけた。
来院前の処置:なし
受診までの時間:30分~1時間未満
処置及び経過:X線撮影(異常なし)、血液検査(異常なし)、胃洗浄、輸液点滴、活性炭及びマグコロールにて吸着、胃管からムコフィリン投与。入院(5日)。
◎事例12【原因製品:外用剤(皮膚治療剤)】
患者:2歳7か月女児
症状:悪心・嘔吐
誤飲時の状況:皮膚科から処方された外用剤(ゲル状)を外用しようとしたところ誤飲。悪心、2回嘔吐あり。来院前の処置口をゆすいだ。
受付までの時間:2時間~3時間未満
処置及び経過:帰宅。
医薬品の誤飲事故、怖いですね…
ていうか子ども怖いです
メガネ
るるーしゅ
そうなんだよ、本当に目を離したすきに…って感じだからね。
誤飲事故は、両親の監督責任が不十分だから起こるのではないか?と思っている方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
子ども育てている方なら、わかると思いますが子どもって、ホント一瞬目を離したスキに消えます。
「事故は注意していても発生する」
という前提で、リスクを最小にするために出来ること(医薬品の誤飲対策)を行う必要があると思います。
赤ちゃん・子どもによる薬の誤飲を防ぐために | 健康情報サイト | 住友製薬
(記事内でも伝えましたが定期的に検索したりして、検索上位にするお手伝いしていただけると助かります)