先日、アンケートを取得していたデータ、n数はまだそこまで集まっていませんが、我慢できないので解析していこうと思います。
恒例ですが、学会でのポスター発表をイメージして書きたいと思います。
目次
はじめに
インフルエンザは冬季に流行する呼吸器感染症で、日本では例年1000万人程度が感染する。インフルエンザの予防方法として、首から下げるタイプの二酸化塩素製剤が市販されており、有効性に疑問視する声が多くあるが、2013年日本薬剤師会学術大会で発表された演題(インフルエンザ罹患者の実態調査と薬局従事者による空間除菌ブロッカーRの効果検証)では有効性があったのではないかと報告もある(1)
インフルエンザの予防方法としては、インフルエンザワクチンが一番効果的であり、CDC(センターオブジアース)によると(2)、2018-2019シーズンのインフルエンザワクチンの接種で、推定440万人のインフルエンザ罹患、230万人のインフルエンザ関連の受診、5万8000人のインフルエンザ関連の入院、3500人のインフルエンザ関連の死亡が予防されたのことである。
インフルエンザワクチンはインフルエンザを予防するうえで重要であり、医療従事者は重症化のリスクの高い人との接触することも多いため、接種することが望ましいが、医療従事者でもあっても福利厚生での負担がない場合、半数近くが受けないなどという報告もあり(3)、そういうものなのかーと思う次第である。
というか、勤務先からの負担で打つのが当たり前だと思っていたが、どうやらそういうわけでもないようなので私の知的好奇心を満たすためにこの度、各勤務先のインフルエンザワクチンの負担状況を調査する。
方法
2020年11月5日から11月7日までの期間、KUROYAKUのサイト上(https://kuroyaku.tokyo/flu-vaccine-cost-free/)およびTwitter上(https://twitter.com/ph_lelouch)でGoogle Formでのアンケート調査を実施した。
アンケート項目は、勤務先、およびインフルエンザワクチンの費用負担についてである。
得られた回答を、統計解析ソフトEZR(バージョンシラン)を用いて、ロジスティック回帰分析を行い、勤務先による費用負担の状況に差があるのかを検討する。
結果
対象期間中に、155件の回答を得た。
勤務先 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
病院勤務 | 25 | 16.1% |
個人~小規模薬局 | 38 | 24.5% |
小規模~中規模薬局(10~200) | 43 | 27.7% |
大規模チェーン薬局(200以上) | 30 | 19.4% |
ドラッグストア | 19 | 12.3% |
インフルエンザの負担状況については、勤務先の全額負担が66%で多かった。

各オッズ比
EZRでロジスティック回帰分析をして出てきたオッズ比は以下のとおりである。わたしの頭の中で病院をリファレンスとした各勤務先での全額勤務先負担の状況を示したかったのだがヨクワカラナーイ
勤務先 | オッズ比 | 95%CI下限 | 95%CI上限 | p値 |
病院 | 0.786 | 0.3570 | 1.730 | 0.549 |
小規模~個人 | 0.239 | 0.0736 | 0.774 | 0.017 |
小規模~中規模 | 0.682 | 0.2490 | 1.870 | 0.457 |
大規模チェーン | 0.545 | 0.1800 | 1.660 | 0.285 |
ドラッグストア | 2.180 | 0.6430 | 7.400 | 0.211 |
これだけ、見てもさっぱりわからないですよね。とりあえず小規模~個人がp値が0.05未満で有意差ついていますね。
いい意味でしょうか、悪い意味でしょうか…
各施設での費用負担について
病院

小規模~個人

小規模~中規模

大手チェーン

ドラッグストア

考察
統計ソフトのEZRはよくわからない
今回の調査では、全額自己負担してくれる勤務先として、個人~小規模チェーンの薬局が84%と高く、一番低いのはドラッグストアで37%であった。
今回の調査では匿名での調査及びGoogle Formを用いたため複数回答も可能なため、この得られた結果の妥当性についてはなんともいえない。
とりあえずインフルエンザワクチン、略してフルチンをみんなで打ちましょう。
- インフルエンザ罹患者の実態調査と薬局従事者による空間除菌ブロッカーRの効果検証,第46回日本薬剤師会学術大会
- What are the benefits of flu vaccination? | CDC
- 福利厚生インフルエンザワクチン接種は罹患による休業防止に役立っているか? 調剤薬局企業職員によるアンケート解析より”日本薬学会年会要旨集 139年会 (2019.03)