今年の2022-2023シーズンは新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が予想されています。
今冬の感染拡大については、専門家の感染の見込みやオーストラリア等の状況も参考に、新型コロナの患者が1日 45 万人、インフルエンザの患者が1日 30 万人規模で同時に流行し、ピーク時には1日 75 万人の患者が生じる可能性を想定しているとのことです。

るるーしゅ
これ、キツイでしょ…
疾患 | 休む日数 | 治療薬 |
---|---|---|
インフルエンザ | 5日 | タミフル等 |
新型コロナ | 7日 | リスク因子あり→ラゲブリオ、パキロビッド リスク因子なし→ゾコーバ? |
ざっくりと新型コロナとインフルエンザの休む日数と治療薬はこんな感じですね。ただ抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に使用する必要があります。
目次
新型コロナの抗原検査キットの精度
まず現在、新型コロナの抗原検査キットが市販化されています。ただ発症当日だと、陽性とでるのは40%程度だと思います。

Chu, Victoria T., et al. “Comparison of home antigen testing with RT-PCR and viral culture during the course of SARS-CoV-2 infection.” JAMA Internal Medicine (2022).
つまりピーク時だと、45万人のコロナ患者のうち、発症日に抗原検査を実施しても半分の18万人くらいしか陽性と出ず、残りの人たちは「インフルエンザかもしれないな~」と思うわけですよね。
インフルエンザだったら、抗インフルエンザ薬飲めば、1日くらい早く良くなるので早めにもらいにいこうかな?となります。
ただ新型コロナの偽陰性の27万人と、インフルエンザの30万人に対応できる受け皿は、けっこうキツイ気がしますよね。

るるーしゅ
新型コロナはみないけど、インフルエンザなら対応しますというのも難しいでしょうし…
新型コロナの抗原検査が陰性ならインフルエンザかもしれないのでオンラインで診断して、抗インフルエンザ薬処方しますっていうのもやりすぎな感じしますよね
そう考えると、インフルエンザの抗原検査キットも市販化すると、いいのではないかなと思います。
インフルエンザの抗原検査キットは市販化されるか?
インフルエンザの抗原検査キットも市販化すればいいのにと素人考えでは思いますが、実際に市販化されるかは微妙なところだと思います。
医療・介護・感染症対策ワーキング・グループでも、インフルエンザの抗原検査キットの市販化には触れられています。
○落合専門委員 ありがとうございます。
私から、今までの抗原検査キットの話をされていたと思うのですけれども、あと、冬を念頭に置いてという中で、今度はインフルエンザのほうも出てくる可能性があるのではないかと思っております。インフルエンザについても抗原検査キットと一緒に検査できるようなキットであったり、そういうものも考え得るところだと思います。コロナに比べると、現時点では感染症法上の位置づけとしても、エビデンス上もインフルエンザのほうがまだリスクが低いということだと思います。そうであるとすると、インフルエンザに関する部分も、コロナの抗原検査と併せてという場合などは特にだと思うのですけれども、OTC化をすることも考えられるのではないかと思いますが、この点についてどうお考えになられますでしょうか。
○佐藤座長 ありがとうございます。いかがでしょう。
○宮崎審議官 まず、インフルエンザ対応をどうするか、新型コロナ対応とインフルエンザが同時流行することをどう考えていくか、その際の検査体制をどうしていくかということについては、現在、専門家ともいろいろ議論しているところでございます。昨年も冬に向けての方針などを出したりしておりますけれども、またそういうものを説明させていただくことになるのだと思っています。今現在は調整中です。
○佐藤座長 調整中ということは、検討されているという理解で大丈夫ですか。
○宮崎審議官 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザが流行する時期における検査・診療体制については検討しているということを申し上げました。
○佐藤座長 分かりました。その中にインフルエンザ検査のOTC化もあり得るべしということでいいのですね。
○山本審議官 私からお答えいたしますが、今回のコロナの検査キットOTC化というのは現下のパンデミックの状況に鑑み、特例的に対応を進めております。インフルエンザのキットのOTC化というのは、現時点で予定はしておりません。
○佐藤座長 ありがとうございます。落合先生、いかがですか。
○落合専門委員 リスクの部分を考えると、その部分はコロナと同時に流行する可能性というのも、先ほど御説明の中でお話しいただいたところだと思います。そういった中で、結局どういう疾患にかかっている可能性があるかを理解すること自体重要だというのは、特にオミクロンプラスインフルエンザという中で、両方併せて考えることも十分に合理性があることだと思います。特例という意味でも特に除外されるべきものではないように思いますので、この場でイエス・ノーとなるわけではないと思いますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。
○大石専門委員 結果として落合専門委員と同じ質問だったのですけれども、今さっきの検討しておりませんではなくて、これは検討するべきだと思うのです。結局コロナが起こって、発熱外来はどこもパンクし、かつ、開業医の先生方は結局診られませんと言って熱が出ている患者さんを断ったという状況の中で、国民は非常に不安になったのだと思うのですよ。そういう状況がインフルエンザしかはやりません、コロナは全くはやっていませんという状態になればまだいいですけれども、多分そうはならないでしょうし、そうなったとしても、これはコロナではないかということで皆さんも不安になりますでしょうし、
医療機関も困ると思うのです。ですから、それに対してどう対応するのかということを冬までに考えることは必須だと思いますので、考えていません、以上、終わりではなくて、ちゃんとやっていただきたい
と思います。

るるーしゅ
ちゃんと前向きに考えてねといった感じでした。
また 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ より上位の規制改革推進会議でも、ここは触れられていました。
○ 感染症対策
− 新型コロナウイルス感染症、インフルエンザの同時流⾏の可能性を踏まえ、オンライン診療の更なる活⽤促進、体外診断薬の利⽤環境整備(OTC 化等)を推進。

るるーしゅ
ワンチャン、市販化される可能性もあるんじゃないかな
インフルエンザの抗原検査キットの精度は?
ではここからは、インフルエンザの抗原検査キットの精度についてです。大体感度が60%くらいで、特異度は99%くらいなイメージですが、発症時間に応じてどうなのかが気になります。
というわけで、発症時間別の抗原検査キットの感度について調べた研究があったので紹介します。
この研究によると、発症からの時間別の抗原検査キットの感度は以下の通りです。ちなみに特異度は100%だったようです。
発症からの時間 | 感度 | 95%CI |
---|---|---|
12時間未満 | 38.9% | 17.3~64.3 |
12~24時間 | 40.5% | 25.6~56.7 |
24~48時間 | 65.2% | 49.8~78.6 |
48時間以降 | 69.6% | 47.1~86.8 |
明石祐作, et al. “発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響: 前向き観察研究.” 感染症学雑誌 95.1 (2021): 9-16.

るるーしゅ
新型コロナと似たようなもんですね
インフルエンザの抗原検査キットが市販化されるとこんな感じ?

極論言えば、健常人の場合、インフルエンザだろうが新型コロナだろうが特別な治療しなくても治ります。とりあえず発熱したら、新型コロナかもしれないから7日間休むというのが許容できれば、検査しなくてもいい気がします。

るるーしゅ
アセトアミノフェン製剤500㎎市販化されませんかね…
インフルエンザはくすりを使わない場合、どれくらいで症状緩和するか以前調べてますので気になったら読んでみてください。
さいごに

今回は、インフルエンザの抗原検査キットが市販化された際には、こんな風になるんだろうな~というのを考えてみました。
正直、資料や文献検索はあまりせず、自分の頭の中での思考をまとめた程度なので、視野が狭くなっている可能性がありますので、「この部分、考えていないんじゃない?」とかありましたらご意見いただければ幸いです。
インフルエンザの抗原検査キットが市販化されても対症療法は必要になってきますが、市販薬ではすこし物足りない部分がありますよね。
また新型コロナとインフルエンザに注目が集まり、その他の重症感染症の見落とししてしまうケースが考えられるので、こういったケースではしっかり受診勧奨するというのも大切になってくるんだろうなと思います。